2022年12月14日更新

映画『哀愁しんでれら』結末までのネタバレあらすじと感想!怖すぎるラストを考察・解説

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『哀愁しんでれら』
©️ 2021 『 哀愁 しんでれら 』 製作委員会

不幸のどん底にいる女性が幸せになるシンデレラストーリーの「その後」を描いた不穏なサスペンス映画『哀愁しんでれら』。 この記事ではネタバレや考察を交えながら本作のストーリーを解説していきます。

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映画『哀愁しんでれら』のあらすじ

児童相談所で働く女性・福浦小春。平凡な日々を過ごしてきた彼女でしたが、ある男性との出会いによってその日々は華々しい日々へと変貌を遂げます。 小春が踏切で泥酔していたところを助けた男性・泉澤大悟は娘と2人で暮らす開業医。小春と大悟は急激にその仲を深め、娘のヒカリが後押ししたこともあり結婚を決めました。 そして3人はしあわせに暮らし続ける……はずでした。この家庭の歯車は少しずつ狂い始め、ついには社会を震撼させる恐ろしい事件へと繋がっていきます。

映画『哀愁しんでれら』の結末までのネタバレあらすじ

『哀愁しんでれら』
©️ 2021 『 哀愁 しんでれら 』 製作委員会

【起】不幸のどん底での出会い

児童相談所で働いている福浦小春。彼女は平凡な暮らしではありましたが、自宅で自転車屋を営む父や祖父、そして妹とつつましく暮らしていました。しかしある夜、彼女は不幸のどん底へと落とされます。 祖父の脳梗塞。祖父を病院に連れて行こうとした父は交通事故。しかも飲酒運転。小春は妹と救急車に同乗し祖父を病院に連れていきますが、火の不始末により自宅は火事に。小春は彼氏の家に泊めてもらおうと家へ向かうも、なんと彼氏は別の女と情事の真っ最中。小春は呆然と夜の街をさまよい始めます。 そして踏切を前にしたとき泥酔して線路上に倒れる男性、泉澤大悟を見つけます。線路上で転んだ彼を介抱する小春。大悟はタクシーに乗って帰る間際自身の名刺を手渡しました。

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【承】シンデレラストーリーのその先

助けてくれた恩を返すため、大悟は小春へ服と靴をプレゼント。食事をしながらお互いの身の上話をし、大悟は一人娘であるヒカリとの食事に小春を招待します。 食事をしながら段々と仲を深めていく3人。それから大悟は小春の祖父を大きな病院に移し、自転車屋を廃業した父の再就職先を斡旋するなど親身になって小春に尽くします。 彼女はその献身的な姿に惹かれていき、ヒカリの後押しもあり結婚を決意。平凡な小春が一夜の出会いをきっかけに、容姿も経済面も完璧な大悟と結婚したことはまさしくシンデレラストーリーのようでした。しかし、そこから3人の歯車は少しずつ狂っていきます。

【転】後戻りできない悲劇の幕開け

小春は少しずつヒカリの怪しい行動に気付き始めます。ヒカリの言動は辻褄があわないことが多く、自分を含め周囲を振り回しているようでした。そしてその裏で、ヒカリの好きな子と仲良くするクラスメイト・来実が転落死する事件が発生。 次々起こる事件に疲れ切った小春。気づくと彼女は大悟の宝物が保管される部屋へいました。そこに現れたヒカリに、大悟が大事にしていた剥製を誤って壊したところを見られてしまいます。彼女は大声で責め立ててくるヒカリの頬を思わず叩いてしまいました。 これを知った大悟は小春に「母親失格だ」と告げ家から追い出します。再び不幸のどん底に落とされた小春。ですが大悟は彼女を追いかけ、もう1度家族をやりなおそうとします。小春はそれを受け入れますが、これがとんでもない悲劇の幕開けとなってしまうのです。

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【結末】物議をかもす衝撃のラスト

その翌日学校に向かったはずのヒカリが泥だらけの格好で帰宅します。小春と大悟はすぐに学校へ。そこに現れたクラスメイトが「来実を殺したのはヒカリだ」と責め立てます。大声で否定する小春。しかしヒカリの怪しさも知る小春は心で否定しきれずにいました。 帰宅後、ヒカリに事件の真相を聞く小春たち。しかしヒカリは泣き出してしまいます。そしてこの事件を責めるように彼らの家には「人殺し」という落書きや投石が頻発。小春は家族を守るために、大悟へある提案をします。 その提案の翌日、小学校ではインフルエンザの集団予防接種が行われました。そこに担当医として現れた大悟、そしてその隣には小春の姿が。生徒に注射をしていく2人。学校の至るところで倒れていく児童たち。静かになった教室には小春・大悟・ヒカリ、3人の姿だけがありました。

映画『哀愁しんでれら』の感想・評価

哀愁しんでれら
(C)2021 『哀愁しんでれら』製作委員会
哀愁しんでれら』の総合評価
3.5 / 2人のレビュー
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30代女性

華々しい「シンデレラストーリー」を逆手にとって「シンデレラは本当に幸せになれるのか」を描いていて非常に面白いと思いました。話が進むにつれて不穏さが際立っていく演出や構成も面白い、オススメのサスペンス映画です。

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20代男性

一番怖いのは人間ということを思い知らされる作品でした。登場人物の歪んだ愛情がとんでもないうねりを巻き起こす展開は圧巻。ただラストのショッキングな鬱展開は、見る人を選ぶと思います。

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【解説】現代社会に堕ちたシンデレラ

『哀愁しんでれら』
©️ 2021 『 哀愁 しんでれら 』 製作委員会

王子からガラスの靴をもらいハッピーエンドを迎えるシンデレラ。しかしこの話に対し小春の友人は「靴のサイズしか知らない人と結婚して大丈夫なのかな」と意味深な一言を発します。 この言葉はまさに『哀愁しんでれら』のすべてを表現しているかのよう。本作は「結婚したから幸せになれるとは限らない」「家族だからといって無条件に愛してはいけない」と、あまりにも痛々しい現実を突きつけてきます。 童話であるシンデレラを、教訓を含む寓話へ仕立て上げた『哀愁しんでれら』。この映画には「簡単に手に入る幸せはない」ということ、そして「人は自分の信じたいものを妄信してしまう」というメッセージが込められているように思えます。

【考察】ヒカリはクラスメイトを殺していない?

『哀愁しんでれら』
©️ 2021 『 哀愁 しんでれら 』 製作委員会

作中でクラスメイトの来実を突き落とした犯人として名前を挙げられるヒカリ。ですが一部では、本当の犯人はヒカリではなかったと囁かれています。 その理由はヒカリが実際に突き落としたシーンはなかったこと。ヒカリを犯人と責めたクラスメイトには嘘をつく癖があったこと。そして映画のラスト、クラスメイトが小春に渡した手紙に書いてあった「みんなヒカリちゃんが犯人じゃないって知ってるよ」というメッセージ。 これらの理由から、犯人は別にいたと推測できるのです。映画を見た人はおそらく「ヒカリが犯人のはず」と信じてしまったでしょう。しかしここには「人は自分の信じたいものを妄信してしまう」という本作のテーマを視聴者に突きつける、製作者の狙いがあったように思えます。

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映画『哀愁しんでれら』をネタバレ解説・考察でおさらい

視聴者を裏切る急展開で痛烈なメッセージを残す『哀愁しんでれら』。 解説と考察を読んだ後に見返すと、改めて意味のあるシーンが見つかるかもしれません。これを機に本作を見返して、自分なりの考察を探してみましょう。