2021年5月20日更新

映画『護られなかった者たちへ』あらすじ・キャストを解説!傑作ミステリーを映画化【原作ネタバレ】

『護られなかった者たちへ』
©2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会

中山七里による傑作ミステリー小説『護られなかった者たちへ』が実写化されます。佐藤健や阿部寛など、豪華キャストの出演で注目を集める本作。この記事では映画のあらすじからキャスト、原作ネタバレまで解説していきましょう。

目次

佐藤健VS阿部寛!人気ミステリー『護られなかった者たちへ』が映画化

『護られなかった者たちへ』
©2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会

中山七里による傑作ミステリー小説『護られなかった者たちへ』の実写映画化が発表されました。原作となるのは、東日本大震災から数年が経った仙台を舞台にくり広げられる、連続殺人事件の謎を追った社会派ミステリー小説。 原作者の中山七里は、2009年に『さよならドビュッシー』でデビューした推理作家。犯人の動機に重きを置き、最後に鮮やかな驚きを仕かける「どんでん返しの帝王」として知られています。 映画には佐藤健や阿部寛をはじめとする豪華キャストを迎え、「64 ロクヨン」2部作で知られる瀬々敬久監督がメガホンをとるなど、注目を集めています。 この記事では、そんな映画『護られなかった者たちへ』のあらすじやキャストなど、気になる最新情報を紹介しましょう。 ※本記事には原作小説に関するネタバレ情報を含みます。未読の場合はご注意ください。

映画『護られなかった者たちへ』のあらすじ

『護られなかった者たちへ』
©2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会

東日本大震災から9年、宮城県内の都市部で連続殺人事件が発生します。その殺害方法は、全身を縛られたまま放置され、餓死させられるという凄惨なもの。容疑者として名前が浮上した利根は、知人を助けるために放火、傷害事件を起こしたあと、刑期を終えて出所したばかりの男でした。 宮城県警の刑事・笘篠(とましの)は、殺された2人の被害者からある1つの共通項を見つけ出し、利根を追い詰めます。しかし決定的な確証がつかめないまま、第3の事件が発生してしまうのでした。

【ネタバレ】原作は「どんでん返しの帝王」中山七里の傑作ミステリー

『護られなかった者たちへ』の原作は、「どんでん返しの帝王」として知られる中山七里による同名小説。仙台市を舞台とした本作は、東日本大震災のあと“普通の”人々の暮らしがどのように変化したのか、そしてその変化が引き起こした悲劇を描いています。 ある日、仙台市の保健福祉事務所課長・三雲忠勝が手足を拘束され、口を塞がれた状態で餓死しているところを発見されます。人格者として知られる彼が怨恨で殺された可能性は低く、また現場の状況から物取りの線も薄かったため、捜査は暗礁に乗り上げてしまいました。 その後、県議会議員の城之内猛留が同じく餓死した遺体で発見され、連続殺人事件として捜査がはじまります。捜査線上に容疑者として浮かび上がったのは、利根泰久。彼は模範囚として刑期を終え、出所したばかりでした。 宮城県警の刑事・笘篠は、利根が服役する原因となった事件から、2人の被害者と彼との接点を見つけます。

利根は市の福祉保険事務所の職員に暴行を加えていました。その背景にあったのは、かつて彼の母親代わりであった遠島けいという女性の死。彼女は生活保護申請を断られ、最後には水道も止められて餓死してしまったのです。 利根がその復讐のために殺人をくり返していると推理した笘篠は、部下の蓮田とともに捜査を進めます。しかしけいさんのお世話になっていたのは、利根だけではありませんでした。カンちゃんという少年は、その後、市役所の福祉課で生活保護を担当するケースワーカーになります。 申請者ひとりひとりをしっかりと見て判断しようとするカンちゃんでしたが、当時の担当者だった三雲が上司になり、申請者に対して相変わらず冷たい様子を見たことで、復讐を決意したのです。 三雲と城之内の事件がカンちゃんの仕業だといち早く気付いた利根は、実はカンちゃんを止めるために動いていました。3人目のターゲットだった元福祉保健事務所所長の上崎を執拗に追っていたのも、カンちゃんの犯行を止めるためだったのです。 カンちゃんはけいさんのような「社会保障システムの犠牲者」をこれ以上作りたくない一心で、今回の復讐劇を実行。上崎を監禁する前にSNSでその実情を訴えかけ、世間に一石を投じました。

