2019年10月11日更新

名作映画『スタンド・バイ・ミー』の誕生秘話とキャストたちの現在

スタンド・バイ・ミー
© Columbia Pictures

スティーブン・キングの短編小説をロブ・ライナーがメガホンを取り映画化した『スタンド・バイ・ミー』は、青春映画の傑作として世界中で親しまれています。今回はそんな不朽の名作の知られざる事実とキャスト、そして彼らのその後を紹介します。

目次

名作青春映画『スタンド・バイ・ミー』の製作秘話とキャストの現在を紹介!

世界的に有名な作家スティーブン・キングの短編小説を原作に1986年に映画化された『スタンド・バイ・ミー』は、少年たちのひと夏の冒険を描いた青春映画です。 その後、多くの映画で少年たちが線路を歩く有名なシーンが引用されるなど、名作として名高い本作。この記事では、少年たちのいきいきとした描写が魅力の『スタンド・バイ・ミー』の撮影秘話や、気になるキャストの現在を紹介します。

『スタンド・バイ・ミー』のあらすじ

人気作家のゴードン・ラチャンスはある朝、『弁護士クリストファー・チェンパーズ、刺殺される』という新聞記事に目にします。ゴードンはその名前から、少年時代のある夏の出来事をふと思い起こします。 1950年代末、オレゴン州の小さな町キャッスルロックに住むゴードン(ゴーディ)、クリス、テディ、バーンの4人の少年は、それぞれ家庭に問題を抱え、よく一緒につるんでいました。ある日、列車に跳ねられた少年の死体が森の中で野ざらしのままになっていると聞いた彼らは、好奇心から死体探しの旅に出ることにしたのです。 こうして、彼らの「忘れられない冒険」が始まります。

映画『スタンド・バイ・ミー』はどのようにして生まれたのか?

主人公のモデルは原作者本人?作品誕生のきっかけとなったキングの実体験とは

スティーブン・キング
©Dennis Van Tine/Future Image/WENN.com

本作の主人公・ゴードン・ラチャンスのモデルはキング自身であり、キングは本作を「自伝的作品」と称したこともあります。キングとゴーディには多くの共通点があり、大人になったゴーディの職業はキングと同じく小説家。そしてキングもやはり、子供のころから物語を作る才能があったのだとか。 また、キングもゴーディと同様に、子供の頃に兄を亡くしています。一方、2人の異なる点は、父親の存在です。キングの父は彼が子供の頃に失踪していますが、ゴーディの家庭は両親そろっていました。

『スタンド・バイ・ミー』のアイディアのもとになったキングの幼少期の事件

『スタンド・バイ・ミー』のアイディアのもとになったのは、キングの少年時代の実体験だそうです。 当時4歳くらいだったという彼が近所の友人の家で一緒に遊んでいたところ、その友人はなんとすぐ近くにあった線路で電車に轢かれてしまったというのです。キングの母によると、ショックを受けて帰ってきた彼は、その後1日中口をきかなかったのだとか。

ロブ・ライナーが監督に起用された経緯とは?

ロブ・ライナー
©︎Nikki Nelson/ WENN

元々、本作は『ナインハーフ』や『フラッシュダンス』などで知られるエイドリアン・ラインが監督を務める予定でした。 しかし、エイドリアン・ラインがバケーション中で撮影スケジュールに遅れが出る恐れがあったため、のちに『恋人たちの予感』や『ミザリー』を手掛けることとなるロブ・ライナーがメガホンをとることになりました。

『スタンド・バイ・ミー』は一番人気のないタイトルだった?

実は、本作の原作となった短編小説のタイトルは『死体(原題:The Body)』です。しかし当時、製作会社のコロンビアピクチャーズは、これが映画版のタイトルにはふさわしくないと考えました。 そこで監督のロブ・ライナーは、映画最後に流れる『スタンド・バイ・ミー』がタイトルにピッタリと判断します。しかし共同脚本家レイノルド・ギデオンによると、ライナーのアイデアは「一番人気のない選択肢」だったのだとか。 また、あるプロデューサーはマイケル・ジャクソンに『スタンド・バイ・ミー』をカヴァーしてもらう計画を立てていました。しかし、ライナーは時代背景を考慮してベン・E・キングのオリジナルバージョンを使うことを譲らず、なんと、マイケル・ジャクソンのバージョンをボツにしたのです! その後、ジョン・レノン、山下達郎など様々なアーティストにカバーされる『スタンド・バイ・ミー』ですが、やはり本作にはベン・E・キングのオリジナル版がベストだったと、映画を見る度に確信します。

映画本編より悪ガキ?奔放すぎる子役たちの撮影中の逸話

リアルに「悪ガキ」だった子役たち

『スタンド・バイ・ミー』のメインキャストは、主人公・ゴーディ・ラチャンス(子供時代)役のウィル・ウィートン、ゴーディの親友・クリス・チェンバーズ役のリヴァー・フェニックス、大きな眼鏡をかけているテディ・ドチャンプ役のコリー・フェルドマン、太っちょのバーン・テシオ役のジェリー・オコンネルの4人。 劇中でもタバコを4人でふかしたり、決して優等生としては描かれていなかった彼らですが、実際の撮影中にも、いくつか「ワル」なエピソードを残しています。

リヴァー・フェニックスは撮影中に「大人」になり、楽屋では「ハイ」になっていた?

