映画『サブスタンス』あらすじ・解説!アカデミー賞5部門ノミネートの社会風刺ボディホラー

第97回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、見事メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した映画『サブスタンス』。 主演のデミ・ムーアの怪演が話題を呼んでいるボディホラーは、いったいどんな作品なのでしょうか。この記事では、『サブスタンス』のあらすじ、キャスト、考察などを紹介します。
映画『サブスタンス』あらすじ・ 作品概要
タイトル | 『サブスタンス』 |
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原題 | 『The Substance』 |
日本公開予定日 | 2025年5月16日 |
上映時間 | 142分 |
監督 | コラリー・ファルジャ |
メインキャスト | デミ・ムーア , マーガレット・クアリー , デニス・クエイド |
映画『サブスタンス』あらすじ

50歳の誕生日を迎えた元人気女優のエリザベス(デミ・ムーア)。容姿の衰えによって仕事が減っていくことを気に病んだ彼女は、若さと美しさと完璧な自分が得られるという違法薬物「サブスタンス」に手を出してしまいます。 薬を注射するとエリザベスの背中が破け、中からスー(マーガレット・クアリー)という若い自分が現れました。若さと美貌に加え、これまでのエリザベスの経験を持つスーは、エリザベスの上位互換とも言える存在で、たちまちスターダムを駆け上がっていきます。 エリザベスとスーには「1週間ごとに入れ替わらなければならない」というルールがありましたが、スーは次第にそのルールに不満を持つように。ついに彼女は入れ替わる時間を遅らせるために、50歳のエリザベスからさらに若さを吸い取っていきます。
映画『サブスタンス』アカデミー賞5部門ノミネート!実際の評価は??
『サブスタンス』の受賞歴
カンヌ国際映画祭 | 【受賞】脚本賞 【ノミネート】監督賞、女優賞、男優賞、審査員賞、グランプリ、パルム・ドール |
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ゴールデングローブ賞 (ミュージカル・コメディ部門) | 【受賞】主演女優賞 【ノミネート】作品賞、脚本賞、監督賞、助演女優賞 |
放送映画批評家協会賞 | 【受賞】主演女優賞、オリジナル脚本賞、メイクアップ賞 【ノミネート】助演女優賞、視覚効果賞 |
サテライト賞 | 【受賞】主演女優賞 【ノミネート】助演女優賞、オリジナル脚本賞 |
ヨーロッパ映画賞 | 【受賞】撮影賞、視覚効果賞 【ノミネート】作品賞、脚本賞、撮影賞 |
セザール賞 | 【ノミネート】外国映画賞 |
インディペンデント・スピリット賞 | 【ノミネート】作品賞、主演俳優賞 |
全米映画俳優組合賞 | 【受賞】主演女優賞 |
英国アカデミー賞 | 【受賞】メイクアップ賞 【ノミネート】主演女優賞、オリジナル脚本賞、音響賞 |
アカデミー賞 | 【受賞】メイクアップ&ヘアスタイリング賞 【ノミネート】作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞 |
『サブスタンス』はカンヌ国際映画祭で脚本賞を獲得したのを皮切りに、賞レースを彩ってきました。 ゴールデングローブ賞では、デミ・ムーアが主演女優賞を初受賞。 30年前にあるプロデューサーから“ポップコーン女優”と言われたという彼女は、こうした賞とは無縁だとどん底の気分だったときに本作の脚本を受け取り、まだ終わっていないという天のお告げだと思った、と感動的なスピーチをしています。 アカデミー賞では大本命と目されながら惜しくも受賞を逃しましたが、作品と彼女の演技は高く評価されています。
『サブスタンス』の口コミ

『サブスタンス』の感想としては、「人生で観てきた映画のなかで最高の1作!ショックを受けたし、圧倒されたし、刺さったし、いい意味で?トラウマになった」と絶賛の声も。 また「前作『REVENGE リベンジ』は『キル・ビル』(2003)と『ウルフクリーク/猟奇殺人谷』(2005年)をミックスしたような映画で称賛された。ファルジャ監督は大胆なアイディアと先見の明と持って、恐れを知らずに限界に挑戦している」とする感想もあります。
映画『サブスタンス』メインキャスト紹介!デミ・ムーアが美と若さに取り憑かれた女優役を怪演
エリザベス役/デミ・ムーア

50歳になり、老化による容姿の変化から仕事を失うことを恐れているエリザベス。若さと美貌に執着する彼女は、違法薬物「サブスタンス」を使って完璧な自分になろうとします。 エリザベスを演じるデミ・ムーアは、『セント・エルモス・ファイアー』(1988年)や『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990年)で爆発的な人気を獲得。幅広い作品に出演し、アイドル女優から演技派へと評価を高めていきます。 40歳のときには『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』(2003年)の役作りのため、約2600万円以上をかけて全身整形したことでも話題になりました。
スー役/マーガレット・クアリー

「サブスタンス」を使用したエリザベスの分身であるスー。若く美しい彼女は、エリザベスの経験も身につけている、非の打ちどころのない女性です。 スーを演じたマーガレット・クアリーは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)や『ドライブアウェイ・ドールズ』(2024年)などに出演してます。
ハーベイ役/デニス・クエイド

ハーベイは、エリザベスをテレビ番組の司会者から降板させ、より若くて美しいスターに差し替えようとするテレビプロデューサーです。 ハーベイを演じたのは、『僕のワンダフル・ライフ』(2017年)や『スラムドッグス』(2023年)などに出演しているデニス・クエイドです。
映画『サブスタンス』の監督は、狂気映像ホラーが得意なコラリー・ファルジャ監督
『サブスタンス』でメガホンを取ったのは、フランスの映画監督コラリー・ファルジャ。 2003年に短編映画『Le télégramme(原題)』でデビューした彼女は、初の長編監督作『REVENGE リベンジ』(2017年)が第42回トロント国際映画祭でプレミア上映され、注目を集めました。 そんなファルジャの得意分野は、ボディホラーと呼ばれるリアルでグロテスクな描写の多い作品です。『REVENGE リベンジ』も、複数の男に貶められた1人の女性が彼らに復讐するというシンプルなストーリーながら、容赦ない暴力描写で観る者をあっと言わせました。
映画『サブスタンス』は社会を風刺している?隠された意味を考察

本作のタイトルになっている「サブスタンス(Substance)」は、「化学物質、生物学的物質」「本質、中身」「核心、要点」などを意味する言葉です。 エリザベスの「中身」とも言えるスーの存在自体がタイトルになっていると考えられますが、一方で若さと美を追い求めるエリザベスの価値観の「核心」が描かれた作品でもあります。 昨今はボディポジティブやポジティブエイジングなど、既存の美の基準ではなく自分だけの美しさを称える動きが盛り上がっていますが、それでもルッキズムはしぶとく人々のなかに根付いています。 『サブスタンス』はルッキズムに支配され、若さや既存のものさしでの美しさを追求することの危険性を訴えているのです。
映画『サブスタンス』は2025年5月16日日本公開!

若さと美に執着する女性を描き、現代社会を風刺する『サブスタンス』。デミ・ムーアの体当たり演技はもちろん、アカデミー賞を受賞したメイクアップにも注目したいですね。 映画『サブスタンス』は2025年5月16日日本公開です。