2020年2月10日更新

おすすめ侍・武士映画12選 王道の名作から異色コメディまで【2020最新版】

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パンク侍、斬られて候
©エイベックス通信放送

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王道からコメディまで!新旧の「侍」をテーマにした映画を紹介

日本独自のジャンル「時代劇」は、戦前からこれまでに数多のドラマや映画が製作され、長く親しまれてきました。主人公は「侍」、その多くはヒーローとして登場します。 この記事では、世界のクロサワが撮った旧作の王道侍映画やビートたけしが主演したコメディタッチのもの、さらに新時代の侍映画など、新旧広い範囲で紹介していきます。時代劇は古臭い?と思っていたら、もったいない!新たな発見があるかもしれない、宝の山を今ぜひ!

2000年代以降、新作侍映画を紹介

ここからは2000年代以降の新時代の侍映画を紹介していきます。斬新な映像を駆使し、侍と時代劇を新たな視点と手法で描いた秀作ぞろいです。人気と実力ある若手俳優を起用した点も見逃せません。

『斬、』(2018)

塚本晋也監督の初時代劇!なぜ人は人を斬るのか

『野火』の塚本晋也監督が20年以上温めてきた時代劇で、監督のほか製作・脚本・撮影・編集と出演も兼ねた作品。国内外の映画賞でその芸術性を高く評価され、第69回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞しました。 開国に揺れる江戸時代末期、浪人の侍・都築杢之進(つづき もくのしん)はその腕を剣豪の澤村に見込まれ、京都の動乱に参戦するよう促されます。しかし剣の腕は立つものの、これまで人を斬ったことがない都築は思い悩みます。 侍はなぜ人を斬るのか、生と死の問題に切り込んだ問題作です。都築を演じた池松壮亮が国内映画賞で数々の男優賞を獲得。澤村を塚本晋也、蒼井優が都築に想いを寄せる農家の娘ゆう、中村達也が流れ者の源田を演じました。

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『十三人の刺客』(2010)

「戦わなければ、変わらない」暴君に立ち向かった十三人の侍たち

1963年の片岡千恵蔵主演作『十三人の刺客』を、三池崇史監督がリメイク。主演を役所広司が務め、暴君・斉韶(なりつぐ)を稲垣吾郎が演じました。暴君を討つ十三人の刺客には山田孝之、窪田正孝、伊勢谷友介など若手実力派俳優たちが名を連ねています。 将軍の異母弟である明石藩主の松平斉韶は、権力を傘に暴虐無法の限りを尽くしていました。明石藩の江戸家老が暴政を訴えて切腹した事件を受け、幕府は極秘に斉韶暗殺計画を画策します。 暗殺計画の命を受ける御目付役の島田新左衛門を、役所広司が演じています。本作で話題となったのは、暴君の斉韶を演じた稲垣吾郎の怪演ぶり。斉韶の腹心・鬼頭役の市村正親も強い印象を残しました。

「るろうに剣心」シリーズ(2011〜2020)

新時代の侍ヒーロー!ついに最終章を迎える人気シリーズ

和月伸宏の漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』を実写映画化したシリーズで、2020年公開の2部作「The Final / The Beginning」でついに最終章を迎えます。2011年の第1作『るろうに剣心』から始まり、佐藤健が足かけ9年、主人公の緋村剣心を演じました。 幕末の動乱期に「人斬り抜刀斎」の異名を持ち、暗殺者として幕府要人や佐幕派を斬ってきた緋村剣心。明治に入り、人の命を奪わない「不殺の誓い」を立てた剣心は、各地を旅しながら剣の力で人を助ける流浪人となっていました。 実写シリーズでは、そんな剣心が自らの過去に因縁深い強敵たちと戦う物語をメインに展開していきます。実写化に当たり注目を集めたのが、各キャラクターの再現度の高さ。また斬新なアクションシーンも話題となりました。

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『武士の一分』(2006)

「武士の一分」をかけた果たし合い!木村拓哉主演の時代劇

山田洋次監督による藤沢周平の時代小説を原作とした時代劇三部作の完結編。原作は「盲目剣谺返し」で、主人公となる盲目の侍・三村新之丞(みむら しんのじょう)を木村拓哉が演じました。 東北の海坂藩で毒味役を勤める三村新之丞は剣術の腕の立つ武士でしたが、ある日毒味した際に赤貝の毒に当たって失明します。妻・加世の献身的な支えのもと立ち直りますが、その加世が番頭の島田と密通していると聞き、離縁してしまいます。 加世が島田に騙されていたことを知り、盲目ながら武士の名誉をかけて果たし合いを挑む新之丞の姿には、凛々しさと同時に切なさを感じます。「武士の一分」とは侍が自分に課した命と同等の誇りなのですね。

