2019年1月19日更新

『メリー・ポピンズ リターンズ』の海外評価はなぜ高い?理由を徹底解説【54年ぶりの続編第2作】

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メリー・ポピンズ リターンズ

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続編『メリー・ポピンズ リターンズ』の評価はなぜ高い?

日本公開日:2019年2月1日

1965年に公開されたディズニーミュージカル映画『メリー・ポピンズ』の続編『メリー・ポピンズ リターンズ』が、2019年2月1日に公開。 前作は、空からやってきた主人公の乳母(ナニー)“メリー・ポピンズ”がロンドンの一家にやってきて、周りの人々に不思議な体験をもたらしていくというファンタジー映画でした。アニメ、実写、ミュージカルの要素を大胆にミックスし、独特な世界観でアカデミー賞を5部門も受賞した作品でもあります。 そんな名作公開から50年以上が経ち、ついに続編として帰ってくることに。名作の続編ということでハードルは高いと思われますが、既に海外では公開されており、レビューサイト「ロッテントマト」での批評家評価は78%。世界的大ヒットを記録した映画『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)の批評家評価が62%なのを見るとこの数字はそれなりに高いようです。 なぜ『メリー・ポピンズ リターンズ』の評価は上々なのか?あらすじやキャストなどの基本情報をはじめにおさらいしつつ、高評価を獲得した理由を解明していきます。

まずは「メリー・ポピンズ2」のあらすじから紹介

舞台は大恐慌時代のロンドン。前作からおよそ20年が経ち、すっかり成長したバンクス家の長女ジェーンと長男マイケル、そしてマイケルの3人の子供たちは不況のあおりを受けて希望を失っていました。そんな彼らのもとにスーパーナニー”メリー・ポピンズ”が再び現れます。 彼女は不思議な魔法と友人ジャックの助けを借りて彼らが失っていた“喜び”や“希望”を取り戻すお手伝いをすることとなるのでした。 次の見出しからは、本作のスタッフと登場するキャストを紹介します。

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超豪華なキャスト11名を紹介。前作のあの人も登場!

メリー・ポピンズ/エミリー・ブラント

エミリー・ブラント
©Dennis Van Tine/Future Image/WENN.com

2003年のイギリス映画『ウォーリアークイン』で映画デビュー、2006年ファッション業界を舞台としたコメディ『プラダを着た悪魔』で主役アンディの同僚エミリー役でブレイクを果たしたエミリー・ブラントがジュリー・アンドリュースからメリー・ポピンズを引き継ぎます。 最近ではトム・クルーズと共演した『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)リタ・ブラタスキー役やFBIと麻薬カルテルの抗争を描いた『ボーダーライン』(2016)のFBI捜査官ケイト・メイサー役で高い評価を獲得していました。

トプシー/メリル・ストリープ

メリル・ストリープ
Joe/WENN.com

『クレイマー・クレイマー』(1979)や『ソフィーの選択』(1982)、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2011)で3度オスカーを獲得しているアカデミー常連の大女優メリル・ストリープが、メリー・ポピンズの従姉妹・トプシーを演じます。 最近では『マンマ・ミーア!』(2008)や『イン・トゥ・ザ・ウッズ』(2015)などミュージカル映画にも数多く出演していました。

マイケル/ベン・ウィショー

ベン・ウィショー
©︎Lia Toby/WENN.com

成長したマイケルを演じるのは、ベン・ウィショー。1980年生まれの彼は、2007年の『パフューム ある人殺しの物語』で主演して以来、様々な映画に出演しているイギリスの俳優です。 その他にも、「007」シリーズのQを演じている他、『ロブスター』や『リリーのすべて』、そして『パディントン』のパディントン役など、めざましい活躍を見せています。

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ジェーン/エミリー・モーティマー

エミリー・モーティマー
©FayesVision/WENN.com

一方、成長した姉のジェーンを演じるのは、イギリスの女優、エミリー・モーティマーです。 1971年にロンドンで生まれた彼女は、ウディ・アレン監督の『マッチポイント』(2005)、ライアン・ゴズリングがラブドールに恋する青年を演じた『ラースと、その彼女』(2007)などに出演。 ハリウッドの話題作としては、『シャッター アイランド』(2010)や『ヒューゴの不思議な発明』(2011)などに出演していますが、どちらかというと脇で輝く個性派女優です。本作のようなディズニーの大作映画で主要なキャラクターを演じるのは、これが初めてではないでしょうか。

