2025年4月1日更新

【ネタバレ】映画『少年と犬』は実話?多聞の最後や6人の飼い主の結末を解説

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馳星周の直木賞受賞作を『ラーゲリより愛を込めて』(2022年)の瀬々敬久監督が映画化した『少年と犬』。 感動の実話をもとにした本作のあらすじ、ネタバレ、原作との違いなどを紹介します。

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映画『少年と犬』のあらすじ【ネタバレなし】(300)

公開年 2025年3月20日
原作 馳星周
監督 瀬々敬久
キャスト 高橋文哉 , 西野七瀬

東日本大震災から半年後。職を失った和正(高橋文哉)は、震災で飼い主を亡くした犬の多聞に出会います。多聞は和正と彼の家族にとって大切な存在となりますが、多聞はいつも西の方角を気にしていました。あるとき家族を助けるために危険な仕事に手を出した和正は事件に巻き込まれ、その混乱のなか多聞も姿を消してしまいます。 時は流れ、多聞は滋賀県で美羽(西野七瀬)という女性とともに暮らしていました。悲しい秘密を抱える美羽は、多聞と過ごすことで平穏な日常を取り戻していきます。そんな彼女の前に多聞を追ってきた和正が現れ、2人と1匹の新たな生活がはじまりました。 傷ついた人々に寄り添いながら、たった1匹で西を目指す多聞には、ある少年との約束がありました。

【ネタバレ】映画『少年と犬』

東日本大震災で出会った男と犬

2011年。東日本大震災で職を失った中垣和正(高橋文哉)は、あるとき震災で飼い主を失った犬の多聞に出会います。多聞は和正と彼の家族にとってかけがえのない存在となっていきます。しあわせな生活を送りながらも、多聞はいつも西の方角を気にしているようでした。 あるとき家族を助けるため、先輩の紹介で窃盗団の運転手を引き受けた和正。仕事はうまくいったものの、トラブルに巻き込まれた彼は事故に遭って大怪我をしてしまいます。車に乗っていた多聞は、窃盗団の女性にどこかに連れて行かれてしまいました。 和正は窃盗団に協力していたことが家族にバレてしまい、姉の麻由(伊原六花)から家を出ていけと言われてしまいます。

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仙台・新潟・富山・大津・島根の旅

多聞と出会った人々
  1. 仙台中垣和正の家族と生活。和正が窃盗団に協力した際に事故ではぐれてしまう
  2. 新潟窃盗団の1人に連れられて新潟へ。そこで解放される。窃盗団の一員は何者かに殺される
  3. 富山山でトレイルランニング中にクマを追い払ったことから、中山夫妻と暮らすようになる。夫・大貴がトレッキング中に滑落死
  4. 大津須貝美羽と生活。彼女がSNSに写真を投稿したことで、和正と再会し一緒に西を目指す。美羽が自首を決意し、和正と西へ向かうが、事故で和正が死亡
  5. 島根長年の相棒だった犬を失った元猟師・片野弥一と生活。弥一はクマ退治で仲間の猟師の誤射で死亡

和正とはぐれた多聞は窃盗団の一員とともに新潟へ行き、そこで解放されました。その後、富山の山の中でトレイルランニング中の中山大貴をクマから助け、彼とその妻のもとで暮らすようになります。しかし大貴がトレッキング中に滑落してなくなってしまい、多聞はまたもひとりになってしまいました。 その後、山中で死体を埋めていた美羽と出会い、彼女と暮らすことに。美羽が多聞の写真をSNSに載せたことから和正が彼女のもとに現れ、一緒に多聞が気にしている「西」を目指して旅に出ます。 しかしその途中、自分が埋めた死体が発見されたことを知った美羽は自首を決意。和正は彼女の出所を待つこと、そして多聞を送り届けることを約束しますが、直後に交通事故で命を落としてしまいます。 その後、島根県で多聞が出会ったのは、膵臓がんに侵された元猟師片野弥一。妻と愛犬を亡くした彼は、多聞が自分を看取るために現れたと信じていました。しかし弥一はクマ退治に入った山で仲間の猟師に誤って撃たれて亡くなりました。

