2020年5月12日更新

『ゴールデンカムイ』キロランケの正体と目的とは?ミステリアスな元工兵を徹底解説

『ゴールデンカムイ』キロランケの正体と目的とは?ミステリアスな元工兵を徹底解説 サムネイル

野田サトル原作の大人気漫画『ゴールデンカムイ』。バトルアクション、歴史、グルメなど様々な要素がてんこ盛りの本作は、幅広い読者層から人気を集めています。この記事ではその登場人物の1人、キロランケについて解説します。

目次

『ゴールデンカムイ』キロランケは頼れるも、謎多き人物【ネタバレ注意】

キロランケはロシア出身のタタール系の出自であり、元大日本帝国陸軍第7師団に所属し日露戦争(1904〜1905年)時には工兵として参加した経歴があります。詳しい年齢は不詳ですが、作中のセリフなどから40歳前後だと推測されており、妻子持ちの既婚者でもあるようです。 馬達の扱いには非常に長けており、飛び入り参加したレースでは1着になるほどの乗馬スキルを持ちます。他人の馬でも、ヒグマに狙われて怪我を負わされた個体を見て、危険を承知で保護しようと大切にする一面も。 一方でその行動には不明点も多く、何故か刺青の囚人に関する情報を知っていました。そのことから、脱獄囚を率いる土方歳三や、アイヌの女占い師のインカラマッには何かを企んでいると疑われています。また、日本語やアイヌ語のほかにもロシア語やウイルタ語など、語学にはかなり堪能なようであり、陸軍入隊以前の過去も謎に包まれていました。 ※本記事では『ゴールデンカムイ』のネタバレ情報を扱っています。読み進める際はご注意下さい。

杉元佐一たちと川で出会い、初登場!

主人公・杉元佐一のグループとは、川でイトウを捕まえていたところで初めて会いました。彼らがイトウを獲ろうとした時に川に落ちた白石由竹をキロランケが潜って助けてくれたのです。ですがこれは偶然の出会いではなく、既に面識があったアシリパに会うため、村を留守にしがちな彼女をわざわざ待っていたのです。 しかし彼は、アシリパの父ウイルクこそがアイヌを殺したのっぺら坊だと証言し、一同を驚愕させます。真相を確かめるべく、キロランケを加えた一行は網走監獄へ向け出発しました。 彼はその経験などから手製の手榴弾も持っており、持ち前のアイヌの知識や言葉などとも合わせて道中の杉元達をサポートしてきました。しかし、杉元からは何か裏があるのではと終始怪しまれており、その予感は的中することになります。

キロランケ=裏切り者説がついに現実となる

本作は度々、様々な絵画や映画のワンシーンなどのパロディが描かれています。そのうちの1つであるレオナルド・ダ・ヴィンチの傑作「最後の晩餐」のパロディで、キリストを裏切った人物、ユダが描かれた位置にいたことなどから既に裏切り者として噂されていたキロランケ。尾形と協力して網走監獄では本性を現し、杉元達を出し抜きました。 典獄の犬童が用意した替え玉による混乱の後、のっぺら坊が本物のウイルクだと確認すると手を挙げて合図を出し、尾形に射殺させます。その様子を目撃したインカラマッには後に詰め寄られますが、なんと所持していたマキリ(小刀)で彼女の腹部を刺したのです。 幸いインカラマッの命に別状はありませんでしたが、動きを封じられた彼女や杉元を尻目に、キロランケはアシリパを樺太へ連れて行きました。

キロランケの正体が判明!

杉元達を裏切り謎の多かったキロランケですが、樺太でロシアとの国境線を越える際にその正体が明らかになります。 かつての彼とウイルクは、なんとロシア皇帝アレクサンドル2世(在位:1855〜1881年)を爆殺したテロリストでした。本名のユルバルスとしてロシア全土に指名手配まで出されており、越境したところを国境警備隊に襲撃されます。 皇帝殺害後は革命派の英雄的存在となった彼ですが、ロシア政府に追われる身となったため、樺太から北海道へと身を隠したのでした。その途中では、長谷川幸一と名乗っていた鶴見中尉に日本語教育を受けたことも後に判明します。

キロランケの目的とは……

キロランケは、日本とロシアの間で翻弄されるアイヌ民族などの将来を憂いており、金塊をロシアへの革命運動を立ち上げる軍資金にしようと考えていました。そのためアシリパには、金塊の暗号を解く記憶を少しでも呼び起こしてもらおうと樺太へ連れて来たのです。 やがて辿り着いたアレクサンドロフスカヤの監獄にて、彼はかつての仲間ソフィアを脱獄させ会わせようとしました。若い頃のソフィアはウイルクと親しかったため、金塊探しの協力前に、彼女からアシリパにウイルクの話などをしてもらおうとしていたのかもしれません。 アイヌを愛し存続を願っていたキロランケとアシリパですが、殺人を拒む彼女にとって彼が取ろうとしていた手段は自身とは真逆のものでした。しかし、後に両親が映ったフィルムが焼けてしまった際には、アシリパは何かを残すために自分も戦わねばならないのだろうかと自問します。

アニメ版『ゴールデンカムイ』でキロランケを演じる声優はてらそままさき

マウスプロモーションに所属するてらそままさき(画像右)は1984年から俳優、1987年から声優として活動しています。低くダンディな声が特徴的ですが、『SAMURAI 7』の島田カンベエ役を除くと、主人公などを演じたことはあまり多くなかったようです。 しかし、主役ではないもののストーリーにとっては重要ないくつもの「名脇役」を務めてきました。『STEINS;GATE』シリーズの天王寺祐吾役や、『ポケットモンスター』シリーズのハンサム役などはその代表であり、キロランケ役もその1つです。

アニメ版『ゴールデンカムイ』でも描かれるキロランケの暗躍に注目

個性的なキャラの1人であったキロランケですが、追いつかれた樺太先遣隊に倒され、最終的には息を引き取ります。裏切り者のレッテルを貼られ顰蹙も買ったものの、作中では様々な役割がありました。 周辺の近代化が進むなか、早くも少数民族の存続を訴えた彼は我々読者に諸民族が置かれた立場や歴史を、アシリパには革命家としての生き様を伝えてくれました。その思想には賛否があるとはいえ、彼の存在意義は非常に示唆に富んだものとなっているのではないでしょうか。 また、ロシア帝国とのつながりを持つ過去が明かされたことで本作の空間的規模が一時広がり、本作にスパイスをもたらしてくれました。彼の原作での活躍はもう見れませんが、放送を控えるアニメ第3期での登場を心待ちにしましょう。