王道!黒澤明監督の名作侍映画を紹介

「世界のクロサワ」と呼ばれる黒澤明監督の十八番といえば、やはり時代劇。特に脂の乗った中期の作品群には、世界中の映画人に影響を与えた『七人の侍』や『用心棒』など時代を感じさせない傑作があります。

『七人の侍』(1954)

ハリウッドでリメイクも製作!世界に認められたクロサワ時代劇の傑作

終戦からわずか9年後の1954年に、黒澤明監督が世に放った侍映画の不朽の名作。主演は志村喬と三船敏郎で、複数のカメラで同時に撮影された迫力あるアクションシーンが一番の見どころです。 戦国時代のある農村で、野武士たちの略奪に対抗すべく立ち上がった農民たち。彼らは用心棒として訳ありの七人の侍を探し出し、雇ってともに戦うことを決意します。 黒澤明自身は敬愛するジョン・フォード監督の西部劇から影響を受けたといいます。それが巡り巡って、1960年に『荒野の七人』、2016年に『マグニフィセント・セブン』としてハリウッドでリメイクされたのも縁のある話です。

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『用心棒』(1961)

マカロニウエスタンにも影響大!浪人が町の用心棒に

黒澤明が『七人の侍』以降、『蜘蛛巣城』『隠し砦の三悪人』と50年代に撮った時代劇に続いて、独自のスタイルを確立させたアクション時代劇。マカロニウエスタンの巨匠セルジオ・レオーネ監督にも影響を与え、1964年の『荒野の用心棒』を生み出しました。 桑畑に囲まれた宿場町に立ち寄った一人の浪人・三十郎。そこでは二組のヤクザが抗争を繰り広げていました。三十郎は事のあらましを聞いた居酒屋のおやじに町を平穏にしてやると約束し、巧みな策略でヤクザたちに潰し合いをさせようとします。 本作ではさらに西部劇色が強くなり、仲代達矢がスカーフをしてピストルを持つ殺し屋・卯之助を好演しています。主演の三船敏郎が演じた三十郎は、続編的存在といわれる『椿三十郎』で再び登場しました。

『椿三十郎』(1962)

『用心棒』の続編的作品!三船敏郎が再び三十郎を演じる

黒澤明監督が三船敏郎主演で再び「三十郎」を登場させた時代劇で、前年の『用心棒』の続編的作品。前作よりも三十郎のキャラクターが際立ち、人間味が増しています。 森の社殿で、上役の汚職を告発しようと密談をしていた若侍たち。そこへ奥に居て話を聞いていた一人の浪人が現れます。本当の黒幕をその場で指摘され、窮地を脱した若侍たちはその浪人の策を頼りにし始めます。 若侍の一人、井坂伊織役で加山雄三が出演。また前作で敵役だった仲代達矢が再び敵方の用心棒・室戸半兵衛を演じ、血しぶき飛び散る有名なラストの決闘シーンを繰り広げました。

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泣ける、感動系侍映画を紹介

時代劇の中でも、アクションよりも人情に重きを置く感動作があります。人情を情緒豊かに描くことに定評がある監督と作家、滝田洋二郎×浅田次郎、山田洋次×藤沢周平のタッグは最強!その2作品を紹介します。

『壬生義士伝』(2003)

新撰組に参加した名もなき侍の生き様!武士としての義とは何か

浅田次郎の同名時代小説を原作に、『おくりびと』の滝田洋二郎監督が映画化した歴史映画。盛岡藩の脱藩浪士で新撰組隊士となり、斎藤一をはじめ名だたる隊士たちに一目置かれた吉村貫一郎を主人公としています。 新撰組で副長助勤を務めた斎藤一が、そこで出会った田舎侍・吉村貫一郎。守銭奴と呼ばれながらも家族への愛と武士としての義に生きようとした吉村の生き様を、年老いた斎藤一が語り始めます。 侍として義に生きた吉村貫一郎を中井貴一、彼の人となりを語る斎藤一を佐藤浩市が演じました。本作は第27回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞し、中井貴一と佐藤浩市がそれぞれ最優秀主演男優賞と助演男優賞を獲得しています。

『たそがれ清兵衛』(2002)

