2021年6月17日更新

映画『ホテル・ムンバイ』は実話だった!?ネタバレあらすじから実際の事件まで解説

ホテル・ムンバイ
©︎SCREEN AUSTRALIA/All Star Picture Library/Zeta Image

2008年、インド・ムンバイで巻き起こった同時多発テロを映像化した作品が『ホテル・ムンバイ』です。この記事では本作のあらすじや実際の事件について、作品をより理解するために詳しく紹介していきます。

目次

映画『ホテル・ムンバイ』は実話?実際のテロ事件を描いた衝撃作

『ホテル・ムンバイ』(2019)は、インドのムンバイで実際に起こった同時多発テロ事件をもとに製作された衝撃作。 主演を務めたのは『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)や『LION ライオン 25年目のただいま』(2016)で知られているデヴ・パテルです。その他にも、『君の名前で僕を呼んで』(2017)のアーミー・ハマー、『ベン・ハー』(2016)のナザニン・ボニアディなどが出演しています。

映画『ホテル・ムンバイ』のあらすじ【ネタバレ注意】

ホテル・ムンバイ
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2008年11月26日のインド、ムンバイ。ゴムボートでやってきた若い男の集団がタクシーに分乗し、ムンバイ市中へと消えていきます。 その後、ムンバイにある5つ星ホテル「タージマハル・パレス・ホテル」でテロが発生。武装集団に占拠され、ホテルには1,000人以上の客と500人ほどの従業員が取り残されてしまいます。 予想外の出来事に戸惑い怯える、妊娠中の妻と幼い娘を持つホテルマン・アルジュン。アルジュンだけでなくその場にいた人々が皆恐怖に震えていましたが、その頃特殊部隊はデリーに滞在中。 救助が訪れるまでには数日はかかる見込みだったため、アルジュンをはじめとする従業員たちは1,000人以上の客を助けるために手と手を取り合っていきます。

インド軍が到着するまで、アルジュンやアメリカ人旅行客・デヴィッドたちはテロリストたちと戦います。しかし悲しくも犠牲者が多く、人質となってしまったデヴィッドも殺されてしまいました。 インド軍が到着してからは、軍がテロリストたちを次々と殺害。最後に残ったテロリストも、ホテルのロビーにて自爆します。アルジュンは無事に生還し、妻と娘が待つ家へと帰ることができました。 映画の最後には、1人のテロリストを除いて全員殺害され、リーダーはまだ捕まっていないこと、そして殺害された犠牲者は31人にも及ぶことなどが明かされます。

映画『ホテル・ムンバイ』のモデルとなったムンバイ同時多発テロ

ホテル・ムンバイ
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『ホテル・ムンバイ』のモデルとされているのは、2008年11月26日にムンバイで実際に起こった同時多発テロです。 テロの標的となったのは、チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅、人気ホテルのオベロイ・トライデントとタージマハル・ホテル、レストランのレオポルド・カフェ、カマ病院、ユダヤ教正統派のナリーマン・ハウス、メトロ・アドラブ映画館。 少なくとも174人以上(そのうち34人は外国籍)が殺害され、負傷者は239人にものぼりました。 『ホテル・ムンバイ』で描かれているのは、その中でもタージマハル・ホテルで起こった事件が中心です。

無差別テロの恐怖を目の当たりに……手に汗握る脱出劇!

ホテル・ムンバイ
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実際の事件をベースにしていることもあり、リアリティを突き詰めた演出が光るのが『ホテル・ムンバイ』の魅力。 撮影する際には、犯人グループを演じた俳優陣と、彼らに立ち向かうホテルマンたち、宿泊客たちを演じた俳優陣の間にピリピリとした空気が出るようあえて引き離し、撮影現場には巨大スピーカーを設置。大きな銃声がそのスピーカーから突然流れることにより、緊迫感溢れる映像を撮影できたのです。 主役を演じたデヴ・パテルは、当時の撮影について「僕らはいつも不意打ちを食わされていたんだ。それによってどんなに緊張感がもたらされたかは想像がつくだろう。僕は『俳優としてではなく、偽りのない恐怖心で演技に臨むんだ』といつも自分に言い聞かせていたんだ」と語っています。 緊迫感溢れる撮影現場であったからこそ、映画を観る人々はその臨場感と張り詰めるような緊張感を味わうことができるでしょう。

実話ベースで生み出された!1年にわたり事件を調査

ホテル・ムンバイ
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『ホテル・ムンバイ』が長編デビュー作となった監督・脚本のアンソニー・マラスは、共同脚本を手がけたジョン・コリーとともに同時多発テロ事件を1年にもわたって調査。実際に被害にあった生存者たちをはじめ、犠牲者たちの家族や警察官までさまざまな人々へインタビューを行いました。 また、テレビで報道された際の映像や生存者のインタビュー映像、実行犯たちと首謀者の通話の録音記録なども研究。テロリストたちの中で唯一生存したまま逮捕となったアジマル・カサブの3,000ページ以上にも及ぶ供述調書も徹底的に読み込んだと言います。 また、タージマハル・ホテルで料理長を務めるヘマント・オベロイにも直接話を聞き、映画のコアとなる部分を吸収したようです。

キャラクターは実在の人物がモデルに

ホテル・ムンバイ
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『ホテル・ムンバイ』の主人公・アルジュンは、実際に働いていたホテルのウェイターやスタッフから着想を得て作られた架空の登場人物。オベロイ料理長は、マラス監督が実際に話を聞いた実在のシェフです。 果敢に救出に励むアメリカ人旅行客・デヴィッドとその妻ザーラや、VIP客のロシア人・ワシリーなどが実在の人物であるという情報は公開されていません。

テロ実行犯側の視点も描き出す

ホテル・ムンバイ
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『ホテル・ムンバイ』は、単純にテロ行為を批判している映画ではありません。テロを引き起こすファクターの1つである宗教や貧困などといった側面にも焦点を当てています。テロは単純な問題ではなく、さまざまな要因の絡んだ多層的な問題として人々に投げかけていると言えるでしょう。 デヴィッドの妻・ザーラがテロリストの前でコーランを唱えるシーンでは、テロリストが殺害を躊躇する姿が描かれます。その出来事がきっかけとなり、テロリストは自身が行ってきたことへ疑問を抱くのです。 さらには、「愛してる、父ちゃん」と涙ながら家族に電話し、人質を見張る傍ら故郷の歌を歌う少年兵の姿も描くなど、単純な悪ではないテロ実行犯側の視点も丁寧に描かれています。

リアルを追求したからこその緊張感『ホテル・ムンバイ』を見逃すな

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まるでその場にいるかのような臨場感、息もできないほどの緊迫感を味わうことのできる映画『ホテル・ムンバイ』。 緊張感を見事に描いたことはもちろん、アクションシーンの数々にも高評価が寄せられています。もしも自分が同じ状況に陥ったらどうするのか、観た人は皆考えさせられてしまうことでしょう。 まだこの恐怖を体験していないという人は、ぜひ自分の目で確かめてみてください。