映画『護られなかった者たちへ』の真犯人や結末をあらすじと共にネタバレ解説!意外な展開に気づけるか
中山七里の小説を原作に、2021年に公開された映画『護られなかった者たちへ』。佐藤健や阿部寛をはじめとする豪華キャストを迎え、「64 ロクヨン」2部作で知られる瀬々敬久監督がメガホンをとるなど、注目を集めました。 この記事では、本作のあらすじ・キャストを相関図付きで紹介し、原作との違いや映画に込められたメッセージなどを読み解いていきます。 ※本記事には原作小説および映画『護られなかった者たちへ』に関するネタバレ情報を含みます。未読・未鑑賞の場合はご注意ください。
タップできる目次
映画『護られなかった者たちへ』の相関図&作品情報
公開 | 2021年10月1日 |
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原作 | 中山七里/『護られなかったものたちへ』 |
監督 | 瀬々敬久 |
映画『護られなかった者たちへ』の原作は?
『護られなかった者たちへ』の原作は、東日本大震災から数年が経った仙台を舞台にくり広げられる、連続殺人事件の謎を追った社会派ミステリー小説。東日本大震災後の“普通の”人々の暮らしがどのように変化したのか、そしてその変化が引き起こした悲劇を描いています。 原作者の中山七里は、2009年に『さよならドビュッシー』でデビューした推理作家。犯人の動機に重きを置き、最後に鮮やかな驚きを仕かける「どんでん返しの帝王」として知られています。
映画『護られなかった者たちへ』は実話なの?
『護られなかった者たちへ』のストーリーは、東日本大震災や生活保護など、リアリティのある題材を扱っているため、実話ではないかと噂されていますが、小説を原作としたフィクションです。 しかし生活保護申請が窓口で受け付けられなかったり、受給者の餓死事件などは実際に発生しており、現代の日本社会に警鐘を鳴らす内容となっています。
映画『護られなかった者たちへ』のあらすじをネタバレ!意外な真犯人とは
東日本大震災から10年目の仙台。仙台市若葉区保健福祉センターの課長・三雲忠勝が手足を拘束され、口を塞がれた状態で餓死しているところを発見されます。人格者として知られる彼が怨恨で殺された可能性は低く、また現場の状況から物取りの線も薄かったため、捜査は暗礁に乗り上げてしまいました。 その後、仙台福祉連絡会副理事の城之内猛留が同じく餓死した遺体で発見され、連続殺人事件として捜査が始まります。捜査線上に容疑者として浮かび上がったのは、利根泰久。彼は模範囚として刑期を終え、出所したばかりでした。 宮城県警の刑事・笘篠は、利根が服役する原因となった事件から、2人の被害者と彼との接点を見つけます。
利根は保健福祉センターへの放火の罪で服役していました。その背景にあったのは、彼が母親のように慕っていた遠島けいという女性の死。彼女は生活保護を“自主的に”辞退し、困窮の末に餓死してしまったのです。被害者は2人共けいの相談を受けた職員であり、笘篠は利根がその復讐のために動いていると考えました。 もう1人、けいの死に関わった当時の職員が国会議員の上崎であることがわかり、第3の犯行を止めようと警察は上崎の警護に付きます。その中に現れた利根を確保しますが、誰かをかばっていると感じた笘篠は、直接彼の閉ざした心に訴えかけました。 実は、利根は三雲と城之内の事件が「カンちゃん」の犯行だと気付いていました。9年前の震災時、利根は避難所で、津波で母を失ったカンちゃんという少女とけいに出会い、3人はその後も肩を寄せ合って家族のように暮らしていたのです。 やがてカンちゃんは里親に引き取られ、利根は就職のため、けいと離れて暮らすようになりました。あるとき地元に戻ってきた利根は、中学生になったカンちゃんと再会します。2人がけいのもとを訪れると、彼女は経済的に困窮した生活を送っていました。 2人の勧めで生活保護を申請するも、その後、けいには養子に出した娘がいることが発覚。職員は娘に連絡を取って扶養してもらうように言い、けいは生活保護の辞退届を出すことになります。しかし彼女は、産まれてすぐに捨てた娘に今さら経済的な支援を頼むことはできないと、連絡をとりませんでした。そして困窮の末に命を落とします。 けいの火葬式に参列したのは、カンちゃんと利根、そして上崎だけでした。そのときの上崎の「死んだらすべて終わりじゃないか」という言葉にカンちゃんは怒りを感じます。 利根はカンちゃんの第3の犯行を止めるため、そして自ら罪をかぶるために動いていたのです。 そのカンちゃんとは、三雲の直属の部下であるケースワーカーの円山幹子でした。 円山はけいのような「社会保障システムの犠牲者」をこれ以上作りたくない一心で、ケースワーカーとして生活保護支援の現場で働いていました。しかしその一方で、くすぶり続けていた怒りを抑えきれず、今回の復讐劇を実行。上崎を監禁する前にSNSでその実情を訴えかけ、世間に一石を投じていました。 第3の犯行現場で取り押さえられたカンちゃんは、今度は自殺しようと自分の首にナイフをあてます。しかし利根が自殺を止めようと飛び込んだことにより、ナイフはカンちゃんの首をかすっただけで、自殺は未遂に終わったのでした。 その後、カンちゃんは首からの出血で入院します。上崎は、今回の事件のいきさつをすべて明らかにして謝罪。今後一層、福祉に力を入れていくことを宣言しました。
犯人が原作と違うのはなぜ?
