自主製作映画にこだわる映画祭
2018年で40回目を迎えるぴあフィルムフェスティバルは、映画の新しい才能の発見と育成をテーマに1977年から始まった映画祭です。スタート当時、まだあまり知られていなかった自主製作映画を世に送り出すために始まりました。 そして、この映画祭からこれまでに120名を超える監督たちがプロの道へ。今回は、2018年開催のぴあフィルムフェスティバルの見どころを紹介してきます。
ぴあフィルムフェスティバルとは?
1977年当時、映画や演劇、コンサートのスケジュールが掲載されているぴあという情報誌が大成功を収めていました。その雑誌を発行していたぴあ株式会社が、次の展開をして考えたのが映画祭。 自主映画の監督たちを世間の人たちに紹介し、その監督たちをデビューさせていきたいと考え作られたのが、今もなお続いているぴあフィルムフェスティバルです。映画祭のメインプログラムは、自主製作映画のコンペティションであるPFFアワード。 それ以外にもさまざまな特集上映プログラムが用意されて、毎年映画祭を盛り上げています。そんなPFFアワードや特集上映について、それぞれ詳しく紹介します。
PFFアワードって何?
そして、今年も会場では、観客賞の投票を行います!
— ぴあフィルムフェスティバル(PFF)@9/8~国立映画アーカイブ (@pff_award) September 7, 2018
観客賞の受賞者には、他の賞と同様に、第28回PFFスカラシップへの挑戦権が与えられます。
個性あふれる18人の入選監督たち。観客の皆さんから、どの作品が支持を得るのか、すごく楽しみです! pic.twitter.com/4wsfHmyefZ
PFFとはぴあフィルムフェスティバルのこと。その中のプログラム、PFFアワードは映画祭のメインプログラムで、一般公募で集まった自主製作映画を選定後、上映するコンペティションです。 そしてPFFアワード2018は529本の作品の応募があり、そこから18本の作品が選出されました。2018年は、アニメーション、コメディ、アクション、SF、海外撮影、ロードムービー、ドキュメンタリー、女優としても活躍する小川紗良の作品などバラエティーに富んだラインナップに。 公式ページでは、予告編が見られる作品もありますよ。選出された18本の中から9月20日の表彰式にて、グランプリなど各賞を発表。 今年の最終審査員には、自身もPFF出身で映画『BLEACH』の佐藤信介監督や映画『友罪』の生田斗真などが顔をそろえています。その中でも注目は観客賞。 これは、実際に鑑賞した人たちの投票で面白かった1本が選ばれます。あなたの1票が未来の監督を生み出すかもしれませんよ!
最も注目の特集上映「ロバート・アルドリッチ監督特集」!
「第40回PFF」、2日目も元気に開催中です!
— ぴあフィルムフェスティバル(PFF)@9/8~国立映画アーカイブ (@pff_award) September 9, 2018
OZUホールでの『特攻大作戦』の回には、朝から劇場の外に列が。 pic.twitter.com/yxEvuuNxJk
2018年に生誕100年を迎える巨匠・ロバート・アルドリッチ監督。今年のPFF特集上映イチオシはなんといっても、ロバート・アルドリッチ監督特集です。 アルドリッチ監督は1918年にアメリカで生まれ、チャップリンやルノワールの助監督を経て、映画『ビッグ・リーガー』にて監督デビューを果たします。その後も数々の作品を世に送り出し、映画『枯葉』で第6回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞を受賞。 時代を先取りした独特なセンスで多くの傑作を残しました。今回の上映では、映画『枯葉』、ヴェネチア国際映画祭を受賞した映画『攻撃』、デビュー作『ビッグ・リーガー』、原作ものを独自の解釈で映画化した『キッスで殺せ』など代表作が目白押しです。 彼も助監督という立場から監督へと成功していきました。そんな彼の映画に監督を志す人たちは何か得るものがあるかもしれませんね。
映画を志す若い才能に贈るスペシャル対談「映画のコツ」
映画のコツ『吉田大八プレゼンツ「香川まさひとの世界」』。
— ぴあフィルムフェスティバル(PFF)@9/8~国立映画アーカイブ (@pff_award) September 9, 2018
83年のPFFで香川監督の『青春』を観て、翌年の入選作『バスクリンナイト』のスタイルが全く異なり、度肝を抜かれたという吉田監督。「映画の方法を壊したい」という香川さんの言葉が印象的でした。 pic.twitter.com/4f7gvMdV2p
ぴあフィルムフェスティバルでは、映画を志す人たちに向けてのプログラムなども開催されます。今回は、その道で活躍するクリエーターを招いて「映画のコツ」を聞くことができる講座が設けられました。 まだ間に合うプログラムのひとつは、『映画クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』の原恵一監督とPFF出身で映画『ぐるりのこと』の橋口亮輔監督の対談。対談の内容は「天才・木下恵介は知っている:その2」です。 この講座は、2017年にも行われた木下恵介企画の第2弾。参考上映作品として『野菊の如き君なり』と『笛吹川』も上映されます。 そしてもうひとつは、ともにTVディレクターの稲垣哲也と佐々木健一による対談。参考上映作品として稲垣哲也監督の『たけし誕生~オイラの師匠と浅草~』が上映され「本当にみたいテレビ番組創作術」について語ります。 普段はなかなか聞くことのできない貴重な講座です。ぜひ、現役で活躍しているクリエーターの生の声を聞いてみたいものですね。
伝説のカメラマンたむらまさき追悼企画
記録映画で知られる小川紳介プロダクション出身で、黒木和雄監督作『竜馬暗殺』や青山真治監督作『EUREKA』、河瀬直美監督作『萌の朱雀』など多くの監督から支持された伝説のカメラマン、たむらまさきが2018年5月に肺炎のため亡くなりました。79歳でした。 2014年には75歳にして映画『ドライブイン蒲生』で初監督も務めました。そんなたむらまさきを偲んで緊急企画として、「追悼たむらまさきを語り尽くす」が開催されます。 まだ間に合うイベントの中身はというと、PFF出身監督でデビュー作『2/デュオ』でたむらまさきと一緒に仕事をした諏訪敦彦監督に、PFFアワード2017で初監督作『あみこ』が観客賞を受賞した山中瑶子が、たむらまさきのことを聞くといったものです。参考作品として『2/デュオ』が上映されます。 ベテラン監督と新人監督、どんな話が飛び出すのでしょうか?
まだまだ続く第40回ぴあフィルムフェスティバル!
第40回ぴあフィルムフェスティバルはすでに始まっていますが、2018年9月22日まで開催。月曜日はお休みですのでお間違いなく。 今回の会場は、国立映画アーカイブ(旧:東京国立近代美術館フィルムセンター)です。2018年の映画祭プログラムも充実のラインナップですが、やはり気になるのは、PFFアワード2018。 どんな監督がグランプリを受賞するのでしょうか?9月20日の受賞式が楽しみです。 今からでも間に合うプログラムもありますので、ぜひ足を運んでみてください!