2020年4月19日更新

馬が印象的なおすすめ映画10選 人間と名馬が紡ぐ感動のドラマ

ホース・ソルジャー
© 2018 BY HS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

大昔から人間の伴侶であった馬。人馬の心が通いあうときドラマが生まれます。ここでは家族向け映画からロマンス、アクション、冒険・戦争映画まで、馬が印象に残る映画を集めました。

目次

馬と人間が生み出すさまざまな物語

日本の都会に住んでいると日常生活で馬を見かけることは滅多にありませんが、馬は昔から人間の生活と切り離せない生き物でした。 人間や荷物を運んだり、農地を耕したりと人間のために黙々と働いてきた長い歴史があります。ときには戦争に駆り出させるという悲運に見舞われた馬も少なくありません。 一方で、品種改良を重ねて均整の取れた競走馬の肉体美に目を奪われることも多いでしょう。この記事では、全編を通して馬が登場するおすすめの映画を紹介。さらに後半では、馬が主題ではないものの、馬に関する名シーンがある映画をciatr編集部が厳選しました。

『戦火の馬』(2011年)

地獄の戦場を駆け抜けたサラブレッドと青年の物語

貧しい農家の息子アルバート少年は、父親が競売で買ってきた美しい馬にジョーイという名前をつけて愛情深く飼育していました。しかし第1次世界大戦が勃発し、サラブレッドのジョーイは軍用馬として売られることに。 騎兵隊に配属されたものの親切な騎手の大尉は機関銃に撃たれて戦死、長く苦しい戦場での放浪が始まります。ジョーイが懐かしいイギリスのアルバートのところに帰れる日は来るのでしょうか? スティーヴン・スピルバーグが、児童小説とその舞台化をもとに映画化した大作です。『プライベート・ライアン』のように、リアルな戦場とフィクションをたくみに混ぜ合わせる同監督の力量が遺憾なく発揮されています。

『モンタナの風に抱かれて』(1998年)

モンタナの雄大な自然を背景に織りなされる、人間と馬のドラマ

ニューヨークで雑誌の編集長として仕事に明け暮れるアニー。ある日13歳の娘グレースが乗馬中の事故で片足を失うことに。 娘が立ち直るために、事故で心と体に傷を負った愛馬ピルグリムも癒やさなくてはいけないと決意したアニー。はるばる米東部から娘と馬を車に乗せて、北西部モンタナ州で馬の心に寄り添った調教をするトムの農場を訪れます。農場に住み込んで打ち解けあったアニーとトムはやがて互いにひかれるようになり――。 ロバート・レッドフォードが調教師・トムの役を演じたばかりでなく、監督も務めた作品です。アニーの娘・グレースをスカーレット・ヨハンソンが、理解のある夫をサム・ニールが好演しています。

『ホース・ソルジャー』(2018年)

アルカイダの拠点を奇襲する特殊部隊を運んだのは馬だった

ホース・ソルジャー
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2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件の直後にアメリカはアルカイダへの反撃を開始していました。同年11月ミッチ・ネルソン大尉率いる12人の特殊部隊が、北部同盟と協力して、アルカイダの拠点マザーリシャリーフを制圧したのです。アフガンの険しい山岳地帯の唯一の移動手段だったのが、馬でした。 しばらく公表されなかった特殊部隊の活躍をスクープしたノンフィクションを、デンマーク人のニコライ・フルシー監督が映像にした戦争映画です。同監督はコソボ紛争の報道カメラマンをしていたこともあるという経歴の持ち主。戦場のリアルな描写と、馬に乗った突撃まであるアクションの連続が印象的な作品です。

『黒馬物語 ブラック・ビューティー』(1994年)