リヴァー・フェニックスは本作撮影中に童貞を捨てた、といわれています。監督ロブ・ライナーは、リヴァー・フェニックスが意味ありげな笑みを浮かべて撮影現場に現れた日のことを覚えていると語っています。 また、コリー・フェルドマンは、彼が楽屋でマリファナを吸ってハイになっているところを目撃したとも証言しています(なお、フェルドマンも当時マリファナを嗜んでいたそうです)。

コリーとリヴァーは特に問題児だった?

撮影当時、コリー・フェルドマンとリヴァー・フェニックスは未成年だったにもかかわらず、地元のナイトクラブへと夜な夜な繰り出し、そこでマリファナを吸ったり、飲酒したりと、どんちゃん騒ぎしていたそうです。 映画の中でもタバコを吸ったり、少年たちがやんちゃをする描写はありますが、現実の彼らの方がもう少し過激な遊びをしていたようですね。

葛藤を抱える少年たちの物語を描くための苦労とは?

未成年でも吸えるタバコを作る

スタンド・バイ・ミー
© Columbia Pictures

『スタンド・バイ・ミー』の印象的な場面として、少年たちがタバコを吸う場面を思い浮かべる人も多いと思います。一見、本物にしか見えないこのタバコですが、実は劇中で彼らが吸っていたタバコはキャベツで作られたもの。 それぞれが様々な葛藤を抱える4人の少年たちを描くために、この他にもスタッフは多くの工夫を凝らしています。

ゴーディと鹿の場面はどのように作られたのか?

死体を探す旅の途中で、主人公・ゴーディが線路上で鹿に遭遇する場面があります。 スタッフは鹿をタイミングよく振り向かせるため、エアーホーンを鳴らしたり、フライパンや鍋を叩いて、鹿を振り向かせようとしていたそうです。

バーンは本当に犬にかまれていた!

太っちょのバーンを演じたジェリー・オコンネルは、実際に犬のチョッパーに噛みつかれていました。映画をよく観ると、いくつかのシーンでバーンの唇が腫れているのが確認できます。

60日間ほぼ晴天…死体を見つける場面の曇天はどのように作られた?

スタンド・バイ・ミー
© Columbia Pictures

60日の撮影期間中ほぼ完璧な晴天に恵まれたことで、本作は曇天場面の撮影に苦労していたそうです。 少年たちが死体を見つけるシーンの撮影は、スタッフが広範囲にわたって周辺を布で覆って撮影に臨みました。

ロブ・ライナー監督の手腕と子役たちの迫真の演技の秘密

子供たちのリアルな表情を引き出すためのライナー監督の様々な工夫

スタンド・バイ・ミー
©︎COLUMBIA PICTURES

ロブ・ライナー監督は『スタンド・バイ・ミー』で子供たちの魅力的な表情を引き出すため、様々な演出を行なっています。 例えば死体を初めて目撃するシーンまで、子役たちも劇中のキャラクターと同様にその死体を一切目にすることはありませんでした。これは子役たちのリアルな表情と感情を引き出すための演出の一つです。 この他にも、バーンとゴーディが列車に追われる場面では安全に配慮して二人が実際に列車に轢かれる危険性がない撮影方法が選択された結果、ウィル・ウィートンとジェリー・オコンネルが緊張感を持てなくなってしまったため、ライナーは2人を怒鳴って怯えた表情を引き出そうとしました。

リヴァー・フェニックスのメンタルケアも

クリスがどれだけ自分が価値のない人間だと感じているか胸の内を吐露する場面を撮影した後、リヴァー・フェニックスは感情を抑えきれなくなっていました。 ライナー監督は、フェニックスを泣き止ませるためにしばらくハグをしていたそうです。

『スタンド・バイ・ミー』キャストのその後

ウィル・ウィートン/ゴーディ・ラチャンス役

ウィル・ウィトン
©︎WENN

本作の主人公であるゴーディことゴードン・ラチャンスは、その後作家として成功し、妻と2人の子供にも恵まれました。一方で、少年時代の仲間たちとの関わりは薄くなっていき、新聞記事で親友の死を知ることになります。 ゴーディを演じたウィル・ウィートンは、1987年から1990年にかけて人気テレビドラマ『新スター・トレック』に出演しました。2013年に放送が開始されたドラマ『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』には、たびたび本人役でゲスト出演しています。

