映画『シャイロックの子供たち』ネタバレあらすじ・西木のラストを考察!『ヴェニスの商人』の本当の意味は?
映画『シャイロックの子供たち』あらすじ【ネタバレなし】
東京第一銀行・長原支店。ここには、出世街道を外れた課長代理・西木雅博をはじめ、業績のためにはパワハラも辞さない副支店長、真面目な女性行員、いつも成績トップのエースなど、さまざまな行員たちがそれぞれに事情や思いを抱えながら働いています。 ある日、そんな長原支店で100万円の現金紛失事件が発生。女性行員・北川愛理のバッグから当日の日付の入った札束の帯封が発見され、疑いがかかります。北川の上司である西木は、現金紛失事件の真相を追うことに。しかし、西木は突然失踪してしまいます。 やがてある小さな疑問から、現金紛失事件の裏に隠された驚くべき「不正」が明らかになっていき……。 登場人物相関図はこちら
映画『シャイロックの子供たち』結末までのネタバレ
プロローグ
シャイロック、それは『ヴェニスの商人』に出てくる悪徳な金貸し。検察官の黒田道春は、妻と一緒に観劇に行って改めて考えていました。 ー金は返せば良いと言うものではない。ー 黒田はかつて支店で働いていた頃、不正をある男に見つかって見逃してもらいました。金曜日にATMからお金を抜き土日に競馬に注ぎ込んで、月曜日にお金を返していたのです。
【起】10億円のあやしい融資
それから何年後か、長原支店では業績を上げるためにパワハラが横行していました。特に新規開拓班へのプレッシャーはきつく、1人は病みかけているほど。そこに異動したての滝野真は、エースとして期待を背負っていました。 ある時副支店長から、早めに融資できそうな所はないのかと焦らされます。そこで滝野は「江島エステート」という会社が10億の融資を望んでいると発表してしまいました。 しかし江島エステートは事実上倒産しており、かつての取引先の社長・石本浩一のペーパーカンパニーと化していたのでした。滝野は石本に弱みを握られていたため、ペーパーカンパニーであるという事実を知りながらも滝野は江島エステートへの融資の稟議を書いたのです。 稟議は不審な視線を受けつつも結局通り、10億円の融資は決行されてしまいました。
【承】2つの大きな事件
①100万円紛失事件
10億円の融資を受け取ったにも関わらず石本浩一の金回りは危うく、すぐに利息の支払いが滞りかけていました。滝野は支払いを肩代わりしてくれないかと依頼を受けます。滝野は結局、自分が不正に加担したという事実を隠すため、支店から100万円を盗み利息を払いました。 100万円が消えたことで支店は大騒ぎ。100万円を顧客のもとへ届けるはずだった田端洋司は謝罪し、ひどく落ち込みます。私物の検査まで行われ、北川愛理が疑われることになりました。しかしこれは、北川を妬んだ女性行員の悪戯でした。 上司である西木雅博は北川の味方をします。結局100万円は見つからず、九条支店長と古川副支店長、西木たちが私財で穴埋めしました。 行員には100万円は見つかったと説明しますが、不信感が募ります。根本的に事件は解決していないため、西川と北川は調査を続けました。 そんなある日西川は、ヤクザに誘拐されそうなところを滝野に助けられます。実は西川は、兄の会社が金を借りるとき連帯保証人になっていたため、借金取りに追われていたのでした。
