2025年1月25日更新

『飯沼一家に謝罪します』あらすじネタバレ&徹底考察!儀式と謝罪の本当の意味とは

このページにはプロモーションが含まれています
『飯沼一家に謝罪します』
Ⓒテレビ東京

テレビ東京系列に新設されたフェイクドキュメンタリー特別番組「TXQ FICTION」。同枠の第2弾として、2024年末に『飯沼一家に謝罪します』が放送されました。この記事では、Jホラー好きを虜にした『飯沼一家に謝罪します』のネタバレを解説します。 ※本記事にはストーリーのネタバレが含まれるため、未視聴の人は注意してください。

AD

【第1話】『飯沼一家に謝罪します』あらすじネタバレ

『飯沼一家に謝罪します』

20年前の2004年5月17日、深夜2時に放送された『飯沼一家に謝罪します』。番組の内容は、民俗学者・矢代誠太郎が飯沼一家に謝罪するというものでした。 埼玉県在住だった一家は、1999年9月放送の視聴者参加型番組『幸せ家族王』へ出演が決まり、矢代に「運気を上げる儀式」を依頼したとのこと。100万円と副賞のハワイ旅行を獲得するも、放送の翌月に自宅が火事で全焼し、一家全員が命を落としたのです。 死装束を着た矢代は「“四十九日の裁き”の儀式を行う」と告げ、民家の2階へ姿を消しました。2024年9月現在、奇妙な番組の真相を明らかにすべく、関係者への取材が行われます。

【第2話】『飯沼一家に謝罪します』あらすじネタバレ

『飯沼一家に謝罪します』

元テレビ局員によると、単独スポンサー「池田IC食品」の意向で謝罪番組になったそうです。 さらに行方不明の矢代に代わり、元教え子・多田野淳が儀式を撮影したテープを提供。悪い運気を封じ、良い運気を取り入れる儀式「影の行列」が、1999年7月25日に行われていました。 『幸せ家族王』演出家・八木原健一への取材から、当時、飯沼家の2階に不審な人影があったと判明。その上、長男・明正は無傷で生還し、札幌に住む親戚に引き取られたと分かります。明正は叔父から継いだリンゴ農園こそ廃業したものの、妻子と平穏に暮らしていたのでした。

AD

【第3話】『飯沼一家に謝罪します』あらすじネタバレ

『飯沼一家に謝罪します』
Ⓒテレビ東京

明正はどこか他人事のような態度で、「家族の死は借金苦による一家心中」と語りました。 『幸せ家族王』ディレクター・松本修一と連絡が取れ、一家が番組に提出したテープを入手します。ハワイ旅行を撮影したはずが、日付は番組放送前の1999年8月20日~26日頃。山中のトンネルや寂れた吊橋など、怪しげな場所ばかりが映っていて……。 一方、同年9月1日付けの自宅の映像には、明正とは違う長髪の少年が映り込んでいました。 明正の同級生に話を聞くと、飯沼夫妻は気性が荒い引きこもりの長男の代役で、経営する工場の社員の甥・岸本良樹を出演させたというのです。取材班を出迎えた母・悠美子は、「息子の異変は矢代の儀式のせいだと考え、知人の協力を得て謝罪番組を作った」と明かしました。

【第4話】『飯沼一家に謝罪します』あらすじネタバレ

『飯沼一家に謝罪します』

取材班から矢代の所在を尋ねられ、微笑んだままで口を閉ざした悠美子。現在は寝たきりになり、2階で療養中の良樹の部屋へ案内してくれます。 1階へ戻ってくると、悠美子は良樹が飯沼家で撮影した写真や持ち帰った小箱を見せました。 改めて取材を受けた明正は、1999年9月18日に自宅で撮影したビデオテープを再生します。リビングのテレビの前で、『幸せ家族王』の映像を見続ける父と母、そして妹。「ある時から家族がおかしくなった」と話す明正に、取材班は悠美子から預かった良樹の写真を差し出しました。 オカルトグッズのようなものを飾った部屋で、入口に背を向けて立つ明正。動揺した様子で言葉を失い、「すいません」という彼の謝罪共に幕を閉じます。

AD

【考察①】「フラフープ」に隠された“輪”の意味

「影の行列」で円形になるように手を繋いだり、明正が撮影した自宅に輪っかが吊るされていたりと、輪を連想させる演出が印象的でした。 視聴者の中には、「TXQ FICTION」プロデューサー・大森時生も携わった展覧会『行方不明展』にあった、とある展示を思い出した人も……。 行方不明の人が辿り着いたかもしれない、 「異世界」を感じさせる【所在不明】エリア。その映像展示のひとつに、山中の廃墟にフラフープが吊るされたものがあります。輪の向こう側に異世界が見え、フラフープがゲートの役割をしているようでした。 また本作に限っては、儀式で用いられたセージの花言葉「家族愛」「良い家庭」にちなんで、「家族の輪」を意味するとの考察も見られました。