ここでは、映画『護られなかった者たちへ』の真犯人が原作と異なる点について紹介していきます。原作のネタバレも含まれるので注意してください。
原作では犯人は円山菅生という男性で、カンちゃんと呼ばれていた点は同じです。映画ではこのキャラクターを女性に変更。円山幹子の幹を「カン」と読むことで同じあだ名としていました。 実はこの変更はすでにプロットの段階で決まっていたとか。生活保護と震災というテーマを描くにあたって、けい以外の主要人物にもう1人女性がいた方がより良い内容になると製作陣は考えたそう。確かに犯人が女性であることは原作とは違うどんでん返しであり、犯行に対しての意外性もあります。 また、けいだけでなく劇中で円山が担当したシングルマザーのように、現代社会でも依然として高齢者や女性・子どもは社会的弱者となってしまい、“声を上げる”ことすらできないのが現状。そんな社会の矛盾に対して問題提起するのが、女性である円山なのは納得かつ共感できるところかもしれません。
原作とは違った感動のラストに涙腺崩壊
映画では、原作にはないラストシーンが追加されています。それは利根と笘篠が海辺で会話するシーン。利根はそこで、笘篠にある告白をします。
それは、震災の時に目の前で沈んでいった男の子を、幼少期のトラウマで水に入るのが怖かったため救えなかったという悲痛なもの。その男の子は黄色いジャンパーを着ていました。行方不明になっている笘篠の息子が、震災当日に着ていたのも黄色いジャンパーでした。そう、おそらくその子は笘篠の息子だったのでしょう。 利根はその子を救えなかったことを悔やみ、避難所で同じ色のジャンパーを着ていたカンちゃんと出会ったのを運命的に感じ、彼女だけは絶対に守ろうと誓っていたのです。 その告白を聴いた笘篠が言った「声に出してくれて、ありがとう」という言葉には、現実を受け入れ前へ進もうとする希望のようなものも感じました。
「護られなかった者たち」の意味とは?込められたメッセージを考察
生活保護受給者の実態
2020年からのコロナ禍によって、前年比で申請が増え続けている生活保護。経済的に困窮している世帯は、明らかに増えてきているのが現状です。しかし受給者数は、近年163万6000世帯前後を行き来する横ばい状態。 福祉予算がひっ迫し、国が生活保護の受給者を調整したり、申請を却下するような「水際作戦」が行われたりしていることが、本作では犯行の動機となる重要なテーマとして描かれています。 その一方で、生活に困っていない世帯層による「不正受給」もあるのが実情。受給する側だけでなく、限られた予算のなかで奮闘する保健福祉事務所の職員の姿も描くことによって、より多面的にこの社会問題に向き合えるようになっています。
円山がSNSで発信したメッセージ
円山が殺人を犯した動機は、利根が抱えていた怒りと同じく、役所のずさんな対応でけいが餓死したことでした。 利根と丸山が付き添って1度は生活保護の受給申請を出したけいでしたが、その後の調査で養子に出した実の娘がいることが発覚。しかしその娘は実母は死んだと聞かされており、娘の今の生活を壊したくないけいは頼ることができません。 生活保護法では「扶養義務者の扶養は保護に優先して行われるものとする」とあり、実質“身内に扶養してもらえ”というのが国の定めるところなのです。こうした制度の一元的な管理体制は、けいのような「護られなかった者たち」を次々と切り捨てていっているのです。 円山がSNSで発信した「護られなかった者たちへ」という文章には、怒りや恨みではなく、自分がケースワーカーとして働いて感じたことが反映されており、「あなたは1人ではない。何度でも勇気を持って声を上げてください。不埒な者が上げる声よりも、もっと大きく、図太く」と締めくくられていました。 これこそが本作の重要なメッセージであり、コロナ禍の現在の状況にも共通するものだといえます。
見どころはここ!豪華キャストの演技や主題歌に注目
実力派揃いのキャストたちが集結!
