2022年10月1日更新

『ちむどんどん』最終回を迎えるも「反省会」タグ絶えず 視聴者の酷評は妥当だった?

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2022年前期放送のNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』。沖縄出身の主人公・比嘉暢子(黒島結菜)が、1人前の料理人を目指して上京し、仕事に恋に奮闘する成長物語です。 ドラマの放送と共に注目されているのが「#ちむどんどん反省会」というハッシュタグ。物議を醸してきた『ちむどんどん』も、9月30日に最終回(第125話)を迎えました。第124話では歌子が病気になり、どんな展開になるか注目されていましたが……。 ネット上は感動ムードに包まれることもなく、最後まで「反省会」タグが絶えませんでした。 本記事では最終回のあらすじ・ネタバレに触れつつ、「反省会」と言われた理由、そして視聴者の批判的な態度は妥当だったのか?の2点を解説します。

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「#ちむどんどん反省会」とは

「#ちむどんどん反省会」は、Twitterで使われているハッシュタグ。このハッシュタグに連なる感想は、単なるドラマの感想とは一風変わっています。複数の週刊誌で「批判タグ」として取り上げられるほど内容が批判に偏っているのです。 ドラマを視聴後、登場人物たちの言動にモヤモヤや疑問が残った視聴者がハッシュタグを用いて書き込み、連日盛り上がりを見せています。 「制作は誰もおかしいと思わなかったの?」という制作陣への不信感や、「これ以上の酷い作品には会ったことない」という厳しい意見も……。

最終回のあらすじ・結末【ネタバレ注意】

1985年(昭和60年)11月24日、暢子の新しい食堂「やんばるちむどんどん」が開店。暢子の高校時代の友人たちも店を訪れ、大盛況で初日を終えることができました。 閉店作業の途中、歌子が高熱を出して入院し、3日間意識が朦朧とした状態に陥ります。医師から「体力と気力の問題」と言われ、暢子と優子、良子は心を痛めました。そこへ、千葉から賢秀も駆け、暢子は賢秀と良子を連れて「とある場所」へ向かうのです。 浜辺から亡き父・賢三に歌子の無事を祈ると、「なんくるないさ。大丈夫」と声が聞こえます。同じ頃、病室では歌子が目を覚まし、「お父ちゃん」とつぶやきました。 約40年の時が流れ、202X年(令和X年)。優子の誕生日を祝うため、暢子たち4兄妹と子供たちが「やんばるちむどんどん」に集合します。賢秀は養豚業で借金を倍にして返済、良子は夫婦ともに校長まで勤め上げ、歌子は民謡歌手に……と、それぞれの夢の結末が語られました。 そして、暢子が高校生だった時代の家族団らんの風景が回想され、物語は幕を閉じるのでした。

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最終回まで疑問の声が続出……【感想・評価】

『ちむどんどん』は前提として、“本土復帰から現代までの50年間を描く”という触れ込みでした。 視聴者側も当然、暢子たちの成長を沖縄の歴史と絡めて追うことを期待しましたが、実質的に描かれたのは20年にも満たない期間。最終回「やんばる!ちむどんどん!」では、「1番知りたい40年間がナレ処理」「ニーニーがまた無賃乗車」といった疑問の声が続出しました。 病気の扱いに関しても、「歌子が倒れる必要あった?」「祈るだけで治る病気の描写じゃない」などの指摘があり、不信感を抱いた視聴者が多い様子です。 その他、(ゴリの出演は好意的に受け取られたものの)真面目な場面でのタクシー運転手を巻き込んだコメディ要素や、最後の違和感しかない老けメイクに対して、「コント?」と呆れを含む感想も多々ありました。

批判は暢子をはじめとする登場人物たちにも殺到

「#ちむどんどん反省会」の主な内容は、暢子をはじめとする**登場人物の言動に納得や共感ができない、というもの。 ここからは視聴者に違和感を抱かせたモヤモヤポイントを、4つ例を挙げて紹介していきます。

