2025年2月23日更新

川島直人監督のおすすめロードムービー3選!生涯ベスト級の一作とは?【Welcome Back】

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川島直人監督、おすすめロードムービーサムネ
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2025年に生まれた新たなロードムービーの傑作『Welcome Back』。 本作でメガホンを取った川島直人監督に、おすすめのロードムービー3本を選出してもらいました。監督が選出した生涯ベスト級の一作とは? さらに監督と映画をテーマに、インタビューを実施。映画の原体験や鑑賞者としての映画との関わりについて貴重なお話を伺っています。 ※おすすめロードムービーを語っている模様を撮影した動画コンテンツをYouTubeのciatr/1Screenチャンネルで近日公開予定!動画限定コンテンツ(最近観たおすすめ映画2本目)もあるのでお楽しみに。

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映画『Welcome Back』上映情報!監督✕ゲスト登壇のイベント付き上映も開催中

映画『Welcome Back』上映情報
映画『Welcome Back』上映情報

映画『Welcome Back』は「人においての勝ち負けとは何か?」を描いた傑作ヒューマンドラマ。 2025年2月14日からはアップリンク吉祥寺ほか、各地で上映を拡大中です。監督とキャスト登壇のイベント付き上映も多数開催されます!

【川島直人監督のおすすめロードムービー3選】生涯ベスト級の映画とは?

川島直人監督
©ciatr
氏名 川島直人(かわしまなおと)
生年月日 1990年
出身地 千葉県 九十九里
出身校 日本大学芸術学部映画学科映像コース出身
受賞歴 FOX 短編映画祭 最優秀賞(『始まりの鐘をならせ』) 48時間映画祭 審査員特別賞・観客賞受賞(『couple buster』) 未完成映画予告編大賞 グランプリ
監督作 『高崎グラフィティ』(2018年) 『Welcome Back』(2025年)

Q:『Welcome Back』に絡めて、川島直人監督におすすめのロードムービーを3本紹介していただきます。

1.『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』(1999年)

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
(C)CINEPOOL/DREFA&TELLUX MUNCHEN
公開日 1999年
製作国 ドイツ
上映時間 90分
監督 トーマス・ヤーン
脚本 トーマス・ヤーン , ティル・シュワイガー
キャスト ティル・シュワイガー , ヤン・ヨーゼフ・リーファース

川島直人監督: 1本目はそうですね、僕の中でも結構もう一番好きな映画と言ってもいいんですけど、『ノッキング・オン・ヘブンズドア』というドイツの映画ですね。 余命宣告をされた男ふたりが同じ病室になって。海を見たことがないっていう話になって、海を見に行こうと言って、多分ドイツの北部のバルト海を抜けていくんですかね。車に乗り込むんですけど、乗り込んだ車にもある秘密があって、みたいなところで向かっていくというロードムービーですね。 すごいドタバタするし、笑えるし。ただ、でももう命いくばくっていうところで、各々人生を振り返ったりする時のあの切ないものとか。映画において非常に大事な喜怒哀楽が全部入っているなと思っていて。すごい面白いけど、ラスト10分すごい泣けるしみたいな。すごい好きですね。

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2.『菊次郎の夏』(1999年)

公開日 1999年
製作国 日本
上映時間 121分
監督 北野武
脚本 北野武
キャスト 北野武 , 関口雄介

2本目は『菊次郎の夏』ですね、(北野)武監督の。母親に会いたい男の子を菊次郎が連れて行くっていうところで、別に親子でもない擬似親子みたいな感じで、その男の子のお母さんを探しに旅をするという話なんですけど、あれもすごい笑えるし、最後切ないしっていうところもある。 後半、特にシッチャカメッチャカにはなるけど、あれって結局、観客にとっても男の子にとっても、なんだろう……、お母さんに別の家庭があるという悲しみを忘れさせてくれるっていう、なんかすごい構造になっているなと思っていて。僕はすごい好きな映画ですね。

3.『トゥルー・ロマンス』(1994年)

公開日 1994年
製作国 アメリカ
上映時間 121分
監督 トニー・スコット
脚本 クエンティン・タランティーノ
キャスト クリスチャン・スレイター , パトリシア・アークエット , バル・キルマー , クリストファー・ウォーケン

3本目はトニー・スコット監督の『トゥルー・ロマンス』ですね。映画『Welcome Back』の話で言うと、ハンスジマーの「You’re so Cool」という曲が吉村(吉村界人)も僕も好きでですね。心穏やかになるので。 いつも撮影前に聴いて、熱くなりそうになっても、お互いちょっと穏やかに今撮影できている喜びを感じながらゆっくりやろうぜ、みたいなことで聴いていました。 あれもやっぱりバイオレンスあり、ラブあり、ロードムービーありみたいなところですごい良いですし。クリストファー・ウォーケンとデニス・ホッパーのふたりが喋り合うシーンがあって、あそこも多分ほぼアドリブっていう話は聞いたことあるんですけど。そのシーンがすごいよくて、良い映画だなと思いますね。 意外に自分の母親のベストワンが『トゥルー・ロマンス』なので。それも後から聞いて、すごい面白いなと思って、結構印象に残ってますね。

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【最近観たおすすめの作品】シンプルな物語をソリッドな映像で切り取った一作

Q:最近見た映画の中で特に印象に残った作品をお聞かせください。

『HOW TO BLOW UP』(2024年)

公開日 2024年
製作国 アメリカ
上映時間 104分
監督 ダニエル・ゴールドハーバー
脚本 アリエラ・ベアラー , ダニエル・ゴールドハーバー
キャスト アリエラ・ベアラー , サッシャ・レイン

