2021年7月2日更新

映画『ヴィジット』のネタバレ考察!三つの約束の秘密とどんでん返しの結末とは?

『ヴィジット』(2015年)
©︎ UNIVERSAL PICTURES/All Star Picture Library/Zeta Image

この記事では、映画『ヴィジット』の謎や裏話を紐解き、より作品の魅力に迫る解説をしていきます。映画『ヴィジット』は、10代の姉弟が田舎の祖父母を訪れる物語で、衝撃の結末が話題になったホラー映画です。脚本・監督はM・ナイト・シャマランが務めました。

目次

いつものシャマラン監督とは一味違う!映画『ヴィジット』のネタバレ考察を徹底解説

映画『ヴィジット』は2015年に公開されたホラー映画で、監督と脚本を務めたのは『シックス・センス』(1999年)の大どんでん返しで、世界を驚愕させたM・ナイト・シャマラン。 10代の姉弟が田舎の祖父母を訪れ、彼らの奇怪な行動の背景にある衝撃の事実に直面する物語です。 この記事では、この映画のあらすじや見どころを結末まで徹底的に解説します。ネタバレ考察を含みますので未鑑賞の方はご注意ください。

【ネタバレ注意】予想外の展開から衝撃の結末!あらすじと姉弟の恐怖の一週間をおさらい

『ヴィジット』(2015年)
© Universal Picture/Photofest/Zeta Image

【起】姉妹が祖父母の家に滞在するまで……3つの奇妙な約束とは?

『ヴィジット』の主人公は、ペンシルベニア州の大都市・フィラデルフィアに暮らす15歳のベッカと13歳のタイラーの姉弟。彼らは同州の田舎に住む祖父母の農場に約1週間、泊りがけで遊びに行く準備をしています。 彼らの母・ロレッタは19歳のときに高校の先生と駆け落ちし、離婚して今に至るまでの15年間両親とは音信不通のままでした。 しかし、インターネットでロレッタと連絡を取れた彼女の両親は、まだ一度も見たことのない孫に会うため、ベッカたちを農場に招待したのです。 ベッカたちは母親と祖父母が和解するきっかけになるかもしれないと、滞在の様子をカムコーダーで記録することにしました。 祖父母の家で歓迎されたベッカたちは、「地下室は立入禁止」、「消灯時間は午後9時半」、「消灯時間後は部屋から出てはいけない」という3つの奇妙な約束を伝えられます。

【承】祖父母の奇行が姉弟を恐怖に陥れる!

滞在最初の夜のこと。眠れなくてお腹のすいたベッカは、消灯時間後こっそりと階下の台所に食べ物を取りに部屋を出ました。そこで目撃したのは、祖母が嘔吐しながら家中を徘徊している姿。ベッカは恐れおののいて部屋に戻ってきます。 その後数日、ベッカとタイラーは祖父母の度重なる奇妙な行動を目撃することになります。 まず、ベッカとタイラーが床下でかくれんぼをしていると、祖母が老人とは思えない素早さで彼らを追跡してきました。 またタイラーは農場の物置小屋で、祖父の排泄物が染み込んだ大人用オムツが、山のように積み重ねられているのを発見します。 姉弟はだんだんと祖父母に対し違和感を覚えるようになりました。

【転】隠しカメラが映し出した祖父母の正体

度重なる不可解な現象に、タイラーはある日の夜、隠しカメラを1階に設置して祖父母が何をしているか記録しようと提案します。 しかし、居間に設置した隠しカメラは、その夜徘徊する祖母に発見されてしまいました。祖母は大きな包丁を持って子どもたちの部屋に行きますが、鍵がかかっていて入れません。 翌朝この映像を見たベッカとタイラーは、ロレッタにすぐ迎えに来てくれるよう懇願します。ロレッタはSkypeに写った映像から、ベッカたちが泊まっている両親の家に住んでいるのは、まったく別人であることを知って愕然とします。 彼女は地元警察に電話しますが、誰も電話に出ないため、車を飛ばして両親の家に向かうことにしました。

【結】決死の脱出を試みるも……地下室の秘密とクライマックス!

一方、偽の祖父母はベッカたちにゲームで一緒に遊ぶことを強制します。ゲームの途中でカメラのバッテリーがなくなったと言って席を外したベッカは、地下室で本物の祖父母の遺体を発見しました。 偽祖父母の正体は、本物の祖父母がボランティアをしていた精神病院の患者だったのです! 祖母になりすましていた女性は、自分の子どもたちを殺し、その死体をスーツケースに入れて湖に投げ捨てた過去がありました。 ベッカたちの本当の祖父母から、可愛い孫たちが会いに来ると聞かされた彼女は、子どもと幸せな時間を過ごしたいという欲望にとらわれ病院を抜け出したのです。 祖父になりすましていた男性は、彼女に同情して一緒に精神病院を脱走した男でした。 ベッカに真相を知られた男は彼女を監禁しますが、ベッカはタイラーと力を合わせて彼らを倒し、駆けつけた警察に保護されます。

M・ナイト・シャマラン監督が本領を遺憾なく発揮。映画『ヴィジット』はなぜ話題になった?

