映画『急に具合が悪くなる』濱口竜介の最新作!原作のあらすじも紹介

『ドライブ・マイ・カー』(2021年)や『悪は存在しない』(2023年)などで知られる滝口竜介監督の最新作が、2026年に公開されることが発表されました。 この記事では、滝口監督の最新作『急に具合が悪くなる』の原作あらすじ、キャストなどについて紹介します。
映画『急に具合が悪くなる』作品概要・あらすじ【ネタバレなし】
タイトル | 『急に具合が悪くなる』 |
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公開日 | 2026年 |
上映時間 | ‐ |
監督 | 濱口竜介 |
キャスト | ヴィルジニー・エフィラ , 岡本多緒 |
映画『急に具合が悪くなる』のあらすじ【ネタバレなし】
フランス、パリ郊外の介護施設「自由の庭」。施設長のマリー=ルー・フォンテーヌ(ヴィルジニー・エフィラ)は入居者を人間らしくケアすることを理想としつつ、人手不足やスタッフの無理解に悩まされていました。 そんなあるとき、マリー=ルーは森崎真理(岡本多緒)という日本人の演出家に出会います。がん闘病中の真理の描く演劇に勇気をもらったマリー=ルー。偶然に導かれ、同じ名前の響きを持つ2人の交流が始まります。 しかしあるとき、真理は「急に具合が悪くなる」ように。真理の病の進行とともに2人の関係は劇的に深まり、魂を通わせ合うようになります。
原作『急に具合が悪くなる』はどんな作品?あらすじ内容を紹介
『急に具合が悪くなる』の原作は、哲学者・宮野真生子と医療人類学者の磯野真穂の往復書簡を本にまとめたものです。 当時がん闘病中だった宮野と、2018年に彼女と偶然出会った磯野による往復書簡で、2019年の4月から宮野がこの世を去る同年7月まで、第10便が交換されました。
往復書簡になるまでの背景
2018年にあるシンポジウムで出会った宮野と磯野は、一緒に研究チームを組むことになりました。何度かイベントを一緒にこなすうちに「これらの講演を本にできるのでは」と磯野が持ちかけます。すると宮野からは「書簡だったらお互いに大変じゃないから、きちんとやればいいものができると思う」と提案があったそうです。 当初はイベントの内容にからめて、ダイエットや恋、変身願望などをテーマにやり取りする予定でしたが、実際に始めてみると、宮野の病気の話を中心に書簡が進んでいきました。 その後、往復書簡が7万字を超えたころ、磯野が知り合いの編集者に企画を持ちかけ、本として出版されることが決まります。
『急に具合が悪くなる』の内容を紹介
『急に具合が悪くなる』の前半は、おもに磯野の研究テーマに近い「不確定性」、「リスク」、「蓋然性」、「物語」といった概念を中心に議論が展開されています。 宮野は「分岐ルートのいずれかを選ぶことは、一本の道を選ぶことではなく、新しい無数に開かれた可能性の全体に入っていくことなのです」と書いています。彼女は未来の死から今を考える必要はないと語っています。それは予測された最終地点ばかり見ることによって、その間にあるたくさんの可能性を見落としてしまうことへの警告なのです。 一方で磯野は医療人類学者として、「エビデンスに基づく正しい情報」という概念を批判的に語っています。医学におけるエビデンスはあくまで確率であり、それをどう「語るか」が重要になってくると言うのです。ここで宮野は、自らのホスピス探しの間に提示された「適切な支援」に対する戸惑いを率直に提示しています。 後半に展開される「偶然」、「運命」という概念は、宮野の研究の核になる部分です。この部分について語るとき、磯野はいろいろな意味でギリギリのところで言葉を出すことになったと語っています。
原作『急に具合が悪くなる』感想・評価

宮野さんの病状がどんどん悪化していくなかでも、相互虚偽でも見て見ぬふりでもなく、まっすぐに問う磯野さん。「選ぶ」「多様性」とは?この本で少し違う目線になった。未完結なものをどんどん含むのが生きるということ。自分自身で意味を作り出し、そのなかで生きることのかけがえのなさ、その意味の美しさ。すごい熱量の本。

なぜ宮野氏は磯野氏を選んだのだろう。両者の価値観はまるで正反対に見える「にもかかわらず」なんだか通じ合っているように見える。お互いに対してのわからなさを面白がる精神でつながれているようだ。私はこう思うけど、あなたはどうなの?の往復が、当初は思いもよらなかった偶然へとつながるような気がした。
映画『急に具合が悪くなる』登場人物・キャスト紹介
マリー=ルー役/ヴィルジニー・エフィラ
介護施設の施設長、マリー=ルーを演じるのは、ベルギー出身のヴィルジニー・エフィラです。 『おとなの恋の測り方』(2016年)などに出演し、フランスで「ロマコメの女王」として知られるようになったエフィラ。2021年に公開されたポール・バーホーベン監督の『ベネデッタ』では主演を務め、絶賛されました。
真理役/岡本多緒

マリー=ルーと出会う森崎真理を演じるのは、ファッションモデル、俳優として知られる岡本多緒です。 「TAO」の名義でモデルとして世界中で高い評価を獲得した彼女は、数々のファッションショーに参加し、アジア人初となるラルフ・ローレンの広告に登場するなど活躍しています。 2013年には『ウルヴァリン:SAMURAI』のヒロイン、矢志田真理子役で映画デビューを果たしました。
監督は『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介!
『急に具合が悪くなる』の監督を務めるのは、『寝ても覚めても』(2018年)や『ドライブ・マイ・カー』(2021年)、『悪は存在しない』(2023年)などで知られる濱口竜介です。代表作のなかでも、『ドライブ・マイ・カー』はカンヌ国際映画祭やアカデミー賞でも栄冠に輝き、大きな注目を集めました。 本作の制作にあたって、濱口監督は「最高のキャスト・スタッフと撮影する映画『急に具合が悪くなる』が、原作の引いたラインをさらに延ばしていくものとなるよう、自分にできることは何でもやるつもりでいます。」と意気込みを語っています。
映画『急に具合が悪くなる』2026公開!濱口監督はどう昇華させるのか?
往復書簡を劇映画化するということで、大きな挑戦になりそうな『急に具合が悪くなる』。主人公たちの設定も大きく変更されており、どのような作品になるのか、注目が集まります。 『急に具合が悪くなる』は、2026年公開です!