川島直人監督『HOW TO BLOW UP』という映画ですね。環境保護団体みたいな人たちがいて、石油会社の石油パイプラインを壊すだけの話なんです。すごい映像がソリッドで、話もシンプルで。環境問題について考えているのが8人ぐらいいるんですけど。 要は本当に環境問題を考えている人間と、金持ちすぎて、自分はこのままでいいのかって言って環境問題に首を突っ込んじゃう子とかもいて、そこら辺がすごいリアルで。 決して今の環境問題が悪いから、資本主義ぶっ壊せというプロパガンダ的なものではないんですよね。そこがすごく面白くて。物語はシンプルながらめちゃくちゃ面白いなと思っていますね。

【インタビュー/監督と映画の関わり】映画の原体験や監督を志したきっかけとは?

川島直人監督
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【映画の原体験】夏休みに30分かけて訪れたTSUTAYAの思い出

Q:映画の原体験についてお聞かせください。 川島直人監督: それこそ僕は千葉県の九十九里がばあちゃんの家で、夏休みの間、まるっとばあちゃん家の方に行くことが多くて、そこには娯楽みたいなものがなくて。 ただ、毎週金曜日にTSUTAYAが安かったんですね。親戚一同で車2台ぐらいで乗り込んで、30分ぐらいかけてTSUTAYAに行くんですよ。ひとり映画を2、3本ぐらい選んで、その1週間見るみたいなのをやるんですよね。 僕だけじゃなくて、例えばいとこが選んだ映画とか、自分の母が選んだ映画とかというのを見るみたいなのがあって。多分僕の中ではそれが(映画の)原体験で。夜中に車に乗って、知らない町の田んぼ道を進んでいって、30分かけて駅前に行くんですよね。 そうやってTSUTAYAに行って、ずっと何かこれなんだろうってジャケの裏を見て。でも借りれる本数3本ぐらいしかないし。例えばちょっとグロテスクなものとか、ちょっとエッチなものとかって借りられないから、裏見てずっとストーリーだけ読んで、ああこの話かみたいな感じで、ずっと妄想するみたいなので、1時間ぐらい。 みんな借り終わってるけど、僕だけ呼ばれるまでずっとグルグルしていました。帰りにコンビニとかに寄ってお菓子を買って、それでまた30分かけて戻って、またその映画を見るみたいな。多分映画って何かその瞬間から特別なものみたいなのがあって。 ましてや僕の時って木曜日は木曜洋画劇場ってちょっとB級みたいなのが観られて、金曜は金曜ロードショーがあって、土曜日は8チャンの土曜プレミアがあって。日曜は日曜洋画劇場っていう、わりかし木金土日で全部夜に映画を観られるんですよね。 それもあって、映画はわりかし僕にとってすごく近かったです。それが(映画)原体験かもしれないですね。

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【映画監督を志したきっかけ】元々は監督になる予定ではなかった?

川島直人監督
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Q:映画を志したきっかけをお聞かせください。 川島直人監督 映画が好きだなと思っていたんですけど、プロデューサーとか裏方とかそっちのイメージがあって。それで僕は日芸の映像コースというコースを選択するんです。監督を選ぶコースではなくて、映像全般いろんなことをやるよっていう。

藤井道人監督

いろんな先輩たちの自主映画の手伝いとかをして。藤井道人監督(『新聞記者』、『正体』など)とか、あと『4月になれば彼女は』とかでデビューしましたけど、山田智和監督とか。

山田智和監督

ああいう方々の中で僕もいろいろな現場に参加させてもらって、勉強させてもらう中で、楽しそうにやっている先輩たちを見て、すごい楽しそうだから、俺もやってみたいってなって、(監督を)やってみたっていう形ですかね。

【鑑賞者としての映画との関わり】映画選びで大切にしていることは?

川島直人監督
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Q:鑑賞者としての監督と映画の関わりについてですが。作品選びの基準、鑑賞頻度をそれぞれお聞かせください 川島直人監督: 観る頻度は、特集とかをやっていたら、それこそ週7とかで特集上映とかを一気に観てしまうとかもありますし。新作の時期によって映画を観る期間は変わりますけど、基本的なアベレージ多分週3とかじゃないですかね。 ミニシアターもあれば、名画座みたいに二本立てなど、そっちを見るパターンも結構ありますね。大きいシネコンに行く場合もありますが、どちらかというとミニシアターとか名画座に行く方が多いかもですね。 観るものを選ぶ基準としては、見たことないものが見れそうだったら観たいなと思っていますね。

Q:監督になってから映画を観る視点や感覚は変わりましたか? 川島直人監督: 変わらないようにはしてるつもりですけど、変わってる部分があるのかなと思ってはいますね。やっぱり監督の考え方とかはダイレクトには来ちゃう部分ではあるんですけど、そこを取り除いて純粋に物語だけ楽しもうとするんですけど……。 何かどうしても監督の思惑とかを一瞬考えちゃう瞬間もあるんです。ただ純粋に楽しもうとはしていますね。

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映画『Welcome Back』の制作経緯を熱く語ったインタビューはこちら

新たな傑作ロードムービーの仲間入りを果たした映画『Welcome Back』

映画『Welcome Back』は、ロードムービー好きの川島直人監督ならではのこだわりが詰まった一作。新たなロードムービーの傑作となった本作は劇場にて鑑賞することをつよくおすすめします。 『Welcome Back』はアップリンク吉祥寺ほか、全国の劇場で公開中です。 ▼取材・文:増田慎吾