②10億円の不良債権
数ヶ月後、江島エステート宛の郵便物があったため、不在だった担当の滝野の代わりに田端が住所まで直接届けに行くと、そこはボロアパート。とてもオフィスとは思えない場所でした。 さらにその少しあと江島エステートが倒産し、もとから担保がほぼなかった10億円の融資はすべて不良債権と化してしまいました。 あまりの被害額に、黒田たち検査部が検査に入りますが、黒田は過去の不正を九条支店長に見られており、それを引き合いに追い返されてしまいます。
実は西木は、ゴミ箱を調べた際に滝野から江島エステートに宛てた100万円の振り込み領収書を見つけていました。さらに北川に嫌がらせをした女性行員を問い詰め、帯封が食堂に落ちていたことも知っています。融資で使われた印鑑証明書が偽物だったことも突き止めました。 不審なボロオフィス、滝野による100万円の入金、不審な稟議の承認と突然の不渡り。糸と糸がつながり、3人は滝野を居酒屋に呼び出します。しかし滝野はろくに話を聞かずに、走って去ってしまいました。
【転】黒幕はまだ奥にいる
西木はそもそも無理な融資が通ったこと自体に疑念を抱き、今度は自店の上層部を調べます。すると予想通り、九条支店長が石本浩一とつながっていました。 出世コースが断たれ、次には子会社へ出向することがほぼ確定している九条支店長はせめて裏金を溜め込もうと、石本浩一と組んで架空融資に加担していたのです。 それを突き止めた西木は、再度滝野を呼び出します。そして滝野も九条と石本に利用されていたのだという真実を伝え、2人がキャバクラから出てくる証拠写真も見せました。 「どうしたら良いんですか」と問う滝野。西木は「それはお前が決めることだ。」と答えます。西木自身は「基本は性善説。やられたら倍返しってな。」と何やら企んでいるようでした。
【結】西木の倍返し
西木はちょうど相談を聞いていた飲み友達の老人・沢崎肇と組んで九条支店長と石本から金を騙し取ろうと企みます。 沢崎肇はやっかいなビルを所有していました。それも建築士が不正を働き、耐震構造に問題があるビルです。西木はそのビルを、さも何も問題がないかのように見せかけて、2人に売り付けようと考えました。 リスクは2つ、もし2人が建築構造がわかるなら図面を見れば欠陥に気づいてしまうことと、不正を働いた建築士がノイローゼ気味だったため警察に自首しようとしていたことです。 しかし図面の問題には気づかれず、無事売却は完了。建築士は売却直後に自首しました。 大金を手にした沢崎は、西木にお礼のお金を渡します。最初は断る西木でしたが、借金のことを引き合いに出され、受け取ってしまいました。
エピローグ
滝野は自首して刑務所に入り、3年の刑期を終えて出所していました。刑務所の前で家族が、あたたかく彼を迎えてくれています。 検査部の黒田も過去の不正を自白して、ペットショップで働いていました。銀行員は続けられませんでしたが、その心持ちは清々しそう……? 北川と田端は、2人で『ヴェニスの商人』の観劇に来ていました。エスカレーターを登る途中、北川は西木を見かけます。実は西木は銀行員をやめて、行方がわからなくなっていたのです。慌てて追いかけましたが見当たらず、諦めた2人。西木は高そうなスーツを着て、颯爽と歩き去りました。
登場人物相関図
【考察】西木はその後どうなったのか?
