2020年5月22日更新

九州が舞台のおすすめ映画15選【自然と都会的街並み、どちらの魅力も兼ね備えた土地】

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自然、都会どちらの魅力も兼ね備えた九州が舞台の映画

日本列島の南西部に位置する「九州」は、豊かな自然と都会的な街並みのどちらの魅力も兼ね備えており、映画の舞台やロケ地として登場することも多いです。独特の歴史や文化、そして九州内でも大きく変化する「方言」も作品のアクセントになっています。 本記事では、ジャンルを問わず、九州が舞台となった話題作を厳選して紹介します。

『佐賀のがばいばあちゃん』(2006年)

佐賀県

漫才師の島田洋七が少年時代に佐賀県の祖母と暮らした体験をつづったベストセラー小説の映画化。吉行和子が破天荒な「ばあちゃん」をはつらつと演じ、ヒット作となりました。 戦後間もない昭和32年。父を亡くし、広島県で女手一つで育てられた少年の昭広は、佐賀県のばあちゃんの家に預けられることに。ばあちゃんは貧乏でしたが、笑顔を絶やさず、あらゆる節約の知恵を駆使しながらたくましく生活していました。昭広は、ばあちゃんや温かい地域の人たちに見守られ、成長していきます。 独特の人生哲学に基づく痛快な名言を連発する「ばあちゃん」を演じた吉行和子がはまり役。今は亡き名優・緒形拳をはじめ、山本太郎、島田紳助ら個性的なキャストが脇を固めます。現代ではほとんど見られなくなった素朴な生活風景が活き活きと映し出され、古き良き時代に思いをはせることができる作品です。

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『解夏』(2004年)

長崎県

徐々に失明する病を患う男性が、長崎県に帰郷してからの日々を描いた感動作。シンガーソングライター・さだまさしによる短編小説集の表題作が原作で、主演の大沢たかおが日本アカデミー賞主演男優賞を獲得しました。 東京で小学校教師をしている隆之はある時、目に違和感を感じ、旧友の眼科医から「失明する可能性が高い」と診断されます。隆之は職場に迷惑をかけまいと退職し、婚約者の陽子とも別れを決意して長崎県の実家に帰省。そばで支えようとする陽子の来訪に救われますが、隆之の視力はどんどん失われていき……。 失明の恐怖に向き合い、乗り越えようともがく主人公を大沢たかおが哀愁たっぷりに熱演。ヒロインの石田ゆり子は、美しくも芯のあるヒロインを演じました。長崎特有の風情ある坂道や長崎港周辺の爽快な眺望が随所に登場し、温かみのある方言も楽しめます。

『母と暮らせば』(2015年)

長崎県

「男はつらいよ」シリーズなどの巨匠・山田洋次監督が長崎原爆を題材に描いた感動のファンタジー。吉永小百合と二宮和也が主演を務め、日本アカデミー賞では主演男優賞(二宮和也)、助演女優賞(黒木華)に輝きました。 長崎医科大学に通う主人公の浩二は、長崎市に投下された原爆で、跡形もなく爆死してしまいます。その3年後、ひとりで暮らす助産師の母・伸子のもとに亡霊となった浩二が現れ、2人は幸せなひと時を過ごしますが……。 戦後の日常がやさしく描かれてはいますが、設定や母子の会話の端々から、戦争の悲惨さが切なくにじみ出ます。撮影では長崎ロケも行われ、カトリック黒崎教会や長崎電気軌道などが登場します。

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『うつくしいひと』(2016年)

熊本県

熊本県出身のヒットメーカー行定勲監督が故郷の魅力を伝えようと企画した短編映画。奇しくも撮影翌年の2016年4月に熊本地震が発生し、被災前の熊本の姿を伝える資料としても価値ある一作となりました。 熊本に暮らす主人公の少女・透子は、母の鈴子が怪しい男につけ狙われていたと聞き、心配になって私立探偵に相談します。怪しい男とは、実は里帰りしていた映画監督で、鈴子とは旧知の仲でした。透子は映画監督とともに学生時代の思い出の地を巡ることになり……。 菊池渓谷や阿蘇山など、風光明媚な熊本県の魅力が満載。地震で大きなダメージを受ける前の熊本城のたたずまいに胸を打たれます。 キャストも橋本愛、高良健吾、政治学者の姜尚中ら第一線で活躍する熊本出身者が結集し、ナチュラルな方言を披露しています。のちに復興をテーマにした続編『うつくしいひと サバ?』も制作されました。

『悪人』(2010年)

福岡県、佐賀県、長崎県

1つの殺人事件を巡る当事者や家族を描いた吉田修一の小説を『フラガール』の李相日監督が映画化。豪華キャストの圧巻の演技で話題となり、日本アカデミー賞では主演男優賞(妻夫木聡)、主演女優賞(深津絵里)、助演男優賞(柄本明)、助演女優賞(樹木希林)、音楽賞(久石譲)を獲得した傑作サスペンスです。 主人公の解体作業員祐一は、出会い系で知り合った光代に数日前、別の女性を殺害したことを打ち明けました。男性経験に乏しく、祐一との関係を本気に考えていた光代は自首しようとする祐一を引き留め、2人の逃避行が幕を開けます。 九州3県(福岡、佐賀、長崎)を舞台に物語がめまぐるしく展開。五島列島の断崖にたたずむ大瀬埼灯台で壮絶なクライマックスを迎えます。苦々しい余韻が後を引く作品です。

