映画『そして、バトンは渡された』あらすじネタバレを相関図付きで解説!原作小説との違いは?
瀬尾まいこの小説『そして、バトンは渡された』が、主演・永野芽郁、田中圭、石原さとみの豪華キャストで映画化!主人公が様々な親のもとを渡り歩きながら、彼らの愛情を受けて成長する姿を描き、2019年に本屋大賞を受賞した感動作です。 撮影は前田哲監督のもとで、コロナ禍の2020年10月下旬~11月下旬に行われ、ついに2021年10月29日に公開されました。 この記事では、『そして、バトンは渡された』のネタバレありのあらすじやキャストを紹介し、相関図付きで物語を時系列に分けて解説します。
映画『そして、バトンは渡された』あらすじ
森宮優子は大人の事情によって、血の繋がらない家庭を渡り歩いてきました。父親は3人、母親は2人存在し、現在は3人目の父親・森宮さんと2人暮らし。 優子は高校の卒業式を控え、式でピアノを弾く予定の『旅立ちの日に』を猛特訓中。将来のことや友達のこと、恋のことなど人生の門出に悩みは尽きません。それでも、どの家庭でも愛情いっぱいに育ててもらい、自分は幸せだと感じています。 一方、梨花は何人もの元夫がいる魔性の女ですが、泣き虫な娘「みぃたん」には精一杯の愛情を注いでいます。1番目の夫の子であるみぃたんを自分の本当の子のように愛し、事業のため夫が1人でブラジルへ旅立った後も、女手一つでみぃたんを育てていました。 ところがある日突然、みぃたんを残して梨花は姿を消してしまいます。彼女と森宮親子の人生が交差する時、「命をかけた嘘」と「知ってはいけない秘密」が明かされるのです……。
【ネタバレ】『そして、バトンは渡された』の5つの家族
ここからは、物語を5つの時系列に分けて、ネタバレありの相関図付きで解説していきます。以降は『そして、バトンは渡された』の重要なネタバレを含みますので、未鑑賞の場合は注意してください。
物語中盤、みぃたんと優子が同一人物であったことが判明します。優子はみぃたんが成長した姿でした。 実の親である水戸夫妻から優子を預かった梨花は、優子を幸せにしてくれる夫を探し、再婚を繰り返します。相関図にある「第1の家族」から「第5の家族」は優子が渡り歩いた家族の軌跡です。 何人もの親や家族から大切に育てられた優子というバトンは、ついに早瀬へと渡されるのでした。
第1の家族:水戸
梨花の1人目の夫、優子の実の父親が水戸秀平(演:大森南朋)です。チョコレート工場でパート勤務をしていた梨花は、そこで7歳のみぃたんを育てている水戸と出会い結婚。 それ以前に病気の影響で子どもを産めない体になっていた梨花には、母として子に愛情を注げることこそが何よりの幸せでした。しかし水戸は自分の夢であるチョコレート作りのため、ブラジル移住を1人で決めてしまい、梨花の猛反対にあって、みぃたんはママと日本に残る決断をします。
第2の家族:梨花
梨花は水戸と別れ、みぃたんは梨花と2人暮らしをすることに。パートで忙しく、料理が得意ではない梨花はレトルトの食事をみぃたんに出す日々。一方みぃたんは毎日のように、ブラジルにいる父親に手紙を書いていました。 仲良しの友だちはみんなピアノ教室に行ってしまい、ひとりぼっちになって寂しい思いをしていたみぃたんは、ある立派なレンガ造りの家から聴こえてくるピアノの音に癒されます。みぃたんは、梨花に「ピアノを習いたい」と頼み込むのでした。
第3の家族:泉ヶ原
みぃたんにピアノを習わせるため、婚活を始めた梨花。なかなか相手が見つからず、豪邸にグランドピアノを持つ富豪の泉ケ原茂雄(演:市村正親)に相談すると、彼は2人を援助することを快諾します。 梨花の再婚によって願いが叶い、グランドピアノで先生からピアノを教わるようになったみぃたん。しかし再婚してしばらくしたある日、梨花は突然家を出てしまいます。その2カ月後、クリスマスに戻った梨花は、これからは週末婚になり、新しいパパを探していると告げ、みぃたんを困惑させました。
第4の家族:森宮
