【ネタバレ感想】『四月になれば彼女は』の泣ける結末とは?原作あらすじと比較して解説!
恋愛小説が売れない現代に異例の35万部を突破した恋愛小説『四月になれば彼女は』(2016年)が実写映画化され、2024年3月22日に公開!佐藤健、長澤まさみ、森七菜が初共演する、切ないラブストーリーです。 この記事では、映画『四月になれば彼女は』のあらすじやキャスト、原作小説のネタバレを紹介していきます。
- ストーリー:★★★★☆なぜ永遠と思えた愛もいつか終わってしまうのか……。川村元気の同名小説を原作とした、切なくて心をえぐられるようなストーリー。ラストは涙なしでは見られません!
- キャスト:★★★★★同原作者の映画『世界から猫が消えたなら』でも主演を務めた佐藤健が主演を務め、長澤まさみ、森七菜と共演。ほかにも仲野大賀、ともさかりえ、竹野内豊ら豪華キャストが出演します。
- おすすめ度:★★★★☆観た人が一人ひとり違う、それぞれの恋愛に対する「答え」が出るような作品。愛に悩んでいる人、愛を失ったことがある人、愛する気持ちを大切にしたい全ての人におすすめです!
映画『四月になれば彼女は』のあらすじ
タイトル | 『四月になれば彼女は』 |
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公開日 | 2024年3月22日 |
キャスト | 藤代俊役/佐藤健 , 坂本弥生役/長澤まさみ , 伊与田春役/森七菜 , タスク役/仲野太賀 |
監督 | 山田智和 |
主題歌 | 藤井風『満ちてゆく』 |
精神科医の藤代俊(佐藤健)のもとに、初めて付き合った彼女だったかつての恋人・伊予田春(森七菜)から手紙が届きます。そのころ藤代は婚約者の坂本弥生(長澤まさみ)と1年後に結婚を控えていましたが、彼女のことを愛しているのか自分でもわかりませんでした。 ウユニ塩湖から届いた春の手紙には、10年前の瑞々しい初恋の記憶が書かれていました。その後もプラハ、アイスランドと世界各国から春の手紙が届きます。 そんななか弥生が突然「愛を終わらせない方法、それはなんでしょう?」という言葉を残して姿を消しました。春はなぜ手紙を送ってきたのか、弥生はなぜ姿を消したのか。ふたつの謎はやがて繋がっていき……。
【ネタバレ】『四月になれば彼女は』の結末までのあらすじ
【起】四月、突然届いた手紙
四月。精神科医の藤代俊(佐藤健)は、婚約者である坂本弥生(長澤まさみ)との婚約を1年後に控え、準備を進めていました。そんななか大学時代に彼女だった初恋の相手・伊予田春(森七菜)から突然、手紙が届きます。 春はボリビアのウユニ塩湖から手紙を送ってきていました。そして7月にはチェコのプラハ、10月にはアイスランドのレイキャビクから、手紙が届くのでした。 その手紙に綴られていたのは、10年前の初恋の記憶。失った恋を思い出した藤代は、同時に弥生との結婚に迷い始めました。弥生とはもう2年ほど体の関係もなく、彼女を本当に愛しているのかどうかわからなくなっていたのです。 藤代の脳内を「このまま結婚していいのか?」「なぜ春は手紙をくれたのか?」という問いが支配していきます。
【承】愛を手放した過去
大学生の時、写真部で出会った藤代と春は交際をスタートしました。春は藤代にとって初恋の相手で、初めての彼女でした。順調に付き合いを続ける2人でしたが、写真部のOBである大島が春のことを好きになってしまいます。 9月のこと。春が「助けて、大島さんが!」と電話をかけてきます。慌てて駆けつけた藤代が目にしたのは、空のピルケースが転がるベッドの上で昏睡している大島と、その横にいる春の姿でした。 入院した大島の見舞いに行った藤代と春は、大島の妻から「あの人は何度かこういうことをしているから、気にしないでください」と言われます。藤代には2人の間に何が起きたのかわかりませんでした。 それを機に2人は会わなくなってしまいます。一度、春から「会いたい」と留守電がありましたが、藤代はまるで面倒を避けるように、春を愛することを諦めたのでした。
【転】弥生の失踪
婚約者の弥生は、春と別れた後で藤代がやっと好きになれた人でした。タワーマンションで一緒に暮らす2人は、一見すると何の問題もないように思えます。 3年前に出会った頃、藤代は確かに弥生のことを愛していましたが、今は彼女のことを愛しているのか自分でもわからなくなっていました。藤代が迷いを抱えたまま結婚式の準備は進み、当日まであと4ヶ月となった12月、弥生は突然姿を消しました。 2月になり、藤代は春がガンで亡くなっていたことを知ります。春が最期を過ごした療養所を訪れた藤代は、担当医から彼女が水平線にカメラを向けながら「わたし、どうやら間に合わなかったみたいです」と呟いていたことを聞かされました。
【結末】ラストで見つけた“愛”
家に戻った藤代はベッドで弥生の香りを嗅ぎながら、サイモン&ガーファンクルの『四月になれば彼女は』という楽曲の歌詞を思い出します。「九月、僕は忘れない。生まれたばかりの愛も、やがて移ろい過ぎてゆくってことを」。 そして、枕元に春からの4通目の手紙を発見しました。そこには、インドのカニャークマリで一緒に見ようと言っていた朝日を最後に見たかったが見られなかったことや、手紙を書いた理由はあの頃の自分に会いたかったからだということが書いてありました。 さらに「藤代に愛する人がいて、その人が藤代を愛してくれることを願っている」とも綴られていました。藤代は、かつて春を愛するのを諦めたのと同じことを、弥生にしてしまっていることに気がつきます。愛を終わらせないたったひとつの方法は、「手に入れないこと」なのです。 四月。藤代はインドのカニャークマリへ向かいます。何千人もの人々が水平線から昇る朝日を見つめるなか、1人で朝日を見つめる弥生を発見した藤代は、弥生の名前を何度も呼び、涙を流しながら彼女の元へ駆け寄るのでした。
「愛を終わらせない方法」とは何なのか?
