漫画『エロスの種子』最新話まで全話ネタバレあらすじ＆感想！【男女の"性"をテーマにした傑作短編集】

様々な登場人物の”性”への向き合い方や過ちをテーマにした短編ストーリー集『エロスの種子』。耽美的で文学作品のような作風が人気の漫画です。 この記事では、本作の1巻から8巻までのネタバレあらすじを紹介していきます。配信状況や見どころなど、気になる関連情報もたっぷりとお届けしていくのでぜひ参考にしてみてくださいね！

大学教授の家に書生として住み込むことになった大学生の蒼井孝太郎。教授には父娘ほど年が離れた妻の珠子が居ました。孝太郎は彼女に一目惚れしてしまったものの、夜に漏れ聞こえてくる情事の嬌声が頭から離れず悶々としてした日々を過ごすように。 そんなある日、2人きりになり理性のタガが外れた孝太郎が珠子と一線を越えようとしたところに教授が現れます。妻の不倫現場を目撃した彼は、なぜか2人に情事の続きをするよう促してきて――？ 1巻には上記のような男女の性愛に重きを置いたストーリーを計4作収録。2巻では主に時代や立場に縛られた女性たちの生々しい生き様が描かれています。

昭和20年、菅原は命を落とした戦友の一部を持参して彼の妻の鈴子に会いに行きました。妖艶でありながら綺麗な鈴子に惹かれた菅原は、未亡人となった彼女を押し倒してしまい……。「中指」は鈴子に魅了された男たちと、帰らぬ夫を待ち続ける彼女の心の強さがテーマです。 上記の話が収録されている3巻は、時代の荒波に翻弄されながらも明るい未来を意識できるような短編集になっています。 続く4巻では、好きだった女と死に別れ抜け殻になった老年男性と、恩人である彼と結婚し家族の幸せを願った女性の苛烈な生き様を綴った「追憶」2作など。強い信念を持って生きる女性たちの逞しさが描かれています。

5巻は、ホステスのヒナという女性と彼女に関わった周辺人物に関するストーリーが主になっています。 ヒナは妻帯者に惹かれる性分でした。男が自分に浮気し、それに怒り狂う妻を見ると胸が空く思いがするのです。それは彼女が義父と関係を持ち、母にバレて家族が崩壊した時も同じでした。ヒナは数々の既婚者と身体の関係を結びつつ、次々とトラブルを巻き起こしていき――。 6巻ではナンバーワンソープ嬢のマキの生き様がメインに。彼女にはかつて遠野淳という恋人が居ました。父親から虐待を受けていたマキは遠野親子に救われ愛情を知ったのです。マキは彼の母に恩を返すために夜の世界で一生懸命に働きながら、父への復讐を果たすことになります。

いじめられっ子で家にも学校にも居場所がないちあき。容姿にも自信を持てずにいた彼女は絵の世界に逃げ込み、エロ漫画家として活動していました。そんな彼女の元に凄腕のイケメン久米と、女性の上澤がアシスタントとして派遣されてきます。 上澤は眼鏡で地味な印象ですが、ちあきは彼女が綺麗だと思っていて……。上澤に恋をしたちあきは想いを告げることに。不細工な自分の容姿に自信が無かったものの、上澤はちあきの作品を通して彼女を好きになったと言います。2人は恋人となり、ちあきはありのままの自分で良いのだと前向きになれたのでした。 7巻、8巻には上記のような恋愛の多様性をメインテーマにした短編が複数収録されています。

『エロスの種子』は人間の”性”にフォーカスを当てた作品でありながら、精錬された文学作品のような上品さが魅力の作品です。どの短編も恋愛や生々しい性に関するテーマに沿った物語でありながら、下品なエロさが一切感じられない大人の読み物といった印象を受けます。 様々な要因によって恋愛観が歪んでしまった人間の末路や、逆に愛によって明るい未来を切り開いていく前向きなストーリー等々……。共通テーマの中でも、登場人物たちの多種多様な生き様を見ることができますよ。