2018年3月23日更新

【映画でわかる世界史】第二次世界大戦を描いた世界各国の映画7選

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ヒトラー

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第二次世界大戦は戦争映画の特殊ジャンル

戦争映画というジャンルは、19世紀以降の歴史的近代戦争を題材とするものです。古くはクリミア戦争から、新しいところではイラク戦争をテーマとした作品でしょう。 その中でも特に大量に制作されているのは、第二次世界大戦を描いた映画群です。第二次世界大戦は人類史上最大の規模にまで発展してしまった悲劇で、それを扱う作品の大半が反戦映画でしょう。 アメリカ、イギリス、ソ連、中国を中心とする連合国陣営と、ドイツ、イタリア、日本を中心とする枢軸国陣営の攻防を描いた作品が、それぞれの国で作られています。そのうち、7本を厳選してご紹介しましょう。

第二次世界大戦史の概要

1939年、ナチス・ドイツがポーランドへ侵攻し、これに対してイギリスとフランスが宣戦布告します。1940年、ドイツはフランスを占領。9月に日独伊三国軍事同盟が締結されます。 こうして、イギリス、ソ連、アメリカなどの連合国と、日本、ドイツ、イタリアなどの枢軸国との対立という図式になっていくのです。 そして、1941年12月。日本はハワイの真珠湾を奇襲攻撃して、アメリカ、イギリスに宣戦布告。太平洋戦争が勃発しました。 1943年から枢軸国陣営の戦局が悪化していき、9月にイタリアが降伏。1944年、フランスのノルマンディーに連合軍が上陸し、1945年、5月にドイツが降伏します。 一方、日本では1945年3月に東京大空襲、4月から沖縄戦、そして8月6日広島に、9日長崎に原子爆弾が投下されるのです。8月15日、日本はポツダム宣言を受諾して無条件降伏します。

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終戦時における日本人同士の攻防

半藤一利によるノンフィクションを原作として、太平洋戦争終戦の前日、1945年8月14日正午から、宮城事件、昭和天皇の玉音放送がラジオで流れた8月15日の正午までの24時間が描かれます。 広島、長崎に原爆が投下され、日本の敗北が決定的になっても、政府はポツダム宣言を受諾するか否かで揺れていました。ついに8月14日、昭和天皇は降伏を決意。 降伏反対派の陸軍青年将校たちはクーデターを計画します。将校たちは宮城および放送局を占拠して、玉音放送を阻止しようとします。 三船敏郎、笠智衆、山村聰など当時の豪華キャストで綴られる群像劇です。

ドイツが誇る潜水艦の乗組員たちの悲劇

ウォルフガング・ペーターゼン監督のドイツ時代の出世作です。原作者であるロータル=ギュンター・ブーフハイムが大戦中に、潜水艦・Uボートに同乗して取材した体験が基になっています。 連合国側から恐れられた、ドイツの潜水艦・Uボートの艦内を舞台に、次第に疲弊していく乗組員たちは悲痛な戦闘を繰り返すのです。敵艦から投下される爆雷、敵艦からのソナー音の恐怖に怯える乗組員たち、若き水兵たちにいらだつ古参兵など、閉鎖的な艦内で様々な人間模様が描かれます。 本作におけるUボートの任務は、大西洋を航行する連合国の船団に対する攻撃、および地中海の重要拠点であるジブラルタル海峡の突破で、乗組員たちには過酷な運命が待っているのです。

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イタリアのレジスタンスたちの英雄的行為

イタリアのネオレアリズモの巨匠、ロベルト・ロッセリーニが戦後直ぐに発表した問題作。当時ハリウッドの大スターだったイングリッド・バーグマンが、この映画を観て、ロッセリーニとの不倫に走ったことでも名高い映画です。 1943年、イタリア戦線で敗北を続けていたムッソリーニは、逮捕・投獄され、イタリアは連合国に対して降伏を表明。ローマは直ちにドイツ軍に占領されました。 反ファシズムのレジスタンスたちは、ナチスに抵抗すべくローマで活動を続けます。彼らの努力にもかかわらず、ある者は拷問の末に殺され、ある者は銃殺されるのです。 冷酷なナチス・ドイツと英雄的なレジスタンスたちが写実的に活写されます。

