2019年7月2日更新

映画『この世界の片隅に』声優キャスト一覧&新作「さらにいくつもの」に浮かぶ3つの「なぜ」

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『この世界の片隅に』あらすじ・キャスト一覧と続編に関する3つの疑問

こうの史代の漫画を原作として、2016年11月12日に公開された『この世界の片隅に』。本作では、女優ののんが主人公・すずの声を演じ、戦時下の広島を舞台に浦野すずの日常が描かれました。「この隅」は公開後、異例の大ヒットを記録し、2019年7月現在でも一部の劇場で上映されています。 そんなロングランヒット作品の待望の新バージョン『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の公開が決定!気になる公開日はと言うと、2018年12月の公開予定から延期が発表され、2019年12月20日公開予定となっています。 この記事では『この世界の片隅に』のキャラクター/キャスト一覧や、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開されるにあたり浮かんできた3つの疑問について紹介、解説していきます。

『この世界の片隅に』の動画配信状況をチェック

アニメ版『この世界の片隅に』のあらすじ。舞台は昭和20年の広島

広島市江波で生まれ、絵を描くことが大好きな主人公すず。江波で穏やかに過ごしていたすずですが、18歳になると突然縁談がもちあがり広島の呉へと嫁ぐことになります。 見知らぬ土地、海軍勤務の夫家族や隣近所とのかかわり、食料などの配給物資が少なくなりゆく過酷な戦時下であっても、工夫を凝らし、すずはすずらしく毎日を過ごしていきます。懸命に生きるすずですが、戦争は悪化する一方。次第にすずが大切にしていたものが失われていきます。 そして、昭和20年。忘れられない夏がやってきます。

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原作はこうの史代による漫画

原作者のこうの史代は広島出身の漫画家です。出世作の『夕凪の街 桜の国』では被爆者の戦後の人生を描き、手塚治虫文化賞を受賞しています。 今作の『この世界の片隅に』は、2006年から2007年にかけて主人公・浦野すずの幼少期がテーマの3編の短編作品を発表したあと、”漫画アクション”にて2007年1月から2009年に連載されました。単行本は上・中・下巻と前編・後編の両形式で発売されています。 2009年には第3回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞しています。

【キャラクター/声優キャスト一覧】主演は、のん

北條すず(旧姓:浦野)/CV.のん

広島市江波で育つが突如、呉の北條家に嫁ぐことになります。新しい生活に戦争の影響から四苦八苦するも周囲とかかわりながら健気に頑張る主人公です。 能年玲奈として、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』や映画『ホットロード』で屈託のない透明感のある演技が話題となった彼女が、のんに改名後の初仕事となります。定評のある彼女の演技力と、監督にも絶賛されたその声に注目です。

北條周作/CV.細谷佳正

すずにひとめぼれをし、新しい環境で四苦八苦するすずに優しく接する夫。軍の事務官をしていて、生真面目な性格の愛妻家です。 演じる細谷佳正は、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』や『アルスラーン戦記』など、数々の話題作に出演する実力派声優です。

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北條円太郎/CV.牛山茂

のんびりと穏やかな周作の父。軍の工廠技師をしていて、周作と同じく真面目な性格です。 牛山茂は劇団昴に所属し、舞台をメインに活動しています。声優としても『昭和元禄落語心中』やディズニーアニメ・海外ドラマ吹き替えなどに出演するなどマルチな活躍をしているようです。

北條サン/CV.新谷真弓

体が不自由ながらも、裁縫などできることを精一杯頑張る、優しい母。 演じた新谷真弓は劇団「ナイロン100℃」に所属。舞台をメインに活動しながら、実写映画や、『彼氏彼女の事情』、『キルラキル』などのアニメ作品にも声優として出演をしています。

水原哲/CV.小野大輔

すずの幼なじみの海兵。小学校時代から仲がいいすずに思いを寄せています。 小野大輔は「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ、『宇宙戦艦ヤマト2199』など数々の作品で主演を務め、声優アワードでの受賞歴もある人気声優です。

白木リン/CV.岩井七世

遊郭に迷いこんだすずを助け、仲良くなる女性。片仮名しか読めないが、すずの絵をとおして心を通わせます。 岩井七世はNHK『天才てれびくん』でデビューをし、モデル・女優と活躍の場を広げている注目株です。

黒村径子/cv.尾身美詞

周作の姉ですずの叔母にあたるのが、尾身美詞演じる黒村径子です。はっきりした性格で時々すずにきついことを言いつつも、すずのことを気にかけています。夫の病死後、娘の晴美を連れて北条家に戻ってきています。 尾身美詞は元キャンディーズの藤村美樹を母に持つ、青年座所属の女優です。『妻と社長と九ちゃん』や『ぼくらは生れ変わった木の葉のように』などの舞台作品への出演を中心に活動するほか、近年ではテレビバラエティでも活躍しています。

