2025年6月27日更新

【原作ネタバレ】映画「でっちあげ」は実話?あらすじや元ネタとなった事件を解説

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でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男、柴咲コウ、綾野剛、亀梨和也
ⓒ2007 福田ますみ/新潮社 ⓒ2025「でっちあげ」製作委員会

「生徒を恐喝した教師」という衝撃的な実際の事件を題材にした、三池崇史監督作『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』が2025年6月27日に公開です。 綾野剛演じる教師は本当に「暴力教師」なのか。マスコミの過熱報道で完全な悪者と言われる中、教師は犯行を否定します。 この記事では『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』のあらすじやキャスト、さらには原作となったルポルタージュをネタバレありで解説します。

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【ネタバレなし】『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』あらすじ

タイトル 『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』
公開日 2025年6月27日
監督 三池崇史
原作 『でっちあげ 福岡『殺人教師』事件の真相』(2009)
出演 綾野剛 , 柴咲コウ , 亀梨和也 , 大倉孝二 , 迫田孝也 , 木村文乃 , 光石研 , 北村一輝 , 小林薫
配給 東映

本作は20年前、実際に起こった国内初の教師から生徒へのイジメが認められた体罰事件がテーマです。体罰を「でっちあげ」と否定する教師役に綾野剛、教師を告発する母親役に柴咲コウ、といった実力派のキャスト陣が揃いました。 監督を務める三池崇史は「余計な演出をできるだけ排除し、冷静に作り上げたつもりです。ですから、この恐怖は本物です」と、リアルな空気感へのこだわりを語っています。

映画「でっちあげ」のあらすじ

2003年、小学校教諭の薮下誠一(綾野剛)は、児童への体罰を巡り、その保護者である氷室律子(柴咲コウ)に告発されます。 週刊春報の記者・鳴海三千彦(亀梨和也)による実名報道で、薮下は世間から誹謗中傷の標的となり、日常は崩壊。律子を擁護する550人もの弁護団も結成され、民事訴訟へと発展しました。 しかし、法廷で薮下は告発内容を「すべて事実無根の"でっちあげ"」と完全否定したのです。この男は最悪の暴力教師か、あるいはーー。

【元ネタ】映画「でっちあげ」は実話?

本作は2003年に福岡市で起こった「福岡殺人教師事件」が元になった作品です。担当教師がアメリカにルーツのある生徒に対して、差別発言や体罰を行ったと報道され、裁判にまで発展した事件です。教師は裁判前に懲戒処分を受け、6ヶ月の停職が言い渡されました。 日本で初めて教師から生徒へのイジメが明るみに出たことで、報道が激化。世論も完全に被害者側に傾いている中、当初罪を認めいていた被告が裁判では一転否認したのです。 さらにジャーナリスト・福田ますみは事件直後から教師本人や教育委員会、児童らに取材を重ね、雑誌「中央公論」にルポを発表。のちに事件の真相に迫った『でっちあげ』(2007)を刊行しました。

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【解説】福岡殺人教師事件で何が起きた?

5つの刑による生徒いじめ

担任を受け持つ川上教諭が1人の男児に対して「10数える間に片づけろ」と命じ、間に合わないと自ら考案した「5つの刑」から一つを選ばせて虐待を加えたと、男児の両親が主張しました。以下が5つの刑です。 両頬を引っ張る、思い切り押し付ける「アンパンマン」、両耳を掴んで体を持ち上げる「ミッキーマウス」、鼻をつまんで振り回す「ピノキオ」、手のひらで顔を締め、突き飛ばす「アイアンクロー」、そしてこめかみをグリグリと圧迫する「グリグリ」。 男児は鼻血、耳の怪我、歯の折損など、連日傷だらけで帰宅したといいます。

川上教諭はいじめを否定

川上教師は、男児の両親が訴えたいじめを「全て事実無根だ」と否定しました。体罰や差別発言も一切否定し、「10カウント」は片付けを促す指示だったと説明。「アンパンマン」や「ミッキーマウス」は先輩に教わった軽い叱り方であり、「5つの刑」という言葉は使っていないと主張します。 そして、男児側が主張する「生きている価値がない」などの自殺強要発言についても報道で初めて知り、荒唐無稽だと語りました。

母親の主張

母親の告発内容は、いじめや自殺強要発言だけではありませんでした。 男児に対するいじめの発端となった家庭訪問では、アメリカ人の親族がいることを知った川上教諭が「穢れた血」と発言、そして児童に対しても「髪が赤い人」と呼んだと主張します。 これらの差別的な発言や「5つの刑」などによるいじめ、暴力を受けた児童はPTSDを発症した、と明かしました。両親は学校側に幾度となく抗議し、川上教諭は男児の担任から変更されています。また、当初はいじめに関しても、両親に謝罪していました(のちに否定)。