ジャック/リン・マニュエル・ミランダ

俳優、ラッパー、作曲家、脚本家など多彩な才能を持つリン・マニュエル・ミランダがメリー・ポピンズの友人ジャックを演じます。 ミランダはトニー賞最多部門ノミネートのミュージカル『ハミルトン』で脚本、音楽を担当したり、2015年公開された『スター・ウォーズ フォースの覚醒』のマズ・カナタが登場するシーンの音楽を担当していました。

ウィリアム・ウェザーオール・ウィルキンス/コリン・ファース

コリン・ファース
WENN.com

フィデリティ信託銀行社長・ウィリアム・ウェザオール・ウィルキンスを演じるのは、『英国王のスピーチ』や「キングスマン」シリーズですっかりおなじみのコリン・ファース! 演じる役柄から「英国紳士」のイメージも強い彼が、本作でどのような紳士を演じるのか、気になるところです。

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エレン/ジュリー・ウォルターズ

「ハリー・ポッター」シリーズでロンのお母さん・モリー・ウィーズリーを演じたジュリー・ウォルターズがエレンというキャラクターで出演します。エレンは前作と同じく家政婦です。 ジュリー・ウォルターズは他にも「マンマ・ミーア!」シリーズにも出演。2017年には、大英帝国勲章を受勲されています。

バルーン・レディ/アンジェラ・ランズベリー

映画『ガス燈』(1944)や『クリスタル殺人事件』(1980)、テレビシリーズ『ジェシカおばさんの事件簿』で知られる名女優・アンジェラ・ランズベリーが、「バルーン・レディ」というキャラクターを演じます。 1925年生まれで2019年現在93歳のアンジェラ・ランズベリー。彼女が演じるバルーン・レディは公園で風船を売っているおばあさんで、前作の鳥おばさんのように原作にも登場するキャラクターです。

ミスター・ドース・シニア/ディック・ヴァン・ダック

『メリー・ポピンズ』
© 1964 Walt Disney Productions

前作でメリー・ポピンズの親友・バートと、銀行家のミスター・ドース・シニアの二役を演じたディック・ヴァン・ダイクも出演することが明らかに! 彼が演じる役は、ミスター・ドース・シニアの息子・ジュニアです。ランズベリーと同じ1925年生まれの彼が、若い頃に出演した映画の続編に出演するという、まさに夢のようなキャスティングが実現!これは映画館で見なければ!

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監督はミュージカル映画に定評があるロブ・マーシャル

ロブ・マーシャル
©WENN
本作でメガホンをとるのはブロードウェイで振付師として成功した後、『シカゴ』(2002)『NINE』(2009)『イントゥ・ザ・ウッズ』(2014)など名作ミューカル映画を手掛けたロブ・マーシャルです。

脚本を担当するのはアカデミー賞に2度ノミネート経験のあるデヴィッド・マギー

本作で脚本家を務めるのはデヴィッド・マギー。ジョニー・デップ主演でピーターパンの物語が生まれる過程を描いた『ネバーランド』(2004)、少年の漂流生活を美しい映像で描いた『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2013)でアカデミー脚色賞にノミネートされた実力者です。

『メリー・ポピンズ リターンズ』の主な評価ポイントとその理由

1.前作を踏襲しつつ新しい「メリー・ポピンズ」が誕生

子供の頃前作を見て育った人たちは、今はすっかり大人になっています。そのため、前作のノスタルジックさが続編で感じられるかは重要なポイントのよう。結果的には「前作を思い出させつつ、新たに生まれ変わった」と感じる人が多くいました。 実際、煙突掃除屋(続編では点灯夫)のダンスシーンや、もう一人のメリーが鏡に映るシーンなど、前作を彷彿とさせるシーンが登場。しかし、舞台を前作よりも重い時代(大恐慌時代)に変更したり、子供に母親がいない設定にすることで、新しい「メリー・ポピンズ」を作り上げたと言えます。 ただし、高評価が上がる一方で、「前作には及ばない」と感じた人も。前作を彷彿させるシーンによってむしろ懐かしさがこみ上げ、新しい物語が記憶に残らなくなってしまったようです。

2.前作の曲が続編でも聞ける?