①違和感が激増した問題の回「フーチャンプルーの涙」

そもそも「#ちむどんどん反省会」は、第5週目放送の「フーチャンプルーの涙」回を皮切りに盛り上がるようになりました。

暢子の兄・賢秀(竜星涼)は、定職に就かず遊んで暮らしている典型的なダメ人間。怪しい男に持ち掛けられた投資話にまんまと乗せられた賢秀は、母・優子(仲間由紀恵)からお金を借りて投資をしました。 しかし、詐欺だと分かると自暴自棄になりハンバーガーショップで暴れだしたのです。店の物を破壊し、居合わせた客が流血するほどのケガを負わせてしまいました。 投資のために大叔父から借りたお金を返す目途も立たず、ハンバーガーショップへの弁償もままならない現状に、比嘉家は窮地に立たされてしまいますその場の感情に流され浅はかな行動を繰り返す無責任なニーニーに、視聴者のモヤモヤが高まる問題の回となりました。

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②和彦と暢子の身勝手な略奪愛

子供の頃、父親の仕事の都合で沖縄に引っ越し暢子たちと出会った青柳和彦(宮沢氷魚)。大人になった彼は、大野愛(飯豊まりえ)という婚約者が居ながら、暢子に対しても好意的な態度を取ります。そんな和彦に対し、暢子も暢子で初恋と友情の間で揺れ動いてしまいます。 一方、暢子に長年恋心を抱いていた砂川智(前田公輝)は暢子にプロポーズしますが結果は惨敗。智が振られたことを知った和彦は暢子への想いを募らせます。 暢子を一途に想い続けた智は振られ、和彦の本当の気持ちに気付いてしまった愛は身を引くことに……。暢子と和彦の曖昧な態度によって、智と愛は被害者のようになってしまいました。

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愛さんが潔く身を引いたけど、実際は暢子と和彦の自分勝手な略奪愛だよね。愛さんと智が不憫すぎて素直に祝福できない。

③ヒロイン暢子の成長しない姿

困難にも負けず明るく天真爛漫な性格がヒロイン・暢子の長所ですが、それは一方で単なるわがままな振る舞いにも思えます。 レストランでの新人時代の暢子は、オーナーに逆らい料理対決を挑みました。プライベートでは、友人である愛に「和彦のことが好き」とカミングアウトし、最終的には略奪という結果になっています。和彦の母に結婚を反対されると、毎日お弁当を作り強引に家政婦に渡す……という手段に出ました。 周りの気持ちを考えずにやりたい放題。時には常識外れとも取れる、子供じみた振る舞いをし続ける暢子に批判が集中しています。 また、暢子以外の登場人物の言動にも違和感が多く、共感できないという意見が多いようです。

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周囲の人を振り回しすぎだし、子どもの頃から全然成長していない暢子のわがままっぷりに呆れる。

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④登場人物たちの絆や繋がりが見えない

本作には暢子や和彦のように自己中心的な人物や自由奔放な人物が多く登場するため、登場人物たちの絆や関係性に納得がいかないという声が上がっています。 暢子とオーナーは親戚という関係性がありますが、料理長や仕事仲間たちにとって暢子は突然現れたトラブルメーカーのような存在。そんな暢子にオーナーは次第に信頼を寄せるのですが、その過程はあまり描かれません。 また、暢子と智、和彦と愛の四角関係に関しても、好きになるまでの経緯や理由が分かりづらく、常に急展開で視聴者は置いてけぼりなのです。 前作の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』の絆の描写が丁寧で感情移入しやすかったためか、本作では「共感できない、納得いかない」という不満が集まっています。

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どうしてこの4人が友達でい続けられるのか分からない。和彦と智は暢子を取り合ってバチバチの関係のはずなのに……。

『ちむどんどん』最終回も「反省会」すべきだったのか?

毎朝「反省会」タグがトレンド入りし、批判殺到した異例の朝ドラ『ちむどんどん』。作中の登場人物や沖縄の描き方は、視聴者が期待した形ではなかったのかもしれません。しかし一方で、過度な批判が一人歩きしている感が否めないのも事実です。 視聴者もメディアも「反省会」タグの盛り上がりに気を取られ、制作側が伝えたいメッセージを見落としてしまってはいないでしょうか? 一部で指摘された差別や沖縄戦も、平良三郎らを語り部として確かに描かれました。特に米軍機の飛行音を流したことは、朝ドラの演出における大きな進歩でしょう。初めて沖縄を描いた『ちゅらさん』(2001年)から約20年、本作が改めて沖縄を知る良い機会になったことは間違いありません。