漫画『可愛そうにね、元気くん』はなぜ打ち切りに！？最終回まで全話ネタバレあらすじ＆感想も解説します

ちょっと特殊な性的嗜好を抱える元気くんの恋を描いた漫画『可愛そうにね、元気くん』。 この記事では本作の最終話までのあらすじをネタバレありで徹底解説！読者の心をザワつかせる不穏なストーリーや個性豊かなキャラたちの関係性、さらには一部で囁かれる打ち切り説についてもしっかりご紹介。本作の気になる情報をあますことなくお伝えしていきます。

終盤はかなりの駆け足で展開し、しかも形容しがたい難解なラストを迎えた本作。そのためファンのあいだでは、「これは打ち切りだったのでは」という噂が囁かれています。 しかしながら単行本の重版などはしていたため、売り上げ不振による打ち切りなどはないはず。もしこれが打ち切りだったのだとすれば、作者の体調不良などが原因だと思われます。 実は本作は休載頻度がそこそこ高かった作品。さらに所々で「絵が荒くなっている」と指摘される部分もあり、作者の体調不良が疑われた時期もありました。漫画の連載は恐ろしいほどの激務。連載途中に作者の限界が来てしまったのだとしても、それは仕方がないことのように思えます。

一見地味に見えるものの、サディスティックな性癖を抱える高校生・廣田元気。彼は想いを寄せるクラスメイト、八千緑七子を凌辱する漫画を熱心に制作。それがバレないように、ひっそりと学校生活を送っていました……が。 なんと彼の描いている漫画の存在が、クラスのマドンナ・鷺沢守にバレることに。しかも守は真性のサディストで、これをきっかけに元気のことを奴隷のように扱い始めます。 さらにそれだけにとどまらず、その漫画の存在が七子の弟である励一にまで発覚。極度のシスコンである彼は漫画をネタに元気を脅し、七子との絶縁を要求してきます。元気の青春はいったいどうなってしまうのでしょうか……。

励一の脅しで七子と絶縁したものの、元気はこれをきっかけに彼女にすべてを打ち明けようと決意。縁日で遊ぶ七子のもとへ行き、彼はついに自身の性癖について告白します。すると七子は驚きもせず「知っていた」と返答。どうやら彼女は元気の描いていた漫画のことを察していたようなのです。 しかもそこで、七子が元気に対して好意を持っていたことが発覚。なんと2人はこれを機に付き合うことになります。デートなどを重ねて少しずつ仲を深めていく元気たち。そしてそんななか、元気が所属する美術部の合宿が開始。 そこになぜか七子や守、さらには励一まで来てしまい、合宿は波乱まみれの日々になってしまいます……。

七子と付き合い仲を深めていく元気ですが、そのなかで衝撃の事実が発覚。なんと七子は真性のマゾヒスト。いたぶられることに興奮を覚える人間であり、元気は彼女の欲望を叶えるために暴行を加える日々を送ることになります。 サディスティックな性癖を持つ元気にとってこれは幸せなはず……かと思いきや。元気はこの日々に苦悩。どうやら彼は守に奴隷として扱われるうちに、自分こそがマゾヒストだと気付いてしまったようなのです。そのため七子に暴行することは、元気にとっては苦痛でしかないのでした。 さらにここで、元気と守の主従関係が七子に知られることに。守はそこでこれまでの元気との関係をすべてぶちまけ、これをきっかけに元気と七子の関係は解消されることになってしまいます。

実は元気には1人の姉がいました。彼女はかつて男性嫌悪をこじらせ、日々元気に女装をさせ暴行。これにより彼の性癖は歪んでしまい、元気の心の奥には「女装した自分を虐めて欲しい」という願望が芽生えることに。なんと彼の描く凌辱漫画は、そんな欲望が投影されて生み出されたものだったのです。 姉との再会でそれを自覚した元気は、七子の制服を盗んで着用するなど、その行動がどんどんとエスカレート。その一方で、元気と別れた七子は精神的に不安定な状態に。励一は姉を苦しめる元気を憎み、公衆の面前で彼の漫画を出し「死んでくれよ」と痛烈な一言を発します。 これをきっかけに元気は登校拒否。気が付けば守との縁も切れ、時間はどんどんと経過していきます。そして10年後、元気は普通の会社員として暮らすほどに成長。大人になった彼は偶然にも、自分以外のひとと結婚した七子との再会を果たすのでした……。

本作は主人公はもちろん、ヒロインやその周囲の人間まで、誰もが「こじれた性癖」を抱えています。作中に1人いるだけでも漫画の色が変わりそうなキャラが大量に混ざり合い、この作品は一言では表せない複雑なストーリーを展開。 しかしその奇妙さこそが本作の大きな魅力。先がまったく読めない展開や、常人には理解できない言動の数々。それにより好奇心を強く刺激され、どんどん物語に引き込まれてしまいます。普通の恋愛漫画にはもう飽きた！そんな方には特にオススメの作品です。