料理シーン必見!名作グルメ映画15選【垂涎必至のおいしそうな食べ物祭り】
タップできる目次
- おすすめグルメ映画を紹介 世界中の絶品料理に魅了される!
- 観ているだけでお腹が空く名作映画15選
- 1.『大統領の料理人』(2013年)
- 2.『ショコラ』(2001年)
- 3.『ジュリー&ジュリア』(2009年)
- 4.『シェフ!三ツ星レストランの舞台裏へようこそ』(2012年)
- 5.『ソウル・キッチン』(2011年)
- 6.『赤い薔薇ソースの伝説』(1993年)
- 7.『バベットの晩餐会』(1989年)
- 8.『幸せのレシピ』(2007年)
- 9.『恋とスフレと娘とわたし』(2007年)
- 10.『トスカーナの休日』(2004年)
- 11.『南極料理人』(2009年)
- 12.『レミーのおいしいレストラン』(2007年)
- 13.『恋人たちの食卓』(1995年)
- 14.『かもめ食堂』(2005年)
- 15.『ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜』(2017年)
- ciatrおすすめ!家でも真似できる料理が登場する映画7選
- 1.「リトル・フォレスト」シリーズ
- 2.『今日も嫌がらせ弁当』(2018年)
- 3.『めがね』(2007年)
- 4.『ゴッドファーザー』(1972年)
- 5.『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』(1987年)
- 6.『ディナーラッシュ』(2000年)
- 7.『eatrip(イートリップ)』(2009年)
- 真似して作って名作グルメ映画の世界に浸ってみよう!
おすすめグルメ映画を紹介 世界中の絶品料理に魅了される!
日本の和食はもちろん、フランス料理、イタリア料理、メキシコ料理などなど……、世界各国で独自に発展してきた料理は、映画の世界でも取り上げられてきました。 同じ国でも、風土や歴史により地域差が生まれ、多様な食文化が存在します。映画を通して、遠い異国ではどんな料理が愛されているのか、知ることができるのです。馴染みのない食材や料理も時に美しく、時に楽しそうな調理シーンを見れば、不思議と美味しそうに見えますよね。 今回はciatr独自調べで、そんなグルメ映画の名作をピックアップ!記事後半では、編集部おすすめの家でも真似できそうな料理が登場する作品を紹介するので、挑戦してみてください。
観ているだけでお腹が空く名作映画15選
記事の前半では、これだけ見ておけば間違いない名作グルメ映画を紹介します。見てるだけでお腹が空いてしまう作品ばかりなので、鑑賞の“お供”を用意しておくのも良いかもしれません!
1.『大統領の料理人』(2013年)
フランス大統領官邸史上唯一の女性料理人の実話を基につづる感動作
2012年公開のフランス映画で、実在の女性料理人ダニエル・デルプシュをモデルにした伝記作品です。監督はクリスチャン・ヴァンサン、主演はカトリーヌ・フロで主人公のオルタンス・ラボリを演じています。 オルタンス・ラボリはフランスの田舎町でレストランを営む料理人。ところがある日、ロブションの紹介から時の大統領フランソワ・ミッテランの専属料理人に推薦されることになります。 大統領官邸のエリゼ宮殿初の女性シェフとなったオルタンスは、周りの反発を受けつつも、素朴な家庭料理を好んだミッテラン大統領のために2年間その腕をふるい続けました。エリゼ宮殿で振る舞われるフランス料理は、どれも芸術作品のような美しさです。 オルタンスは取り下げられた皿の食べ残しや聞き取り調査から、ミッテラン大統領の好みを把握。一番最初に提供した「ポルチーニキノコのスクランブルエッグ」、「美しきオーロラの枕(フォアグラや鴨などのパイ包み)」といった、伝統料理のアレンジで彼の心を掴んだのでした。
2.『ショコラ』(2001年)
ジュリエット・ビノシュとジョニー・デップの主演で描く愛のファンタジー
2000年公開のアメリカ映画で、人を幸せにするチョコを作り出すミステリアスな母娘のファンタジックな物語です。監督はラッセ・ハルストレム、主演はジュリエット・ビノシュとジョニー・デップで、原作はイギリスの作家ジョアン・ハリスの『ショコラ』です。 舞台は1959年のフランスのある村。流れ者の母娘ヴィアンヌとアヌークはこの村でチョコレート店を開きます。ヴィアンヌが作るチョコはそれぞれの人にぴったりな不思議な効果がありますが、宗教に厳格な村人たちにはなかなか受け入れられず、村長のレノ伯爵から反感を買ってしまいます。 村に訪れたジプシー集団の青年ルーとヴィアンヌの心の交流がとてもロマンティック!ジョニー・デップがルーを、ジュリエット・ビノシュがヴィアンヌを演じています。 観たことがある人には、ヴィアンヌの友人アルマンド宅の庭で開かれた、チョコレート・パーティーのシーンが印象に残っているかもしれません。メインディッシュとして出された「ラムチョップのグリル チョコレートソースがけ」は、ラムをチキンに変えて作ったファンもいるほど美味しそうなので、これから観る場合は必見です!