高校の同窓会をきっかけに、梨花は東大出身の商社マン・森宮壮介(演:田中圭)と再婚。結婚式当日にみぃたんの存在を知った森宮は、驚きつつも新しい家族ができたことを喜びます。 ここで、梨花が「みぃたんは卒業しよっか。今日から森宮優子になるんだからさ」と告げ、みぃたん=優子であることが明らかに。この時、みぃたんは小学4年生でした。 森宮の愛情あふれる手料理で成長した優子は、高校卒業後は料理人の道へ。森宮が作る温かな気持ちにさせてくれる料理が、優子が目指す料理のルーツになっていました。
第5の家族:早瀬
卒業式のクラス合唱で、ピアノ伴奏をすることになった優子。同じくピアノ伴奏をする他のクラスの早瀬賢人(演:岡田健史)のピアノを聴き、心を震わせます。音楽室で伴奏の練習とともに、早瀬が好きな作曲家ロッシーニの話で親しくなっていきました。 しかし卒業式が迫るある日、早瀬に彼女がいることを知った優子はショックを受けてしまいます。それでも優子は森宮の温かい眼差しを受けながら、無事に卒業式で伴奏することができたのでした。 卒業後、優子が務めるキッチンで、早瀬と偶然再会。この時に実は、小学生だったみぃたんが聴いて癒されていた豪邸のピアノを弾いていたのは早瀬だったと知ります。 音大を辞めて彼女とも別れ、料理人を目指して放浪していた早瀬。付き合い始めた2人は、結婚して店を出すことを決意しますが、森宮と早瀬の母親は猛反対。優子はまず他の親に認めてもらおうと泉ケ原を訪ねます。
【結末ネタバレ】梨花は病気だった?最後の手紙に感動
泉ケ原に会いに行った後、優子のもとに小包が1つ届きます。そこには梨花からの手紙と、実の父である水戸秀平からの大量の手紙が入っていました。 梨花はみぃたんと2人で暮らしていた時、ブラジルから届く水戸からの手紙を隠し続け、みぃたんのブラジルへの手紙を1つも投函せず、みぃたんが水戸を恨んでいると嘘の手紙も出していたのです。梨花の手紙には「あなたを失うのが怖かった」と書かれていました。 そして水戸が事業に失敗して帰国し、今は青森にいることが記されており、優子は森宮に背中を押されて会いに行くことに。リンゴ農園で新しい家族と暮らす水戸のもとにも、梨花が出せなかったみぃたんの手紙が届いていました。 梨花が隠していたのは手紙だけではありません。自分が闘病していることを隠し続け、ブラジル移住も健康に不安があったため、週末婚も療養のため、森宮と結婚したのはみぃたんの将来を思ってのことでした。 実は梨花は泉ケ原にだけ闘病を打ち明けていて、卒業式で伴奏する優子の姿を見に来ていたのです。
原作小説では手紙は読まれなかった?
原作小説では、手紙の内容は優子には読まれませんでした。それでも、その代わりに水戸を優子と早瀬の結婚式に招待しています。 映画でも水戸は結婚式に青森から駆け付け、優子とバージンロードを歩く「父親」の役目を森宮に譲っています。そして最後に、森宮から早瀬に「優子」という愛娘のバトンが渡されるのでした。
映画『そして、バトンは渡された』感想
自由奔放な性格で、周りを振り回し続ける梨花。そんな毒親な梨花に振り回される優子や夫たちがかわいそう……って途中までは思っていたけど、物語の終盤で梨花の本心が分かってからはもう号泣の連続。終わった時には、登場人物全員を好きになっていました。キャスティングも最高で、特に田中圭には劇中で何度泣かされたことか…。優子の合唱祭のシーンは必見です。
あらすじを読んでいたので展開は読めてしまったけれど、それでもキャストの熱演のおかげか、感動する作品だった。わかってたのに最後はもうボロ泣き。久しぶりに嗚咽するほど泣ける映画に出会いました。
『そして、バトンは渡された』のキャスト
優子役/永野芽郁
主人公の優子を演じるのは、『半分、青い。』(2018年)で真っ直ぐなヒロインを好演し、朝ドラ女優の仲間入りを果たした永野芽郁。 2021年の出演映画は、『キネマの神様』と主演映画『地獄の花園』に続き本作で3本目です! 永野の母親が原作の読者だったそうで、「『実写化したら芽郁に演じてほしい』と言われていた小説だったので、お母さんのためにも自分のためにも絶対やりたい作品だと思いました」と、本作への意気込みを語りました。
森宮役/田中圭
