2019年11月5日更新

「幽遊白書」仙水忍は多重人格者?トラウマ抱えた最強の人間を完全解説!

幽★遊★白書 9  仙水忍

仙水忍は「魔界の扉編」のラスボス。数々の名言を生み出していて、「幽遊白書」を語る上では欠かせないキャラクターです。人間界最強の体術、闘気術を有しており、その強さも作中屈指。彼の抱えるトラウマエピソードや、戦闘力などを徹底解説します。

目次

仙水忍は人間界最強!強すぎるラスボスの魅力を完全解説【ネタバレ】

「幽遊白書」は冨樫義博によって描かれたバトルファンタジー漫画。週刊少年ジャンプで連載されていました。迫力のある戦闘描写や、主要キャラクターが抱えるバックグランドの厚さなどから、高い人気を有しています。原作の累計発行部数は現在(2019年10月)5000万部を突破するなど、日本を代表する漫画作品です。 仙水忍は同作品の「魔界の扉編」に登場するラスボスキャラクター。作中屈指の強さをほこる人間で、霊力が極めて高いことから霊界探偵として活動してきました。しかし、その活動中におこったトラウマが原因で人間という存在を極端に嫌悪するようになります。これまで妖怪と戦ってきた浦飯幽助(うらめしゆうすけ)達にとって初めて戦う人間ということもあり、「魔界の扉編」は他のエピソードとはひと味違った雰囲気なのが印象深いです。 今回はそんな仙水忍の魅力について、過去のエピソードや強さ、名言などを交えながら徹底解説します。 この記事はネタバレを多く含みますので、原作やアニメをご覧になっていない方は注意してください。

仙水忍のプロフィール、元は霊界探偵だった?

仙水は「魔界の扉編」でラスボスとして登場。霊界探偵を辞めて以降10年ほど姿をくらましていました。戸愚呂(兄)を救出したことをきっかけに、魔界と人間界をつないで妖怪を放ち、人間を淘汰することを目的に動き出します。 高い霊力を持って生まれ、幼い頃からそれが原因で妖怪達から襲われていた仙水。自身の霊力が極めて高いという自覚がないため、なぜ妖怪達から命を狙われているのか理解できずにいました。妖怪を倒し続けていく内に“きっとボクは正義の戦士で"、"あいつらは人間に害を及ぼす悪なんだな”という二元論にたどりつきます。この思想は成長しても変わらず、妖怪を倒し続け、後に霊界のコエンマから霊界探偵に任せられることになるのでした。 霊界探偵として妖怪を容赦無く倒していく仙水でしたが、ふとした会話から命を奪わなかった妖怪が1人だけいます。それが“闇撫(やみなで)”という異名を持つ、樹(いつき)でした。 最期の言葉で“できればもう一日生きたい”“明日「ヒットスタジオ」に戸川純が出る”と、「人間臭さ」を口にした樹に“妖怪は絶対悪”という価値観を持っていた仙水は衝撃を受けます。以降は2人でコンビを組み、やがて信頼しあう良きパートナーとなったのです。それ以来、妖怪退治に励む仙水と樹でしたが、ある日コエンマから出された指令によって“妖怪は絶対悪で人間は守るべき存在”という仙水の思想が逆転します。

人間界最強の男は多重人格者?仙水忍の残酷な過去とは

人間は悪そのもの?仙水の価値観を一変させたトラウマエピソード

仙水と樹はコエンマから指令を受け、“ブラックブッククラブ”という密売組織を追ってとある屋敷に突入します。その途中、仙水はこの世の醜悪をまとめたようなおぞましい光景を目にしました。その屋敷では人間の権力者達が妖怪を捕え、拷問器具のようなもので痛めつけたりなど、自らの欲望を際限なくぶつける悪の営みがなされていたのです。血だまりのプールがあったり、体がほとんど残っていない妖怪がいたり、磔にされた妖怪がいたりなど凄惨極まりない光景でした。 これまで揺らぐことのなかった、“妖怪は絶対悪で人間は守るべき存在”という思想と真逆の光景を目の当たりにした仙水。ショックのあまり叫び、錯乱します。 人の姿をした悪の塊を、仙水は皆殺しにしました。残虐非道な行いをする人間を守る価値が本当にあるのかと価値観が一変。それからというもの、仙水は人間を心の底から嫌悪するようになり、人間の悪行がまとまっている「黒の章」というビデオテープを霊界から持ち出し、コエンマの前から姿をくらまします。コエンマはこの出来事に対してずっと責任を感じていました。

多重人格者の仙水、その人格は7つも

屋敷の出来事が直接の原因なのかは明らかではありませんが、以降、仙水の中で7つの人格が形成されます。“忍”もそのうちのひとつ。各人格ごとに受け持つ役割が異なり、大きく分けて戦闘を受け持つ人格と、生活に関する役割を担う非戦闘人格の2つが存在します。これは仙水が長い戦いの中で傷つき、悩むことによって精神が崩壊するのを避けるためです。

聖光気は無敵の技?各人格の役割や強さについて解説

まずは、非戦闘人格3つを紹介!

