2022年12月22日更新

映画『パラサイト 半地下の家族』あらすじからラストの意味までネタバレ考察!“臭い”がすべての引き金だった

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『パラサイト』チェ・ウシク、ソン・ガンホ、チャン・ヘジン、パク・ソダム
ⓒ 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得し、アカデミー賞で作品賞や監督賞など4部門を制した『パラサイト 半地下の家族』。本作は、韓国の名匠ポン・ジュノ監督による予測不能のジャンル超越エンターテインメントです。 2つの全く違う家族が関わりを持つことになったとき、起きる予想外の悲喜劇とはーー? この記事では、本作に散りばめられた伏線やメッセージを詳しく解説。重要ポイントを読み解きながら、ラストシーンのさらにその先まで考察していきます! ※ここからは、映画『パラサイト 半地下の家族』に関する重要なネタバレ情報を含まれています。未鑑賞の方はご注意ください!

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『パラサイト 半地下の家族』のあらすじ【ネタバレ注意】

半地下の家に暮らす貧乏なキム一家。あるとき、長男ギウの友人でエリート大学生のミニョンが、留学している間、家庭教師を引き継いでほしいと彼を訪ねてきます。 ギウが向かったのは、高台の高級住宅街に佇むモダンな豪邸。そこにはIT企業社長のパク・ドンイクとその家族が住んでいました。無事にパク家の娘ダヘの家庭教師となったギウは、帰り際に末っ子ダソンを見て、ヨジョン夫人に「もうひとり、紹介したい家庭教師がいるのですが……」と申し出ます。 後日、ギウとともにパク家を訪れたのは、妹のギジョンでした。彼女はうまくダソンを手懐け、彼の美術の家庭教師になリます。 すぐにパク一家の信頼を得た2人には、実はある“計画”がありました。

驚きの急展開

『パラサイト』パク・ソダム
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キム一家の兄妹がパク一家に家庭教師として入り込んでから、彼らの“計画”は着々と進んでいきます。

まず、妹のギジョンがパク社長の運転手に罠を仕掛けて彼をクビにさせ、父ギテクが後釜に収まります。 そして兄妹で協力して家政婦のムングァンを結核に仕立て上げ、彼女も家を追い出されることに。新たに家政婦としてやってきたのは母チュンスク。キム一家は、そろってパク家に就職(パラサイト)することに成功しました。 しかしある大雨の日、ムングァンが突然家にやってきます。一家がキャンプで留守にしているのを知っていた彼女は、大切な「忘れ物」を取りに来たといいます。 それは、地下の秘密の部屋に隠れ住んでいた彼女の夫でした。ムングァン夫婦もまた、キム一家と同様に貧困に苦しみ、パク家に“寄生”していたことが発覚します。 ここで描かれているのは、低所得者層のしたたかさ。彼らは、生きるためになりふり構っていられません。キム一家もムングァンも、裕福なパク一家のおこぼれに与ることでなんとか暮らしていました。 そのために知恵を絞り、注意深く行動していた彼らは滑稽でありながらもどこか悲しさを感じさせます。 一方で、“寄生”されつづけているパク一家はなにも気づきません。パク社長や息子のダソンは彼らの“臭い”に気が付きますが、特に詮索することもしないのです。ここからは、富裕層の余裕や鈍感さが見て取れます。

衝撃のラスト、その意味とは?

『パラサイト』チョ・ヨジュン
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中盤の急展開から、物語は加速し、予想だにしなかったラストへと突き進んで行きます。

ダソンの誕生日パーティの日。ギウは地下室の2人を殺害しようと試みますが、返り討ちにあってしまいます。その後、パーティ会場である庭へ向かうムングァンの夫グンセ。彼はパニックのなかギジョンを刺し、次にキム一家を狙いました。 パク社長とともに茂みに隠れていたギテクは倒れているギジョンに駆け寄り、彼らが家族であることがバレてしまいます。グンセは、チュンスクにバーベキューナイフで脚を刺され倒れていました。 パク社長は車の鍵を取ろうとしますが、そのとき彼がグンセの強烈な“臭い”に顔をしかめたのを見て、ギテクの怒りが爆発。彼はパク社長の首を切りつけ、そのまま姿を消してしまいます。 このラストは、富裕層に“寄生”しようとする低所得者同士の争いと、富裕層からの彼らに対する無自覚な差別、そしてその苦しみが怒りとして爆発し、最終的に富裕層に向かう様子を描いています。 ギテクはもともとパク社長に悪い感情は抱いていなかったにもかかわらず、彼を殺してしまいました。相反する家族が交わったとき、ほんの些細なきっかけで大きな亀裂が生まれてしまったのです。 そして、その後の静かなラストシーンは、観客に不思議な余韻を残します。

