『レジェンド＆バタフライ』結末までのあらすじネタバレと感想・史実を解説！キムタク信長の評判はいかに……？

政略結婚で尾張の戦国大名・織田信長の正室となった、美濃の戦国大名・斎藤道三の娘・濃姫。全く気が合わず、新婚初夜から大騒動を起こします。 あるとき父・斎藤道三が内乱によって殺されると、存在意義を失った濃姫は自殺を試みました。しかしそこで彼女を救ってくれたのが信長だったのです。信長は濃姫を支え、生きる意味を与えました。 政略結婚で夫婦となった2人が、どのように絆を強め戦国の世を生きていったのかを描く壮大な愛の物語です。

尾張国と美濃国の和睦のため、政略結婚を強いられた織田信長と濃姫。互いが互いを「見た目ばかり」「強情」だと毛嫌いし、ことあるごとに喧嘩していました。 ある日信長は、自ら持ちかけた狩りの勝負に惨敗した上、崖から落ちかけたところを濃姫に助けられます。しかし信長は、海を見下ろしながら異国への憧れと夢を語る彼女に憧れを抱くのでした。 そんな中、濃姫の誇りだった父・斉藤道三が兄・義龍に殺されます。濃姫は人質としての役目がなくなったと、自害を図りました。そこへ信長が止めに入り「お主の役目は、わしの妻じゃ」と諭します。 数年後、4万超の今川軍が尾張へ侵攻を開始し織田家は絶対絶命の危機に瀕していました。織田軍との戦力差は明らかで、信長は家臣を助けるためにも切腹しようと考えます。しかし濃姫の戦略と鼓舞によってピンチを脱し、やがて美濃をも取り返しました。

美濃を支配下に収めると、信長のもとに時の将軍・足利義昭から上洛の要請が入ります。しかし信長は話に乗るべきか迷っていました。 そこで濃姫は、亡き父が抱いていた天下不武の夢を実現するために、信長を利用してやると言います。焚き付けられた信長は多くの戦を経てついに京にたどり着きました。 京まで呼び寄せた濃姫と一緒に信長は民衆に紛れて市へ。異国の文化や音楽を楽しみますが、途中スリに合います。路地裏へ誘い込まれた濃姫は初めて人を殺めました。 その後、同盟相手の浅井長政が裏切り、浅井・朝倉連合軍との戦に発展。同時期に濃姫は流産するも、信長は戦の窮地を理由に彼女と深く向き合いませんでした。長引く戦を終わらせるべく、敵軍を支援する比叡山延暦寺の焼き討ちを決めます。 家臣が止める声も、濃姫の説得も聞き入れない。覇道を往くために信長は冷酷無比な「魔王」へ変ぼうしていくのでした。

勝利を祝う宴が開かれ、信長は明智光秀が持ってきた浅井・朝倉の髑髏で酒を飲みます。濃姫は穏やかな夫婦への憧れから彼を諫めるも、逆に責められてしまいました。 本当はずっと前から、当初の打算と関係なく信長に恋をしていた濃姫。もう片思いには耐えられないと、離縁を申し出た彼女に信長も頷きました。信長も自らの覇道に、濃姫を付き合わせてはいけないと考えていたのです。 すれ違いのすえ濃姫は故郷の山に移り住み、子どもたちに字を教えながら穏やかな日々を送ります。 一方信長は武田軍との「長篠の戦い」に勝利し、着々と天下統一に近づいていきました。しかし心はどこか虚しく、戦っている理由すらわからなくなります。 信長が濃姫を想っている頃、彼女は胸の病で寝込むようになり、刻一刻と死が迫っていました。

濃姫の家臣・貞家の独断により、濃姫の病を知った信長が美濃国へ駆けつけます。それでも虚勢を張る濃姫ですが、素直になった彼に説き伏せられました。 信長は濃姫を連れて安土城へ帰城。甲斐甲斐しく世話を焼きます。しかし家臣の明智光秀は「魔王」としての信長を望んでおり、天下取りより妻を優先させる主君に不満を募らせてました。 ある日信長は朝廷の呼び出しを断りきれず、濃姫と「必ず帰る」と約束をして、持ち物(蛙の御守と南蛮の楽器)を交換し京へ発ちました。

