漫画『白紙の上でさようなら』最新巻まで全巻ネタバレあらすじ＆感想！漫画家をやめた真相は？

16歳の若さで漫画家デビューしたことが、彼女の運命を狂わせてしまいます。漫画という世界を舞台に繰り広げられる作品『白紙の上でさようなら』。作者「天井フィナンシェ」が贈る女性漫画作品です。 この記事では、漫画『白紙の上でさようなら』をよりお得に読める方法を解説します。また、作品の見どころや感想もあわせて紹介していくので、本作に興味がある人は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。

主人公・我聞恵(がもんめぐみ)。彼女はかつて16歳という若さで、大手出版社の漫画賞のグランプリを受賞。そこから華々しいデビューを飾った経歴の持ち主です。しかしいまでは、影のようにひっそりと生きる恵。 なぜなら漫画賞を受賞した後すぐ、家族内で理不尽なトラブルが起きたからです。 いまでは細々と漫画アシスタントとして生きながら、恋人・村正環(むらまさたまき)と過ごす毎日。そんなある日、有名漫画家の源田雲水(げんだうんすい)と出会ったことが彼女の運命を大きく変えます。

運命的な源田雲水との出会いから、恵は彼のもとでアシスタントをすることになります。もともとコミュ障気味だった恵。しかし源田のところでは、他のアシスタントたちも気のいい人たちが多く、コミュ障も改善されてきます。 しかしそれをよく思っていない人物がいました。それは彼女の彼氏・環です。彼はもともとモラハラの気質があります。もちろん恵が源田のところで働いていることをよく思っているわけはなくーー。

恋人の環は、恵をまたもや支配しようとしていました。これまでずっと他人に支配され、自分の意志を後回しにしてきた彼女。しかし今回だけは違いました。モラハラの恋人に対して、自分の意見を伝え反発できたのです。 それも全て、源田のおかげです。彼のもとでアシスタントとしてやってきたことが、彼女のなかで人生の希望となっていたのです。 どうしても源田のもとで漫画を描いていたい！その気持ちが彼女の白紙のような15年の人生に光を当てていました。

ドラマの見学をした「スタジオ雲水」の面々。終わった後には、みんなで飲もうということになり、編集者も交えて飲み会になります。もちろん恵も参加しています。 酒の席ではさまざまな話が飛び交っていましたが、次第に話題の中心は恵みのことになります。いい感じに酒が回り始めた彼女。いままで誰にも話したことがなかった、家族のことについて語り始めるのです。 そして恵が飛び出した実家では、母親と姉が暮らしているのですがーー。

結婚の問題で対立していた恵と、恋人の環。珍しく環の方からの歩み寄りで、なんとか関係の修復をすることができ、一旦はおさまることができました。 一方、恵が16歳のときに漫画賞を受賞した原稿を源田から渡された編集者の武井。それを読んだ武井は大いに感動します。 自分はこういう漫画の担当がしたくて編集者になったとまで言うのです。これを聞いた恵は、やはり漫画こそ自分がいるべき世界だということを確信するのでした。

自分の人生を見つめ直した恵は、再起を試みます。そしてずっと時が止まったままになっている、家族との問題についてもう一度向き合うべく、母親に電話をかけるのです。 しかしそこで待っていたのは、母親からの罵詈雑言の嵐。たくさんの暴言が彼女に降りかかってきます。きっと一筋縄ではいかないことは、恵も予想はしていたものの、ここまでひどいとは思っていませんでした。 母も姉も恵にとっては大事な家族。その家族からのひどい言葉の嵐に、彼女は改めてショックを感じます。

恵みの母親は、電話を切る間際にとんでもない一言を彼女に浴びせかけます。それは、もう家族じゃないという言葉……。それは恵の希望や再起に向けた決意を打ち砕くのに十分でした。 恵は母親との久々の電話のあと、情緒不安定に陥ります。とてもじゃありませんが、源田たちとの打ち合わせにまともに参加できる余裕はありません。 恵のただならぬ様子に気づいた源田は、彼女にもっと誰かを頼りなさいとアドバイスしてくれます。そして源田のスタジオの2階に住むアシスタントの小室に、とある部屋へ案内されるのです。