注目すべきポイントはここ!生活保護受給者の現状を描き出す

生活保護受給者の実態

2020年のコロナ禍によって、前年比で申請が増え続けている生活保護。経済的に困窮している世帯は、明らかに増えてきているのが現状です。しかし受給者数は、近年163万6000世帯前後を行き来する横ばい状態。 福祉予算がひっ迫し、国が生活保護の受給者を調整したり、申請を却下するような「水際作戦」が行われたりしていることが、本作では犯行の動機となる重要なテーマとして描かれています。 その一方で、生活に困っていない世帯層による「不正受給」もあるのが実情。受給する側だけでなく、限られた予算のなかで奮闘する保健福祉事務所の職員の姿も描くことによって、より多面的にこの社会問題に向き合えるようになっています。

物語の舞台・宮城でのロケ敢行

東日本大震災後の宮城県が舞台となる『護られなかった者たちへ』。原作小説にあわせ、映画でも宮城県でのロケが敢行されました。本編映像を公開した特報では、宮城県民なら見覚えのある景色が映されています。 宮城県内でロケ地となったのは、仙台市・気仙沼市・塩竈市・石巻市・富谷市・川崎町など。本作に出演する清原果耶がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』も、気仙沼市が舞台となっていますね。 撮影はコロナ禍の2020年6月から7月にかけて行われた模様です。仙台市や気仙沼市、塩釜市などで撮影を目撃したという情報もSNS上で見受けられました。

キャスト・登場人物を紹介 佐藤健×阿部寛に加えて豪華俳優陣が集結

利根泰久役/佐藤健

『護られなかった者たちへ』
©2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会

本作で連続殺人事件の容疑者・利根泰久を演じるのは、映画「るろうに剣心」シリーズや『亜人』(2017年)、『ひとよ』(2019年)などへの出演で知られる佐藤健。 彼は本作について、「どこへ向ければいいかわからぬ憤り、怒りをぶつけていくことがこの作品での自分の役割だと思っています。」と語ってます。 また3年ぶりのタッグとなる瀬々監督との仕事に「またしばらく瀬々組の濃厚な映画の世界に浸ってきます。」ともコメントしました。

笘篠誠一郎(とましの せいいちろう)役/阿部寛

『護られなかった者たちへ』
©2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会

映画『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』(2012年)や『テルマエ・ロマエ』(2012年)などで知られる阿部寛が、利根を追う刑事・笘篠を演じます。 「瀬々監督と数年ぶりにご一緒しますが、監督ならではの、リアリティと素朴な人間の感情が入り混じる現場に身をゆだねようと思います。」コメントしている阿部。 また本作のストーリーと関連のある東日本大震災のみならず、「日本各地で発生している天災を風化させないためにも、物語を通して記憶と想いを繋げていければと思います。」と語っています。

円山幹子役/清原果耶

『護られなかった者たちへ』
©2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会

福祉保健事務所職員でケースワーカーの円山幹子を演じる清原果耶は、朝ドラ『あさが来た』(2015年年)や『なつぞら』(2019年)などへの出演で知られています。 彼女は「脚本や現地で感じたものを、出来る限り沢山胸に抱き留めて彼女を生きたいと思っています。」と語り、「監督、スタッフ・キャストの皆様と全身全霊で臨めればと思います。」と意気込み充分のコメントをしています。

三雲忠勝役/永山瑛太

『護られなかった者たちへ』
©2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会

(写真左:三雲役の永山瑛太・右:上崎役の吉岡秀隆)

1番目の被害者である仙台市若葉区福祉保健センター課長・三雲忠勝を演じるのは、2018年の『友罪』以来の瀬々監督作出演となる永山瑛太。本作では「善人」と評される三雲が、不可解な連続殺人事件に巻き込まれていく様を演じました。 公式コメントでは「瀬々監督が今、この御時世に発信したいメッセージとは何なのか、この映画を通じて、皆様の胸の内にある答えをみつけて、明日へと繋げていただけたら幸いです。」と語っています。

城之内猛役/緒形直人

『護られなかった者たちへ』
©2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会

2番目の被害者となる杜浦市福祉保健事務所の元所長・城之内猛を演じるのは、『64-ロクヨン-』で瀬々組に参加した緒形直人。久しぶりの瀬々組の現場は「相変わらずいい緊張感に包まれていました」とコメントしています。 さらに「3.11から10年…そしてコロナ禍。誰もがこの作品の中に入り込み、混沌とした社会を考えることでしょう。」と続け、「この物語を多くの方々に見届けて頂きたい」とも語りました。

遠島けい役/倍賞美津子

日本を代表する女優・倍賞美津子が演じるのは、夫との死別でひとり暮らしとなり、東日本大震災で被災した遠島けいという女性です。 佐藤演じる利根との関係性や演技、存在感に注目したいですね。

上崎岳大役/吉岡秀隆

国会議員の上崎岳大を演じるのは、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズや『海賊とよばれた男』(2016年)などへの出演で知られる吉岡秀隆。 彼は本作について、「今という時代だからこそ生まれるべき映画になればと思います。『64-ロクヨン-』以来の瀬々組、緊張感を持ってワンカットワンカット大事に演じられればと思います。」と意気込みを語っています。