佐藤健が殺人事件の容疑者役を務め、阿部寛が久しぶりに刑事役を演じたことでも話題となった本作。この2人の共演だけでも大きな見どころですが、脇を固めるサブキャストたちも演技派ばかり! いきなり遺体で発見される被害者の三雲と城之内を演じた永山瑛太と緒形直人を筆頭に、3番目に狙われる上崎を吉岡秀隆、笘篠の部下の蓮田を演じる林遣都といった幅広い世代の演技派俳優たちが共演。 そして物語のキーパーソンである遠島けいを、圧倒的な存在感を放つ倍賞美津子が演じ、本作を重厚なものにしています。また、鋭い眼差しと強い意志が印象的な円山幹子を、旬の若手実力派女優・清原果耶が演じている点も見逃せません。
物語の舞台・宮城でのロケ敢行
東日本大震災後の宮城県が舞台となる『護られなかった者たちへ』。原作小説にあわせ、映画では宮城県でのロケが敢行されました。本編映像を公開した特報では、宮城県民なら見覚えのある景色が映されています。 宮城県内でロケ地となったのは、仙台市・気仙沼市・塩竈市・石巻市・富谷市・川崎町の5市1町。本作に出演する清原果耶がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』も、気仙沼市が舞台となっており、どちらも震災をテーマにしている点で重なるところがあります。 当初2020年4月から予定されていた撮影はコロナ禍で延期になりましたが、地元の協力もあり、再始動して2020年6月から7月にかけて、ほぼオール宮城ロケが行われました。
主題歌「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」が映画にマッチして切ない
本作のエンドロールに流れるのは、桑田佳祐の「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」。桑田佳祐が2011年にリリースし、同年9月には被災者にエールを送るため敢行されたライブ「桑田佳祐『宮城ライブ ~明日へのマーチ!!』」でも歌われた楽曲です。 製作陣が震災から10年の宮城を描く本作の主題歌にぜひと、製作当初から熱望していたものだそう。映画を観た後の余韻に、静かに寄り添うような歌詞と曲調のバラードで、まるで鎮魂歌のようにも聴こえます。 劇中、震災の晩に空には満天の星空が見えたことが描写されていますが、まさにあのシーンを思い返すような切なさ、それでも生きていくという明日への希望をも感じさせます。
続編の『境界線』は映画化されるのか?あらすじも紹介
宮城県警シリーズ2作目『境界線』のあらすじ
小説『護られなかった者ものたちへ』の続編として、2020年12月に『境界線』が刊行されました。笘篠刑事を主人公とした中山七里の「宮城県警」シリーズの第2弾で、「復興への祈り」を描いた骨太のヒューマンミステリーとなっています。 物語は2018年、東日本大震災の津波で行方不明だった妻の遺体が発見されたところから始まります。しかも妻は遺体発見の前夜まで生きていたことがわかり、なぜ妻は自分のもとへ帰ってこなかったのか、笘篠はその謎を追うことになるのです。
『護られなかった者たちへ』の続編映画になる?
