ニューヨークの意外な一面に出逢える良作ドキュメンタリー3選

海外セレブをテーマとしたドラマや映画の舞台となることが多いアメリカニューヨーク。そこでの暮らしは誰もが一度は憧れるはず！ しかし、そんなあこがれの舞台となる一方で、街や人々の心を支えてきた人々がいます。2019年はニューヨークの新たな一面に迫った珠玉のドキュメンタリーが続々と公開に。これらの作品をチェックすれば、彼らの生き方に感銘を受けるだけでなく、あなたのまだ知らないニューヨークの顔が見えてくるはずです。

人々が忙しなく行き交う街、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにひっそり佇むギターショップ「カーマイン・ストリート・ギター」。 寡黙なギター職人とその母親、そして見習いの弟子3名しかいないこの店には、なぜか多くの人がふらっと訪れます。有名ギタリストもしかり、遠く海外から多くの人がわざわざこの店に足を運ぶのです。それはなぜなのでしょうか？ギター職人のリック・ケリーは四六時中ギターを作っていたいほど、ギターへの愛に溢れています。 大御所アーティストらから毎日のようにギターの注文が殺到するほどの腕の持ち主ですが、とても茶目っ気たっぷり。 初めて来店するお客を快く迎え、常連であろうと無かろうと変わらず接するとても人柄に溢れた人間なのです。それは弟子のシンディにも受け継がれており、どれだけ仕事が忙しくても決して彼らは急がず、目の前に人がいれば話し相手になります。 そんな彼らの人柄に触れようと誰もが足を運ぶギターショップ。そして奥の工房に入った途端、ニューヨークが生き続けてきた証である廃材を目にし、息をのみ、そしてどこか懐かしい想いを感じることができるのです。 ニューヨークの変わらないものをギターとして守り続ける職人の姿に、至福の時を得られる作品です。

ジョージ・クルーニー、トミー・リー・ジョーンズ、ハリソン・フォード、ウディ・アレン、ウェ ス・アンダーソンなど、多くのスターを虜にしてきたニューヨークの超高級ホテル「ザ・カーライル」。 本作では、これまで決して明かされることのなかったホテルの歴史的な秘話の数々が明らかになっていきます。数ある上等なホテルの中、英国王室や歴代米大統領、映画スター、ミュージシャン、アスリートといったセレブたちはなぜ「カーライル」を選ぶのか。 そこには彼らの誇りを守り、心に癒やしを提供するホテルスタッフの働きがありました。「働くスタッフこそカーライルの財産だ」という言葉に導かれるように、劇中では、スタッフたちの笑顔と極上の“おもてなし”が切り取られています。 「カーライルは宿泊者の秘密は必ず守る。それが”ゴシップ”だとしても―。」たった一つのルールを守るという概念ではなく、心から人々の幸せを願うことで、他のホテルでは味わえない究極のサービスを提供することが出来ます。 この超高級ホテルの裏側を見たとき、また違ったニューヨークの顔を垣間見ることが出来るのではないでしょうか。

90歳で現役のセックス・セラピストとして活躍するドクター・ルースことルース・ウェストハイマーを追ったドキュメンタリー。 1981年、ニューヨークのラジオ局で放送開始されたトーク番組で誰にも相談できない性の悩みを明快に解決するドクター・ルースのチャーミングなキャラクターはたちまち評判を呼び、一大ブームを巻き起こしました。 性の話題はまだタブーだった時代に、彼女は人びとのエイズへの偏見をなくすために立ち上がり、中絶問題では女性の権利向上を後押し、 LGBTQの人びとに寄り添いつづけることに。 しかし、いつも明るく人々の悩みを解決してきた彼女の人生は壮絶なものでした……。彼女は、なぜこのような生き方を選んだのか。そして彼女が現われたことで切り開かれた未来とは？ 街に歴史を刻み、人々の心に勇気を与えた一人の女性の活動を切り取った心温まるドキュメンタリーです。