2020年5月11日更新

『ゴールデンカムイ』“山猫スナイパー”の尾形百之助、暗い瞳の陸軍兵を解説!

『ゴールデンカムイ』“山猫スナイパー”の尾形百之助、暗い瞳の陸軍兵を解説! サムネイル

北海道で金塊争奪戦を描いた野田サトルによる『ゴールデンカムイ』。謎が深まるストーリー展開や個性的な登場人物が魅力の作品です。ここではそのキャラの1人、尾形百之助について詳しく紹介します。

目次

『ゴールデンカムイ』尾形百之助は上等兵の階級を持つ陸軍兵【ネタバレ注意】

尾形上等兵は第7師団歩兵第27連隊に所属する、鶴見中尉の元部下でした。師団からは無断で抜け出したようであり、脱走兵という扱いになっています。冷静で用心深い性格をしており、入浴中でも銃を近くに置いています。 物語序盤で杉元との戦闘後に川に投げられ、その際顎を骨折したことによる両頬の縫い傷が特徴。真顔で口数が少ない彼に関しては謎も多く、思考回路が読めない底知れぬ人物です。 また、月島軍曹の活躍に隠れ目立ちませんでしたが、ある程度はロシア語も会得していると判明しました。 ※本記事では『ゴールデンカムイ』のネタバレ情報を扱っています。読み進める際はご注意下さい。

尾形百之助は孤高の山猫スナイパー、元師団長の血を継ぐサラブレッド

尾形の父親は元第7師団長の花沢幸次郎中将であるため良い血筋をしていますが、本人は自分と母親を捨てた男と見なし嫌っています。しかし、そんな想いとは裏腹に彼の目元は父親譲り。尾形は「血に高貴もクソもそんなもんありませんよ」と鶴見中尉に述べたこともあり、自分のルーツには強い因縁がある様子。 また、射撃の腕前に特に秀でており、後述するように作中では幾度となく活躍しました。本人によれば2000m先の狙撃にも自信があるようであり、高い視力も有しています。 そんな優れた能力を持つ彼ですが、芸母親が芸者であったためにその隠語として「山猫」と呼ばれ、師団内でも「山猫の子供は山猫」と蔑まれていました。そのほかにも、ネズミに興味を示したり臭いものを嗅いでフレーメン反応のような表情をするなど、猫のような行動を見せることから猫属性があるとして人気となっています。 一方で所属陣営を転々とし、事態をややこしくさせる「コウモリ野郎」とも。他のキャラからはあまり信用されていない模様です。

モデルはあの有名な狙撃手!?独特の銃の構え方がそっくり

狙撃時の尾形の構え方は片腕に銃身を乗せながら撃つという独特のスタイル。場合によっては木に刺したナイフなどで代用することもあるものの、何かを支えにして銃撃する機会が多いその姿は読者の記憶に残りやすいです。 赤井秀一やゴルゴ13など、スナイパーのアニメキャラはほかにもいますが、こうした構えをするのは恐らく彼ぐらいでしょう。 尾形はベトナム戦争(1955〜1975年)で活躍したアメリカ海兵隊の伝説的スナイパーであるカルロス・ハスコックと、彼を題材にした映画『山猫は眠らない』(原題:Sniper)の主人公トーマス・ベケットをモデルにしたとされています。1993年に公開されたこの作品でも、トーマスが似たような姿勢で狙撃する場面が見られます。 独特な構えをする射撃の名手として、尾形もまた漫画・アニメ史に名を残すでしょう。

冷静で掴み所のない尾形、狙撃のことになると高いプライドが垣間見える

普段は物静かな尾形ですが、狙撃に関してのみは他人よりも強い意識を持っているようです。銃の扱いに注意を払わなかった杉元や谷垣へ皮肉を述べたり、狙撃が困難なヤマシギという鳥を3羽も仕留めてきた時は鼻息を鳴らし、得意げにしていました。 樺太にあったロシアとの国境線でスナイパーのヴァシリによる襲撃を受けた際には、同じ狙撃手として手に汗握るバトルを繰り広げました。「日露戦争 延長戦だ」と言って始まった戦闘は、味方の犠牲も顧みないほど冷酷で、相手の先を読む頭脳戦を含む静かなものでした。 最終的には勝利した尾形でしたが、吐息の白さで居場所を悟られぬよう、雪を口に入れ続けていたため後に体調をくずしてしまいます。自分の体調よりも狙撃を優先して強い忍耐力を見せた彼は、やはり一流のスナイパーだったと分かるシーンでした。