1つのジャンルに囚われない『パラサイト 半地下の家族』の魅力

「パラサイト」は、そのポスターや予告編を見るとサスペンス・スリラー映画のような印象を受けます。しかし実際には、前半はかなりコミカルなシーンも多く、中盤にはミステリー、終盤に向けてサスペンス・スリラーのような展開に。さらに社会的なメッセージも強く打ち出された作品です。 こうした1つのジャンルに囚われない縦横無尽さが、この作品の魅力。観客は作品の世界に惹き込まれたまま、思いもよらなかった場所に連れて行かれるのです。

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ギテクはなぜ社長を刺した?ラストのその後を考察してみた

“臭い”への拒絶反応

『パラサイト』イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン
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パク社長はあるシーンで、ギテクについて「貧乏人の臭いがする」「臭いが一線を超えてくる」と軽口を叩きます。すぐそばに隠れていたギテクはそれを聞いており、彼らから見下されていることを知って怒りと悲しみを覚えるのでした。 “臭い”というのは、五感の中でももっとも本能に訴えかける感覚です。 パク社長はキム一家が彼が知る以上に貧困にあえいでいることを、本能のようなもので感じ取っていたのかもしれません。そして本来なら関わるはずのない貧困層に対して、無意識に嫌悪感や差別的な感情を抱いていたのです。 富裕層の無邪気で無神経な言動から、絶望と怒りを溜め込んでいく貧困層。最終的に、この“臭い”とそれに対するパク社長の反応が原因でギテクの怒りは爆発し、物語は衝撃のラストへとなだれ込んでいきます。

ラストのその後はどうなる?

事件後に行方不明になった父の居場所を知ったギウは、いつかお金持ちになってパク一家の豪邸を購入しようと「計画」を立てます。 ポン・ジュノ監督は「ギウの平均年収ではあの家を買うのに547年かかってしまう」と語っているので、そんな日は来ないのでしょう。 しかしそんな日を夢見るギウの姿は、監督の「若者には夢をあきらめてほしくない」という思いを表現したものなのかもしれません。

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“臭い”を効果的に使用『パラサイト 半地下の家族』が描く格差社会

引き金になってしまった“臭い”について解説!

パク社長が指摘したギテクの“臭い”は、キム一家の計画をすべて台無しにしてしまったといえます。 1度染み着いてしまった臭いがなかなか消えないように、貧富の差は簡単に埋められるものではありません。パク社長は基本的に他人との距離を保ちたいと考えている人物ですが、とくにギテクのような「貧乏人」を無意識に嫌悪していました。 ギテクは良い関係を築けていると思っていたパク社長のそんな態度に、傷つき怒りを覚えます。そして最終的にグンセの“臭い”に顔をしかめた彼をみて、その怒りが爆発してしまったのです。 映画のスクリーン越しでは伝わってくることのない“臭い”ですが、これほどまでに効果的に使用したという意味で、やはり本作は革命的な作品といえるのではないでしょうか。

スキルを持っていても這い上がるのは難しい

『パラサイト』パク・ソダム、チェ・ウシク
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『パラサイト 半地下の家族』で描かれたように、現代の韓国は格差社会が深刻化しているのだとか。韓国は大変な競争社会で、大学入試や就職など、1度失敗すると這い上がれない状況になっているそうです。 韓国では、わずか10%の富裕層が国の半分の富を得ていると言われています。大企業中心の経済発展の結果、正規社員と非正規労働者の賃金格差も激しく、中間層が育っていない状況なのです。 映画のなかでもキム一家、とくにギウとギジョンは教養やスキルがあるにも関わらず、貧しい環境から脱出することができずにいます。 ギウは大学受験に何度も失敗し、競争社会から取り残されてしまいました。ギジョンは美術大学に通う資金がなく、独学でスキルを獲得しましたが、大学を出ていなければ就職は難しいようです。

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タイトルにもある「半地下」ソウルの住宅事情

キム一家が暮らす半地下住居は、ソウルでは珍しいものではありません。その歴史は意外と古く、北朝鮮との対立が激化した1960年代後半から。テロ事件が多発するなか、韓国政府は新築住宅には非常時に防空壕として使える地下室の設置を義務付けました。それが「半地下」の部屋です。 当初はこの半地下を賃貸に出すことは法律で禁止されていました。しかし1980年代に住宅不足が深刻化すると、政府も半地下住宅の使用を許可せざるをえなくなったのです。 家賃高騰がつづくソウルで安価な半地下住宅に住むのは、地方から上京してきた若者や低所得者が多いようです。

物語の読み解く重要ポイント「縦の構造」と「水の構造」を解説!