リヴァー・フェニックス/クリス・チェンバーズ役

リヴァー・フェニックス
© LFI/Photoshot

劣悪な家庭環境に育ちながら、猛勉強の末に弁護士になったクリス・チェンバーズ。しかし、ファーストフード店で客同士の揉め事の仲裁に入り、運悪く刺殺されてしまいます。 彼を演じたリヴァー・フェニックスもまた、1993年に若くしてこの世を去ってしまいました。『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989年)や『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年)など、本作以降も様々な作品で活躍した彼の死は、世界に大きな衝撃を与えました。 ちなみに、実弟であるホアキン・フェニックスは『her/世界でひとつの彼女』(2013年)や『ジョーカー』(2019年)などに出演し、実力派俳優として知られています。

コリー・フェルドマン/テディ・ドチャンプ役

コリー・フェルドマン
©︎Celebrity Monitor, PacificCoastN

テディは目と耳が悪かったために憧れの軍隊には入れず、さらには刑務所暮らしをすることになります。そして、臨時雇いの仕事をしながら、キャッスルロックで暮らすことに。 テディを演じたコリー・フェルドマンは、『スタンド・バイ・ミー』出演後も子役として活躍を続けましたが、成長してからは大麻やコカイン中毒に苦しむようになります。また、離婚を経験したり、ハリウッドにおける子役への性的虐待を暴露し、自身も被害にあったと告発したりするなど、テディと同じく波乱万丈な人生を歩みました。 フェルドマンはその後、アニメ映画「ミュータント・ニンジャ・タートルズ」シリーズでメインキャラクターの声優を務めるほか、数多くの映画やテレビドラマに出演しています。

ジェリー・オコンネル/バーン・テシオ役

ジェリー・オコンネル
© Zuma/Avalon.red

物語ではバーンは高校卒業後、5人の父となり、製鉄所で働くようになりました。 バーンを演じたジェリー・オコンネルは、その後『ピラニア3D』(2010年)をはじめとする多数の映画やドラマに出演。アメコミ作品のテレビアニメシリーズなどでアニメ声優としても活躍しています。 私生活では、実写映画「X-MEN」シリーズでミスティーク(レイブン・ダークホルム)を演じたレベッカ・ローミンと結婚し、2008年に双子の女の子を授かりました。

キーファー・サザーランド/エース・メリル役

キーファー・サザーランド
©Dennis Van Tine/Geisler-Fotopres/picture alliance / Geisler-Fotop/Newscom/Zeta Image

不良グループのリーダー、エースを演じたキーファー・サザーランドは、名優ドナルド・サザーランドを父に持つサラブレッド俳優です。 本作以降もコンスタントに映画やドラマへの出演をつづけた彼は、2001年からスタートしたテレビシリーズ「24 -TWENTY FOUR-」で主人公ジャック・バウアーを演じ、世界的に大ブレイクしました。

ブラッドリー・グレッグ/アイボール・チェンバーズ役

ブラッドリー・グレッグ
© Daniel Deme / WENN.com/zetaimage

エース率いる不良グループのメンバーであるアイボール・チェンバーズ。右目が痙攣することからこのあだ名がつけられた彼の本名はリチャードで、クリスの兄でもあります。 アイボールを演じたブラッドリー・グレッグは、1989年の『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』をはじめ、本作への出演後にも数多くの映画やテレビシリーズで活躍しています。

ケイシー・シーマツコ/ビリー・テシオ役

バーンの兄であり、少年の死体を発見したビリー・テシオを演じたケイシー・シーマツコ。彼は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズの3-D(ビフの手下)役でも知られています。 その後は主にテレビで活躍しており、『NYPDブルー』(1996年〜2003年)や『ダメージ』(2007年〜2012年)など様々な作品に出演しています。また、「グランド・セフト・オート」シリーズや「レッド・デッド・リデンプション」シリーズなどの人気ビデオゲームにも声優として出演しています。

ジョン・キューザック/デニー・ラチャンス役

ジョン・キューザック
©Marechal Aurore/ABACA/Newscom/Zeta Image

ゴーディの兄であるデニー・ランチャスは、フットボールのスター選手で両親からも期待されていました。自動車事故で亡くなった彼は、クリスと同様にゴーディの文才を認めていた数少ない人物であり、ゴーディも兄を慕っていました。 デニーを演じたジョン・キューザックは2000年の『ハイ・フィデリティ』をはじめとする数多くの映画に出演。2016年の『セル』では、主演と製作総指揮を務めています。

『スタンド・バイ・ミー』は何度観ても楽しめる名作!

本作の少年たちの冒険のように、子供時代のなつかしい思い出は、多くのひとが持っているのではないでしょうか。 数々の映画賞にノミネートされた青春映画の金字塔『スタンド・バイ・ミー』。その製作現場には、子供たちが主人公である作品ならではの苦労や工夫がありました。それによって引き出された子役たちの自然な演技や表情には、何度観ても惹きつけられます。