実話と言っておきながら、本当は実話じゃない映画10選

2017年7月6日更新

「実話だと思って観た映画は本当は実話じゃなかった...」という経験はありませんか?実話をベースにした作品だと何故か興味が湧きやすく、感情移入しやすい傾向にあるようです。今回はそんな映画やエピソードをlooper.comよりご紹介します。

『ファーゴ』(1996)

コーエン兄弟が脚本・製作・監督を務め、フランシス・マクドーマンドがアカデミー主演女優賞を獲得した本作は、人間関係を見事に写し出し、現在でも不動の人気を誇る映画です。

本作は「これは実話である」という一文で始まり、その後に「1987年ミネソタ州で起こった事件を基にした作品である」とつけ加えられています。しかし、この映画は幾つかの実際にあった事件を寄せ集めて作られたもので、冒頭の「これは実話である」も演出の一つであり、実際に映画のような経緯を辿った誘拐事件が起きた事実はなく、物語は完全なフィクションです。最後のエンドロールにはフィクションであることも明かしています。

『アルゴ』(2012)

1979年のイランアメリカ大使館人質事件を題材とし、ベン・アフレックが監督・主演を務め、第85回アカデミー賞では作品賞、脚色賞、編集賞を受賞した作品です。

本作は"全て実話"として高評価を受けましたが、映画で描かれた内容と事実には大きな開きがあり、映画化に際し多少の脚色はあったんだとか。特に問題視されているのが、脱出計画におけるカナダ人の活躍が実際より小さく描かれていることです。6人の大使館脱出に最も貢献したひとりであるカナダ人ジョン・シェアダウンが映画に全く登場しない事に首を傾げたカナダ人も少なくありません。

また、当時大統領であったジミー・カーター元大統領も「このアイデアに最も貢献し活躍したのはカナダ人です。しかし映画ではほとんどの功績はアメリカ人CIAのものになっています。」とコメントしています。

『ルディ/涙のウイニング・ラン』(1993)

本作は公開当時はさほど話題にならなかったものの、時が経つにつれて「最も素晴らしいアメフト映画」と評されるようになりました。

映画の終盤で、いつもルディを馬鹿にしていたチームメイトが、監督の部屋に入るなり「俺はいいから、ルディを試合に出してやってくれ」と言ってユニフォームを置いて出て行きます。そして試合当日、晴れて試合に出ることができたルディですが、出番がなかなか訪れず、とうとう残り時間が少なくなったところで、スタンドからまさかのルディコールが湧き起こります。この場面は多くの人に感動を与えた名シーンですが、当時ルディとチームメイトだった男性はこれを否定し、「これは映画だからね」と言っています。

『フォックスキャッチャー』(2014)

フォックスキャッチャー』は1996年に財閥の御曹司であったジョン・デュポンがレスリングの金メダリスト、デイヴ・シュルツを殺害した事件を題材にした伝記映画です。ほとんどのシーンが正確に描かれていますが、ベネット・ミラー監督は時系列や登場人物の関係性を少し変えて映像化しました。

例えば、劇中では殺害後デュポンはすぐ警察に出頭していますが、実際は発砲ののち彼は邸宅に二日間閉じこもっています。そして暖房装置を直すために戸外へ出てきた彼を警察は逮捕したという結末でした。

『アメリカン・スナイパー』(2014)

クリント・イーストウッド監督による、イラク戦争に4度従軍し狙撃兵として活躍したクリス・カイルの伝記映画ですが、いろいろと物議を醸しています。批評家は、アメリカ海軍史上最大の殺害数を記録したクリスの半生と劇中でブラッドリー・クーパーが演じたクリスには大きな相違点があることを指摘しています。

また、オリンピック出場経験のあるシリア出身の凄腕スナイパーとしてムスタファという人物が登場し、劇中ではかなり大きな存在となっていましたが、実際ムスタファはカイルの著書の中の1章にしか登場していません。

『しあわせの隠れ場所』(2009)

本作ではマイケル・オアーがどのように裕福な白人家庭に迎え入れられ、逆境を克服しプロのアメフト選手になったかが描かれており、主演を務めたサンドラ・ブロックが念願のアカデミー賞主演女優賞を獲得した作品です。

劇中ではサンドラ演じるリー・アンが彼のアメフトにアドバイスをするシーンがありますが、これについてマイケル本人は、「彼女からアメフトのやり方を教えてもらう必要はなかったよ。だって僕は小さいときから試合を見て自分なりに勉強してきたからね」と語っています。

『ビューティフル・マインド』(2001)

ロン・ハワードが監督を務め、ラッセル・クロウが「ゲーム理論」を唱えた天才数学者、ジョン・ナッシュを演じ、演技・作品ともに好評価を得ました。映画は称賛されましたが、内容と事実があまりに異なるとして数々の批判を浴び、実際のストーリーを大きく脚色した映画としても有名です。

本物のジョン・ナッシュは反ユダヤ主義者で同性愛者であったそうですが、マイナスイメージとなるため、このことは劇中では一切触れていません。また、女性に奥手で純粋な男性として描かれていますが、実際はMITの教員だった当時の恋人に子供を産ませています。しかし、自分の教え子だったアリシアと付き合うために彼女を捨て、子供の扶養義務も放棄したそうです。

『ラッシュ/プライドと友情』(2013)

1976年のF1世界選手権でのジェームス・ハントとニキ・ラウダのライバル関係を題材とした本作は、批評家からの評価も高く、素晴らしい作品と言われていますが、多々誇張している部分が見られます。

そのなかで最も歪曲されている部分は、劇中では主人公のジェームス・ハントとニキ・ラウダはライバル関係として描かれていますが、実際はアパートをシェアするほど大の仲良しで、一緒にお酒を飲みに出かける関係だそうです。

『キャプテン・フィリップス』(2013)

同作は、トム・ハンクスを主演に迎え、2009年に発生したマースク・アラバマ号乗っ取り事件でソマリア海賊の人質となったリチャード・フィリップスを描いた伝記映画で、海賊らに果敢に立ち向かう主人公の姿がフォーカスされています。

しかし、マースク・アラバマ号の乗組員の中には、本作においてフィリップス船長がヒーローのように描かれていることに不満を持っている人もいるようで、「実際の彼はヒーローなんかではなく、彼と一緒に航海したいと思う乗組員は誰ひとりいなかった」と語っています。また、「この事件を引き起こしたのはフィリップ船長が安全確認を怠ったことや、沿岸近くを航海したことが原因である」と主張しています。

『アメリカン・ハッスル』(2013)

1970年代にアトランティックシティで起きた収賄スキャンダル「アブスキャム事件」を基に、デヴィッド・O・ラッセル監督とエリック・シンガーが脚本を執筆し作られた本作は、美術、音楽、脚本に至るまで批評家から賞賛され、ジェニファー・ローレンスの演技も高く評価されています。

あくまで”実話を基”にして制作されているため、そのほとんどが映画用に脚色されています。ジェレミー・レナー演じるカーマイン市長ですが、実際は映画で観るほど善人ではなかったそうで、かなり腐敗していたんだとか。映画の冒頭に「いくつかは本当にあった出来事です」と保険を張っているので、この事実も許容範囲になるのでしょうか?