2026年8月25日更新

【ネタバレ考察】『ひゃくえむ。』最後は誰が勝った?映画のアニオリから名シーンまで徹底解説

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映画『ひゃくえむ。』のあらすじ【ネタバレなし】

映画『ひゃくえむ。』ポスター画像
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会
漫画巻数 全5巻

生まれつき足が速かった少年・トガシは「走ること」で友達や居場所、全てを手に入れてきました。そして才能の原石ともいえる小宮と出会い、人生で初めて敗北の恐怖と勝負のスリルを知ります。 中学1年で全中を制するも、その後トガシの才能は次第に陰りを見せ始めます。そしてライバルとの再会の果て、屈辱的な敗北を味わったトガシは陸上への情熱を失ってしまうのでした。 それから10年後、ギリギリの成績ながら企業の契約選手として陸上を続けていたトガシに転機が訪れ……。

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映画『ひゃくえむ。』岩井澤監督が語る制作秘話はこちら

【ネタバレ】100m走に挑むトガシの栄光と挫折(1巻~2巻)

ひゃくえむ トガシ 小宮
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

主人公のトガシは小6で100m走全国1位に輝き、足が速いというただそれだけで順風満帆な人生を送っていました。 そんなある日のこと、転校生の小宮に走り方を教えることになったトガシ。元々才能があった小宮はトガシの「速さは全てを変える」という言葉を信じ練習を重ね、飛躍的に走るのが速くなっていきました。 そして小宮から挑まれた100mの真剣勝負で、トガシは初めて敗北の恐怖を味わいます。足のケガが原因で小宮がリタイアしなければ、トガシは負けていたかもしれなかったのです。 そのまま小宮は転校してしまい、トガシのスピードを脅かすものはいなくなりました。中学1年では全中を制したトガシでしたが、やがて自身の才能が劣化していることに気が付きます。それは陸上しか取り得のないトガシにとって、全てを失うことを意味していました。

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【ネタバレ】小宮との再会と海棠との出会い(2巻~4巻)

ひゃくえむ トガシ
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

高校では陸上から離れていたトガシでしたが、廃部寸前の陸上部を助けるため奮闘する部員の情熱に突き動かされ陸上に復帰。 その後出場したインターハイで決勝まで勝ち進み、そこで小宮と再会します。そしてイップスに苦しみながらも努力を重ね続けてきた小宮に、トガシはあっけなく敗北してしまうのでした。 それから10年の月日が流れ、小宮は日本短距離界のエースに成長。一方のトガシは企業の契約選手として陸上を続けてはいたものの、何のために走っているのか分からなくなっていました。 そんな中、長年チームのトップとして活躍する海棠との会話の中で現状打破のきっかけを掴んだトガシ。都内の大会で好成績を残し復活の兆しを見せますが、ケガが理由で企業から契約を打ち切られてしまいます。

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【ネタバレ】幾多の出会いを経て迎えた日本陸上(4巻~5巻)

ひゃくえむ トガシ 小宮
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

走ること、そして勝つことへの執着を取り戻し、個人で日本陸上への出場を決意したトガシ。予選、準決勝と見違えるような走りを見せ決勝進出を決めました。小宮も決勝に進み、ふたりは3度目の直接対決を迎えます。 決勝戦でいいスタートを切ったのはトガシでした。しかし後半型の小宮がすぐに追いつきます。それでもトガシは必死に食らいつき、今度は小宮を追い抜く展開に。すると久しく敗北の恐怖を味わっていなかった小宮が更にギアを上げます。 もはや舞台はふたりの独壇場に。スタートから激しいデッドヒートが繰り広げられ、トガシも小宮も全てを出し切って走り続けました。そして物語は勝敗の行方がわからないまま終幕となるのでした。

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【考察】最後は誰が勝った?最終話が示唆する意味は

ひゃくえむ
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

最終話で描かれた日本陸上の決勝戦。決勝にはトガシや小宮だけではなく、予選で財津の記録に迫る、日本歴代2位の記録を残した海棠も駒を進めています。トガシの後輩の樺木も決勝に進出しており、誰が勝つのか全く予想のつかない展開に。 しかし最後に描かれたのはアナウンサーの「勝ったのは…!」という実況のセリフのみ。優勝者が一体誰なのかわからない作りとなっています。 作者があえて勝負の結末を描かなかったのは、最終的にふたりが「走ることが好きだ」という答えに行きついたからではないでしょうか。作者は一番大切なのは勝敗や結果ではなく、「好き」なものに向ける情熱なのだと伝えたかったのだと思います。

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【考察】魚豊が『ひゃくえむ。』で描きたかったもの

ひゃくえむ。
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

作者の魚豊は雑誌のインタビューにて、「命が輝く瞬間」を肯定する漫画が描きたいと語っています。これは『ひゃくえむ。』だけでなく『チ。-地球の運動について-』(2020年)にも共通するテーマだといえるでしょう。 時間にすれば10秒程の100m走を題材にした『ひゃくえむ。』は、まさに長い人生の中の一瞬の輝きを切り取った作品。そして命を長らえることより、自分の信じた道を突き進むことを選んだ「チ。」の登場人物からも強く「命の輝き」を感じました。 そして1つのことに打ち込み人生を捧げる人々の姿は、我々読者に自分の命をどう輝かせるかという課題を投げかけているようにも思えます。

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映画『ひゃくえむ。』が豪華キャスト声優で公開!