優子の3人目の父親・森宮さんを演じるのは、遅咲きのブレイクが続く田中圭です。 「おっさんずラブ」シリーズで一躍時の人となった田中も、私生活では2児の父親。直近の『哀愁しんでれら』(2021年)を始め、仕事でも父親役を演じることが多くなりました。 歳の差が少ない義理の親子を演じるにあたり、戸惑いもあったとのこと。田中は「実際に一筋縄ではいかなかったですが、芽郁ちゃん演じる優子ちゃんとは素敵な距離感になれたらいいなと思って演じました」とコメントしています。
梨花役/石原さとみ
自由奔放な梨花役には、『シン・ゴジラ』(2016年)の大統領特使や『アンナチュラル』(2018年)の法医解剖医など、幅広い役柄を演じこなす石原さとみ。 2020年10月に結婚を発表し、公私共に順調な彼女が選んだ次なる役はキャリア初の母親役です! 梨花はとても大胆不敵で、ちょっと理解しがいキャラクターと評した石原。演じる難しさはあったものの、「初めての母親役でしたが、私の周りにもお友達の子どもも多いですし、気負わずに演じることができたと思います」と、手応えを明かしました。
早瀬賢人役/岡田健史
優子が出会う同級生・早瀬賢人を演じるのは岡田健史。ドラマ『中学聖日記』(2018年)で大注目を浴びてから、ドラマ『MIU404』、『青天を衝け』、『桜の塔』と話題作に出演し続ける若手俳優です。 早瀬という役について岡田は「少し変わったキャラクターですが、早瀬から生きる手がかりを得ることができました」と語っています。
監督は「こんな夜更けにバナナかよ」の前田哲
本作のメガホンを取るのは、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018年)などの前田哲監督。脚本は同作でタッグを組んだ橋本裕志が手がけました。 コミカルでテンポの良い演出と、じんわりとした温かさの中に切なさを感じるヒューマンドラマが魅力の前田監督だけに、期待は高まるばかりです! 家族の物語である本作は、「人が人と生きることの本質と、親であること、子であることの核心を突いていて、暗澹たる子どもの事件が多発する現在、そして、未来に向けて、必要とされている物語であります」と、力強くコメントしました。
原作は瀬尾まいこの本屋大賞!タイトルの意味に感涙
原作小説『そして、バトンは渡された』は、2018年2月に文藝春秋より発売されました。 発売直後から反響を呼び、「ブランチBOOK大賞2018」大賞などを受賞。翌年発表の「2019年本屋大賞」でも大賞に選ばれ、感動の渦が広がっていきました。累計発行部数は77万部を突破した令和最大のベストセラーです!
書店員からの推薦コメント
本屋大賞に推薦した書店員の多くが、タイトルの意味に涙を誘われたと語りました。渡されたバトンとは5人の親が大切に守り、繋いできた優子そのもの。血の繋がりや過ごした時間など関係なく、“彼らの子ども”に注がれた愛情のことです。 優子の新たな門出に森宮さんから次へと渡される瞬間、自分も温かな感情をもらい、その想いをまた誰かに繋ぎたくなった、と書店員たちは涙しました。 家族や人と人の繋がりが見直される時代にこそ、必要な作品として支持を集めたのです。
瀬尾まいこ
原作者の瀬尾まいこは1974年1月16日生まれ、大阪府大阪市出身です。 2001年に『卵の緒』で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年にその単行本で作家デビュー。2004年から2011年までは、中学校の国語教諭として勤務していました。当時を描いたエッセイ『ありがとう、さようなら』のほか、教師時代が反映された著作も。 瀬尾の著作が映像化されるのは、吉川英治文学新人賞受賞作『幸福な食卓』、『天国はまだ遠く』などに続いて5作目になります。
映画『そして、バトンは渡された』は涙が止まらない傑作邦画!
本屋大賞受賞作の映画化、そして豪華キャストの共演が話題になった『そして、バトンは渡された』。明かされる「命をかけた嘘」と「知ってはいけない秘密」に、涙すること間違いなし!特に主演の永野芽郁の涙の熱演は高く評価されています。 全国の書店員が感涙したという、このタイトルの本当の意味を、ぜひその目で確かめてみてください!