本作で弥生が言った「愛を終わらせない方法、それはなんでしょう。」という言葉。弥生の答えは「手に入れないこと。」でした。 婚約者の藤代は、春に対しても弥生に対しても愛することをさぼり、結果として愛がない関係性を築いてしまいました。これを踏まえると、手に入れないことで愛を永続させるという弥生の答えは的を射ているかもしれません。 しかし、「愛を終わらせない方法、それはなんでしょう。」へのこの作品の答えは少し違うのではないでしょうか。藤代は、春からの手紙で、自らが愛することをさぼっていたと気付き、弥生の元へと向かったことから、「愛し続けること」であるように考えられます。 物語の中で、「人を愛せないことは自分を愛せていないということ」というセリフが登場します。藤代は春からの手紙をきっかけに、弥生を、そして自分を愛する一歩を踏み出したのではないでしょうか。
映画『四月になれば彼女は』の感想・評価
ストーリーも良いのですが、何より、心を揺さぶられるセリフが多い作品だと思いました。特に春の手紙に綴られた言葉と、藤代に助言するバーの店長タスクの言葉がすごく良いです。言葉選びのセンスが抜群で美しく、冷たいほど切ない大人の恋愛が描かれていて印象的でした。
人を愛することについて改めて考えて、色々な感情が押し寄せました。「愛はいつか終わるもの」で「いつか情に変わるもの」。それは受け入れるしかないと思っていたけれど、私も主人公のように愛することを諦めてサボっていたのだと気付かされました。刺さる表現が多くてとても好きな作品です。
映画『四月になれば彼女は』のキャスト・俳優は?
藤代俊役 | 佐藤健 |
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坂本弥生役 | 長澤まさみ |
伊予田春役 | 森七菜 |
タスク役 | 仲野太賀 |
ペンタックス役 | 中島歩 |
坂本純役 | 河合優実 |
小泉奈々役 | ともさかりえ |
伊予田衛役 | 竹野内豊 |
藤代俊役 / 佐藤健
藤代俊は都内の大学病院に勤める精神科医。初恋の女性・春からの手紙を受け取り、思い出が蘇ってきます。一方で突然失踪した婚約者・弥生を探しますが……。 演じるのは2008年のドラマ『ROOKIES』や『ブラッディ・マンデイ』でメインキャストを務めてブレイクした佐藤健。実写映画「るろうに剣心」シリーズの主演で世界的な人気も獲得しています。
坂本弥生役 / 長澤まさみ
坂本弥生は藤代の婚約者で、動物園に勤める獣医です。深く愛していたはずの藤代に「愛を終わらせない方法、それはなんでしょう」という謎かけを残して、突然姿を消していまいます。 演じるのは、第5回東宝「シンデレラ」オーディションでグランプリを獲得し芸能界に入った長澤まさみ。ヒロインを演じた映画『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)が大ヒットして人気女優の仲間入りを果たし、映画『モテキ』(2011年)や「コンフィデンスマンJP」シリーズなどでも知られています。
伊予田春役 / 森七菜
伊予田春は、藤代の初恋の相手であり初めての彼女だった元恋人の女性。カメラを持って世界を旅しています。ウユニ塩湖から10年ぶりに藤代に手紙を送りますが、そこにはある事情があり……。 演じるのは、2017年の映画『心が叫びたがってるんだ。』でスクリーンデビューした森七菜。NHK連続テレビ小説『エール』(2020年)やドラマ『この恋あたためますか』(2020年)、『真夏のシンデレラ』(2023年)などに出演し活躍の幅を広げています。
タスク役 / 仲野太賀
タスクは藤代の行きつけのバーの店長。夜な夜な恋愛について語り合い藤代に助言してくれる、親友とも言える存在です。しかしゲイである彼もまた、恋愛に悩みを抱えています。 演じるのは映画『泣く子はいねぇが』(2020年)などで主演を務める仲野太賀。ドラマ『ゆとりですがなにか』(2016年)や『今日から俺は!!』(2018年)、『コントが始まる』(2021年)などへの出演でも注目を集めた個性派俳優です。
原作は『世界から猫が消えたなら』の作者の小説
映画『四月になれば彼女は』は、2016年の映画『世界から猫が消えたなら』の小説の作者・川村元気が、2016年に刊行した同名小説を原作としています。 川村元気は小説家としてだけでなく、敏腕プロデューサーとしても知られている人物。映画『電車男』(2005年)や映画『告白』(2010年)、『モテキ』(2011年)、『君の名は。』(2016年)、『怒り』(2016年)など多数の大ヒット作の企画・プロデュースを手がけてきました。 小説『四月になれば彼女は』は、恋愛小説を書こうと思い立った川村元気が、書くべき恋愛が見つからないほど周囲から恋愛が消えていることに気づき、「ならば恋愛がないことを書こう」と思い至り書いた物語です。
映画『四月になれば彼女は』をネタバレ解説・考察でおさらい
川村元気の小説を佐藤健主演で実写化した映画『四月になれば彼女は』は、2024年3月22日公開です。永遠だと思っていた愛でさえ、なぜいつか消えてしまうのか……。愛を失ったことのある全ての人に刺さる作品です。 ネタバレを読んで気になった方は、ぜひ映画や原作小説をチェックしてみてください。