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黒村晴美/cv.稲葉菜月

稲葉菜月演じる黒村晴美は、出戻ってきた径子の娘で礼儀正しく優しい性格の5歳の女の子です。離れて暮らす兄の影響で軍艦に詳しく、仲良くなったすずと一緒に船を見るなどして日々を過ごします。 稲葉菜月は劇団ひまわりに所属する、2019年7月現在14歳の子役です。アニメ映画『アナと雪の女王』で、アナの幼少期の吹き替えを担当し、歌声のかわいらしさやスキルの高さなどから一躍注目を集めました。現在はTVアニメ『がんばれ!ルルロロ』でも活躍中です。

浦野すみ/cv.潘めぐみ

すずと仲の良い1歳下の妹が、潘めぐみ演じる浦野すみです。おっとりしているすずよりもしっかり者で、元気で明るい性格です。すずが嫁いだ後は、陸軍の女子挺身隊で働いています。 潘めぐみはアトミックモンキーに所属する女優であり声優。おもにテレビドラマや舞台を中心に女優として活躍していますが、アニメ『HUNTER×HUNTER』では主人公の声を務めるなど、声優としても活躍の幅を広げています。

浦野十郎/cv.小山剛志

小山剛志演じるすずの父・浦野十郎は、工業港建設により海が埋め立てられたため、営んでいた海苔の養殖業を廃業し埋立地に造られた工場で働いています。 小山 剛志は1999年にアニメ『∀ガンダム』でフィル・アッカマン役を務め声優デビュー。「仮面ライダー 」シリーズや『銀魂゜』など、多くの作品に出演しています。また、声優のみにとどまらず、テレビドラマや舞台、歌手活動、さらには趣味を活かして麻雀店をプロデュースするなど多彩な分野で活躍中です。

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浦野キセノ/cv.津田真澄

津田真澄演じるすずの母・浦野キセノは、夫の十郎とともに海苔の養殖業を営んでいました。 津田真澄は劇団青年座に所属し、声優業のほか女優としても舞台を中心に活躍しています。舞台『花咲く港』、『パートタイマー・秋子』などが代表作に挙げられるほか、『エネミー・オブ・アメリカ』、『グレイズ・アナトミー』などの海外ドラマの吹き替えにも多数出演しています。

森田イト/cv.京田尚子

京田尚子演じる森田イトは、すずの叔父一家と一緒に住むすずの祖母。幼い頃すずに着物を仕立ててくれた、優しいおばあちゃんです。 京田尚子は老女役で有名なベテラン声優です。仕事に対して真面目でストイックなことでも知られており、時に厳しいコメントをすることもあるそう。『風の谷のナウシカ』の大ババ様役や『それいけ!アンパンマン』の おむすびまん役など、知名度の高い作品に多数出演しています。

小林の伯父/cv.佐々木望

佐々木望演じる小林の伯父は周作の叔父にあたり、すずと周作の結婚式の際に仲人を務めました。空襲で家が焼けてしまったことで、北条家でともに生活しています。 佐々木望は『キャプテン翼』や『幽☆遊☆白書』における主人公の声を始め、数多くの有名な作品に出演する人気の高い声優です。その活動は声優業にとどまらず、ラジオのパーソナリティや自身の名前でCDを発売するなど多岐にわたります。そのルックスから「王子」の愛称でも親しまれてきました。

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小林の伯母/cv.塩田朋子

塩田朋子演じる小林の伯母は周作の叔母にあたり円太郎の姉で、夫とともに北条家で暮らしています。 塩田朋子は文学座に所属する声優で『ボディガード』や『ロード・オブ・ザ・リング』などの海外映画や海外ドラマを中心に活躍しています。日本のアニメでは『名探偵コナン』や『機動戦士ガンダムUC』などに出演しました。

知多さん/cv.瀬田ひろ美

北條家と同じ隣組で近所に住む主婦の知多さんは、かつて看護師として働いていました。同じく隣組が一緒の刈谷さんとたびたび衝突します。 瀬田 ひろ美は、自身らで旗揚げした「劇団キンダースペース」に所属すると同時に「スターダス・21」にも籍を置く、女優であり声優です。声優としては『その冬、風が吹く』などが代表作として挙げられます。また在籍する「スターダス・21」では、講師としての活動も行っています。

刈谷さん/cv.たちばなことね

北条家と同じ隣組で近所に住む主婦の刈谷さんは、同じく組が一緒の知多さんと仲が悪いものの、行動を共にすることが多く関係性も次第に変化していきます。 たちばなことねは本作のほか、『マイマイ新子と千年の魔法』にも声優として出演しています。ブログなどで自身を「猫好き役者」と称しています。

堂本さん/cv.世弥きくよ

世弥きくよ演じる堂本さんは、近所に住む老婦人。北条家と同じ隣組です。 世弥きくよは主に舞台を中心に活動する女優です。また声優としてもこれまでに、映画『マイマイ新子と千年の魔法』に出演したほか、ラジオのパーソナリティーやリポーターとしての活躍も知られています。

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『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が2019年12月20日に公開決定。どんな話になるのか?