西木は課長代理として出世コースを外れ、多額の借金まで抱えていました。しかしそれでも「やってない」と言う部下の訴えを信じてくれる、心優しい人物であったように思います。 しかし銀行員というのは大金を扱う仕事。常に誘惑が近くにあるのです。西木もまた誘惑に負け、「シャイロック」となってしまった1人ではないでしょうか。 そう考えると北川が遭遇した彼は、すでに金持ちになっていて、その後に待ち受けるのは九条や石本と同じような、そしてシャイロックと同じような破滅だと考えられます。 ちなみに原作での西木はもっと早い段階から失踪しており、より怪しげなキーパーソンとなっていました。
【考察】『ヴェニスの商人』の本当の意味とは
『ヴェニスの商人』あらすじ
舞台はイタリアの都市「ヴェニス」。貿易商人アントーニオは、富豪の娘ポーシャに求愛するための旅費を借りたい、と親友バサーニオから依頼されました。 しかし、投資のために全財産を船に乗せており、高利貸しのユダヤ人シャイロックを頼ることに。無利子で貸す代わりに、アントーニオの肉1ポンドを担保する契約を持ちかけられます。その証文に署名したアントーニオでしたが、彼の船がすべて難破したとの噂が! シャイロックはユダヤ人を虐げてきたヴェニスの商人に復讐できると、すぐさま裁判を起こしたものの、ポーシャの機転によって形勢が逆転。殺人未遂の罪に問われ、キリスト教への改宗と娘夫婦へ財産の半分を譲ることを命じられます。
シャイロックが“悪い”理由
映画冒頭で黒田の妻が語っていたように、シャイロックはそんなに悪い奴なのか?と思った人もいるのではないでしょうか。お金を借りておいて返せなかったアントーニオの方が悪いのではないかと。 しかしシャイロックは2つの悪徳を働いています。人の命を軽んじていることと、他人の弱みに漬け込んでいることです。 誰にでも人生が予想外に狂う瞬間はあります。アントーニオはもともと貿易船を持っており、決して無理な借金をしたわけではありませんでした。しかし予想外の事故に見舞われたのです。 人生のピンチを助けるのが「銀行員」なら、自分の利益を追い求めるだけなのが「金貸し」。シャイロックは、西木のことを追っていた闇金と同じです。 西木も他人の弱みに漬け込んで自らの利益を作り出した時点で、銀行員としての資格を失いました。
タイトル『シャイロックの子供たち』の意味は?
タイトル『シャイロックの子供たち』の“子供たち”は「息子」というよりも「予備軍」的なニュアンスだと思われます。まだシャイロックにはなっていない、今後なるかもしれない者たち。それは紛れもなく、自らの業績を追い求めようと奔走する銀行員たちのことです。 彼らは金や欲に目が眩んで、またはやむを得ない事情で犯罪に手を染めて、いつか破滅してしまう危険と常に隣合わせで働いています。 西木雅博は一線を越えたという意味で、すでにシャイロックの「子供」ではなく、シャイロックそのものになってしまったと言えるかもしれません。だとすれば彼に今後待っているのも、シャイロックと同じような破滅の道ではないでしょうか。
「金は返せば良いというものではない」を深読み
タイトルには「シャイロック」が入っていますが、冒頭では黒田が「金は返せば良いというものではない」と意味深なセリフを残します。 『ヴェニスの商人』の中で金を返そうとしたのはシャイロックではなく、アントーニオの友人バサーニオ。このセリフは暗に、バサーニオのことを批判しているとも取ることができるのです。 バサーニオは優しい友人であるアントーニオからお金を借りて富豪の娘に求婚し、おかげで結婚を成立させて、嫁ぎ先の家のお金を返すことで最後アントーニオを助けようとしました。 しかしシャイロックはアントーニオを普段から憎んでいたのでバサーニオからのお金を受け取ろうとしません。普段の憎しみから、彼を殺そうとします。 結果的にバサーニオの結婚相手である富豪の娘・ポーシャが法学者に扮しアントーニオをなんとか救いますが、あまりこれは公平な裁判とは言えませんね。 金を返せば良いと軽く考え、不正に手を染めかけているバサーニオこそ、本当の「シャイロック予備軍」なのかもしれません。
原作小説と映画の違いは?