しかし光秀が謀反を起こし「本能寺の変」が起こります。最初こそ森蘭丸と善戦する信長でしたが、ついに四方を火に囲まれ、倒れ込みます。しかし倒れた拍子に懐から蛙の陶器が落ちました。 蛙に導かれ、隠し扉を這って出て濃姫のもとへと急ぎます……。「2人で南蛮船に乗って、異国へ行こうぞ」。出発前に交わした約束を果たすべく、2人は誰にも告げず安土城を後にしました。 ある朝、濃姫は南蛮の楽器を抱えたまま壁にもたれて息絶えていました。顔には優しい笑みが浮かんでいます。一方、信長は炎の中で目覚めると、濃姫の笑顔を想いながら首筋に刃を当てました。

信長が濃姫と結婚する15歳～16歳から死没する49歳まで、木村拓哉が1人で演じています。 木村がジャニーズ事務所へ入所したのがちょうど15歳。国民的アイドル・俳優へ至る栄光と苦悩を経て、50代になって増した凄みが役柄と重なり、「信長そのものだった」と高評価されました。

中盤以降は信長と濃姫がすれ違い、大友監督らしい丁寧に心情を綴る演出が入ります。 しかし2人が別々の場所にいることもあり、セリフがほぼないまま2人の葛藤をあらゆる表現と角度から表現するため「クドい」という意見も……。代わりに合戦シーンをもっと増やしてほしかったという指摘もありました。

異国へ渡る船に水が入ってきてしまい、沈没かと思われた直後に注目。船首に立つ濃姫を信長が愛おしげに抱きしめ、『タイタニック』状態になるシーンがあります！2人が同時に見ていた夢だっただけに余韻が切なく、SNS上で話題になりました。

濃姫は天文4年(1535年)に美濃国の戦国大名・斎藤道三と小見の方の間に誕生しました。別名「帰蝶」あるいは「胡蝶」。彼女の史料は極端に少なく、本名や死没年すらも不明のままです。 幼くして2回離婚歴があったようですが、信長と政略結婚した後、濃姫の名前と存在は歴史上からパッタリと消えてしまいます。 跡継ぎがいなかったことや、墓所の位置などわずかなことしか後世には伝わっていません。

歴史映画・ドラマだけでなく、ゲームなど様々な媒体で取り上げられてきた濃姫。決まって気が強い女性として描かれますが、これは父・道三との逸話が基になっています。 道三は濃姫が織田家へ輿入れする際、彼女に「織田信長が噂通りのうつけ者であったなら、刺し殺してしまえ」と言って短刀を手渡したそう。父に対して濃姫は、「父上を刺し殺すかもしれません」と返したと伝えられており、後世の“マムシの娘らしい”イメージへ繋がっていったのです。

濃姫と結婚した直後、父の後を継いだ直後に信長は、守護代の大和守家と伊勢守家、そして弟の信行の反乱に合い、彼らを滅ぼして尾張一国の支配を強めていきます。

1560年、駿河の大名・今川義元が大軍で尾張を攻めてきます。絶体絶命かと思われたピンチを、信長は奇襲をかけることで切り抜けます。この勝利がきっかけで徳川家と同盟を結ぶことになりました。

濃姫の故郷である美濃の斎藤家と織田家は、長い間敵対関係にありました。しかし力が拮抗していたため婚姻によって和平の道を歩んだのです。 しかし濃姫が嫁いだ少し後に、濃姫の父・斎藤道三は息子・義龍によって殺されてしまいました。その後再び織田家と斉藤家は対立しますが、なかなか勝敗はつかず、1567年にようやく稲葉山城の戦いで信長が美濃を支配下に収めます。 その直後から信長は「天下布武」の印を使用し始めたのでした。

足利義昭とともに上洛した信長は天下統一を目指し戦を重ねていきますが、浅井長政の裏切りによって窮地に陥ることになります。 浅井長政の家にはそもそも、信長は自身の妹を嫁がせることで講和を結んだはずでした。しかし浅井はそれよりもっと昔から、朝倉家と同盟を結んでいたのです。そのことを知りながら信長が朝倉を攻撃しようとしたため、浅井家は朝倉側についたのでした。 浅井・朝倉の連合軍に信長が勝利したこの戦は「姉川の戦い」と呼ばれています。