イギリス人整備兵の孤独な戦い

大戦末期、整備兵マーフィ(ピーター・オトゥール)の乗る商船は、南米を航行中にドイツの潜水艦Uボートの攻撃に遭い沈没。マーフィだけが近くの島民に助けられ、病院で手当を受けます。 しばらくして、マーフィの上官、エリス中尉(ジョン・ハラム)が瀕死の状態で発見。エリス中尉は自分が乗ってきた哨戒機が島の中にあることを告げます。 マーフィが飛行機を修理に行っている隙に、Uボートの乗務員たちが島に上陸して、エリス中尉を射殺してしまうのです。マーフィは激しい憤りを覚え、復讐を誓います。 マーフィは単独でUボートを撃沈できるのでしょうか?

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ロシア人の視点で描く昭和天皇

ロシアの鬼才、アレクサンドル・ソクーロフが終戦間際から戦後の昭和天皇を主人公に据えた異色作。ソクーロフ作品にはヒトラーを描いた、『モレク神』(1999)もあります。 1945年、終戦間際の宮城の地下防空壕で、昭和天皇(イッセー尾形)は家族とも離れ、孤独に過ごしていました。激しさを増す沖縄戦の報道が耳に入ってくるにつれ、重苦しい雰囲気になっていくのです。 御前会議で降伏か戦争続行かで苦悩する昭和天皇の唯一の安らぎは、研究している生物標本を愛でる時間でした。そして終戦を迎え、GHQ総司令官マッカーサー(ロバート・ドーソン)と会談する日が到来し……。

大迫力のノルマンディー上陸作戦の描写が戦争映画を変えた

1998年に公開されたスピルバーグの戦争映画は、それ以降の戦争映画を変えてしまうほどの衝撃を与えました。特に冒頭のノルマンディー上陸作戦の攻防の迫力は、凄まじいリアリティを帯びています。 何とかノルマンディー上陸作戦を成功させたものの、アメリカ軍は多くの戦死者を出してしまうのです。そんな中、ライアン家の四兄弟のうち3人が戦死したという報告が、アメリカ陸軍参謀総長ジョージ・マーシャルのもとに入ります。 ミラー大尉(トム・ハンクス)に下ったのは、残る四男ライアン二等兵を保護するようにという命令。果たして、ミラー大尉とその部下たちは無事ライアン二等兵を救えるのでしょうか?

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中国人と日本人のそれぞれの戦争

姜文が主演・監督し、2000年カンヌ映画祭、審査員特別グランプリを受賞しています。大戦末期の中国河北省、大河のほとりにある村が舞台です。 その村には侵攻した日本海軍が駐留していました。村の青年、馬大三(姜文)の家に見知らぬ男が現れ、2つの麻袋を大晦日まで預かるようにと脅して帰ります。 その袋には、日本陸軍軍曹(香川照之)と中国人通訳(袁丁)が入っていたのです。日本兵を捕らえていると海軍に知られると、村人の命が危険にさらされます。 馬と村人たちの奮闘が始まりますが、事態は思わぬ方向へ……。戦争が生み出す悲劇が描かれます。

戦争の語り部としての映画

いかがでしたか? 平和な世の中だからこそ、戦争映画が楽しめることは言うまでもありません。 年々、第二次世界大戦を知っている世代が亡くなっていく以上、映画が大戦の語り部としての役割の1つを担わざるを得ないのです。過去の戦争映画は我々に様々なことを語りかけてきます。 平和とは? 人間とは? 悪とは? 英雄とは? その問いに対する答えを模索するのは、観客である我々であることは間違いないでしょう。たとえそれが悲惨な現実であっても……。 あなたも先祖たちが体験した、第二次世界大戦に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?