映画『護られなかった者たちへ』では、笘篠の妻はすでに遺体で発見されており、時系列も映画では震災から10年経った2021年という設定になっています。そうなると、小説続編の『境界線』をそのまま映画の続編として映画化することはなさそうです。 映画では行方不明になっているのは息子で、彼も利根の告白で海に沈んでいっただろうことが語られています。続編映画としての可能性はあまりなさそうですが、笘篠のその後を知りたいという気持ちも捨てがたいですね。
キャスト・登場人物を紹介!佐藤健×阿部寛に加えて豪華俳優陣が集結
利根泰久役/佐藤健
本作で連続殺人事件の容疑者・利根泰久を演じるのは、映画「るろうに剣心」シリーズや『亜人』(2017年)、『ひとよ』(2019年)などへの出演で知られる佐藤健。 『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017年)以来の瀬々敬久監督作の出演となる本作。今回の瀬々組の現場では、「水」というテーマが軸となっていると感じたそう。特に利根が避難所で泥水に顔を押し付けられる場面は、強く印象に残るシーンです。 本作の鑑賞者に向けては「我々が護りたい人たちを護れる社会を作るために、みんなで一緒に歩んでいいけたらいいなと思います」とメッセージを送り、「何かを考えるきっかけになるとしたら、とても意味のあること」と語っていました。
笘篠誠一郎(とましの せいいちろう)役/阿部寛
映画『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』(2012年)や『テルマエ・ロマエ』(2012年)などで知られる阿部寛が、利根を追う刑事・笘篠を演じます。 「瀬々監督と数年ぶりにご一緒しますが、監督ならではの、リアリティと素朴な人間の感情が入り混じる現場に身をゆだねようと思います」とコメントしている阿部。 また本作のストーリーと関連のある東日本大震災のみならず、「日本各地で発生している天災を風化させないためにも、物語を通して記憶と想いを繋げていければと思います」とも語っています。
円山幹子役/清原果耶
福祉保健事務所職員でケースワーカーの円山幹子を演じる清原果耶は、朝ドラ『あさが来た』(2015年)や『なつぞら』(2019年)への出演、さらには『おかえりモネ』の主演を務めている若手演技派女優。 円山幹子を演じる上で、瀬々監督からもらったキーワードは「強い」や「鋭い」といったもの。本作については「すごく重厚感のある、メッセージ性の強い作品」だと語っています。 繊細な感情表現を得意としつつも芯の強さを感じさせる清原果耶だからこそ、円山幹子という難しい役柄もこなせたのかもしれません。
三雲忠勝役/永山瑛太
1番目の被害者である仙台市若葉区福祉保健センター課長・三雲忠勝を演じるのは、2018年の『友罪』以来の瀬々監督作出演となる永山瑛太。本作では「善人」と評される三雲が、不可解な連続殺人事件に巻き込まれていく様を演じました。 公式コメントでは「瀬々監督が今、この御時世に発信したいメッセージとは何なのか、この映画を通じて、皆様の胸の内にある答えをみつけて、明日へと繋げていただけたら幸いです」と語っています。
城之内猛役/緒形直人
2番目の被害者となる杜浦市福祉保健事務所の元所長・城之内猛を演じるのは、『64-ロクヨン-』で瀬々組に参加した緒形直人。久しぶりの瀬々組の現場は「相変わらずいい緊張感に包まれていました」とコメントしています。 さらに「3.11から10年…そしてコロナ禍。誰もがこの作品の中に入り込み、混沌とした社会を考えることでしょう」と続け、「この物語を多くの方々に見届けて頂きたい」とも語りました。
遠島けい役/倍賞美津子
日本を代表する女優・倍賞美津子が演じるのは、夫との死別でひとり暮らしとなり、東日本大震災で被災した遠島けいという女性です。
上崎岳大役/吉岡秀隆
国会議員の上崎岳大を演じるのは、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズや『海賊とよばれた男』(2016年)などへの出演で知られる吉岡秀隆。 3番目に狙われる上崎ですが、演じた吉岡自身は「上崎をただの“悪”としてではなく、彼が背負っている後悔と悲しみを大事に演じていきたかった」と語っています。その言葉通り、上崎の言動を通して震災後の人々の心境と環境の複雑さの一端を知ることができるでしょう。
蓮田智彦役/林遣都
映画『バッテリー』(2007年)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、その後も「おっさんずラブ」シリーズなど数多くの作品で活躍をつづける林遣都。彼が演じるのは笘篠の部下、蓮田智彦です。 「自分の役どころがこの映画の持つメッセージを受け取らなければならない対象にあると感じています」と語っており、実際のところ地元で震災を経験した笘篠と違い、蓮田は東京出身で第三者の視点から物語を見ている人物。 観客の視点に一番近い蓮田を客観的に演じ、その役割を見事に果たしたといえるでしょう。