まずは家政夫人格のマコト。主に洗濯、炊事、掃除といった雑用を担当する人格です。人間を嫌悪する仙水ですが、とはいえ彼も人間です。あくまでも仙水は人間として存在するということを印象づける人格と言えます。 次は飼育担当人格のヒトシ。仙水が趣味で飼育している100種以上の動植物の世話を担当しています。実は仙水が嫌いなのは人間だけで、草木や動物などはむしろ好きだという一面が。仙水の人間嫌いという価値観が、変わった形であらわれた人格です。 最後は唯一の女性人格、ナル。内気で純情、傷つきやすい性格で泣き虫です。アニメ版では、幽助との最終決戦の際に行われた7人格の会話の中に“本当は人間を愛しているのでは”と穏健な発言をしていた人格があり、それがナルではないかと言われています。この会話の様子やナルの性格から、仙水の人間に対する割り切れていない感情が人格としてあらわれたものだと考えられます。 これらの非戦闘人格は全て本編未登場です。ですが、人格という形で仙水の心理を上手く表現しています。

体術最強!「裂蹴拳(れっしゅうけん)」の使い手、ミノル

リーダーシップに富み、ほとんどの戦闘もこの人格が担当しています。作中、忍人格が出てくるまで幽助を相手していたのもミノルでした。理屈屋な性格でプライドが高く、各人格の中では主人格に最も近いです。戦闘以外の面でも忍の代わりに主に行動しています。 戦闘人格のミノルは、「裂蹴拳」という体術を用いて戦います。裂蹴拳はあらゆる体術を修練した上でないと学ぶことを許されない体術で、肉弾格闘術では史上最強。攻撃は破壊力の高い足技で行い、上半身は相手の攻撃を捌く防御に徹するのを基本スタイルとしている拳法です。 ミノルはさらに霊気を織り交ぜ、オリジナル拳法の「霊光裂蹴拳(れいこうれっしゅうけん)」を生み出しました。手で作った霊気の玉を蹴り出し、攻撃する「裂蹴紅球波(れっしゅうこうきゅうは)」や、自身の周囲に霊気の玉を複数作り出し、一度に蹴り飛ばす「裂蹴紫炎弾(れっしゅうしえんだん)」といった技が存在します。これらの技は、確実に攻撃を当てダメージを与える完成された技と言えるでしょう。

快楽殺人者?凶悪な人格、カズヤ

子供も喜んで殺す快楽殺人者という凶悪な人格、カズヤ。7つの人格のうち、唯一「気硬銃(きこうじゅう)」を扱う人格です。「気硬銃」は右手に仕込まれた銃で、霊気の弾を放ちます。威力はミノルの扱う霊気の玉より高いですが、使うたびに右手が消しとんでしまうため、その都度パートナーの樹に右手を補充してもらう必要があるトドメ重視の武器です。 殺すことによる快楽を得たいからかトドメを担当しており、個人の戦闘能力は高くありません。そのため「気硬銃」を1度幽助に当てることはできたものの仕留めきれず、再び当てることはできませんでした。

武器商人の戦闘人格、ジョージ

本編では未登場の戦闘人格。自身の武器コレクションの整備を担当していて、カズヤの使う「気硬銃」もその内のひとつです。武器商人としても活動しています。 配下の“狙撃手(スナイパー)”という肩書を持つ「刃霧要(やぎりかなめ)」が使っている拳銃はこの人格が渡したもの。 武器商人という一面から、仙水の資金を調達していたのはこのジョージという人格なのではと言われています。

最強の闘気術、聖光気を扱う主人格の忍

仙水の主人格で、滅多に人前にあらわれません。理知的な性格で穏やかな印象。「聖光気(せいこうき)」という幻海(げんかい)ですら習得できなかった、霊気を上回る金色の聖なる闘気を唯一使えます。人間界の大地にも影響を与え、自然と一体化することで飛行も可能にしており、応用がきく能力。霊界の力も無効化するなど無敵級の力です。 仙水はさらに、この聖光気を収縮、実体化し、鎧として身にまとう「気鋼闘衣(きこうとうい)」という強力な技も使用できます。あらゆる攻撃を無力化するほど性能が高く、A級妖怪になった飛影の“黒龍波”でさえダメージを与える事ができません。 気鋼闘衣には攻撃型と防御型があり、防御型の時に披露した「裂破風陣拳(れっぱふうじんけん)」では空振りした拳の風圧で竜巻をおこしています。 仙水はこれらの強力な技を使って、一度幽助を殺しています。しかし幽助はその後復活を果たしました。実は幽助は魔族の血を受け継いでおり、しかもその血は魔界三大S級妖怪が一人の「雷禅(らいぜん)」のもの。「魔族大隔世」という隔世遺伝を意図的に引き起こすことができる能力によって、魔族として産まれ変わったのです。 魔界に渡った先で最終決戦を果たす仙水忍は、魔族として力を制御できず暴走状態にある幽助相手に防戦一方。あえなく敗北しました。仙水を倒したことで我に帰る幽助に、仰向けで倒れた仙水は人間界と魔界をつなぐトンネルを作ろうとしていた本当の理由を話し始めます。