この世界の(さらにいくつもの)片隅に
(C)2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

2018年12月という当初の公開予定日から大幅に後ろ倒しとなった新バージョン『この世界の(さらにいくつもの) 片隅に』。公開日は2019年12月20日に決定しました。 物語は、前作と同じく昭和20年の広島・呉。前作では、絵を描ことで自分の居場所を見出していたすずは腕を失った事で、声を出して自分を表現するようになった様子が描かれました。そして、新バージョンでは、すずのより深い感情や、周りの人々の様子がさらに詳しく描かれます。 そして、この後の見出しからは『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開されるにあたり浮かんできた3つの疑問を紐解いていきます。

1.なぜ『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が作られることになったのか

『この世界の片隅に』劇中写真
(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

まず最初の疑問1つ目は「そもそもなぜすでに完成された作品の長尺版が公開されるのか?」と言うもの。前作のヒットによるものであることは勿論ですが、これには他の理由もあったのです。 実は当初の予定では、前作の上映時間は約150分でした。しかし、制作資金不足などの理由から30分削られ、120分で上映されることに。絵コンテまでは作られているものの、上映できなかったエピソードが出てきてしまったのです。 そこで前作の大ヒットを受けて、未公開のエピソードや新たなシーンを盛り込んだ『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が制作されることになりました。同じ時代を描いているものの題名が変わった理由としては、前作とは一部主題が変わったためだそう。

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前作で削られたエピソードとは

『この世界の片隅に』劇中カット4
(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

前作で省略されたエピソードは、主に白木リンのエピソード。原作ではすずとリンは再会するのですが、映画版では再会せず。映画版のすずは、自分の夫である周作が過去にリンと関係を持っていたことを知らないまま日々を過ごしていました。 そこで、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』ではリンとのエピソードを盛り込むことで、すずの心情をより深く描くことができるように。またリン自身にもさらにフォーカスが当たるので、物語の重層感が前作よりも増すことが期待されます。

2.なぜ前作『この世界の片隅に』が大ヒットしたのか

この世界の片隅に
(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

そもそもなぜ、『この世界の片隅に』は600日以上も続くロングランヒットを記録したのでしょうか? 監督である片渕須直は福井新聞のインタビューで、「原作漫画が、そこに存在している人間をきちんと捉えていることと、かつて存在していた時代がどんなものだったか手触りを感じるくらいリアルに描いていていること、さらにそこに普遍性があったからだろう。」と答えています。 実際、原作と同じように映画では戦争とは関係なしにすずの日常が描かれています。さらに、北條家や浦野家の食事シーンは作中で何度も描かれ、お米と漬物のみの質素なご飯でも、そこには日常の暮らしがありました。 こうした普通の暮らしが観客にもリアルに伝わり、さらにはそのイメージが多くの人にとって現実離れしたものでなかったことが『この世界の片隅に』が傑作と言われる要因の一つであると言えるでしょう。

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『この世界の片隅に』はファンと共に作り上げた作品である

片渕がこうの史世による原作漫画を映画化しようと企画を立てた時、派手な描写が皆無な戦時下の日常モノという地味な内容からか、資金調達の目処は全く立っていませんでした。そこで始めたのがクラウドファンディング。クラウドファンディングとは、ある目的の達成のために一般人が投資家となって支援することを指します。 『この世界の片隅に』のページには片渕からの熱いメッセージや、支援の返礼としてすずからの手紙が届くなどの内容が掲載され、わずか8日間で目標の2000万を達成。結果的に3374人から3912万円を集めることに成功しました。 その後、片渕から支援者に対し逐一作品の進捗が伝えられ、映画のエンドロールには1万円以上の支援を行った約2000人の名前がクレジットとして載せられました。『この世界の片隅に』はまさに、ファンと共に作り上げられた作品だと言えます。

3.なぜ『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は公開延期となったのか

新バージョンの公開日は当初の予定では2018年12月でしたが、2018年10月に数ヶ月単位での延長が発表、最終的には2019年12月20日に決定しました。その理由は想定以上に制作に時間がかかっているから、とのこと。 この発表に対してファンからは怒りのコメントどころか、100件以上の応援の声が映画の公式Twitterに寄せられました。その中には、資金が足りなければ支援させて欲しいとの声も。 “ファンと共に作る映画” という形は『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』でも変わりなさそうです。

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『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の公開が待ちきれない!

『この世界の片隅に』劇中カット
(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

ファン待望の『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は、2019年12月20日に公開予定。公開するまでに原作を読んだり、前作を観なおして予習するのも良いと思います。 すずと彼女を取り巻く人たちの「世界の片隅」が新しく描かれる『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』。続報や公開を楽しみに待ちましょう!