『悪い夏』が映画化!結末までの原作ネタバレあらすじ&感想!生活保護をめぐる極悪サスペンス
第37回横溝正史ミステリ大賞にて優秀賞を受賞した染井為人の小説『悪い夏』の実写映画が、北村匠海主演で2025年3月20日より全国公開されます。 この記事では映画の基本情報に加え、原作小説の結末までのネタバレを紹介していきます。
映画『悪い夏』のあらすじ
公開年 | 2025年3月20日 |
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メインキャスト | 北村匠海 , 河合優実 , 伊藤万理華 |
監督 | 城定秀夫 |
生活福祉課に勤める佐々木守(北村匠海)は毎日まじめに仕事をこなす26歳の青年。 ある日同僚の宮田(伊藤万理華)から先輩の高野(毎熊克哉)が、生活保護受給者であるシングルマザーの女性を恐喝し肉体関係を迫っているかもしれないと知らされます。 真相を確かめるべく、佐々木は宮田と共に噂の女性・林野愛美(河合優実)の元へ。高野から恐喝されていることは火を見るよりも明らかでしたが、なぜか愛美は関係を否定し続けます。 実はそこには別の第三者による介入があり……。
【原作】『悪い夏』の結末までのネタバレ
【起】悪意に飲み込まれる愛美
愛美が佐々木たちに真実を明かせなかったのには、第三者の思惑が関係していました。愛美が働くセクキャバの店長・金本が高野の脅迫を知り、逆に高野を嵌める計画を立てたのです。 ヤクザ崩れの金本は、自分が紹介した人物の生活保護申請を高野に受理させ、受給者たちから金を巻き上げようと考えていました。 しかし計画達成まであと一歩のところで高野と愛美の関係が佐々木たちにバレてしまいます。もはや高野が処分されるのは確実。金本は計画を諦めざるを得ませんでした。 一方金本の部下である山田は、高野ではなく佐々木を利用できないかと思いつきます。
【承】惹かれあう佐々木と愛美
実は佐々木が担当する生活保護受給者だった山田。佐々木が愛美に気があると踏んだ山田は、情事を隠し撮りさせ、彼を揺すろうと考えます。そして自分の受給額を引き上げさせたうえで、さらに金銭を要求しようとしたのです。 一方、高野の一件から愛美とその娘の美空の様子を見に行くようになった佐々木は、山田の予想通り彼女に惹かれていきます。 愛美の方も佐々木といる時間に心地よさを覚えるようになり、山田から指示されていた隠し撮りも、なかなか実行できずにいました。 しかし佐々木と愛美のささやかな幸せは長くは続きませんでした。
【転】転落の始まり
金本の恋人である莉華が突然、愛美の家にやってきたことで、一気に状況が変わり始めます。 家の様子から愛美が佐々木と交際していると気が付いた莉華は、すぐに金本に報告。そして金本は山田から計画を聞き出し、高野の代わりに佐々木を利用することにしました。 そして愛美に薬物入りの飲み物を佐々木に飲ませるよう命令し、佐々木は知らず知らずのうちに薬物中毒に。完全に判断力を失い、金本の操り人形と化してしまうのでした。 そして最悪の事態が起こります。少し前に佐々木が申請を却下した母子が、自宅で餓死していたという知らせが入ったのです。
【結末】怒涛の終幕劇
気が付くと佐々木は包丁を持って愛美のアパートにいました。そして丁度そこにやってきた莉華を刺してしまいます。莉華はそのまま死亡。さらにアパートには、愛美や金本に復讐しようと高野が乗り込んできました。 金本はナイフを手に襲い掛かってきた高野とも揉みあいに。美空を連れて逃げようとした愛美を囮にしようとしてきました。 するとそれを見ていた山田が突然金本に立ち向かっていき、その拍子に山田の腹にナイフが刺さってしまいます。その後警察の到着により事態は終幕へ。 それから数年後、佐々木はアパートの中で1人、美空の描いた絵を見つめていました。あの夏以来、普通の生活に戻れなくなった佐々木はいま、生活保護をもらって生きています。
『悪い夏』映画化への期待