「縦の構造」

『パラサイト』
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本作では縦の構造、つまり上下の関係が徹底的に用いられています。高い台の豪邸に住むパク一家と、半地下の家に住むキム一家。これはもちろん、社会的な地位が「上」である富裕層と「下」である貧困層を想起させるものであり、格差社会を現したものです。 特に多く登場するのは、上と下をつなぐ「階段」です。そしておもしろいことに、キム家の面々は階段を下るシーンが多いのです。パク家から半地下の家へ帰るシーン、秘密の地下室へ行くシーン、ギウが階段から転げ落ちるシーンもあります。 一方でパク家の人が階段を下る描写はほとんどありません。彼らは階段を上るシーンの方が圧倒的に多いのです。 これは富裕層は上りつづけ、貧困層は下りつづける、社会階層を移動することの難しさを暗示しているのではないでしょうか。 しかしギウとギジョンは階段を上ったり、階段の中間地点にいたりするシーンがあります。貧しい家庭の出身でも、若者には希望を持ってほしいということなのかもしれません。

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「水の構造」

『パラサイト』ソン・ガンホ
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縦の構造と同様に、本作には水や雨がよく登場します。水が下から上へ流れることがないように、貧困層が社会的に上の階層に行くのは不可能であることを暗示しているのです。 特に雨は「上」である富裕層のもとから、「下」である貧困層へもとへ降りかかる災難を現していると考えられます。 災害や疫病の流行など社会に良くない変化が起きたとき、もっとも大きな被害を被るのは貧しい人たちです。本作では、大雨でキム一家の住む半地下の家は水没してしまいます。 翌日、キム家の惨状を知らなかったとはいえ、ヨンギョは「昨日雨が降ったから今日は天気がいい」と無邪気に言います。その言葉にも、ギテクは苛立ちを覚えていたのでしょう。

張り巡らされた伏線を解説!ダソンの絵ですべて明かされていた?

水石

『パラサイト』ソン・ガンホ
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映画冒頭、ギウは親友のミニョクから水石をもらいます。彼が譲り受けたのは、「持っていると財産や学術向上をもたらす」と言われている山水景石。そしてギウは、事あるごとにこの石に触っています。 彼にとってこの石は、希望の象徴だったのでしょう。勇気を出したいとき、ここぞというとき、ギウは石を抱えていました。しかしあまりに石にすがりすぎた結果、彼はそれで頭を殴られてしまいます。 そして衝撃的な事件のあと、彼は石を川に置いていき、自分の力で生きていくことを決めたのです。 またギウにとって、この石は親友のミニョクにもらったもの、ということも重要でした。ギウはミニョクにあこがれ、彼のようになりたいと考えていたのです。彼の後釜としてパク家の家庭教師になったのも、ジヘと付き合うことにしたのも、ミニョクになりきるためだったのではないでしょうか。

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カマドウマ

映画冒頭、ギテクは自宅でトイレにいたカマドウマを指で弾きます。 「便所コウロギ」とも呼ばれるカマドウマは、人の住居に住み着くことがある昆虫です。これは映画終盤、豪邸に隠れ住むことになるギテクの運命を暗示しているのではないでしょうか。

ダソンの絵

ヨンギョはダソンが描いた「自画像」を家に飾っていましたが、それは実際には地下に隠れ住んでいたグンセを描いたものだったと思われます。ヨンギョはダソンが数年前の誕生日に「幽霊」を見たとも語っていますが、その「幽霊」はグンセだったのではないでしょうか。 この絵の背景には、晴れた空とテントのようなもの、そして矢印が描かれています。これは誕生日パーティーの惨劇を予言していたとも考えられます。 また彼は幼いながらに勘が鋭く、キム一家全員が同じ“臭い”であることに気づいていました。実は彼こそが物語のキーパーソンだったのです。