【考察②】紙飛行機とハワイ旅行は「向こう側」を表す

『飯沼一家に謝罪します』

後の取材班の調べから、ハワイ旅行の映像で飯沼一家が巡ったのは心霊スポットだと分かりました。 矢代が行った「影の行列」は素人知識だからか、他の理由でなのか想定外の効果が出て、結果的に悪いもの=悪霊を呼び込んだ可能性が高いです。 悪霊たちが向こう側、つまり「あの世」へ(飯沼一家の魂も連れて)帰ろうとしたのでは?実家へ戻った良樹も、「向こう側へ行くために必要」と言って輪っかを作っていました。『幸せ家族王』で紙飛行機がありえない方向へ飛んだのは、霊がゲートを通ろうとしたのでしょう。 飯沼一家の母と妹が、窓と壁の方を向いて対角線上に立っていたのも、「霊道」の出入り口である鬼門・裏鬼門の位置だった可能性があります。

AD

【考察③】「四十九日の裁き」の儀式がもたらした意味

『飯沼一家に謝罪します』
Ⓒテレビ東京

矢代が良樹の部屋で行ったと思われるオリジナル儀式「四十九日の裁き」。死装束を着ていたことから、良樹を媒介にあの世へ行ったのではないでしょうか? 儀式の詳しい内容は不明ですが、仏教では「四十九日」は大きな意味を持ちます。死者の魂はあの世との狭間で彷徨い、死後49日目までに生前の罪を問う裁判が行われるそう。良樹の代わりに裁きを受け、魂を現世へ戻すか、極楽浄土へ導こうとしたのかもしれません。 別の可能性として、本当に自分に罪があるのか裁判を受けたかったとも考えられます。 しかし儀式は失敗し、現在の良樹は同じ側の腕が2本、脚は3本に見える奇妙な姿に……。矢代の魂はあの世から戻れなくなり、肉体はおそらく良樹のものと合体。もしそうなら、矢代の所在について悠美子が口を閉ざしたのも納得できます。

【考察④】リンゴは「後悔」や「謝罪」を表している?

『飯沼一家に謝罪します』

事件から数十年経った現在も、明正は岸本家に毎年リンゴを送っており、悠美子は“身代わりになった良樹への心配の気持ち”と解釈していました。しかし、リンゴ農園の廃業から10年、一貫してリンゴにこだわっているのは気になります。 「謝罪」を伝えるだけのお詫びの品なら、演出面では他のものでも良いはずでは……? 一説では、『旧約聖書』の「善悪を知る木(知恵の樹)」はリンゴの木とされています。 アダムとイヴの神話に由来する、リンゴの実の花言葉のひとつが「後悔」。オカルトに傾倒した明正は、自分を爪弾きにした理想の飯沼一家を呪ったか、意識的・無意識的に呪い返しをしたことが、異変の原因だと認識していると解釈しました。 巻き込まれた側の良樹を害したという、「後悔」のモチーフの意味合いが強いと考察します。

AD

【考察⑤】最後に飯沼明正が「すみません」と言った理由

番組は最後に暖炉の火と明正を映し出し、彼の謝罪で締める構成になっていました。制作陣は明正が飯沼一家を呪い、放火した説を有力視しているのでしょう。 【考察④】で触れたように、明正が「元凶は自分」と認識している前提で考察を進めます。 家族の異変を恐れた彼は、証拠を隠滅しようと自宅に放火したのではないでしょうか?奇跡的に生還したにしては、火傷も何の後遺症もないのは少し不自然です。憎まれていたとはいえ家族の命を奪い、岸本家を不幸にして、矢代を隠れ蓑にしたことへの罪悪感から言ったのかもしれません。 取材班が悠美子から預かった写真を見て、自分の罪に気付かれていた可能性を察し、胸中には動揺や恐怖なども渦巻いていたと推測しました。

【考察⑥】タイトルの謝罪は誰に対するものなのか

『飯沼一家に謝罪します』
Ⓒテレビ東京

タイトルの『飯沼一家に謝罪します』は様々な意味が考察できますが、悠美子とテレビ局から新旧飯沼一家に向けた謝罪と解釈しました。 20年以上も前の事件を追う番組が作られたのは、おそらく悠美子の采配だと推察します。 オカルト部屋の写真や儀式に使われた小箱などを見て、明正の罪に気づいた悠美子。彼に公の場で謝ってもらうべく、再び謝罪番組を企画したのだとしたら?岸本家から帰る取材班に、「絶対に放送してくださいね」と念を押したのも印象的でした。 それでも無関係の妻子が巻き込まれるのは、彼女なりに思うところはあったでしょう。 一方、ひとつの家族の内情を暴いてしまったテレビ局。番組を通じて世間に晒されることは、旧飯沼一家に後ろめたい気持ちがあると思います。今後、明正本人や妻子が「私刑」に遭う可能性も考えられ、悠美子同様の謝罪も含まれているのかもしれません。

AD

『飯沼一家に謝罪します』は観返すたびに新しい考察が生まれる!?

幸せになりたかった人たちの顛末を追うフェイクドキュメンタリー『飯沼一家に謝罪します』。あらゆるシーンに意味深な演出があり、それぞれ何通りもの解釈ができます。 少し視点を変えるだけでまったく別作品になるので、ぜひ何回も観返してみてください!