あのヒット作も利用したクラウドファンディングとは?【映画支援について】
アイデアひとつで夢が実現するかも!
クラウドファンディングとは、作り手や起業家などがインターネットを通じて、資金調達をするためのサービスです。世界中で注目されていますが、いざ興味はあるにしても実際にどんなサービスなのかよくわからないという人も。 日本でも2018年現在、多くのクラウドファンディングサイトが存在しそれぞれに特徴があるため、まずは自分の目的に合わせて選ぶことが大切です。今回は、そのクラウドファンディングの中でも映画に関するものを紹介。 基礎知識から実際の体験談まで紹介していきます。
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディングとは造語で、群衆(crowd)と資金調達(funding)を意味し、アイデアの発案者である企画者が、その実現に向けてインターネットを利用して不特定多数の人たちから資金を集めることをいいます。この資金集めには様々な方法があり、広く知られているものは、「寄付型」や「購入型」といったところです。 「寄付型」は被災地への支援など社会貢献的な要素が強く、リターンはありません。一方、「購入型」は映画などによく利用されている方法で、プロジェクトに支援をする代わりに商品やグッズなどのサービス受けとることができます。 この映画に利用される「購入型」のクラウドファンディングについて詳しく紹介していきます。
クラウドファンディングで映画を作るには?
クラウドファンディングで映画製作をする場合、購入型のクラウドファンディングを利用することが一般的です。それでは、どのように進めていくのか紹介していきます。 まずは、目的にあったクラウドファンディングサイトを探します。基本的に使い方はほとんど変わりませんが、目標を達成した段階で引かれる手数料や各サイトでのフォロー体制の違いなどがあるので、よく比較するのが重要ですね。 プロジェクトを始める場合、どのような企画を立ち上げたいか相談し申請。その後、審査が入りそれを通過したところでサイトに掲載されていくといった流れとなります。 その際、金額の設定、期間の設定、企画者からのメッセージなどどのようなページにするのかを検討し公開。目標金額に達していなければ成立しない場合もあるので、詳しく確認する必要があります。
映画関連を掲載できるクラウドファンディングサイトを紹介
映画に関わるプロジェクトを立ち上げることができるクラウドファンディングサイトを紹介します。クリエイティブ系のプロジェクトが多くみられるのが、MotionGalleryとCAMPFIREです。 映画や映像系のプロジェクトが手厚くサポートされているのがMotionGallery。世界的な映画祭への出品作品もあり、映画の支援を受けたい人・支援したい人が多く利用しています。 オールジャンルのクラウドファンディングを謳っているCAMPFIRE。映画ジャンルはもちろんのこと、音楽やアートなどクリエイティブ系のプロジェクトが数多くあります。 その他、社会貢献系のプロジェクトが中心のReady forやカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が運営するGREEEN FUNDING、株式会社サイバーエージェントが運営するMakuekeなどでも多少ではありますが映画関連の掲載がみられます。
実際にクラウドファンディングで支援を受けた映画は?
2018年現在、クラウドファンディングを利用して映画製作された作品を多く目にするようになりました。成功を収めている映画としては、映画『カメラを止めるな!』やアニメーション映画『この世界の片隅に』などありますが、いずれも提案者と支援者の熱い思いがひとつになり成功した事例として挙げることができるでしょう。 他には2016年に公開された『TSUKIJI WONDERLAND』。映画会社である松竹株式会社が築地市場を取材したドキュメンタリー映画で、東京の台所である築地を映画に残したいという思いから、クラウドファンディングを利用し製作されました。 また、製作支援とは異なる例もあります。制作会社が経営破綻し、映画公開が危ぶまれていた映画『ブルーハーツが聴こえる』です。映画祭での評価の高さもあり、クラウドファンディングのおかげで劇場公開までこぎつけることができました。
応援したい人はどうするの?
クラウドファンディングにて提案されたプロジェクトを応援や参加したいという人もいるかと思います。その場合、どのような形で進めればよいのか紹介します。 まずは、各サイトにて会員登録を行い、アカウントを取得します。映画の支援においては、プロジェクトごとに目標の支援金額が設定されており、支援者は金額やリターン内容によって自由に支援金を選ぶことができます。 選択した内容で決済されれば、晴れてプロジェクトの一員となるのです。リターン内容は支援金によって異なることが多いですが、例えば映画の製作の場合、試写会や撮影現場への招待、エンドロールへの名前のクレジットなど多種多様にあります。
クラウドファンディングのメリットとデメリット
クラウドファンディングを利用すればいいことばかりのような気もしますが、ここではそのメリットとデメリットについて紹介します。
クラウドファンディングにおけるメリット
クラウドファンディングによる最初に挙げるメリットは、実現が難しいと思われていたプロジェクトに支援が集まる可能性があることです。映画の企画で言うと、例えば新人の監督に映画会社から出資を集うことは至難の業です。 そんな自主製作の監督にも等しくチャンスがあります。また支援者においても、好きな映画に関わることができ、さらにリターンがもらえるというメリットもあります。
クラウドファンディングにおけるデメリット
クラウドファンディングにおけるデメリッとして考えられるのは、必ずしも成立、成功するとは限らないということです。目標金額に達しない場合、そこでプロジェクトがストップしてしまうこともあります。 支援者においては、悪意をもってプロジェクトを立ち上げている場合や一度支援したものは取り消せない場合などがあるので、よく確認しつつ支援する必要があります。
体験した監督に聞いてみた!
『ミドリムシの夢』という映画企画でクラウドファンディングに挑戦し、先ごろ映画が完成したばかりの真田幹也監督にお話を伺いました。
クラウドファンディングを利用しようと思ったきっかけは?
製作資金を集めている時に、クラウドファンディングの会社をご紹介頂いたのがきっかけです。公開に向けての作品認知、制作費を増やす為には適していると考えました。
実際に利用してみてどうでしたか?
僕はメリットしかないと思いました。しかし、他人様にお金を頂いて協力してください!という事ですから、自分の名前を使って(今回は連名で使用しましたが)クラウドファンディングをする事は、何回も出来ない手だとは思っています。
集まった資金はどのように使われましたか?
制作費の一部に、有難く使わせて頂きました。
今後の予定は?
国内外映画祭に応募するとともに、劇場公開を目指していきます!
クラウドファンディングで映画を作るということは?
映画『菊とギロチン』という自主映画が2018年7月に公開されました。この作品はアナキストを描いていることで各映画会社は出資をためらったようです。仕方なく、製作関係者らが自ら一般の出資者を集って製作。それでも予算は足りず、クラウドファンディングにて宣伝費等を集めた作品です。 監督は、映画『64ロクヨン』や『友罪』などの大作映画なども監督する瀬々敬久。クラウドファンディングにおける話の中で、瀬々監督は次のように語っています。 映画の前にはどんな映画も平等。映画とは、スマホで撮ろうが15分だろうが8時間だろうが、同じ並列で語られるべきだと。クラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げる監督はメジャー監督も自主映画の監督も等しく平等です。支援をする人たちもそのことをよく理解した上で、応援しているのだと思います。 両者のその思いが存在する限り、クラウドファンディングでの映画の可能性はこれからも続いていくでしょう。