2018年10月5日更新

ディズニー永遠の名作『メリー・ポピンズ』を徹底解説!【2019年に続編公開!】

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『メリー・ポピンズ』

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永遠の名作『メリー・ポピンズ』の魅力をご紹介!

ウォルト・ディズニー・プロダクションによって製作されたミュージカル映画『メリー・ポピンズ』は、1964年にアメリカで初公開されました。やんちゃな子どもたちのもとへとやって来た、魔法を使うベビーシッターの物語です。 当時は最新の技術だった実写とアニメーションを合成させた手法が取られ、その年のアカデミー賞の各賞を総なめにしました。2019年には55年ぶりとなる続編『メリー・ポピンズ リターンズ』の公開も予定されています。 本作の魅力を徹底的に解説いたします!続編公開前に復習しておきましょう。

『メリー・ポピンズ』あらすじ

舞台は1910年のロンドン。バンクス一家の父親ジョージは気難しい銀行マン、母親ウィニフレッドも女性参政権運動に夢中で子どもたちの世話はベビーシッター任せです。二人の子供ジェーンとマイケルは大変やんちゃで、ベビーシッターたちはつぎつぎとやめてしまうのでした。 ジェーンとマイケルが「優しくて美しく、親切でおもしろいベビーシッター」を希望した翌日、こうもり傘をさした不思議な女性が空から舞い降りてきました。彼女こそが新しいシッターのメリー・ポピンズです。 魔法を使い、なんでも出てくる不思議なカバンを持った彼女は、子供たちに夢のように楽しい体験を与えていきます。そして子どもだけでなく周囲の大人までもが、彼女の影響により、陽気に変わっていくのでした。

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『メリー・ポピンズ』キャスト

メリー・ポピンズ/ジュリー・アンドリュース

本作の主人公でバンクス家のベビーシッター。空から舞い降り、なんでも出てくる不思議なカバンを持ち、魔法を使って一瞬で部屋を片付けるなど、子どもたちが希望したとおりの「優しくて美しく、親切でおもしろい」女性です。ただし魔法に関することや、バンクス家に来るまでの彼女の生い立ちは謎に包まれています。 演じるのは1935年生まれのイギリス人女優ジュリー・アンドリュース。ブロードウェイでミュージカル女優として活躍していた彼女は、映画デビュー作でもある本作でアカデミー主演女優賞に輝きました。ディズニー映画でアカデミー主演女優賞にノミネートされたのは、後にも先にもジュリー・アンドリュースだけです。 その後『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)などのミュージカル作品や『引き裂かれたカーテン』(1966)などのアルフレッド・ヒッチコック監督作品に出演するスターに。1990年代に入ってからは活動は少なかったものの、近年では『プリティ・プリンセス』(2002)の女王役や『怪盗グルーの月泥棒』(2010)でのグルーの母役の声優として印象的な演技を披露し、再び人気を集めています。

バート/ディック・ヴァン・ダイク

メリーの友人。大道芸人、煙突掃除、画家など様々な職業に就いてメリーたちの前に姿を現します。彼もまたメリー同様に謎に包まれた存在ですが、歌の中でかつては無口だったこと、女友達が大勢いること、世界中を旅した経験があることなどが明かされています。 演じるディック・ヴァン・ダイクは1925年生まれ。コメディアンとして活躍していた彼にウォルト・ディズニー自ら声をかけ、本作への出演が決まったとのことです。本作での演技が高く評価され、1968年公開の『チキ・チキ・バン・バン』や1993年から放映されたTVドラマ『Dr.マーク・スローン』などの主演作があります。 ディック・ヴァン・ダイクは、本作の中でバート役以外にも、ジョージが勤める銀行の頭取ミスター・ドース・シニア役も演じています。しかし共演の子役たちには、ミスター・ドースを演じているのが彼であることは秘密にして撮影が進められたとのことです。 また2019年2月に日本公開予定の『メリー・ポピンズ リターンズ』にも出演が決定しています。

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ジョージ・バンクス/デヴィッド・トムリンソン

メリー・ポピンズ
© Walt Disney Pictures

バンクス家の厳格な父親で、銀行員。仕事に忙しく子どもたちと過ごす時間を取れず、またメリーのことを快く思っていません。このキャラクターは、原作者パメラ・トラバースの父親がモデルになっています。 演じるデヴィッド・トムリンソンは1917年生まれの俳優。本作以外にも、やはり児童文学を原作としたミュージカル映画『ベッドかざりとほうき』(1973)などに出演しています。2000年に亡くなりました。

ウィニフレッド・バンクス/グリニス・ジョンズ

メリー・ポピンズ
©Buena Vista Pictures

バンクス家の母親。女性参政権運動に没頭しており、子どもたちの面倒をみる時間がありません。 演じるのは1923年生まれのイギリスの女優グリニス・ジョンズです。1940年代から数多くの映画に出演。コメディからシリアスまで幅広い演技を見せ、イギリスの文豪サマセット・モームの作品を原作にした『地獄の喝采』(1956)やホラー映画『怪人カリガリ博士』(1962)などの主演作があります。

当時の先端技術でアニメと実写を融合!