ひゃくえむ トガシ 小宮
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

魚豊の連載デビュー作『ひゃくえむ。』は2025年9月19日に、劇場版アニメーションとして全国公開されました。 主人公トガシのCVを担当するのは『流浪の月』(2022年)『蜜蜂と遠雷』(2019年)の松坂桃李。トガシのライバルである小宮のCVを、声優経験も豊富な俳優・染谷将太が務めます。 メガホンを取ったのはアニメーション映画『音楽』(2020年)の岩井澤健治。TVアニメ『葬送のフリーレン』(2023年)で演出・絵コンテを手がけた小嶋慶祐がキャラクターデザイン・総作画監督を務め、岩井澤が代表を務めるロックンロール・マウンテンがアニメーション制作を担いました。

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映画『ひゃくえむ。』の本予告はこちら

映画『ひゃくえむ。』の登場人物&声優を紹介

トガシ 少年時代100m走で全国1位に輝いた経歴を持ちながら、己の才能の限界を感じている実業団陸上部員。
小宮 小学校の頃トガシと出会ったことで短距離に目覚め、日本トップクラスまで登り詰めた短距離選手。
海棠 長年一線で活躍する陸上選手。ライバルの財津に勝てず、悔しい思いをし続けています。
財津 15歳の頃から日本陸上界のトップに君臨する陸上選手。インターハイ大会記録保持者。
仁神 トガシが高校時代に所属していた陸上部の部長。
浅草 トガシと同じ高校の陸上部員。陸上を辞めようと悩むトガシを陸上部に勧誘した人物。

トガシ/CV.松坂桃李

ひゃくえむ。 トガシ
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

本作の主人公。生まれつき走るのが速く、小学校6年生の時に100m走で全国1位に輝きました。その後中学生になると1年で全中を制覇するも、それ以降思ったように成績を伸ばせない日々を過ごします。 高校では陸上を辞めようと考えるも、部員たちに説得され陸上部で活躍。しかし決定的な事件が起こり、向上心や勝利への執着を失ってしまいました。 それでも走ることを辞められず、社会人になってからもギリギリの成績で企業の陸上部に所属しています。

小宮/CV.染谷将太

ひゃくえむ。 小宮
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

小学校6年生の頃に、トガシが通っていた小学校に転校してきた少年。もともと短距離走の才能があり、トガシとの出会いで一気に才能が開花しました。しかしケガが原因でトガシとの勝負に敗れてから、イップスに陥り走れなくなってしまいます。 その後、引っ越しで九州へ。以降陸上競技から遠ざかっていましたが、高校でイップスを克服し、再びトガシの前へ現れます。そして卒業後も陸上で活躍しつづけ、日本短距離界のエースと言われる存在まで登り詰めました。

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映画『ひゃくえむ。』のアニオリシーンは?原作漫画との違いを解説

映画、ひゃくえむ。
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

原作漫画は新装版で上下巻があり、アニメ映画版はその上巻の小中~高校時代が大きく再構成されています。下巻の社会人時代はアニメ映画版とほとんど同じ構成と流れになっていました。ここからはその違いを詳しく解説します。

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トガシの高校生編が再構成される

ひゃくえむ
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

アニメではトガシの高校時代の設定や登場人物などが改変され、内容をギュッと縮めた再構成がなされています。トガシが浅草に誘われて陸上部に入部する流れは同じですが、漫画ではアメフト部と陸上部の対立が描かれ、学内の部活対抗リレーで勝負する展開となっていました。 浅草と一緒に陸上部を支えてきた部員の貞弘はアニメに登場せず、その役割を椎名が引き継いでいます。漫画の椎名は高校で陸上を辞めていた人物なので、アニメでは立ち位置そのものが変わっている形です。

小宮へのいじめが描かれない

ひゃくえむ
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

小学生時代の小宮は転校生で引っ込み思案という点は同じ。漫画ではそのせいでクラスメイトからいじめを受ける描写もあります。しかしアニメではいじめのシーンはカットされており、トガシが友だちとの付き合いを断って小宮に走り方を教える場面に時間が割かれていました。 漫画では運動会で1位を取った小宮が、それ以降は明るくなっていく様子が描かれています。アニメではトガシと小宮ふたりの関係に焦点が当てられており、その部分も描かれていません。

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主人公トガシの独白が大幅カット

ひゃくえむ
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

漫画では主人公であるトガシの独白によって物語が進んでいきますが、アニメではトガシの独白はカットされており、より客観的な視点で描かれています。それによってトガシの心情だけでなく、小宮の心情にも共感できるように構成されていました。 アニメはトガシと小宮、ふたりのライバル関係がクローズアップされていますが、さらにトガシと小宮の対比として財津と海棠のライバル関係もフォーカスされていました。

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映画『ひゃくえむ。』のアニオリシーンへの評価は?