多聞が西(熊本)を目指した理由

多聞はもともと、東北で飼われていました。そのころの飼い主とともに散歩していたとき、多聞は少年・光と出会い、「また遊ぼうね」と約束したのです。 その後、多聞の飼い主は東日本大震災で命を落としてしまいました。また光も震災の経験から海が怖くなり、家族で熊本県へと引っ越します。 光との約束を覚えていた多聞は、約束を果たすため彼を探していたのです。さまざまな人と出会い、寄り添いながら、多聞は光と再会するために「西」を目指します。 震災後、なぜ多聞が少年は「西」にいると知っていたのかはわかりません。しかし、光の祖母は孫と多聞が「前世で生き別れた恋人のようだ」と言っていました。少年と犬の間には、人には知り得ない特別な絆があったのかもしれません。

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【結末】遂に再会した少年と犬の最後

熊本県で農業を営む内村徹(斎藤工)は、ある犬と出会います。内村家はもともと岩手県釜石市に住んでいましたが、震災の影響で息子の光(木村優来)は心を閉ざし、しゃべれなくなっていました。 犬を買うようになってから光は徐々に心を開きはじめ、しゃべることができるようになります。そこで徹は、この犬がかつて東北に住んでいたころに、よく光が一緒に公園で遊んでいた多聞であることに気づきました。 しかし2016年、熊本地震が発生します。倒壊した自宅で光をかばい、大怪我を負った多聞。急いで動物病院に駆け込むものの、停電のため手術ができず、多聞は安楽死することになりました。 その後、徹は多聞が5年もかけて東北から熊本まで、たった1匹でたどり着いたわけはないと、SNSで情報を募りました。刑期を終えた美羽は、その投稿を見て多聞の最期を知ります。そこへ和正の霊が現れ、多聞の冒険を美羽に語って聞かせました。

映画『少年と犬』は実話?

少年と犬

映画『少年と犬』実話ではありません。 『少年と犬』は実話ではありませんが、苦境にいる人々に寄り添う多聞の姿、そして少年との約束を果たそうと長い旅をする姿に、心を打たれる人は多いのではないでしょうか。人間と犬の絆を描いた作品として、リアリティを感じさせるところに惹きつけられます。 また多聞が出会う人々が、多くの場合ままならない現実を生きていること、必ずしも幸せとは言えない生活をしているところにもリアリティがあります。多聞はそんな彼らの心を癒やしていくのです。

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【感想】人間の闇を見守る多聞

犬好きにはたまらない、感涙必至の作品となっている『少年と犬』。しかし実際には表題の「少年」とのエピソードは導入部分と終盤だけで、犬の多聞が少年・光のもとにたどり着くまでに交流した人々とのさまざまな物語が描かれていきます。 本作がほかの犬映画と少し違うのは、多聞と出会う人々が「闇」を抱えている点です。感動モノの動物映画であれば、犬の冒険に関わる人間が犯罪に手を染めたり、命を落としたりという展開は少ないでしょう。しかし『少年と犬』では、容赦なくそんなストーリーが展開されていきます。 多聞は光に会うために壮大な冒険をし、さまざまな人に寄り添ってきましたが、それらすべてがしあわせな物語でないところに、本作の魅力があります。

映画『少年と犬』と原作に違いはある?

少年と犬

映画『少年と犬』の原作は、直木賞を受賞した馳星周による同名小説で、6篇からなる連続短編です。原作では、多聞が出会ったそれぞれ人の人生が描かれ、彼らが命を落とすと、多聞は次の人間に出会います。 映画との大きな違いは、和正と美羽が多聞を通じて出会い、一緒に多聞が気にしている「西」へと旅をする展開です。 原作では、彼らはそれぞれ多聞と出会っていますが、和正が死亡したあと多聞は窃盗団の一員と新潟へ行き、そこで解放されます。その後富山県である夫婦と生活し、そのあとに滋賀県で美羽と出会っています。

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映画『少年と犬』を最後までネタバレ解説しました

映画『少年と犬』のネタバレ解説をしました。少年との約束を果たすために、長い距離を旅した多聞の生きざまには、心を揺さぶられます。 映画『少年と犬』は、2025年3月20日から全国公開中です。