アイヌ民族の少女、アシリパには徐々に心を開いていく

杉元達を狙撃する敵として初登場した尾形。この時は杉元に返り討ちにされ、怪我の手当てを受けていましたが、脱走後に土方一派として金塊争奪戦に参加しました。 アシリパと行動を共にしてからも、当初はあまり積極的に関わらず、調理時に「チタタプ」をするよう言われても塩対応でした。しかし、127話にて初めて「チタタプ」と言ったり、杉元と並んで脳味噌を食べさせてもらうなど、少しずつアシリパとの仲を進展させていきます。 しかし樺太編では、銃撃戦後に発熱でうなされていた際に義理の弟である勇作を狙撃した回想がフラッシュバックします。夢から醒める瞬間、勇作とそばにいたアシリパが重なって見えたこのシーンは、両者の不吉な未来を予感させるものでした。

表情の変化が乏しい尾形、悲惨な過去が関係していた

作中ではほとんど無感情な尾形ですが、彼にはそうならざるを得ない悲しい過去がありました。師団長を務める幸次郎の下に生まれたため恵まれた生活を送っているかと思えば、彼は芸者との間にできた息子ゆえ父に捨てられたのです。 幼い頃は茨城にて母方の家で暮らしていましたが、母親は幸次郎がいつか帰ってくると信じて毎日狂ったようにあんこう鍋を作り続けていました。尾形はそんな母の気を引こうとするも失敗し、あんこう鍋に殺鼠剤を混ぜて殺してしまったのです。 軍隊に入った後は義弟の花沢勇作と同じ第7師団に配属されました。勇作は尾形にとって上官にも関わらず、彼を「兄様」と呼び慕う爽やかな青年だったようです。しかし尾形は、誰にも愛されなかった自分と愛情を受けて育った勇作を比べ、その境遇の差を強く憎んでいました。 彼は「203高地」にて旗手を務める勇作を背後から射殺し、戦後は鶴見中尉の手引きにより父親の幸次郎も自殺に見せかけ殺害します。完全に独り身となった尾形ですが、その目に映るものとは一体何なのでしょうか……。

尾形はやっぱり敵対者?杉元たちを裏切る

仲間だったはずの尾形でしたが、網走監獄では囚人脱獄の混乱に乗じて暗躍。事前にキロランケと手を組み、より少ない人数で金塊を分け合うことにしたと見られます。 脱走騒ぎの中、どうにか埋蔵金の秘密を知るのっぺら坊と接触した杉元。アシリパと同じ青い瞳からウイルクと判断し、金の在り処を聞き出そうとした矢先、ウイルクの頭は撃ち抜かれ銃殺されてしまいます。なんとこれはキロランケの合図を確認した尾形の差し金でした。続いて尾形達の目的を妨害すると見られた杉元も狙撃しますが、彼は谷垣の機転で一命を取りとめます。 旅に同行した仲間でも容赦なく引き金を引き、冷徹な一面も見せた尾形。その後はキロランケと共にアシリパを連れ、これに白石を加えた4名で樺太へ向かいました。

アニメ版『ゴールデンカムイ』で尾形百之助を演じる声優は津田健次郎

1995年から活動を始めた津田は、2012年以降から急激に出演数を伸ばしており、多くのアニメに出演してきた実力派声優です。色気に溢れるその独特な声がとても印象的であり、まさに「イケボ」という言葉が似合う声を持っています。 『遊☆戯☆王』シリーズの海馬瀬人役や『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』の鳴瓢秋人役などをはじめ、主役キャラを務めた経験も多々あります。脇役として演じた際でも、その声がキャラの魅力を高めてくれることも少なくありません。

『ゴールデンカムイ』尾形百之助の暗い瞳が見つめるものとは……。今後の展開に注目

目的が明かされないまま行動を続けている尾形。彼の真意については金塊の在り処と並ぶほど大きな謎のひとつとなっています。その謎めいたキャラや猫×スナイパーという属性は多くの読者を魅了し、脇役ながら大きな注目を浴びている人物です。 アシリパと別れた後の行方は知られていませんが、彼は今後のストーリー展開にどう関与していくのでしょうか。金塊を目前にして思わぬ形で再登場し、杉元達に立ちはだかるのかもしれません。