- 黒幕が西木→九条支店長に
- 西木が支店長に倍返しする
- 滝野や黒田のその後が描かれる
映画は原作小説は全くの別物。キャラクターもそれぞれ違うオリジナルストーリーです。 特に違うのは西木のキャラクター。原作小説では一番怪しげな立ち回りをしたのが主人公の西木でしたが、映画では良い奴なのに一番最後に誘惑に負けてしまう、「シャイロックの子(予備軍)」として描かれていました。 また映画では、滝野や黒田など、一度は誘惑に負けてしまったキャラクターが更生したその後も描かれています。「金は返せば良いというものではない」という最初の映画のメッセージが刺さる仕様になっていました。
原作小説『シャイロックの子供たち』ネタバレ
【起】銀行の歯車
長原支店の副支店長・古川一夫は、反抗的な態度を取る部下の小山徹を殴るという問題を起こしてしまいます。とにかく上司の言う通りに動き、がむしゃらに業績を上げてここまで来た古川にとって、名門大学卒で、目標達成より「客のため」を優先する小山は腹の立つ存在でした。 しかし小山には、古川に責任をなすりつけられた恨みがあったのです。傷害事件として警察に訴えられたものの不起訴となり、小山は退職します。 目標を大きく割り込む実績報告に古川が腹を立てる中、「エース」の滝野が5000万の投信を獲得してきます。古川は滝野を褒め、他の行員たちを叱責するのでした。
【承】100万円紛失事件
北川愛理は毎月手取りの半分を家族に振り込み、質素な生活をする行員です。しかし長原支店の同僚たちが憧れる三木哲夫と付き合うようになってからは、彼に見合う女性になるためにと、自分や彼のためにもお金を使うようになっていました。 そんな中、長原支店で現金100万円が足りないという事件が発生。店内を捜索すると、ロッカーに置いていた北川のバッグの中から当日の日付の入った札束の帯封が見つかります。 北川は、古川らから事情を聞かれることに。上司の西木に「やっていない」と訴えると、西木は北川の言葉を信じてくれました。そして西木は帯封の指紋を見れば真犯人がわかると言い、科学雑誌の付録だという指紋検査キットを持ってきて調べ始めます。
【転】西木の失踪とある行員の秘密
北川のカバンから帯封が見つかった真相は、三木の元恋人で北川の先輩の半田麻紀が、嫌がらせで拾った帯封を入れたからでした。半田は退職することになり、表向きは100万円が見つかったとして解決します。 しかし実際は、長原支店の役員から金を集めて補填し、失態をごまかしただけ。これは、あってはならない問題行為でした。 そんな中、西木が無断欠勤し、行方がわからなくなります。西木の後任が来るまで営業課課長代理を任されたのは、融資課の竹本直樹。竹本は、西木の私物から謎のガラクタを発見します。それはあの帯封と、行員たちの私物でした。やがて竹本は、西木が彼らの指紋を調べていたことに気づきます。
もみ消された検査
その中で唯一持ち主がわからなかったクリップ入れが、帯封と共にいつの間にかなくなっていました。西木は殺されたのではないか?ーーそんな疑念を抱きながらも、竹本は広島支店へ異動していきました。 その後、長原支店に抜き打ち調査が入ります。検査部の黒田道春は、紛失した100万円を役員らがポケットマネーで補ったことに気づきました。本部に報告するという黒田に対して、支店長・九条はある出来事を話します。 それは、8年前にギャンブルにハマった黒田がATM補充分から1000万円を抜いて競馬に使い、勝った分から戻したという事実。そうして、100万円の件は内密に揉み消されたのでした。
【結末】すべての事件の黒幕
融資課の新人である田端洋司は、北川の頼みで、業務課の滝野が獲得した江島工業に届け物をします。金のある優良企業のはずが、住所にあったのはボロいアパートでした。気になることが放っておけない性格の田端は、再度アパートを訪ねます。管理人に話を聞くと、その住所に江島工業は存在しませんでした。 田端は北川に相談し、一緒に調べることに。すると、江島工業の重要書類が全て偽物であることが発覚します。“エース”の滝野は、以前いた赤坂支店での取引先の社長・石本浩一と癒着し、架空融資をしていたのです。
