2018年7月31日更新

映画『カメラを止めるな!』で私たちが味わうのは最高の映画体験

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カメラを止めるな!

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これぞ最高の映画体験!異例の大ヒット記録中の『カメラを止めるな!』

今、邦画界で空前の大ブームを巻き起こしている映画『カメラを止めるな!』。各映画レビューサイトで軒並み高評価を獲得し、絶賛のコメントが相次ぐなど、大きな話題を呼んでいます。また7月25日現在で全国60館以上の劇場で公開され、さらに公開規模を拡大中。その人気は未だノンストップの状態です。 そこで今回は、鑑賞後すっかり作品の世界の虜になってしまった筆者が、本作の魅力について語っていきます。ネタバレも含みますので、未鑑賞の方はご注意ください。

突如始まるワンカットの異質な空間

カメラを止めるな!

何の前触れもなく、若干のチープさを漂わせるゾンビ映画のワンシーンから本作は突然スタート。かと思えばカットの声がかかり、ゾンビ映画の撮影をしている撮影クルーの話だということがわかってきます。しかししばらくすると、本当にゾンビが出現してしまい、作品に命を懸けている監督は、これは好機だとばかりに、ゾンビから逃げ惑う役者たちの姿を必死にカメラで追いかけ続けるが……。 この冒頭のゾンビ映画撮影シーンはなんと37分のワンカット。そのためワンカットならではのカメラのブレやアングルの変化が生じることにより、臨場感と緊張感が増幅し、ホラー映画特有のスリリングさが強くなっていきます。 しかし本作はフライヤーからもわかる通り、ジャンルとしてはコメディ映画に属しているので、冒頭のゾンビ映画からもお笑い要素が随所に含まれています。そのひとつひとつがワンカットの映像の中に散りばめられていることから、本作の脚本がいかに綿密かということを窺い知ることができます。

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まさかまさかの二部構成

カメラを止めるな!

冒頭で唐突にワンカットゾンビ番組が始まり、エンドロールまで終わったかと思いきや、実はそれも本作「カメラを止めるな!」の中に存在するひとつの作品で、生放送のドラマ番組だったということが明らかに。後半はその生放送ドラマ番組の企画が立ち上がり、放送が終了するまでの一か月間の出来事が描かれています。 前半のワンカットで臨場感のある雰囲気とは全く異なる、アットホームで穏やかな作風になるため、違う作品が始まったのかと一瞬混乱するほどの変貌ぶり。ですがこの後半部分で、前半の作中で微かな疑問を残していた箇所の真相が解明されていきます。まるで答え合わせのごとく伏線が回収されていく爽快感は、病みつきになること間違いなしです。

ユニークでシニカルな現場あるある

カメラを止めるな!

本作の最大の見どころのひとつとも言えるのが、映画やドラマなどのモノづくりの現場あるあるが、ユニークかつシニカルに描かれているところ。 独自の熱い演技論でリハーサルを止めてしまう人気俳優や、そこそこのクオリティーを求められる映画監督、アルコール中毒の役者や腰痛持ちのカメラマン、撮影現場の実態を露ほども知らない放送局のスタッフ陣などが、ユーモアと少々の毒気を伴って登場します。 また、トラブルの頻発やその場にいる人員でどうにか解決しようとする姿など、映像作品の現場に関わらず、集団でのあらゆるモノづくりに携わったことがある人なら思わず共感し、さらには感動を誘うようなシーンが連続しており、それも本作の人気に火が付いた理由のひとつであると筆者は感じました。

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上映劇場数増加中!まだまだ勢いを止めるな!

日本でも近年、応援上映や発声上映などの「声を出して映画を楽しむ」という場は支持を集め、大きな反響を呼んできましたが、比較的静かな国民性も関係しているのか、特別上映回でもリアクションが小さめになってしまうということもしばしば。ですが驚いたことに、本作は通常の上映回であっても観客が笑い声や歓声を上げ、館内が一体となって映画を楽しんでいたのです。 映画館という空間に集まった不特定多数の人間が、ひとつの笑いや感動を同時に体験し、それを表現すること。これこそまさに最高の映画体験であり、今後も増えていくであろう映画の楽しみ方のひとつの完成形なのでしょう。 制作費300万の超低予算にもかかわらず、1億円以上の興行収入を獲得し、大ヒットを記録している映画『カメラを止めるな!』。上映劇場は全国で拡大し続けており、その勢いはまだまだ止まることを知りません。ぜひ劇場で、この極上の映画体験を味わってみてください。きっと、この世界の虜になるはずです。