監督を務めたのはスリラー界の鬼才、M・ナイト・シャマラン!

M・ナイト・シャマラン
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本作の監督を務めたM・ナイト・シャマランの代表作には、監督賞を含めアカデミー賞6部門にノミネートされた『シックス・センス』(1999年)がまずあげられます。 死者の霊を見る能力を持った少年を担当することになった小児精神科医の姿を描いたこの映画。衝撃の結末の伏線が、実は冒頭で大っぴらに出されていたというどんでん返しの仕掛けで観客をうならせました。 この作品以来、シャマランは「結末にどんでん返しが待っているゾッとさせられる映画を作る人物」というイメージが定着しました。 こうして彼は、『ヴィレッジ』(2004年)など興行的に成功した作品を次々と世に送り出していきます。

ツッコミどころ満載で予測不能な展開。コメディ色の強い演出が特徴

大人用オムツをため込む祖父や、全裸で徘徊する祖母の姿など、ゾッとする雰囲気にコミカルなものが混ざったシーンが多い『ヴィジット』。 実はこの作品、企画段階ではコメディの方向性で作られていたのだそうです。 コメディとスリラーのバランスが難しかったとシャマラン監督は語っており、試行錯誤の末に完全なコメディに偏りすぎないスリラー、という方向を固めたことで、異なる要素をバランス良くまとめられたと言います。

ストレートなオチに一瞬面食らう視聴者が続出

『ヴィジット』までのシャマラン監督は、SFや超常現象の要素を結末でアッと驚くどんでん返しと組み合わることで定評がありました。 しかし『ヴィジット』は、SFや超常現象の要素は一切なく、それでも十分に驚かされる結末で、良い意味で視聴者の予想を裏切る作品となっています。 日常的な素材だけを使い、ハラハラする演出を可能にした監督の手腕が、作品を魅力的なものにしたと言えるでしょう。 祖父母の振り切れた奇行の数々は、このようなお年寄りは実在するかも、と思わせるほどリアルで絶妙な不気味さ。 手持ちカメラの映像を基調に、登場人物が内面を吐露したり格闘したりする場面では、定点カメラに変わる柔軟なカメラワークが、さらに作品全体にメリハリをつけています。

謎が残る点も……ストーリーを更に楽しむための深掘り考察

『ヴィジット』(2015年)
© Universal Picture/Photofest/Zeta Image

本物の祖父母はいつ死んだ?

『ヴィジット』には、本当の祖父母はいつ殺されたのか、偽祖父母との接点はどこか、といった疑問への答えが、セリフなどの形で伏線として隠されています。 まず本物の祖父母と偽祖父母の接点。これは本当の祖父母が病院で心に問題を抱える人たちのカウンセリングのボランティアをしており、そこで偽祖父母と一緒に写っているような写真が、映画のなかでちらっと映し出されます。 本当の祖父母が殺害された時間は、映画のセリフなどを手がかりに推測できます。本物の祖父母がカウンセリングをしている病院から来た人たちは、彼らが土曜日の予定に現れなかったと言っています。 ベッカたちが農場に到着する月曜日には偽の祖父母に入れ替わっていましたから、本物の祖父母はその前の週末にかけて殺害された可能性が濃厚です。

どんでん返しではない......だからこそ分かり易い!

『ヴィジット』は家族の絆といった普遍的テーマを盛り込んだ物語であるため、シャマラン監督の映画を初めて観る人にも親しみやすい作品と言えます。 父母の離婚で心に傷を負った姉弟が、困難に直面することでその傷を克服して成長する姿には、誰もが胸を打たれるでしょう。 さらに親子の対立と和解も、この映画の重要なテーマの一つです。 そもそも主人公・ベッカが祖父母の家に滞在する様子をビデオで記録しようと思い立った動機は、母と祖父母を和解させることだったのです。 ロレッタがこの世で父母と和解するチャンスは永遠に失われました。しかし「両親が彼女を許す機会は十分にあった」とロレッタは言います。そうして彼女は、家族を捨てた父親にわだかまりがあるベッカに、「怒りに執着してはいけない」と言い聞かせるのでした。

映画『ヴィジット』はシャマラン監督の才能光る奇作!

『ヴィジット』(2015年)
© Universal Picture/Photofest/Zeta Image

この記事では、M・ナイト・シャマランの異色のホラー映画『ヴィジット』について解説しました。 コメディとシリアスな要素をバランスよく混ぜるシャマラン監督のセンスが存分に発揮された『ヴィジット』は、彼の才能を強く印象づける作品となりました。 シャマランは、特にホラー映画が好きな人にとっては目を離せない監督の1人です。