小室と会話をすることが、恵の心のモヤモヤや闇を取り払う手助けになります。やはり漫画というものは、彼女にとって全てなのです。それを再認識することになりました。そして、当然ですが、いろんな人たちがいろんな思いや体験を抱えて生きているということも改めて痛感するのです。このことが、恵の闇を完全に取り払います。 その後、源田がスタジオのみんなにスープカレーを振る舞います。恵は久しぶりに笑い、楽しみ、そして大いにはしゃぐことができたのです。

恵は、まずは源田のアシスタントとしてしっかりと土台作りのために活動していくことになります。そこで、彼のスタジオの2階に住むことを決めました。 しかしことはそう簡単には進みません。障害は恋人の環でした。彼は彼女が源田のスタジオの2階に住むことを大反対してきます。そしてスタジオのみんなや源田自身のことを痛烈に批判。 これを聞いた恵は、大いに傷つきます。いままで恵のために応援してくれたみんなを批判するなんてーー。しかし恵はーー。

恵は環ととんでもない約束を果たしてしまいました。それは、年内中に漫画家としてデビューをし、今後一切、源田のスタジオに出入りをしないということ……。源田のもとでアシスタントとして生きるという目標から大きくかけ離れた環との約束。 完全に環の策に溺れてしまった恵。 なんとか環からの許可を得て、とりあえずは源田のスタジオで仕事をすることができた彼女ですが、周囲からのプレッシャーやいろいろな問題から押しつぶされそうになります。 それを見た源田はーー。

雲水スタジオの寮がついに完成します。そこで暮らすことになった恵。しかし彼女はもう漫画賞に応募する作品のことで頭がいっぱいの状態です。かつて「天才」と言われたプレッシャー。そのなかで、一体どんなジャンルで挑戦すればいいのか悩むのです。 しかしその悩みは、恵にとって幸せな時間でもありました。必死に考えている恵。周りを見回せば、同じ目標にむかって頑張っているスタジオの仲間たちがいます。それが彼女の心を強くさせるのです。

源田のもとでアシスタントとして働く恵。これが彼女の再起にとっては大きな刺激と希望になっていました。源田のスタジオで働くことが、彼女にとっていい刺激を与えてもいたのです。漫画賞を目指す彼女は、たった2日で36ページものネームを書き上げます。 そして早速、編集者の武田のもとへ持ち込みます。そのネームは荒削りではありますが、明らかに面白い出来……。武田はこれは面白くなると確信をします。

恵はこれまで自分が抑えてきた創作意欲が一気に吹き出してくるのを感じていました。溢れ出てくるアイディアや意欲に夢中になり、作品作りに没頭する日々。 一方で、環はといえば、そんな恵が自分から離れていっていることをなんとなく感じていたのです。しかし環の家は考えの古い家庭。後継ぎはまだなのかとしつこく電話がかかってくる日々。 そしてとうとう両親が東京にまで乗り込んできてしまうのです。困った環は、あることを口走ってしまいーー。

環からのプロポーズ。それは突然でした。しかしのらりくらりと交わしてしまう恵。いまの恵にとって、明らかに結婚という責任は重荷です。そして漫画に全神経を集中させている恵と環は、まったく話し合いの機会が持てないでいました。 恵の漫画の方はというと、彼女自身、相当煮詰まっていました。壁にぶつかっていたのです。そこで彼女は源田にアドバイスをもらおうと決意します。彼から直接アドバイスをもらったことで、源田のもとでもっと働きたいという気持ちに結びつくのです。

源田のもとで頑張っている恵。そんなスタジオにとんでもない人物が訪れてしまいます。それは環でした。彼はなんと恵にGPSアプリを仕込み、予告もなしに雲水スタジオへやってくるのです。そして無理やり彼女を連れて帰ろうとします。 しかしことはそう簡単にはいきません。なんせスタジオにはアシスタントの仲間たちや源田がいるのです。環の言い分はそう簡単に通るはずもありません。そして挙げ句の果てに恵は環に別れることを宣言します。

本作『白紙の上でさようなら』は、コミックシーモア毎月マンガ賞にて金賞を受賞した作品です。主人公の恵は、若くして漫画家デビューを果たしますが、毒親である母親により夢を断念。そこから隠れるように生きていました。付き合っている彼氏もモラハラ。 しかし暗い恵が再起していく様を描いた作品です。母親への思い、家族との関係、彼氏からの束縛などなど、人の心の闇や狂気、心の葛藤を凄みに描いており、レビューでも感情移入してしまうという声も多い作品ですよ。