馬の目から見た、19世紀後半のイギリスの社会と自然

100年以上世界中で愛読されてきた小説『黒馬物語』を映像化した作品です。主人公である馬が自らの生涯を振り返るという設定を忠実に踏襲しています。 舞台は19世紀後半のイギリス。のどかな農場に生まれ、少年ジョーと楽しい日々を過ごす黒馬は、やがて金持ちゴードン家に買い取られていきました。その後さまざまな人の手にわたり、波乱万丈の人生を送る黒馬ブラック・ビューティーの生涯が暖かい筆致で描かれます。 主人公の馬を演じた俳優馬・ドックスキーピンタイムは『モンタナの風に抱かれて』の冒頭にも登場する有名なタレント馬です。『ダウントン・アビー』でカーソン執事を演じたジム・カーターも、脇役で出演しています。

『オーシャン・オブ・ファイヤー』(2004年)

大ぼら吹き男の「実話」を映像化

19世紀から20世紀にかけてアメリカのサーカスで活躍した実在の騎手フランク・ホプキンスの冒険物語です。本人は400のレースで優勝したと豪語していたそうですが、ほとんど作り話とみられています。 タイトルの「オーシャン・オブ・ファイヤー」は、馬でアラビア砂漠を約4800キロ横断するという荒唐無稽なエンデュランス競技。過酷な自然とさまざまな陰謀に巻き込まれるホプキンスと愛馬ヒダルゴの冒険が活写されます。 監督は「スター・ウォーズ」シリーズや『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』で視覚効果を担当したジョー・ジョンストン。レースの主催者シーク・リヤド役は『アラビアのロレンス』のオマー・シャリフです。

『シービスケット』(2003年)

伝説的競走馬を育てた男たちの物語

世界大恐慌直後の1930年代のアメリカ競馬界で大活躍した伝説的競走馬シービスケットをめぐる男たちの物語です。馬格にもめぐまれず競争嫌いの性格のシービスケットが、3冠馬を打ち破るまで成長する過程が描かれます。 実在の競馬場でロケをして忠実に再現された数々のレースシーンが圧巻です。監督・脚本は『ハンガー・ゲーム』や『オーシャンズ8』のゲイリー・ロス。不屈の騎手(トビー・マグワイア)、型破りの調教師(クリス・クーパー)、2人を暖かく見守るオーナー(ジェフ・ブリッジス)のトリオが印象的。 ちなみにゲイリー・ロスは、初監督作品『カラー・オブ・ハート』でもトビー・マグワイアを主演にしています。

『夢駆ける馬ドリーマー』(2005年)

傷ついた馬を優勝へ導いた家族の絆

1990年代のアメリカで、安楽死されそうになった競走馬が奇跡の復活を遂げた実話にインスピレーションを受けた映画です。 元騎手で今は調教師であるベンが管理する競走馬ソーニャドールがレースで骨折。馬主に解雇されたベンは、安楽死されそうになったソーニャドールを引き取りました。やがてベンと娘・ケールのひたむきな愛情でソーニャドールは回復の兆しを見せ始めます。 天才子役・ダコタ・ファニング演じるケールのおかげで、大レース制覇を目標に家族の心が1つになる過程が感動的です。 父親役のカート・ラッセルは、祖父役のクリス・クリストファーソンに面差しが似ており、頑固な父と息子の和解を見事に演じています。

『セクレタリアト/奇跡のサラブレッド』(2010年)

破産寸前の牧場を引き継ぎ3冠王の馬を育てた女性の気概

1973年にアメリカ競馬で3冠を達成した競走馬・セクレタリアトの馬主ペニー・チェネリーの実話にもとづいた映画です。 専業主婦だったペニーは、病気になった父親から競走馬生産牧場メドウステーブルを引き継ぎました。兄や夫の反対を押し切り、男性社会の牧場経営に乗り出すペニー。名調教師ルシアン・ローリンの助力を得たペニーは、牧場で生まれたセクレタリアトを見事3冠馬に育て上げました。 専業主婦から牧場主に転身する意志の強いペニー役で、『運命の女』のダイアン・レインが成熟した演技を見せています。ペニーを支えるベテラン調教師ルシアンに扮するのは、個性的な演技で知られるジョン・マルコヴィッチです。

『ニーチェの馬』(2011年)