インディアン

ダソンはアメリカ先住民であるインディアンにあこがれています。しかしインディアンは寄生される側で、白人に住む場所を追われてしまった存在です。ダソンもやはり寄生される側の富裕層の子ども、という点は皮肉ですね。 また母であるヨンギョは、息子がインディアンの格好をすることをよろこんでいます。これは富裕層のアメリカに対するあこがれを意味しているのです。彼女はまた、ギジョンの「アメリカで美術を学んでいた」という嘘にすっかり騙され、ギジョンを信用してしまうのでした。

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モールス信号

地下に隠れ住むグンセは、灯りを点滅させることでモールス信号を送っていました。しかしそれに気づいたのは、やはりダソンだけ。彼は信号を解読しようとしますが途中でやめてしまいます。 彼には、誰かがなにかを発信していることはわかっているものの、それほど興味はなかったのでしょう。ダソンはその父と同じく、他人にはあまり興味がないのかもしれません。

高台に建っている家

ポン・ジュノ監督は、「パク家の豪邸はドンイクの心を表している」と語っています。彼とその家族の家は高台にあり、広い庭は草木で囲まれています。そこからはほかの家は見えず、おそらくほかの家からこの豪邸を見ることもできないでしょう。 彼は、特に貧困層をはじめとする他者に興味がないのです。 またドンイクはギテクに「一線を越えるな」とも言っています。彼は他者との距離を保とうとするタイプですが、特にギテクのような「貧乏人」と同等のように語られるのは我慢ならなかったのでしょう。

ポスターに込められた意味とは

『パラサイト』
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少し不気味な印象を与える「パラサイト」のポスターには、様々なキーポイントが散りばめられています。 まず人物たちの顔に入れられた目線。キム一家の目線が黒であるのであるのに対して、パク家の人々の目線は白です。一見ひとつの家族のように並んでいますが、彼らが別々の家族であることがわかります。また、パク家の人々は正装していますが、キム家の面々は普段着なのも違和感を与えるポイントです。 さらに目を引くのは、左下に見切れた誰かの脚。これは、家族写真のように映っているキム家&パク家の面々のほかに、重要な人物が隠れていることを予感させます。 そのほかにも、背景には水石やダソンが描いた絵があったり、様々なことを暗示しています。

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『パラサイト 半地下の家族』に悪人はいない!人間は本質的には同じ

同様のテーマを扱っている『ジョーカー』と明らかに違う描き方とは

本作で物語の核となっているのは「貧富の差」です。 昨今、世界的に社会格差の拡大が問題になっています。2019年には同じようなテーマを持つ映画が数多く公開されました。ジョーダン・ピール監督の『アス』(2019年)、そしてヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を獲得したトッド・フィリップス監督の『ジョーカー』(2019年)もそうです。 しかし、本作はこれらの作品とは明らかに違う部分があります。それは登場人物が非常に身近な存在として描かれていること。彼らは完全な善人ではありませんが、完全な悪人でもないごく普通の人たちです。 これについてポン・ジュノ監督は「映画に登場するキャラクターは、特段に政治的な意識が高いわけでもないし、富裕層への闘争心もない。英雄でもなければ、悪魔でもなく、適度にいい人、適度に悪い人なんです。つまり、私たちの周りにいるリアルな人々。だからこそ、結果的に社会的なメッセージにつながったのかもしれません」と語っています。

人間の本質はみんな変わらない

『パラサイト』イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン
© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

大雨でキャンプを中止し帰ってきたパク一家。夫妻は庭でテントを張るダソンを見守るはずが、次第にソファーの上でイチャイチャしはじめます。 一方で地下室にムングァンの夫であるグンセが隠れ住んでいるのが発覚した後、使用済みのコンドームが映るシーンがあります。 これは富裕層であっても貧困層であっても、人間は生理的欲求を抱えており本質的に同じなのだということを示しているのではないでしょうか。 完全な善人でも完全な悪人でもない、ごく普通の登場人物たち。彼らは育った環境や選んできた選択肢が少し異なっていただけで、根本的な違いを抱えているわけではないのです。

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【キム一家】“パラサイト”することに希望を見出した家族

ソン・ガンホ/キム・ギテク

『パラサイト』ソン・ガンホ
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貧乏で気ままなキム一家の大黒柱・ギテクは、次々と事業に失敗し現在失業中。これまでに様々な職業を経験してきた彼は、それなりに明るく家族を導いていきます。 キム・ギテクを演じるのは、韓国を代表する名優ソン・ガンホ。大ヒット映画『シュリ』(1996年)をはじめ、『復讐者に憐れみを』(2002年)、『タクシー運転手 〜約束は海を超えて〜』(2017年)などへの出演で知られています。 ポン・ジュノ監督とは『殺人の追憶』(2003年)、『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)、『スノーピアサー』(2013年)につづいて、4度目のタッグとなりました。