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『君の膵臓をたべたい』(2017年)

福岡県

若い女性を中心に反響を呼んだ青春小説の実写化作品。膵臓の病で余命わずかな少女との思い出を描いたラブストーリーで、主演の浜辺美波、北村匠海が日本アカデミー賞新人俳優賞を獲得しました。 地味な高校生の春樹(僕)と、膵臓の病に侵された人気者のクラスメイト桜良の恋の行方が、大人になった春樹の回想として描かれます。現在と過去が交錯する展開は映画オリジナルで、物語の切なさを一層引き立てる働きをしました。 天真爛漫なヒロインを演じた浜辺美波の瑞々しさが印象的。春樹と桜良が最初で最後の「お泊り旅行」に訪れるのが福岡で、太宰府天満宮やヒルトン福岡シーホークなどのスポットが登場します。

『映画 めんたいぴりり』(2019年)

福岡県

博多名物の辛子明太子を開発した「ふくや」創業者・川原俊夫をモデルとした人情ドラマ。主演の博多華丸や富田靖子、監督の江口カンら福岡県出身者が主要キャスト・スタッフを務めた「博多愛」あふれる作品です。 戦争の爪痕が残る博多を舞台に、地元をこよなく愛する主人公の海野俊之、千代子夫婦が周囲を巻き込みながら、伝統の祭り「博多祇園山笠」や明太子作りに奮闘する姿を描きます。 お人好しで情に厚い主人公を、お笑い芸人の博多華丸が漫才でもお馴染みの博多弁キャラそのままに熱演。戦後の混乱期をたくましく生き抜いた市井の人々のドラマに胸が熱くなります。

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『おっぱいバレー』(2009年)

福岡県

放送作家・水野宗徳の同名小説を「海猿」シリーズの羽住英一郎監督が映画化したコメディ。物語の舞台が原作の静岡県から福岡県北九州市に変更され、同市でロケも行われました。 弱小男子バレーボール部の顧問になった新任教師の美香子は、スケベな部員たちに押し切られ、大会で1勝したら「おっぱいを見せる」と約束してしまいます。やる気を出した部員たちが実力をつけていくのが喜ばしい反面、おっぱいを見せるのは嫌というジレンマを抱えることになり……。 主演の綾瀬はるかが、ブルーリボン賞で主演女優賞を獲得。部員たちに翻弄される教師をコミカルに演じ、持ち前の爽やかさでタイトルの「いやらしさ」を打ち消しています。

『ゴジラvsスペースゴジラ』(1994年)

福岡県

1954年に始まった東宝による「ゴジラ」シリーズの第21作。ゴジラと宇宙怪獣スペースゴジラ、人類の三つ巴の戦いを描いており、福岡の市街地を舞台に大迫力の最終決戦が展開されます。 人類が対ゴジラ兵器「モゲラ」を完成させた頃、宇宙から地球に高速で近づく物体が観測されます。その物体とは、かつて宇宙に飛散したゴジラの細胞から誕生した宇宙怪獣スペースゴジラでした。人類はゴジラに加え、圧倒的なパワーを持つ新たな脅威と対峙することになります。 スペースゴジラがエネルギー源とする福岡タワーを巡るクライマックスの攻防戦が見どころ。スペースゴジラを倒すべくゴジラと人類(モゲラ)が共闘するシーンは、ファンをしびれさせます。

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『恋空』(2007年)

大分県、福岡県

若者から絶大な支持を得たケータイ小説を映像化したラブストーリー。当時10代だった新垣結衣と三浦春馬を主演に起用し、ヒット作となりました。大分県、福岡県でロケが行われています。 地味な女子高校生の美嘉は、ひょんなことから人気者の同級生ヒロと付き合うことに!しかし、ヒロの元彼女から嫌がらせを受けたり、流産したりと次々苦難に見舞われます。2人は健気に乗り越えようとしますが、ある時ヒロに突然の別れを切り出され別々の道を歩むことに。美嘉は悲しみを引きずったまま別の男性とも交際しますが、ヒロには美嘉に伝えなかったある「秘密」がありました。 今を時めく人気俳優2人の瑞々しい演技が魅力的。ヒロの心情を思わせるMr.Childrenの主題歌「旅立ちの唄」がすがすがしく、余韻を引き立てます。ロケが行われた大分県内の河川敷や街並みが、物語を包むのどかな雰囲気を作り上げました。

『ひまわりと子犬の7日間』(2013年)