ヒーローの素顔と行方
実際のところ、滝野は騙されたも同然でした。石本から融資の月の利息分100万円を立て替えろと言われたため、滝野は長原支店から100万円を盗んだのです。 逮捕された滝野は、架空融資と西木の殺人を自供しました。ただ西木の殺害は石本に任せたため、西木の死体の場所はわからないと言います。石本は逃亡しており、行方がわかりません。 数年前に行員だった夫を自殺で亡くした河野晴子は、西木の私物を遺族に渡すよう命じられ、西木の社宅を訪れます。家族は留守で、代理で預かることになった高橋から、西木が今にも潰れそうな会社の連帯保証人になっていること、家族とは別居していることを聞きました。 その後、滝野の件を本社に報告するために、赤坂支店が保存する書類のコピーを頼まれた晴子は、書類に目を通すうちにあることに気がつきました。それは石本の会社を新規獲得したのが、西木であるということ。 石本と西木が知り合いなのは偶然なのか……?晴子の心に「西木はどこかで生きているのではないか」という考えが浮かぶなか、羽田沖で40代男性の腐乱死体が発見されます。しかし解剖の結果、それは西木ではありませんでした。
映画『シャイロックの子供たち』感想・レビュー
公式から告知されていたとおり、完全に別物の『シャイロックの子供たち』。オリジナルキャラが根幹に関わるし、ラストも現代らしいアレンジだなと思いました。普段は「原作に忠実に!」派ですが、シーン構成を大きく変えた分、原作の難解な部分がわかりやすくて良かったです。雰囲気は原作とかなり違うので、未読の人はあの重苦しさを体験してほしい!
原作は淡々としたコンゲームで、映画は人間ドラマに振り切った印象。章立ての短編集を映画化しただけあってそれぞれちゃんとキャラ立ちしてる!たぬき親父たちの騙し合いが見ていて楽しい。「半沢直樹」でも思ったけど銀行の闇は怖すぎる……。自分はドラマ版キャストが定着してたから、最初だけ誰が誰だか状態になってしまった。
原作小説『シャイロックの子供たち』の感想と考察
『シャイロックの子供たち』とは銀行という巨大な組織で、利益や自分の出世・業績を一番に考えざるを得なくなった行員たちを指しているように思えます。それぞれに夢や家族への想いを抱きながらも、ちょっとしたきっかけによって信念は崩れていく。 この小説は、そんな行員たちの葛藤に心を揺さぶられる短編ドラマ集であり、実は水面下で大犯罪が進んでいる長編ミステリーという、見事な二重構造になっているのです。徐々に彼らの物語が微妙に交錯していることがわかり、そして大きな事件の真相へと繋がっていくため、興味が途切れず一気に読めました。 「半沢直樹」のようなスカッと痛快な復讐劇とはまた違い、人が働く理由とは何か、幸せとは何かを問う物語。ラストで真相の一部が読者に委ねられるため後味はスッキリしないものの、切ない余韻が尾を引きます。
映画のキャスト・登場人物一覧
西木雅博 | 演:阿部サダヲ 出世街道を外れた営業課課長代理 |
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北川愛理 | 演:上戸彩 営業課相談グループの行員 |
古川一夫 | 演:杉本哲太 副支店長 |
滝野真 | 演:佐藤隆太 業務課のエース |
田端洋司 | 演:玉森裕太 融資課の行員 |
九条馨 | 演: 柳葉敏郎 支店長 |
石本浩一 | 演:橋爪功 不動産会社社長 |
沢崎肇 | 演:柄本明 ??(映画オリジナルキャラ) |
黒田道春 | 演:佐々木蔵之介 銀行本部検査部 |
西木雅博(にしきまさひろ)役/阿部サダヲ
東京第一銀行・長原支店の、出世街道を外れた営業課課長代理。いつもヘラヘラしていてなれなれしいが、どこか憎めず部下からの信頼は厚い人物。現金紛失事件で疑われた北川愛理の直属の上司で、「やっていない」という彼女の言葉を信じ、真相を探ろうとします。 西木を演じるのは、阿部サダヲです。さまざまな作品で個性的な役柄を演じてきた彼は、2007年に『舞妓Haaaan!!!』で映画初主演。以降も幅広い作品で活躍しています。
