タイトルだけじゃまったく想像出来ない映画『私たちのハァハァ』【あらすじ】
九州の片田舎に住む女子高生4人組達。日々退屈な時間を過ごしていた彼女達にとって、ロックバンド”クリープハイプ”への情熱だけが全てでした。そんな彼等が彼女たちの住む街の近くへライブにやってきます。当然、彼女達は興奮してライブに足を運ぶのです。
熱狂的なファンである彼女達はバンドメンバーの出待ちをしており、メンバーが冗談半分、ノリ半分で言った「東京のライブにも来て下さい」との言葉を彼女達は完全に真に受けてしまう。
丁度、夏休みに入った事もあり、日々何もする事が無くモヤモヤしていた彼女達は、本気で東京を目指す事に決めたのでした。しかし、車もお金もない彼女達が選択した交通手段は自転車。こうして、高校最後の夏休み、退屈だった彼女達の最後の冒険が始まります。
しかし、1000kmもの道筋、自転車だけに頼る旅が簡単に進む筈もなく・・・・。
『私たちのハァハァ』とは一体どんな映画?!
タイトルだけを見ると、違う方向に勘違いする諸氏も多いかも知れませんが、残念ながらこの映画はそう言った下ネタ系の映画ではありません。
皆さんにも思い出があるのではないでしょうか?若い頃は何でも出来る、不可能はない、そんな思いに駆られて日常から抜け出そうと安易に無茶をしてしまった事が。思春期にありがちな意味のない焦燥感や、閉塞感がたまらなくなりそこから這い出たい。
しかし、1人では何となく怖い。そんな時仲間がいれば無茶も出来る、冒険も出来る、そしてやがて現実を知り、一段大人の階段を上り成長していくのです。この映画はそんな少女達の姿を描いた映画なのです。
個性豊かな女子高生役4人のキャスト
井上苑子
兵庫県出身のシンガーソングライターと言う異色のキャスティングです。現在17歳と言う事で役にも繋がる部分があります。演技に関してはほぼこれが初めてと言って良いのですが、見事に演じ切っています。
大関れいか
SNSサイトのVineやTwitter、Youtubeなどで話題になった女子高生です。特にVineでの投稿が面白過ぎると話題になり、今や3億PVを記録する程に。現在、18歳で現役高校生です。ネットで見せた面白雰囲気を映画ではどの様に出しているのか気になるところです。
三浦透子
彼女は正統派の女優です。2代目なっちゃんとしても有名で、暫くは活発な活動はありませんでしたが、2011年のドラマ『鈴木先生』から目覚ましい活躍を見せています。ドラマ、映画共に出演作は多く、演技の部分では4人を引っ張っていく立場にあると言えます。彼女も18歳で適役です。
真山朔
2014年講談社が主催するアイドルオーディションMiss iDのファイナリスト、個人賞を受賞した真山朔。芸能人としての立ち位置は未だハッキリしていない状況です。
この映画をキッカケに俳優として大きく羽ばたくかも知れません。ちなみに同じオーディションで2015年個人賞で共演者の井上苑子が受賞しています。真山は17歳でリアル女子高生です。
思春期の若者を描かせたら秀逸な松居監督
短編映画や舞台を中心に活躍してきた松居大悟監督。長編映画は有名どころでは『アフロ田中』などがありますが、多くが思春期の青年達の苦悩や、成長を盛り上がりに任せずに、淡々と語っていく切り口が特徴です。
今回の『私たちのハァハァ』も基本的にはロードムービーでありながら、単調にならない様に描いており、飽きずに観させてくれる映画に仕上がっています。主演の4人の女子高生たちの個性も豊かで、その個性がともすれば単調になりがちのプロットの中でキラリと光っています。
本作はゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015でファンタランド大賞と言う観客賞を獲得しており、スカパー&映画番組賞も受賞した優れモノです。鼻持ちならない評論家では無く観客や視聴者の評価による受賞と言うのが、この作品の性質を表しているのではないでしょうか。
映画『私たちのハァハァ』は9月12日公開です。