宮崎県

宮崎県の保健所で起こった実話をつづった書籍『奇跡の母子犬』を映画化した感動作。山田洋次監督のもとで助監督を務めていた平松恵美子が監督デビューを果たし、殺処分という重いテーマを温かい人情劇に仕立て上げています。 保健所職員の彰司はある日、子犬3匹を抱えた凶暴な母犬を保護します。「ひまわり」と名付けられた母犬は、人間に対し恐怖心を抱いていました。彰司は母犬が引き取ってもらえるよう必死に調教しますが、殺処分の期限は刻一刻と迫り……。 動物好きで心優しい彰司を演じた堺雅人がはまり役。 無気力な後輩職員を演じたお笑い芸人の若林正恭が日本アカデミー賞話題賞俳優部門を獲得し、意外な才能を開花させました。ロケは宮崎県宮崎市や日南市で行われ、全編通して、キャストがのんびりとした宮崎弁を披露しています。

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『沈黙−サイレンス−』(2017年)

長崎県

キリシタンが激しく弾圧されていた江戸初期の長崎を描いた遠藤周作の歴史小説「沈黙」を、アカデミー賞監督のマーティン・スコセッシが映画化。アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライバー、リーアム・ニーソン、窪塚洋介、浅野忠信ら日米の超豪華キャストが結集し、壮大な歴史ドラマを紡いでいます。 17世紀。尊敬する師を探すため、ポルトガルから若い宣教師2人が長崎の村にやってきました。彼らは布教の使命を全うしようとしますが、信仰を貫く村人たちが次々と迫害される姿を目の当たりにし、苦悩します。 そうそうたる俳優陣の名演は言うまでもありませんが、雄大で美しい大自然の中で繰り返される迫害シーンが物悲しく、胸に迫ってきます。主要なロケは台湾で行われました。

『犬鳴村』(2020年)

福岡県

『犬鳴村』
(C)2020 「犬鳴村」製作委員会

福岡県に実在する心霊スポット「旧犬鳴トンネル」にまつわる都市伝説に着想を得たホラー映画。「呪怨」シリーズで知られるホラー映画の名手・清水崇が監督、脚本を務めています。 主人公は、霊感が強い臨床心理士の奏。周囲で次々に起こる不可解な出来事の共通項が「犬鳴トンネル」であることに気付き、謎の真相に迫ろうとトンネルに向かいますが……。 ホラー定番のショッキングで不気味な演出と、解き明かされる謎のストーリー性、両方をバランスよく楽しめます。注目若手女優の三吉彩花が主演を務め、石橋蓮司、高嶋政伸、高島礼子らが脇を固めていました。

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『秒速5センチメートル 』(2007年)

鹿児島県

『君の名は。』で一世を風靡した新海誠監督の劇場公開3作目。1人の少年を軸としたほろ苦い恋愛模様を短編3話からなる連作アニメーションで展開。舞台の1つとして、宇宙センターやサーファーのスポットとして知られる鹿児島県・種子島が登場します。 第1話「桜花抄」では、互いに想い合いながら転校で離ればなれになった中学生の貴樹と明里の再会を描写。第2話「コスモナウト」では舞台を種子島に移し、高校生になった貴樹に片思いをするクラスメイト花苗の視点を。第3話「秒速5センチメートル」では、大人になった貴樹と明里が喪失感を抱えて過ごす日常を、情感豊かに描いています。 壮大で美しい星空や街並みの映像、時空をダイナミックかつ繊細に活かした少年・少女のラブロマンスなど、新海誠監督ならではの世界観を存分に味わえます。第2話のクライマックスである種子島での壮観なロケット打ち上げシーンが見どころ。

『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜 』(2007年)

福岡県、大分県

大ベストセラーとなったリリー・フランキーの自伝的小説を映画化。日本アカデミー賞で作品賞など5冠に輝いた傑作です。リリー・フランキーの故郷である福岡県の小倉や筑豊地区、高校時代を過ごした大分県が登場します。 主人公のボクは、酒乱の父親から離れ、オカンの手で育てられることに。店を切り盛りしながら東京の美術大学へ送り出してくれたオカンの思いはよそに、ボクは堕落した生活で借金を作ります。改心して仕事も軌道に乗ってきたころ、福岡で1人暮らしをしていたオカンを東京に呼び寄せますが、オカンの身体は癌に侵されており……。 オカンを演じた樹木希林の温かみにあふれた演技は圧巻。闘病シーンは演技とは思えないほど壮絶で、観ているのがつらくなるほどです。小泉今日子、宮崎あおい、柄本明ら豪華俳優陣が「ちょい役」で贅沢にカメオ出演しているのも見どころ。

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九州の豊かな自然が映えるストーリー

本記事では、方言、名産品、自然など九州ならではの魅力あふれる作品を紹介しました。 どの作品でも、物語の舞台やロケ地となった各県の個性がとても大切に活かされています。お人好しで温かい九州人ならではの人情ドラマや、出身者が手がけた地元愛にあふれる作品も多かったですね。作品を観れば、あなたも九州に行きたくなること間違いなし!