楢崎肇役/岩松了
ケースワーカーとして働く円山幹子の上司・楢崎を演じるのは、「時効警察」シリーズの熊本課長役で知られる岩松了。2021年は映画『花束みたいな恋をした』やドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』に出演しており、待機作に『シン・ウルトラマン』があります。 原作では仙台市青葉区福祉保健事務所の所長で、三雲の上司として登場。2年間にわたって一緒に働いた三雲の「善人ぶり」を絶賛していますが、映画では円山の上司として会話するシーンがあります。
櫛谷貞三役/三宅裕司
出所した利根を見守る保護司の櫛谷貞三を演じるのは、タレント・司会者として活躍する三宅裕司。俳優としては、2015年のNHK連続テレビ小説『あさが来た』で渋沢栄一役を務めたこともあります。 原作では櫛谷は元警察官で、地区の民生委員や保護司を長年勤めてきた人物として描かれています。映画では出所した利根を鉄工所に紹介する場面で登場しました。
鈴木将役/波岡一喜
カンちゃんの伯父・鈴木将を演じるのは、映画「クローズZERO」シリーズやドラマ「遺留捜査」シリーズで知られる波岡一喜。2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』では、実在の幕末武士・川村恵十郎を演じています。 映画ではカンちゃんが震災で母親を亡くした少女という設定に変更されたため、原作にはないキャラクターである伯父の鈴木が登場しています。
笘篠紀子役/奥貫薫
笘篠の亡くなった妻・紀子を演じるのは、映画『ラヂオの時間』(1997年)や『半落ち』(2004年)などの出演作で知られる奥貫薫。近年は『義母と娘のブルース』や『きのう何食べた?』などドラマ出演も多数あります。 原作では笘篠の妻は震災の津波によって気仙沼で亡くなっており、遺体も見つかっていない状態で、笘篠の苦しい心中も描写されています。映画では紀子の遺体は見つかっており、息子だけ行方不明のままでした。
菅野健役/井之脇海
円山幹子の同僚で、福祉保険事務所の職員・菅野役を務めるのは、若手実力派として多くの出演作を持つ井之脇海。 2020年は『教場』や『スイッチ』など8本のドラマに出演しました。2021年にはドラマ『俺の家の話』でプロレスラー役に挑戦し、『ミュジコフィリア』で映画初主演を務めます。
東雲役/鶴見辰吾
笘篠の上司で、連続殺人事件の捜査指揮を執る宮城県警の管理官・東雲役には、名バイプレーヤーの鶴見辰吾がキャスティングされました。 映画・ドラマともに出演作多数で、2021年は映画『太陽は動かない』と『るろうに剣心 最終章 The Final』、ドラマ『珈琲いかがでしょう』に出演しています。
中山七里と再タッグ!映画「64 ロクヨン」の瀬々敬久が監督を務める
本作の監督を務めるのは、映画「64 ロクヨン」2部作(2016年)や『友罪』(2018年)などで知られる瀬々敬久。主演の佐藤健とは、2017年の『8年越しの花嫁 奇跡の実話』以来3年ぶり、阿部寛とは10年ぶりのタッグとなります。 瀬々は「現代に生きる我々が、さまざまな問題に立ち向かわなければいけないなか、本作では貧困問題や格差社会について考えながら映画を作っていく」とコメント。 また新型コロナウィルスへの対応も含め、「未だゴールは見えていませんが、キャスト、スタッフ共にこの大変な状況の中で、映画を作る意味を考えながら粛々と突き詰めていきたいと思っています。それが僕らの仕事であり、生きていくことだと思っています」と語っています。
映画『護られなかった者たちへ』の評価は?
色々と考えさせられますね。本質的に悪い人はいないからこそ、救いようのなさを感じる。声を上げること、ときには原理原則を飛び越えることも大切だ。犯人はすぐわかるので、サスペンスとは少し違うんだけど、そこじゃないんですよね。この作品は。キャストの豪華さと演技の素晴らしさもあって、総じて見てよかった。清原果耶さんはいい俳優になりそうですね。
辞退届書かせたのは違憲行為。いくらなんでも悪でしょ、あれは。あと、あの所長が言ってた国連云々はよくわかんなかった……けど、彼も圧力受けてたってことなのかな。とは言え言っちゃいけないことを言って人権を踏み躙ったのは確か。序盤、結構いい感じに人間壊れてた(褒めてます)阿部寛が、途中から普通の正義漢になってしまって、ちょっとがっかり。ちょっとだけね。
豪華キャストでおくる映画『護られなかった者たちへ』に感動必至
日本の社会福祉の問題に深く切り込むとともに、どんでん返しで読者を驚かせた『護られなかった者たちへ』の映画化は、キャストやスタッフ、そして衝撃の内容とさまざまな点で注目を集めています。 東日本大震災後から10年後の宮城県を舞台にしており、その地でロケを敢行したことも同じく話題に!ちょうど震災から10年の節目である2021年に公開し、コロナ禍を経験した今だからこそ、本作のメッセージは深く突き刺さってくるのかもしれません。ぜひ鑑賞してみてください!