数々の大名を打ち破ってきた信長をもっとも苦しめたと言っても過言ではないのが、比叡山延暦寺の僧たちです。姉川の戦いで打ち破ったはずの浅井・朝倉連合軍はその後も敗走を続け幾度となく信長に戦をしかけてきますが、それを背後から支援していたのが延暦寺でした。 相手が立てこもり、一度は天皇の朝廷により和睦させられた信長。しかしその後もゲリラ的な抵抗が続き、ついに焼き討ちという手段に出ます。この戦いでの死者は数千人にのぼったと言われています。

比叡山延暦寺焼き討ちや、三方ヶ原の戦いでの織田・徳川連合軍の敗北を聞いた将軍・足利義昭は信長と対立していきます。そして信長はついに自らを京へ呼び寄せた将軍・足利義昭を京から追放してしまいました。 名実ともに天下を収めようと、信長はようやく浅井長政・朝倉義景・三好義継を攻め滅ぼすことに成功しました。

甲斐の武田信玄は、信長の最大の敵と言われていました。信長が近畿の勢力に兵を取られている間に、武田軍は三方ヶ原の戦いなどで圧勝し、どんどん織田家の同盟国・徳川家の領地を侵攻していきます。 しかしあるとき武田信玄が病死。総大将を失った武田軍は乱れ、その隙に徳川軍は領地を取り返します。ついに信玄の跡を継いだ勝頼と、信長・家康連合軍は長篠で決戦を交えますが、結果は圧勝でした。 戦国最強と言われた武田の騎馬隊を信長が鉄砲隊で撃ちまかし、名実ともに「天下人」となったのです。

1982年、明智光秀が13000人もの大軍を率いて京都・本能寺に宿泊していた信長に謀反を起こした事件が「本能寺の変」です。しかしいまだ謎に包まれている点も多く、真相は藪の中です。 たとえば信長の遺体は結局見つかっておらず、映画のように本当に隠し通路から逃げていたとしてもおかしくはないのです。 また光秀が本能寺の変を起こした理由もわかっていません。信長を恨んでいたのか、さらなる罰が下ることを怖がっていたのか、もしくは自らが天下人となりたいという野望を持っていたのか……。真意は誰にも知ることができません。 大友監督の脚本通り、「魔王」になりきれなかった信長に光秀が幻滅したという解釈がもしかしたら真実なのかもしれませんね。

織田信長役を演じるのは俳優の木村拓哉。SMAPのメンバーとして一世を風靡したトップアイドルで、グループ解散後は人気俳優としてドラマや映画、CMなどで活躍中です。 かつてドラマ『織田信長 天下を取ったバカ』(1998年)で主演を務めた経験があり、今回20年ぶりに織田信長という役を演じることになります。俳優としてさまざまな経験を積んできた彼が、一体どのような新しい「織田信長像」をみせてくれるのか、今から期待大です。 今回の出演にあたっては、「彼(信長)を演じさせていただけるという、本当にこの上ない舞台を用意していただいたので、全力で演じさせていただきました」との熱いコメントを発表しました。

信長と政略結婚をさせられた濃姫を演じるのは、女優の綾瀬はるか。演技に対するまっすぐな姿勢と、普段の天然キャラのギャップで人気を呼び、数多くのファンを獲得しています。国民的イベントである紅白歌合戦でも、これまで3度紅組の司会を務めました。 おもな代表作としてはドラマ『ホタルノヒカリ』(2007年)や『義母と娘のブルース』(2018年)などが挙げられます。ほんわか系から堅物系まで幅広い役柄をこなす女優です。気が強い女性として知られる濃姫をどう演じるのか、彼女の演技にもぜひ注目してみてください。 映画発表会見では、本作について「今までに観たことのない信長と、夫婦の物語が描かれている」作品だとコメントし、脚本の面白さや素晴らしさを語りました。

濃姫の侍従である福富平太郎貞家(ふくずみへいたろう さだいえ)を演じるのは、俳優の伊藤英明です。 彼はドラマ「海猿」シリーズの熱い海上保安官役、映画『悪の教典』(2012年)のサイコパス教師役など、さまざまな作品で幅広い役柄をこなしてきました。歴史ファン・信長ファンでもあるそうで、本作の映像が完成するのが楽しみだと語っています。