北川愛理(きたがわあいり)役/上戸彩
東京第一銀行・長原支店、営業課相談グループの行員。父を亡くしてから毎月家族にお金を振り込んでいるため、金銭的に余裕がありません。現金紛失事件が発生した際、バッグから当日の日付の入った札束の帯封が発見され、犯人だと疑われてしまいます。 北川を演じるのは上戸彩。「昼顔」シリーズや『半沢直樹』などへの出演で知られています。
古川一夫(ふるかわかずお)役/杉本哲太
東京第一銀行・長原支店の副支店長。高卒をバカにされても耐え、がむしゃらに働いてきた“叩き上げ”で、家族のため、そして大卒者を見返すためにも支店長になるのが夢。自身の出世のためには部下へパワハラも辞しません。 古川を演じるのは、バイプレーヤーとして数多くの作品に出演している杉本哲太です。
滝野真(たきのまこと)役/佐藤隆太
東京第一銀行・長原支店、業務課で新規担当の「エース」。同期トップのスピード出世をし、常に成績トップで、次々と大口の取引を獲得してきます。長原支店にとって、なくてはならない存在です。 滝野を演じる佐藤隆太は、「木更津キャッツアイ」シリーズや「海猿」シリーズなどへの出演で知られています。
田端洋司役/玉森裕太
東京第一銀行・長原支店の融資課で働く田端。彼は西木や北川とともに、現金紛失事件の裏側を探っていきます。 演じるのは、男性アイドルグループ・Kis-My-Ft2の玉森裕太です。彼は映画『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年)やドラマ『NICE FLIGHT!』(2022年)などへの出演で知られています。
九条馨役/柳葉敏郎
東京第一銀行・長原支店の支店長。エース滝野をはじめとする業務課に期待をかけています。現金紛失事件が出世に影響すると考え、支店の管理職で10万から30万ほど出し合って、事件を隠蔽します。 九条を演じるのは、「踊る大捜査線」シリーズや「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」シリーズなどで知られる柳葉敏郎です。
石本浩一役/橋爪功
融資課のエース・滝野に近づく不動産会社社長。なにやら後ろ暗い秘密があるようです。 演じる橋爪功は、数多くの映画・ドラマに出演しているベテラン俳優。「家族はつらいよ」シリーズなどでは主演を務めています。
沢崎肇役/柄本明
長原支店の客・沢崎肇は映画オリジナルキャラクター。どのような役割を担うのかは、いまのところ不明です。 ミステリアスな沢崎を演じるのは、こちらも大御所俳優として知られる柄本明。コメディからシリアスまで巧みに演じ分ける彼は、本作と同じく池井戸潤原作の『半沢直樹』にも出演しています。
黒田道春役/佐々木蔵之介
現金紛失事件をきっかけに長原支店に調査に訪れる東京第一銀行本部検査部の黒田も、映画オリジナルキャラクターです。かなりヤバい橋を渡る人物だとか。 黒田を演じるのは、佐々木蔵之介。映画『空飛ぶタイヤ』(2018年)や大河ドラマ『麒麟がくる』(2020年)など、数多くの作品に出演しています。
主題歌はエレファントカシマシ「yes. I. do」
映画の主題歌はエレファントカシマシの書き下ろし楽曲です。闘うすべての人へのエールが込められたような歌詞に、まっすぐ励まされる楽曲となっています。 本木監督は「悲しみや虚しさを、生きる情熱にかえてしまう楽曲」だとコメントしています。
映画『シャイロックの子供たち』は金に魂を売った男たちの末路
池井戸潤の傑作小説『シャイロックの子供たち』は、「映像化は難しい」と言われてきた作品。しかし小説からラストを大幅に継ぎ足す形で、完全版として映画化されていました。 金のために魂を売った男たちの末路はそれぞれ燦々たるもの。西木がその後どうなっていくのかも想像させられますね。ドラマ版と見比べるのも面白いと思うので、気になる人はチェックしてみてください!