前作のファンにとっては劇中で使用される曲も気になるはず。また、「チム・チム・チェリー」など作品を見ていない人でも知っている有名な曲が前作では誕生しました。続編でもその名曲たちが蘇るような仕掛けが。 例えば前作の「お砂糖ひとさじで」。この曲はメリーが「砂糖(=夢)が少しあるだけで人生は楽しくなる」と歌った曲ですが、続編ではメリーが歌う「Can You Imagine That?」に似ています。また、前作の最後に歌われた「タコをあげよう」は続編の「Nowhere to Go But Up」を彷彿とさせます。

この仕掛けは「前作を思い出してワクワクした」という高評価を生み出しました。また、続編で初登場するメリル・ストリープの歌声は圧巻。「Turnimg Turtle」という曲で聴くことができます。

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3.エミリー・ブラントが演じた新たなメリー・ポピンズに好評価

「メリー・ポピンズ=ジュリー・アンドリュース」のイメージが色濃く残っており、エミリー・ブラントがそのイメージを克服できるかどうかが注目ポイント。しかし、彼女が演じた新たなメリー・ポピンズには良い評価が集まりました。 前作通りの自信に満ちて面白く美しいメリー・ポピンズを引き継ぎつつ、原作を研究し彼女なりのオリジナルのメリー・ポピンズを演じたことが良い方向に向いたよう。「彼女の演技は続編を見る理由になる」という評価も生まれました。

ファン多し!前作『メリー・ポピンズ』をおさらい!

前作の『メリー・ポピンズ』の舞台は1910年のロンドン。仕事ばかりで子供に興味を向けない父親と女性参政運動に夢中の母親、いたずらっ子の子供達の元にメリー・ポピンズは訪れます。 メリーの魔法と教えは、子供達だけでなく父親と母親の心にも響き、彼らは自分たちにとって一番大切なものが家族であることに気づくのです。 そんなストーリー展開を、印象的な曲と実写とアニメーションの合成で彩ったのが『メリー・ポピンズ』でした。 前作はアカデミー賞で5部門受賞した名作であり、当然ファンも多く存在しています。続編はかなりハードルが高いと思われますが、前述したように、海外での評価は上々のようです。

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「メリー・ポピンズ2」の知っておきたい裏話

歴史は繰り返す!?

『メリーポピンズ』
オリジナル『メリー・ポピンズ』では、メリー役がジュリー・アンドリュースにオファーされた時、ジュリー・アンドリュースは妊娠していたためオファーを1度断っていたそう。 しかし、ウォルト・ディズニーはアンドリュースの起用をゆずらなかったため、スケジュールを遅らせる決断をしていました。 時は巡り2019年。どうやら歴史は繰り返されるようです。 実は、『メリー・ポピンズ・リターンズ』が発表された時、エミリー・ブラントもまた妊娠していました。そのため、本作の製作スケジュールもまた後ろへとずらされていたそうです。

メリー・ポピンズに対するロブ・マーシャルの熱い想い!

監督ロブ・マーシャルは本作に対して並々ならぬ想いを持っているようです。彼はインタビューでこんなことを語っていました。 「前作は個人的に思い入れのある作品だったため、オファーをいただいたことは光栄であり、恐縮している。しかし、厳しい時代においてもワクワク感を見つけることができるというメリー・ポピンズのメッセージを新たな物語で新たな世代に伝えられることを楽しみにしている。」 この言葉通り、続編の評価の中には「ワクワクした」という表現が多用されていました。

作中に「隠れミッキー」がいる!

『メリー・ポピンズ リターンズ』では6個の隠れミッキーが散りばめられています。その理由は本作のプロダクション・デザイナーであるジョン・マイヤーがディズニーファンだったため。どこまでもディズニーファンや観客を楽しませる工夫がなされているのです。 実際にどこに隠れているかは劇場で確かめてみてください。

前作ファン必見!あのアイテムが再登場

メリー・ポピンズ
©Buena Vista Pictures

ディズニー作品ではセルフオマージュが多くなされていますが、『メリー・ポピンズ リターンズ』でもそれは同じ。前作に登場したアイテムを続編でも見つけることができます。 まず、前作でバンクス夫人が肩にかけていた「VOTES for WOMEN」のタスキ。あのタスキは続編では、凧(それも前作のもの!)の尾に使用されています。また、鏡の向こう側にもう一人のメリーが現れる、「魔法の鏡」も登場。 その他にも数え切れないほどのオマージュが施されているので、画面から目を離さないよう注意です!

続編『メリー・ポピンズ・リターンズ』は前作を観てから見るべき?

『メリー・ポピンズ リターンズ』の高評価の理由はストーリーの内容というよりは、前作を彷彿とさせる2Dアニメーションや楽曲などフレーム的なものに要因がありそうです。 そこで「前作を観てから観るべきか」という疑問が出てくると思いますが、それについては“前作を観てからの方が面白い”かもしれません。もちろん必ず観なければならないわけではありませんが、劇中には前述したようなシーンの他にも前作で登場したアイテムも登場。それらは前作を観ている人にとって特別なものになり得ます。 日本での公開は2019年2月1日。どんな評価がなされるのでしょうか?