山田洋次監督が手がけた初の本格時代劇!幕末に生きた下級武士を描く

山田洋次監督初めての本格時代劇で、原作は藤沢周平の同名短編と他二編。主人公の「たそがれ清兵衛」こと井口清兵衛を真田広之が務めました。宮沢りえが清兵衛の妻となる飯沼朋江を演じています。 妻を病気で亡くした井口清兵衛は、終業後はすぐ帰り老母と幼い二人の娘の世話や内職に明け暮れていました。同僚はそんな彼を「たそがれ清兵衛」と呼び小馬鹿に。そんな中、幼馴染みの朋江が家事を手伝いに来るようになり、再び恋心を抱くようになります。 下級武士として上役の命に背くこともできず、身分の低さから好きな女性を嫁にすることすら躊躇する清兵衛。現代にも通じる、ただひたむきに日々を生きる清兵衛の生き様に心動かされます。

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コメディなど、個性派侍映画を紹介

ここからはちょっと変わった侍映画を紹介。宮藤官九郎が脚本を手がけた綾野剛主演の「パンク侍」、阿部寛主演のクスッと笑える大人のコメディ「のみとり侍」、そしてビートたけしが金髪の座頭市を演じたリメイク作など盛りだくさんです!

『パンク侍、斬られて候』(2018)

町田康原作!石井岳龍×綾野剛×宮藤官九郎の異色時代劇

町田康の同名小説を石井岳龍監督、宮藤官九郎脚本、綾野剛主演で映画化した異色時代劇。主人公である超適当な超人的剣客・掛十之進を綾野剛が演じました。 浪人の掛十之進は職と報酬を狙って、新興宗教団体「腹ふり党」を討伐する専門家として自分を黒和藩に売り込みます。しかし黒和藩家老の内藤はこれを利用して、敵対する重臣の失脚を目論んでいました。 北川景子、染谷将太、浅野忠信など豪華キャストが演じる癖の強い登場人物たちのハッタリ合戦が大きな見どころ。特殊メイクを施した永瀬正敏が、この不可思議な物語の鍵を握る猿将軍・大臼延珍(でうす のぶうず)を演じています。

『のみとり侍』(2018)

裏稼業「猫ののみとり」とは?実在した“のみとり侍”を描く時代劇コメディ

小松重男の短編小説集「蚤とり侍」の中の人気エピソードを再構築した、阿部寛主演の時代劇コメディ。監督・脚本は『後妻業の女』の鶴橋康夫、共演に豊川悦司、斎藤工、寺島しのぶなど個性的なキャスティングにも注目です。 長岡藩の真面目なエリート藩士だった小林寛之進は失言で藩主の怒りを買い、「猫のみとり」の仕事をするよう命じられます。しかし「のみとり」は表向き、実は女性相手に体を売る裏稼業でした。 江戸時代に実在したという「のみとり侍」。生真面目な寛之進が初めての相手に「下手くそ!」と罵られたり、浮気者の清兵衛にテクニックを教わったりと大人がクスッと笑えるコメディに仕上がっています。

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『座頭市』(2003)

監督・北野武、主演・ビートたけしで勝新太郎の代表作を大胆にリメイク

勝新太郎の代表作として有名な『座頭市』を、自ら主演してリメイクした北野武監督の初の時代劇。盲目の謎の剣客である座頭市が主人公という設定のみが共通点のオリジナル作品で、北野武が脚本も手がけました。 ヤクザの銀蔵一家が支配する宿場町にやって来た座頭市は、幼い頃に両親を盗賊に殺された芸人姉妹と出会います。一方、脱藩した浪人の服部源之助もこの町に流れ着き、銀蔵一家の用心棒に。姉妹の仇が銀蔵だと判明し、市は源之助と戦うことになります。 座頭市が金髪だったり、群衆が下駄でタップダンスを踊るミュージカルシーンがあったりと、新しい時代劇の形を模索。この試みは国内外の映画賞で高く評価され、ベネツィア国際映画祭では監督賞である銀獅子賞を獲得しました。

時代に沿って変貌を遂げ、様々な形で生き続ける侍映画

黒澤明監督の古典的なアクション活劇から、パンク侍が暴れ回る異色時代劇まで、侍映画は時代に沿って大きな変貌を遂げています。そして、まだまだここに紹介しきれないほどたくさんの侍映画が存在します。 主人公は浪人や下級武士、藩士や剣客など様々。物語も侍としての誇りを問うものや生き方そのものを描いたものなど奥深い内容から、ユーモアや斬新さを追及するものまであります。時代劇というジャンルはまだまだ生き続け、これからも新たなヒーローや物語が生まれるに違いないでしょう。