ひゃくえむ 小宮
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

原作漫画とアニメ映画で大きく違うのは高校生時代の部分で、設定や登場人物を観やすく再構成した、いわば「濃縮還元」したような濃い内容。その上で流れも自然でわかりやすく、トガシと小宮を中心とした「100mにすべてを賭けた選手たち」の群像劇として、ブレずに見応えあるものになっていました。 漫画で荒々しい線画で描かれていたレースは、アニメでもその線を活かした躍動感たっぷりのシーンに。特に雨のインターハイのシーンが素晴らしく、画面が見えなくなるほどの豪雨はトガシの絶望を表すような凄みがありました。

漫画『ひゃくえむ。』通常版と新装版の違い

漫画『ひゃくえむ。』は全5巻の通常版と、上下巻の新装版、2種類の単行本が発売されています。(2026年8月時点) ストーリーに大きな違いはありませんが、新装版では全ページに加筆修正が行われています。また作者のロングインタビューに加え、ひゃくえむの原案となった読み切り作品『100m』(2017年)、マガジン新人漫画賞入選受賞作『佳作』(2017年)の2本が収録されていることが確認できました。 一方通常版では新装版にも収録されている佳作に加え、『執刀』(2017年)という全8ページのショート作品も読むことができます。

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『ひゃくえむ。』に関するよくある質問

Q. 『ひゃくえむ。』の最後は誰が勝ったのですか? A. 日本陸上の決勝には「トガシ」と「小宮」に加え、予選で日本歴代2位の記録を出した「海棠」やトガシの後輩「樺木」も進出しており、勝者は最後まで明示されません。ラストに描かれるのはアナウンサーの「勝ったのは…!」という実況のセリフのみで、優勝者がわからない作りです。走ることが好きだという答えにふたりが行き着いた以上、勝敗より情熱そのものを伝えたかったのだと考えられます。 Q. 映画『ひゃくえむ。』は原作漫画とどこが違いますか? A. 新装版でいう上巻にあたる小中から高校時代が大きく再構成される一方、下巻の社会人時代はほぼ同じ構成と流れになっています。漫画にあったアメフト部と陸上部の対立や部活対抗リレーの勝負、小宮が受けるいじめの描写はアニメでは描かれません。陸上部を支えてきた部員の「貞弘」も登場せず、そのポジションは「椎名」が担う形に変わりました。 Q. 映画『ひゃくえむ。』のアニオリ部分の評価は? A. 漫画で物語を進めていたトガシの独白がカットされ、より客観的な視点になったことで、小宮の心情にも共感できる構成に仕上がっています。トガシと小宮の対比として「財津」と「海棠」のライバル関係にも光が当たり、100mにすべてを賭けた選手たちの群像劇としてブレのない見応えが生まれました。荒々しい線を活かしたレース描写も躍動感があり、なかでも画面が見えなくなるほどの豪雨が絶望を映す雨のインターハイのシーンが白眉です。 Q. 映画『ひゃくえむ。』の声優とスタッフは? A. 主人公トガシのCVは『流浪の月』(2022年)の「松坂桃李」、ライバル小宮のCVは声優経験も豊富な俳優「染谷将太」が担当しました。監督はアニメーション映画『音楽』(2020年)の「岩井澤健治」で、キャラクターデザイン・作画監督をTVアニメ『葬送のフリーレン』(2023年)で演出・絵コンテを手がけた「小嶋慶祐」が務めています。アニメーション制作はロックンロール・マウンテンが担い、2025年9月19日に全国公開されました。 Q. 漫画『ひゃくえむ。』の通常版と新装版の違いは? A. 単行本は全5巻の通常版と上下巻の新装版という2種類があり、ストーリーに大きな差はありません。新装版は全ページに加筆修正が入り、作者のロングインタビューと、原案となった読み切り『100m』(2017年)、マガジン新人漫画賞入選受賞作『佳作』(2017年)の2本を収録しています。通常版のほうは佳作に加えて全8ページのショート作品『執刀』(2017年)も読める内容です。

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『ひゃくえむ。』結末をネタバレ解説!最後に辿り着いた景色とは

ひゃくえむ トガシ
(C)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

100mという僅かな距離、時間にして10秒ほどのその瞬間に、人生をかけた男たちの姿を描いた陸上漫画『ひゃくえむ。』。孤独で険しい道のりの先で、主人公・トガシが辿り着いた景色を、ぜひその目で確かめてみてください。