原作の重くて憂鬱で、でもなぜか最後には妙な爽快感のある染井為人ワールドを、映像化なんてできるの?と思ってたけど、予告見てこれは期待できると確信。北村匠海くんのあの死んだ魚みたいな目を見るためだけでも映画館に行く価値ありそう。
映画化をきっかけに原作読了。恐ろしく救いようがない話でしたが、入り乱れる人間関係の展開が鮮やかであっと言う間に読み終わってしまいました。登場人物が見事にクズばっかりなので、普段キラキラしている俳優さんたちが、どこまで泥臭く演じてくれるのか楽しみです。
映画『悪い夏』キャスト・登場人物
佐々木守役/北村匠海

市役所の生活福祉課で働く真面目な28歳の青年・佐々木守(ささきまもる)。気弱な性格ですが正義感が強く、自分を頼ってくれた愛美を守りたいと思うようになります。 主人公の佐々木を演じるのは歌手としても活躍する北村匠海。代表作には『君の膵臓をたべたい』(2014)や「東京リベンジャーズ」シリーズなどがあります。
林野愛美役/河合優実

生活保護を受給しているシングルマザーの林野愛美(はやしのあいみ)。娘の美空と暮らしていますが、子供に興味がなくネグレクトぎみ。セクキャバで働いているところを高野に見られ、肉体関係を強要されてしまいます。 『ナミビアの砂漠』(2024)や『あんのこと』(2024)の河合優実が、貧困シングルマザーの愛美を演じます。
宮田有子役/伊藤万理華
????️クズ・ワル図鑑 #FILE03
— 映画『悪い夏』公式 (@waruinatsumovie) February 12, 2025
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宮田 有子(#伊藤万理華)#悪い夏 #ワル図鑑 pic.twitter.com/khHoExv8kr
佐々木の同僚で、同じくケースワーカーとして働く女性。職場の先輩である高野の疑惑をかぎつけ、佐々木に相談してきた張本人。やけに熱心に真相を突き止めようとしています。 宮田を演じるのは元乃木坂46の伊藤万理華。出演作には『サマーフィルムにのって』(2021)や『チャチャ』(2024)などがあります。
映画『悪い夏』原作監督・脚本
原作:染井為人
原作を手掛けた染井為人は千葉県出身の小説家です。2017年に本作の原作小説『悪い夏』でデビューし、同作品で第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞。 2020年に発売された『正体』は2022年にWOWOWにて亀梨和也主演で連続ドラマ化。2024年には横浜流星主演で映画化され話題となりました。 その他の著書には『正義の申し子』『震える天秤』などがあります。
監督:城定秀夫
映画『悪い夏』のメガホンを握ったのは、『アルプススタンドのはしの⽅』(2020)の城定秀夫です。 『アルプススタンドのはしの⽅』は第12回TAMA 映画賞特別賞を始め、様々な賞を獲得。ヨコハマ映画祭と⽇本映画プロフェッショナル⼤賞監督賞も受賞しました。 本作について城定は「つまらなかったら全部ぼくの責任」と意気込みをコメントしています。
脚本:向井康介
城定秀夫とタッグを組み、本作に脚本として加わったのは、妻夫木聡主演の映画『ある男』(2024)で第46回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞したのが記憶に新しい向井康介です。 その他にも『マイ・ブロークン・マリコ』(2022)や『ハード・コア』(2018)、『聖の青春』(2016)といった話題作の脚本を手掛けています。
映画『悪い夏』の公開日は2025年3月20日!
いたって普通の公務員だった主人公が、些細なきっかけから奈落の底へと落ちていく様を描いたサスペンス・エンターテインメント作品『悪い夏』。 真夏の悪夢のように襲い掛かってくるじっとりとした恐怖を、ぜひ劇場で体感してみてください。 映画『悪い夏』は2025年3月20日に全国公開です。