濃姫の筆頭侍女・各務野(かがみの)役は女優の中谷美紀が務めます。おもな代表作は、『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』(2016年)、『総理の夫』(2021年)などです。 侍女として濃姫を愛おしく思う気持ちをたっぷり詰め込み、芝居に臨んだと語っています。綾瀬はるかとどんなコンビネーションを見せてくれるのかも気になるところです。

織田信長に信頼されていた武将・明智光秀(あけち みつひで)役は、俳優の宮沢氷魚です。『コウノドリ』の第2シリーズ(2017年)への出演で俳優デビューを果たし、映画『騙し絵の牙』(2021年)で第45回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞するなど、今後の活躍が期待されます。 出演にあたって勉強や研究を重ね、自分にしかできない明智を作り上げてきたとのこと。気合十分なコメントに期待が高まります。

信長に忠誠を誓った側近・森蘭丸(もり らんまる)を演じるのは、歌舞伎役者の市川染五郎です。時代劇映画に出演するのははじめてですが、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022年)では木曽義高という役どころを演じています。 木村拓哉との共演シーンが多く、殺陣の稽古もみてもらったとコメントの中で話しています。歌舞伎とはまたちがう姿を存分にみせてくれることでしょう。

濃姫の父親である斎藤道三(さいとう どうさん)を演じるのは、俳優の北大路欣也。『忠臣蔵』や『子連れ狼』など、数々の時代劇でも活躍してきた人物です。2007年には紫綬褒章、2015年には旭日小綬章を受賞しています。 信長と出会い、彼の自分の娘を託した道三という男をどう魅せてくれるのか、ベテランならではの演技に注目したいところです！

織田信長の家臣として出世し戦国の一時代を築いた豊臣秀吉を演じるのは、TEAM NACS所属の音尾琢真です。歴史的に有名な人物で、これまで竹中直人(『秀吉』)や佐々木蔵之介(『麒麟がくる』)など、多くの俳優が演じてきました。 信長と対照的に描かれる「エネルギッシュな成り上がり者」を音尾はどう演じるのでしょうか？

豊臣秀吉から天下を奪う才知に長けた戦国武将・徳川家康を演じるのは、俳優・監督として活躍する斎藤工です。「どっしりとした、懐の深い“柔”の存在感で信長と渡り合える俳優」として、『シン・ウルトラマン』(2022年)でのウルトラマン役が記憶に新しい斎藤が起用されました。 信長を演じる木村拓哉と斎藤工はドラマ『BG〜身辺警護人～』で共演しているため、2人の息の合った演技に期待が高まります。

『THE LEGEND ＆ BUTTERFLY』には原作がなく、完全オリジナルのストーリーが展開されます。 脚本を務めるのは、ドラマ「リーガルハイ」シリーズや「コンフィデンスマンJP」シリーズで知られる古沢良太です。コミカルとシリアスのバランスが絶妙な物語を生み出す人物で、プロットの面白さにも定評があります。2023年の大河ドラマ『どうする家康』でも脚本を担当する予定です。 本作では「夫婦の物語」という新たな切り口から、日本史上のカリスマ的存在である信長の新たな姿を描こうとしたとのこと。歴史に興味がない人でも楽しめる作品に仕上がったとコメントしています。

『THE LEGEND ＆ BUTTERFLY』の監督を務めるのは大友啓史。歴史ドラマから漫画の実写化、社会派ドラマなど、幅広いジャンルの作品を手がけてきた人物です。スケールの大きな映像を撮ることでも知られています。 おもな代表作として知られるのは、佐藤健が主演を務める実写映画「るろうに剣心」シリーズ。クオリティの高いアクションとリアリティたっぷりの描写が高く評価され、原作ファンからもそうでない層からも人気を集めました。 本作でもこれまでの経験を活かし、壮大で圧倒的な世界観を作り出してくれることでしょう。

総製作費20億円という金額からも気合の入りようが伝わってくる映画『レジェンド＆バタフライ』。 東映70周年記念作品としてふさわしい作品に仕上がりました！豪華キャストと実力派スタッフがどんな作品を披露しているのか、実際に確かめてみましょう。