蓮田智彦役/林遣都

『護られなかった者たちへ』
©2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会

(写真:蓮田役の林遣都)

映画『バッテリー』(2007年)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、その後も「おっさんずラブ」シリーズなど数多くの作品で活躍をつづける林遣都。彼が演じるのは笘篠の部下、蓮田智彦です。 「自分の役どころがこの映画の持つメッセージを受け取らなければならない対象にあると感じています。」と語る彼は、本作について「自分の目で見て感じ、抱いた気持ちを大切に、撮影に臨んでいきたいと思います。」と熱いコメントを寄せています。

楢崎役/岩松了

ケースワーカーとして働く円山幹子の上司・楢崎を演じるのは、「時効警察」シリーズの熊本課長役で知られる岩松了。2021年は映画『花束みたいな恋をした』やドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』に出演しており、待機作に『シン・ウルトラマン』があります。 原作では仙台市青葉区福祉保健事務所の所長で、三雲の上司として登場。2年間にわたって一緒に働いた三雲の「善人ぶり」を絶賛しています。

櫛谷貞三役/三宅裕司

出所した利根を見守る保護司の櫛谷貞三を演じるのは、タレント・司会者として活躍する三宅裕司。俳優としては、2015年のNHK連続テレビ小説『あさが来た』で渋沢栄一役を務めたこともあります。 原作では櫛谷は元警察官で、地区の民生委員や保護司を長年勤めてきた人物として描かれています。

鈴木役/波岡一喜

カンちゃんの伯父・鈴木を演じるのは、映画「クローズZERO」シリーズやドラマ「遺留捜査」シリーズで知られる波岡一喜。2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』では、実在の幕末武士・川村恵十郎を演じています。 映画ではカンちゃんが震災で母親を亡くした少女という設定に変更されたため、原作にはないキャラクターである伯父の鈴木が登場しています。

笘篠紀子役/奥貫薫

笘篠の亡くなった妻・紀子を演じるのは、映画『ラヂオの時間』(1997年)や『半落ち』(2004年)などの出演作で知られる奥貫薫。近年は『義母と娘のブルース』や『きのう何食べた?』などドラマ出演も多数あります。 原作では笘篠の妻は震災の津波によって気仙沼で亡くなっており、遺体も見つかっていない状態で、笘篠の苦しい心中も描写されています。

菅野役/井之脇海

円山幹子の同僚で、福祉保険事務所の職員・菅野役を務めるのは、若手実力派として多くの出演作を持つ井之脇海。 2020年は『教場』や『スイッチ』など8本のドラマに出演しました。2021年にはドラマ『俺の家の話』でプロレスラー役に挑戦し、『ミュジコフィリア』で映画初主演を務めます。

東雲役/鶴見辰吾

笘篠の上司で、連続殺人事件の捜査指揮を執る宮城県警の管理官・東雲役には、名バイプレーヤーの鶴見辰吾がキャスティングされました。 映画・ドラマともに出演作多数で、2021年は映画『太陽は動かない』と『るろうに剣心 最終章 The Final』、ドラマ『珈琲いかがでしょう』に出演しています。

中山七里と再タッグ!映画「64 ロクヨン」の瀬々敬久が監督を務める

本作の監督を務めるのは、映画「64 ロクヨン」2部作(2016年)や『友罪』(2018年)などで知られる瀬々敬久。主演の佐藤健とは、2017年の『8年越しの花嫁 奇跡の実話』以来3年ぶり、阿部寛とは10年ぶりのタッグとなります。 瀬々は「現代に生きる我々が、さまざまな問題に立ち向かわなければいけないなか、本作では貧困問題や格差社会について考えながら映画を作っていく」とコメント。 また新型コロナウィルスへの対応も含め、「未だゴールは見えていませんが、キャスト、スタッフ共にこの大変な状況の中で、映画を作る意味を考えながら粛々と突き詰めていきたいと思っています。それが僕らの仕事であり、生きていくことだと思っています。」と語っています。

映画『護られなかった者たちへ』は2021年10月1日公開予定!

護られなかった者たちへ
©2020映画『護られなかった者たちへ』製作委員会 ©中山七里

日本の社会福祉の問題に深く切り込むとともに、どんでん返しで読者を驚かせた『護られなかった者たちへ』の映画化は、キャストやスタッフ、そして衝撃の内容とさまざまな点で注目を集めています。 東日本大震災後の宮城県を舞台にしており、その地でロケを敢行したことも同じく話題に!映画『護られなかった者たちへ』は、2021年10月1日に公開予定です。