『メリー・ポピンズ』
© 1964 Walt Disney Productions

1964年に製作された『メリー・ポピンズ』は、ナトリウムプロセスと呼ばれる、当時としては最先端の合成技術を採用し、アニメーションと実写の融合や、人が空を飛ぶシーンなどを実現しています。 黄色のスクリーンの前で俳優たちに演技をしてもらい、それを切り取り手作業で背景と組み合わせます。当時のカラーフィルムは青・緑・赤の3色で染められたものを1本に重ねていましたが、背景を黄色にすることとフィルムが感知しないナトリウム灯を照明に使うことにより、合成後の人物に不自然な影や輪郭が出てしまうことを防いでいるのです。 ディズニーが独自に開発したこの技術は高く評価され、本作はその年のアカデミー賞の特殊視覚効果賞を受賞しています。アルフレッド・ヒッチコックの『鳥』(1963)の製作の際にも、ディズニーの協力を受け同様の手法が採用されました。

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シャーマン兄弟が担当した名曲の数々!

「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」や「お砂糖ひとさじで」「チム・チム・チェリー」など、誰もが一度は耳にしたことのある名曲を多数生み出した本作。 本作の音楽を担当したのはシャーマン兄弟です。それぞれ作曲家として活躍した後、ウォルト・ディズニーからスカウトを受けディズニー・プロダクションに参加しました。本作は、彼らが音楽を担当したディズニー作品の第一作目です。 「チム・チム・チェリー」はアカデミー歌曲賞とグラミー賞を受賞しています。この曲は「煙突掃除人に会うと幸せが訪れる」というイギリスの古い言い伝えからインスピレーションを得て作られたそうです。 また「お砂糖ひとさじで」は、シャーマン兄弟の兄ロバートの息子の学校で、注射を打つ際に子供たちに角砂糖が一つずつ配られ、針をさす時に口に含んだら痛みに耐えられたという話から思いついた歌詞とのことです。

原作者パメラ・トラバースとディズニーの論争とは?

『メリー・ポピンズ』の原作は1934年から1988年までに刊行された児童文学です。原作者のパメラ・トラバースは、ディズニーによる映画化の話を断り続け、厳しい条件をつけたとされています。 彼女の希望は「ミュージカルにしない」「アニメーション入れない」などいくつもありましたが、最も重要な点は「父ジョージを悪役のように描かないでほしい」ということだったそう。ジョージは銀行員だったトラバースの父親をモデルにしており、彼は過労によるアルコール依存症でトラバースが7歳のときに亡くなっています。彼女は早逝した父との思い出を他人に触れられたくなかったのかもしれません。 ディズニー側がトラバースの条件を受け入れ、原作の世界観を重視し結末で親子の和解を描くことで映画化の話はまとまりましたが、歌やアニメに関する条件は無視され、彼女は承諾したことを後悔していると家族に語っていたそうです。 この時の顛末を『しあわせの隠れ場所』(2010)や『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(2017)のジョン・リー・ハンコック監督が映画化。『ウォルト・ディズニーの約束』として2014年に公開されました。エマ・トンプソンがトラバースを、トム・ハンクスがディズニーを演じました。

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魔法の言葉「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」とは?

本作内でのキーワードとなる謎の言葉「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス(Supercalifragilisticexpialidocious)」。メリー・ポピンズいわく「何を言ったらよいのかわからない時に使う言葉」とのことで、ひどく感激した時や初対面の人に挨拶する時、叱られた時、はたまたプロポーズのかわりにも使えるという便利な言葉のようです。 この言葉は本作のために作られたもので、音楽を担当したシャーマン兄弟の子供の頃の言葉遊びから着想を得たようです。造語ですが、今では辞書にも掲載されています。皆さんも使ってみてください!

『メリー・ポピンズ』に込められたメッセージとは?【ネタバレ注意!】

本作の舞台となっているのは1910年のロンドン。『メリー・ポピンズ』からは、当時の様子を窺い知ることができると同時に、作品に込められたメッセージも読み取ることができます。 当時のイギリスは労働者階級と中産階級の格差の広がりが顕著になってきていました。本作でも一家の母親ウィニフレッドにかわり、家事や育児はメリーをはじめ使用人たちがすべて行っているようでしたが、この当時のイギリスの中流以上の家庭で、これは当たり前のことでした。 こうした理由から家庭内でやや影の薄いウィニフレッドが熱中しているのが女性参政権運動というのは、少し皮肉なことですね。 職業がコロコロと変わるバートですが、その中でも煙突掃除人は当時最も過酷で低賃金ながらも、人々の生活のために必要不可欠とされていた職業だったようです。そんな環境でも笑顔を絶やさないバートを演じるディック・ヴァン・ダイクが、一人二役で金持ちの権力者である銀行の頭取を演じているのも、何かの意図を感じます。 そしてラストシーン、一家の父親ジョージは最も大切な事に気づきます。仕事で出世しお金を稼ぐことよりも家庭を大切にする道を選んだのです。メリーも、子どもたちは使用人に育てられるより実の親に育てられる方が良いと考え、姿を消します。 『メリー・ポピンズ』は格差が広がるロンドンを舞台に「お金では買えないもの」の大切さを私達に伝えてくれる作品ではないでしょうか。

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『メリー・ポピンズ リターンズ』は2019年2月1日日本公開!

そして2019年2月1日からは、54年ぶりとなる続編『メリー・ポピンズ リターンズ』の日本公開も予定されています。続編公開前にもう一度じっくり本作を見てみるのも良いかもしれません。 本作は、前作から25年後、大人になったジェーンとマイケルの前に再びメリー・ポピンズが姿を現すというストーリー。『シカゴ』(2002)や『イントゥ・ザ・ウッズ』(2015)のロブ・マーシャル監督がメガホンを取りエミリー・ブラントがメリーを演じます。 今から公開が楽しみですね!