チェ・ウシク/キム・ギウ

『パラサイト』チェ・ウシク
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大学入試に失敗しつづけるキム家の長男ギウは、友人のミニョンから“受験のプロ”として家庭教師の職を紹介されます。 ギウを演じるチェ・ウシクは、映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)や『ゴールデンスランバー』(2018年)などへの出演で知られる若手実力派俳優。 ポン・ジュノ監督作への出演は、Netflixオリジナル映画『オクジャ/Okja』(2017年)につづき、2作目となります。

チャン・ヘジン/キム・チュンスク

『パラサイト』ソン・ガンホ、チャン・ヘジン
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不甲斐ない夫に喝を入れるギテクの妻チュンスクは、元ハンマー投げのメダリスト。はっきりものを言う性格で、肝の据わった人物です。 チュンスクを演じるのは、その確かな演技力で知られるチャン・ヘジン。主な出演作には、『ポエトリー アグネスの詩』(2010年)や『シークレット・サンシャイン』(2007年)、『わたしたち』(2016年)などがあります。

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パク・ソダム/キム・ギジョン

『パラサイト』パク・ソダム
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美大に行きたいと思いながらも、お金がないため予備校に通えないキム家の長女・ギジョン。ネットカフェで独学で勉強をつづける彼女の腕前はかなりのものです。 ギジョンを演じるパク・ソダムは、2015年に出演した『プリースト 悪魔を葬る者』での演技が絶賛されました。 そのほかの出演作には『王の運命ー歴史を変えた八日間ー』(2015年)や『プロミス 〜氷上の女神たち〜』(2016年)などがあります。

【パク一家】“パラサイト”されていることに気付けなかった家族

チョ・ヨジョン/パク・ヨンギョ

『パラサイト』チョ・ヨジュン
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パク・ヨンギョは、ギウたちが家庭教師をする子どもたちの母で、IT企業の社長夫人です。美しく、若くて“シンプル”な彼女は、なんの疑いもなくギウたちを招き入れます。 ヨンギョを演じるチョ・ヨジョンは数々のテレビドラマに出演。2014年に出演した映画『情愛中毒』での演技が監督の目に留まり、本作に出演することになりました。

イ・ソンギュン/パク・ドンイク

『パラサイト』イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン
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パク家の主ドンイクは、周囲の尊敬を集めるIT企業の社長です。 ドンイクを演じるイ・ソンギュンは2007年のテレビドラマ『白い巨塔』や『コーヒープリンス1号店』で大ブレイク。また『教授とわたし、そして映画』(2010年)や『ソニはご機嫌ななめ』(2013年)など、ホン・サンス監督作品の常連としても知られています。

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チョン・ジソ/パク・ダヘ

パク家の長女で、ギウが家庭教師をすることになる女子高生ダヘ。成績はあまりよくないようです。 ダヘを演じるチョン・ジソは、13歳までフィギュアスケーターとして活動していました。女優に転向後は『ジキルとハ イドに恋した私 ~Hyde, Jekyll, Me~』(2015年)など、多数のテレビドラマに出演しています。

チョン・ヒョンジュン/パク・ダソン

鋭い感性を持つダソンは、落ち着きのない少年です。家庭教師としてやってきたギジョンにすぐに懐きます。 ダソンを演じるのは2011年生まれのチョン・ヒョンジュン。『あなたはひどいです』(2017年)などのテレビドラマに出演しています。

【???】隠れていたもうひとつの“パラサイト”する家族

イ・ジョンウン/ムングァン

『パラサイト』チョン・ジソ、イ・ジョンウン、チェ・ウシク
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ムングァンは、パク一家から全幅の信頼を寄せられている家政婦。家のことは誰よりも熟知しています。 彼女を演じるイ・ジョンウンは演劇やテレビドラマ、映画と幅広く活躍する名バイプレーヤーとして知られています。 映画では『哭声/コクソン』(2016年)や『タクシー運転手 〜約束は海を超えて〜』などの話題作に出演。ポン・ジュノ監督の『オクジャ/Okja』では、オクジャの声を演じています。

オ・グンセ/パク・ミョンフン

ムングァンの夫であるオ・グンセは、物語に劇的な展開をもたらします。 演じるパク・ミョンフンは舞台やインディペンデント映画を中心に活躍してきた俳優で、商業映画への出演は本作が初めて。韓国では「2019年映画界最高の発見」と言われました。

Netflix大人気韓国ドラマのこの人も出演!