貧しい農家の父娘にのしかかる存在の重さ

タイトルは、トリノの広場で鞭打たれる馬の首を泣きながらかき抱き、その後しゃべらくなった哲学者ニーチェの逸話にもとづいています。長い間カメラを回し続ける長回しの技法に徹して、貧しいイモ農家の父娘と馬の日常を白黒映像で映し出す芸術映画です。 『サタンタンゴ』で知られるハンガリーの鬼才タル・ベーラ監督は、哲学的な映画を作ることで有名。『ニーチェの馬』のテーマは「人間の存在の重さ」です。またタル・ベーラ監督はこの映画を長編映画の「最後の作品」とも宣言しており、終末感が漂っています。 第61回ベルリン国際映画祭で銀熊賞 (審査員グランプリ)と国際批評家連盟賞(コンペティション部門)を受賞しました。

『白い馬』(1953年)

フランスの自然を駈ける少年と白馬

南仏の湿地帯に生息する野生の白馬と少年の結びつきを描いた短編映画です。プロヴァンス地方の三角地帯・カマルグでは馬の放牧が行われており、半野生化した馬は「カマルグの白い馬」として広く知られています。 漁師の少年フォルコは、牧場を逃げ出した「白いたてがみ」と呼ばれる半野生馬を湿地で見つけ、飼いならそうと思い立ちます。最初は抵抗する白馬ですが、次第に心を通わせるようになりました。しかし少年と馬には牧場からの追手が迫ってきます。少年を乗せた白馬は湿地帯から海へと疾駆していくのでした。 子どもに人気のある短編ですが、1953年度カンヌ国際映画祭の短篇グランプリおよびジャン・ヴィゴ賞を受賞しています。

ciatr厳選!馬登場する印象的なシーンがある映画

ゴッドファーザー
©︎PARAMOUNT PICTURES

ここからはciatrが厳選した、とりわけ印象的な馬と関連するシーンがある映画を紹介します。馬が主題の映画ではないものの、1シーンや1シークエンスで強烈なインパクトを残した2作をピックアップしました。

『トゥルー・グリット』(2010年)

ルースター・コグバーンは少女の馬を何故射殺したのか?

父親を殺された14歳の少女マティ・ロスが腕利き連邦保安官ルースター・コグバーンを雇って犯罪者を追跡する西部劇『トゥルー・グリット』。終わりの方で、蛇に腕を噛まれたマティを一刻も早く医者にみせるため、ルースターがマティを抱きかかえて馬を走らせる印象的な場面があります。 マティがかわいがっていた馬(ポニー)なのですが、力尽きるまで走らされ、ついに夜の荒野で倒れてしまいます。倒れた馬をルースターは射殺するのですが、これは馬を苦しみから開放する行為です。 ルースターは乱暴なようで、馬をいじめている子どもたちを蹴飛ばすことからわかるように、優しい心の持ち主なのです。

『ゴッドファーザー』(1972年)

本物の馬の生首を使った、映画史に残る衝撃シーン

ゴッドファーザー
©︎Supplied by LMK Media

『ゴッドファーザー』の馬の生首のシーンは恐らくアメリカ映画史上最も衝撃的なシーンといえます。 ドン・コルレオーネは、目にかけている歌手の映画出演をプロデューサーのジャック・ウォルツに持ちかけますが断られます。報復のため、ある朝ウォルツのベッドには、ウォルツの大事にしていた馬の生首が置かれていたのでした……。 撮影に使われたのは、ドッグフード工場で屠殺された本物の馬の首で、撮影現場にドライアイス漬けにして送られてきたものです。リハーサルのときは偽物の首を使っていたのですが、本番の撮影のときに実物とすり替えたそうです。 ウォルツ役のジョン・マーリーの叫びが真に迫っていたのも納得がいきます。

馬を通して見えてくるさまざまな世界

馬は人間の表情や声から人間の感情を読み取ることができると昔からいわれてきました。人間との間に深い絆が生まれることも多く、馬と人間の数だけ、ドラマの生まれる可能性があるといえます。 この記事では家族向け映画からロマンス、アクション、冒険・戦争映画まで色々なジャンルの作品を取り上げました。馬との交流を通して見えてくる、さまざまな人間や時代のドラマを満喫してください。