2019年2月12日更新

アニメ映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』に浮かぶ3つの「なぜ」

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

2016年の公開以来、異例のロングランヒットを記録したアニメ映画『この世界の片隅に』の新バージョン、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開決定!この記事ではなぜ前作が大ヒットを記録したのか、など続編に浮かぶ3つの疑問を解明して行きます。

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』に浮かぶ3つの疑問

こうの史代の漫画を原作として、2016年11月12日に公開された『この世界の片隅に』。本作では、女優ののんが主人公・すずの声を演じ、戦時下の広島を舞台にすずの日常が描かれました。そんな「この隅」は公開後、異例の大ヒットを記録し、2019年2月現在でも一部の劇場で上映されています。 そんなロングランヒット作品の待望の新バージョン『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の公開が決定!気になる公開日はと言うと、2018年12月の公開予定から延期が発表され、未定となっています。 この記事では『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開されるにあたり浮かんできた3つの疑問について紹介、解説していきます。

1.なぜ『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が作られることになったのか

『この世界の片隅に』劇中写真
(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

まず最初の疑問1つ目は「そもそもなぜすでに完成された作品の長尺版が公開されるのか?」と言うもの。前作のヒットによるものであることは勿論ですが、これには他の理由もあったのです。 実は当初の予定では、前作の上映時間は約150分でした。しかし、制作資金不足などの理由から30分削られ、120分で上映されることに。絵コンテまでは作られているものの、上映できなかったエピソードが出てきてしまったのです。 そこで前作の大ヒットを受けて、未公開のエピソードや新たなシーンを盛り込んだ『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が制作されることになりました。同じ時代を描いているものの題名が変わった理由としては、前作とは一部主題が変わったためだそう。

前作で削られたエピソードとは

『この世界の片隅に』劇中カット4
(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

前作で省略されたエピソードは、主に白木リンのエピソード。原作ではすずとリンは再会するのですが、映画版では再会せず。映画版のすずは、自分の夫である周作が過去にリンと関係を持っていたことを知らないまま日々を過ごしていました。 そこで、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』ではリンとのエピソードを盛り込むことで、すずの心情をより深く描くことができるように。またリン自身にもさらにフォーカスが当たるので、物語の重層感が前作よりも増すことが期待されます。

2.なぜ前作『この世界の片隅に』が大ヒットしたのか

この世界の片隅に
(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

そもそもなぜ、『この世界の片隅に』は600日以上も続くロングランヒットを記録したのでしょうか? 監督である片渕須直は福井新聞のインタビューで、「原作漫画が、そこに存在している人間をきちんと捉えていることと、かつて存在していた時代がどんなものだったか手触りを感じるくらいリアルに描いていていること、さらにそこに普遍性があったからだろう。」と答えています。 実際、原作と同じように映画では戦争とは関係なしにすずの日常が描かれています。こうした普通の暮らしが観客にもリアルに伝わり、さらにはそのイメージが多くの人にとって現実離れしたものでなかったことが『この世界の片隅に』が傑作と言われる要因の一つであると言えるでしょう。

『この世界の片隅に』はファンと共に作り上げた作品である

片渕がこうの史世による原作漫画を映画化しようと企画を立てた時、派手な描写が皆無な戦時下の日常モノという地味な内容からか、資金調達の目処は全く立っていませんでした。そこで始めたのがクラウドファンディング。クラウドファンディングとは、ある目的の達成のために一般人が投資家となって支援することを指します。 『この世界の片隅に』のページには片渕からの熱いメッセージや、支援の返礼としてすずからの手紙が届くなどの内容が掲載され、わずか8日間で目標の2000万を達成。結果的に3374人から3912万円を集めることに成功しました。 その後、片渕から支援者に対し逐一作品の進捗が伝えられ、映画のエンドロールには1万円以上の支援を行った約2000人の名前がクレジットとして載せられました。『この世界の片隅に』はまさに、ファンと共に作り上げられた作品だと言えます。

3.なぜ『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は公開延期となったのか

『この世界の片隅に』劇中写真
(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

新バージョンの公開日は当初の予定では2018年12月でしたが、2018年10月に数ヶ月単位での延長が発表されました。その理由は想定以上に制作に時間がかかっているから、とのこと。 この発表に対してファンからは怒りのコメントどころか、100件以上の応援の声が映画の公式Twitterに寄せられました。その中には、資金が足りなければ支援させて欲しいとの声も。 “ファンと共に作る映画” という形は『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』でも変わりなさそうです。

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の公開が待ちきれない!

『この世界の片隅に』劇中カット
(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

公開延期はしたものの、2019年内の公開に向けて鋭意制作中とのこと。公開するまでに原作を読んだり、前作を観なおして予習するのも良いと思います。 すずと彼女を取り巻く人たちの「世界の片隅」が新しく描かれる『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』。続報や公開を楽しみに待ちましょう!