『梨泰院クラス』の主人公を演じたパク・ソジュン

人気ドラマ『梨泰院クラス』で主演を務めたパク・ソジュンも、本作に出演しています。役柄はギウの友人のパク・ミニョン。彼は映画冒頭でギウに水石を渡し、パク家での家庭教師のアルバイトを紹介しました。 出演時間はわずかですが、物語のきっかけとなる重要な役ですね。ミニョンはギウにとって友人でありながら強いあこがれの対象として、彼の行動に影響を与えています。

先ほど紹介した登場人物には『愛の不時着』の名コンビも!

先程紹介したキム家の母チュンスク役のチャン・ヘジンと、元家政婦の夫グンセ役のパク・ミョンフンは、世界中で人気を博したドラマ『愛の不時着』でも印象的な役を演じています。 それは主人公リ・ジョンヒョクの婚約者の派手好きな母とその間抜けな弟。ドラマではコミカルな演技を見せてくれた2人は、「パラサイト」では重要な役柄でその演技力を見せつけています。

『パラサイト 半地下の家族』はアカデミー賞で初の快挙を達成!

『パラサイト 半地下の家族』は2019年、第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画として初めて最高賞パルムドールに輝きました。審査員たちは本作を絶賛し、満場一致での受賞だったそうです。 そのほかにも、本作はトロント国際映画祭では観客賞、春史大賞映画祭で最優秀監督賞と脚本賞を受賞し、世界各国の映画祭などで数多くの賞を獲得。 韓国で最も権威のある青龍映画賞では、作品賞、監督賞をはじめ、主演女優賞(チョ・ヨジョン)、助演女優賞(イ・ジョンウン)、美術賞を受賞。シドニー映画祭でも作品賞を受賞しています。 そしてアカデミー賞では作品賞をはじめとして監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門を制覇。外国映画として初めて作品賞を受賞する快挙を果たしました。 最終的な世界興行収入は約265億9000万円にものぼり、商業的にも大成功を収めています。

監督を務めたのは世界が認める天才ポン・ジュノ

本作の監督ポン・ジュノは、韓国を代表する名監督として知られています。韓国映画アカデミー在学中、短編映画『支離滅裂』と『フレームのなかの記憶』(ともに1994年)がバンクーバー国際映画祭と香港国際映画祭に招待され、早くから注目を集めていました。 その後、助監督や脚本家としての経験を経て、2000年に『ほえる犬は噛まない』で長編監督デビュー。同作はミュンヘン国際映画祭で新人監督賞、香港国際映画祭国債映画批評家賞を受賞しています。 監督2作目『殺人の追憶』(2003年)が韓国内で大ヒットを記録し、韓国のアカデミー賞とされる大鐘賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞を受賞。 つづく『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)は、韓国観客動員記録を更新し、アジア・フィルム・アワード作品賞などを受賞し、名実ともに韓国を代表する若手監督となりました。 その後もカンヌ国際映画祭ある視点部門に正式出品された『母なる証明』(2009年)、オムニバス映画『シェイキング東京』(2008年)の一編「TOKYO!」、韓米合作の『スノーピアサー』(2013年)などで高い評価を獲得しつづけています。 2017年にはNetflixオリジナル映画『オクジャ/Okja』も大きな話題を呼びました。

『パラサイト 半地下の家族』に込めた思いとは?

ポン・ジュノ監督は「二極化が進む現代社会のなかで、2つの階級がぶつかり合うときに避けられない亀裂を描いている」と本作について語っています。 キム一家のような低所得者層とパク一家のような富裕層の人生が、現実世界で交わることは滅多になく、あるとすれば、家庭教師などの雇用関係が生まれるときだと考えたという監督。 「相反する階級の家族は、お互いに悪意がないにもかかわらず、本当に些細な誤りによって亀裂や爆発が起きうる状況に陥っている」と本作のコンセプトを明かしています。

『パラサイト 半地下の家族』は予測不能の極上エンターテインメント!

カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、アカデミー賞では作品賞・監督賞をはじめとする4部門を制した『パラサイト 半地下の家族』。本作は、韓国映画の実力を世界に見せつける作品となりました。 伏線やメッセージが散りばめられた予測不能なジャンル超越エンターテインメントは、何度でも楽しみたくなりますね。