魔界に執着する仙水、本当の目的とは

魔界と人間界をつなぐトンネルを作り出すことで人間界に妖怪を放つことを目的に霊界と対立していた仙水。幽助との最終決戦では魔界に行くことには成功しましたが、魔人化した幽助には敵わず敗北しました。その際、樹から“そのまま死なせてやってくれ”“どうせあと半月足らずの命なんだ”という衝撃のセリフが放たれます。実は悪性の腫瘍を抱えており、もう手が付けられない状態でした。 人間を嫌悪するようになった仙水は、自分にも同じ血が流れている事が耐えられなくなり、いつしか魔族に生まれたかったと思うようになります。自分の余命が長くない事を知った時、その感情がはじけて魔界に行くためにトンネルを作ろうとしたのでした。 仙水の本当の目的は人間の淘汰ではなく、ただ純粋に、魔界に行く事だったのです。

人間への嫌悪から生まれた仙水の名言を紹介!

“こいつら妖怪は存在が悪です。全て無に還すべきですよ。”

霊界探偵時代、若かりし頃の仙水が妖怪の頭を抱え放ったセリフ。トラウマエピソードが起こる前のセリフで、“妖怪は絶対悪、自分は人間を守る正義の戦士”という価値観を持っていました。その思想があらわれたセリフで極端な正義が表現されています。

“ここに人間はいなかった。一人もな”

屋敷で人間が行っている醜悪な光景を目の当たりにし、価値観が一変。その場にいた人間を皆殺しにして血まみれでたたずむ仙水に樹が声をかけた時に放ったセリフです。それまでは幽助のような光のある目をしていた仙水ですが、この時は冷たく生気のない目をしています。 その場にいた人間達を、人の形をした悪の塊だと認識して殺し尽くした時の冷たい感情が表現されています。

“オレは花も木も虫も動物も好きなんだよ。嫌いなのは人間だけだ。”

屋敷の出来事から、人に守る価値などないという価値観を持つようになった仙水。人間を淘汰しようとする仙水に対し、“地球ごとぶっ壊せばいいじゃないか”と投げかける幽助に対して放ったセリフ。 元々は純粋で繊細だった仙水の正義の心が歪み、人間を嫌悪するようになった仙水の感情を表現しています。

“次こそ魔族に生まれますように……。”

魔界での最終決戦で幽助に敗れ、自分の本当の目的を語った仙水。散り際に放ったのがこのセリフです。揺るがない人間への嫌悪と、余命を知ってからあふれ出した魔族への憧れ。これらがこのひとことに集約されています。ただの願望ではなく、自身が経験した残酷な過去があってこそ生まれたセリフです。 仙水の散り際として最高のひとことでした。

仙水忍を演じた声優は大御所!ラスボスを怪演!

仙水忍役は様々な年齢層を演じ分けた納谷六朗

仙水忍役を演じたのは大御所声優の納谷六朗(なやろくろう)。張りがあり、一度聞いただけでは年齢がわからないほど若い声質です。2014年11月に亡くなった故人ですが、最期までその声質を保ち、若年層に分類されるキャラクターも巧みに演じていました。 代表作は「クレヨンしんちゃん」の園長先生、「聖闘士星矢」の水瓶座のカミュなど。アニメ声優だけではなく、特撮では「仮面ライダー1号」本郷猛の声の代役を務めたほか、「チャイルド・プレイ」シリーズのチャッキーを演じるなど幅広く活躍した声優でした。 また、納谷六郎の兄は納谷悟朗。誰もが思い浮かべることのできる、「ルパン三世」シリーズの銭形警部を演じた声優です。また、銭形警部が変装した姿の声を納谷六朗が担当したこともあります。 仙水役では納谷六朗の特徴ある張り感に、深みと威厳をプラスした声質で演じていました。仙水の残酷なバックボーンを感じる不穏さが上手く表現されています。巧みな演じ分けと、表現力のひかる演技でした。 実は、仙水忍の少年期は人気声優の石田彰が演じています。名セリフ「こいつら妖怪は存在が悪です。全て無に還すべきですよ。」の1箇所だけ声をあてました。曇ったセクシーな声は、美少年だった仙水を1セリフだけで印象付けています。

極端な正義から極端な悪へ、仙水忍は深みのあるキャラクター

仙水忍は幽助達が戦う初めての人間だったこともあり、エピソード通して暗い雰囲気が漂っているキャラクターです。また、その強さも作中屈指。幻海や幽助が到達できなかった闘気術や、人間界最高峰の体術を使うなどその圧倒的な強さを前に読者を絶望させました。 敵キャラクターとしても異色で、主な敵キャラクターの特徴である“純粋な悪、正義を持たない相手”とは正反対の位置づけがされています。自身の過去から、独自の価値観と思想を得て、それに基づいた行動をする仙水。一概に悪と断定できない彼の思想は心にしこりを残します。 多重人格者という側面や、元霊界探偵だった過去、抱えるトラウマエピソードなど、仙水は掘れば掘るほど深みが増します。登場人物の中でも一味違った魅力を持つ彼は「幽遊白書」を語る上では欠かせないキャラクターです。