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「殺人教師」としてメディアで報道

両親が初めて抗議した約1ヶ月後には、朝日新聞(西部本社)がこの事件を報じ、さらに約3ヶ月後に「週刊文春」が「『死に方教えたろうか』と教え子を恫喝した史上最悪の『殺人教師』」というショッキングなタイトルで報じました。 これにより、事件は全国的に注目されはじめ、ついには世間からの大バッシングが巻き起こります。しかし、他の生徒から体罰の話が出ないことや、両親の主張に不可解な点が判明しはじめ、報道は次第に下火になっていきました。

【原作ネタバレ】「でっちあげ」の結末は?事件の真相とは

結果としては原告の主張はほとんど認められず、虚偽の内容も含まれていました。差別発言や体罰もほぼ認められなかったのです。 原告側の「アメリカ人にルーツ」の部分も、聞き込みの中でアメリカ人なのは「曽祖父」から「祖父」に変わるなど、事実かも疑わしくなります。 すると被告側の家族は勝ち目のない教師への控訴を取り下げ、PTSDを巡って福岡市のみの控訴に切り替えました。そして、330万円の賠償金が確定してしまいます。ルポ完成時には懲戒処分が残ったままでしたが、2013年ついに教師への懲戒処分も取り消されました。

映画「でっちあげ」出演キャスト一覧!綾野剛が殺人教師を演じる

薮下誠一役 綾野剛
氷室律子役 柴咲コウ
鳴海三千彦役 亀梨和也
氷室択翔役 三浦綺羅
薮下希美役 木村文乃
段田重春役 光石研
大和紀夫役 北村一輝
湯上谷年雄役 小林薫

薮下誠一役:綾野剛

『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』(2025年)、薮下誠一(綾野剛)
ⓒ2007 福田ますみ/新潮社 ⓒ2025「でっちあげ」製作委員会

綾野剛演じる薮下誠一は、本作の主人公となる小学校教師。教え子の一人・氷室択翔への差別や体罰を訴えられ、被告となってしまいます。さらには「殺人教師」として全国で報道され、心が崩れてしまうのです。 綾野剛は本作の演技を「エンタメとルポルタージュの共存、共演者と芝居の総当たり戦」と振り返っています。

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氷室律子役:柴咲コウ

『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』(2025年)、氷室律子(柴崎コウ)
ⓒ2007 福田ますみ/新潮社 ⓒ2025「でっちあげ」製作委員会

柴咲コウ演じる氷室律子は、択翔の母親です。薮下の蛮行を告発するため、律子自ら学校に乗り込みます。

鳴海三千彦役:亀梨和也

『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』(2025年)、鳴海三千彦(亀梨和也)
ⓒ2007 福田ますみ/新潮社 ⓒ2025「でっちあげ」製作委員会

亀梨和也演じる鳴海三千彦は、律子の言い分を信じて取材する週刊誌記者です。張本人である薮下にも突撃取材を敢行します。

氷室択翔役:三浦綺羅

三浦綺羅演じる氷室択翔は、担任・薮下からイジメを受けた生徒です。度重なる暴言や暴力から屋上に上がっていきーー。

薮下希美役:木村文乃

木村文乃

木村文乃演じる薮下希美は、主人公・薮下誠一の妻です。誰も味方がいない状況でも、冤罪を訴える夫を支え続けます。

段田重春役:光石研

光石研

光石研演じる段田重春は、薮下が務める学校の校長です。自分の保身しか考えず、氷室律子の訴えに対して、一方的に誠一を糾弾します。

大和紀夫役:北村一輝

北村一輝

北村一輝演じる大和紀夫は、氷室側の弁護士。マスコミの報道で一大事件となり、弁護団を結成。その中心に立つ敏腕弁護士です。

湯上谷年雄役:小林薫

小林薫

小林薫演じる湯上谷年雄は、誠一の弁護を引き受けた弁護士です。「暴力教師」のレッテルを貼られた誠一を救うため闘います。

実話映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』は2025年6月27日公開!

『でっちあげ~殺人教師と呼ばれた男』(2025年)、ポスター
ⓒ2007 福田ますみ/新潮社 ⓒ2025「でっちあげ」製作委員会

福田ますみのルポを元に衝撃的な事件を再現した『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』は2025年6月27日に公開です。 三池崇史監督の「恐怖は本物」という言葉から「ヒトコワ系ホラー」のゾクゾクする恐怖も味わえるのかもしれません。実際の事件と同じ結末を迎えるのか、真相は劇場で確かめましょう。