3.『ジュリー&ジュリア』(2009年)
アメリカの食卓にフランス料理の大旋風を巻き起こした料理本の著者と、その本を手に幸せをつかもうとする現代女性の2つの物語を紡ぐ
2009年公開のアメリカ映画で、料理研究家ジュリア・チャイルドとジュリアのレシピの再現ブログで有名になったジュリー・パウエル、二人の女性の時を超えた絆を描いた作品。 1960年代と2000年代に生きる二人の人生が1冊のフランス料理本によって、不思議に繋がっていく様子を交互に描いています。原作となったのは、ジュリア・チャイルドの自伝『いつだってボナペティ!料理家ジュリア・チャイルド自伝』と、ジュリー・パウエルのブログをまとめた『ジュリー&ジュリア』です。 監督はノーラ・エフロン、ジュリアをメリル・ストリープ、ジュリーをエイミー・アダムスが演じています。 1961年にフランス料理レシピを英語に翻訳した料理本を出版し、料理研究家として一躍有名になったジュリア・チャイルド。一方現代のニューヨークに生きるジュリーは一念発起して、ジュリアの524ものレシピを完全再現するプロジェクトを始め、それをブログで発表していきます。 ジュリーはブログの読者を増やすべく、苦手な生のロブスターを茹でることにも挑戦しますが、鍋から飛び出してしまい大変な事態に……。夫のエリックは、上手くいかず八つ当たりしても食べる係として献身的に支えてくれ、夫婦の絆にも心が温かくなります。
4.『シェフ!三ツ星レストランの舞台裏へようこそ』(2012年)
スランプ気味の三ツ星レストランの料理人と元シェフのペンキ塗り職人が巻き起こす奇跡を通して、人生の喜びや幸せについて描くヒューマン・コメディー
2012年公開のフランス映画で、2人の天才シェフが改めて料理と真剣に向き合っていく成長物語です。監督はダニエル・コーエン、三ツ星レストランの一流シェフであるアレクサンドルをジャン・レノ、レシピを完璧に暗記できる天才料理人のジャッキーをミカエル・ユーンが演じています。 自称天才料理人のジャッキーは料理へのこだわりがひどく、客への配慮にかける問題児。レストランを転々し、結局収入を得るためにペンキ職人になってしまいます。もう一人の天才シェフ、アレクサンドルは新作料理が考えられずスランプに陥っていました。 なかなか噛み合わないジャッキーとアレクサンドルが、苦心しつつも協力して作り出していく新作料理が見どころ!2人とも初心に返って料理と向き合うことで、シェフとして一段と成長し成功していきます。 フランスの伝統料理から、科学を取り入れ革新的な料理ジャンルとなった「分子ガストロノミー」まで様々な料理が登場するので、視覚でも魅力を楽しめるでしょう。フランス料理万歳に終止し、他国を風刺しているともとれる料理シーンもあるので、その点は賛否両論のようです。
5.『ソウル・キッチン』(2011年)
ハンブルクの大衆レストランを経営する弟と服役中の兄のギリシャ系ドイツ人兄弟を中心に友情や恋愛、人生を多彩な音楽に乗せて描く
2009年公開のドイツ映画で、レストラン「ソウル・キッチン」を舞台に繰り広げられる悲喜こもごもの人生を描いたコメディ作品です。監督はトルコ系ドイツ人のファティ・アキン、ソウル・キッチンのオーナーである主人公のギリシャ系ドイツ人兄弟ジノスとイリアスを、アダム・ボウスドウコスとモーリッツ・ブライプトロイが演じています。 ドイツ・ハンブルグでレストラン「ソウル・キッチン」を営むジノスは、椎間板ヘルニアに苦しみながら、なんとか店を切り盛りしていました。前科持ちの兄イリアスが仮出所すると、ノリのいい音楽をかけて店を盛り上げてくれますが、その兄のギャンブル好きが災いして店を失うことになってしまいます。 ハンブルグの大衆食堂で振る舞われるドイツ料理もさることながら、ノリノリの音楽で踊りながら食事を楽しむ様子がとても楽しい作品です。ジノスが雇った天才料理人シェインが手際よく作り出す料理も実に美味しそうです。 シェインが生み出すアートのように彩り鮮やかなドイツ料理と、軽快な包丁さばきがとても華麗で、永遠に眺めていたくなるほど。DJ好きのイリアスが流した音楽がBGMとなり、料理をしているシーンはまるでショーのようにも見え、ずっと楽しませてくれます。
6.『赤い薔薇ソースの伝説』(1993年)
料理を通して自分の気持ちを人に伝えることができる不思議な力を持つ女性の運命
1992年公開のメキシコ映画で、自分の気持ちが作った料理によって人に伝わる女性の情熱的な恋物語です。監督はメキシコ出身のアルフォンソ・アラウ、原作はメキシコ人作家ラウラ・エスキヴェルのマジックリアリズムの同名小説です。 メキシコの農家に生まれたティタは、15歳になって運命の相手ペドロと出会います。しかしティタの母は末娘のティタに老後を見てもらおうと手放すつもりはなく、代わりに姉のロサウラがペドロと結婚することになってしまいます。 ティタがペドロからもらった薔薇でソースを作り、それをペドロが食べることで想いを交わすといった、原作のマジックリアリズム表現を活写した幻想的な映像が特徴的です。ティタをルミ・カヴァソス、ペドロをマルコ・レオナルディが演じています。 ティタの料理は彼女の感情が宿っており、悲しみのまま作った料理を食べた人は涙を流し、愛を込めて作れば食べた人には媚薬になります。ザクロの赤と青唐辛子、クリームソースの白が美しい「チレスエンノガダ」などのメキシコ伝統料理が彩る、食欲=性欲のように生々しくも、美しい世界観をぜひ味わってみてください。
7.『バベットの晩餐会』(1989年)
デンマークの厳格な寒村を舞台にしたヒューマンドラマ!食欲が湧き生きる力を与えてくれるバベットの絶品料理が村人たちを温かく包む
1987年公開のデンマーク映画で、デンマークへ亡命してきたフランス人女性とユトランド半島の寒村に住む村人たちとの心の交流を描いたドラマ作品です。監督はデンマーク出身のガブリエル・アクセル、主人公のバベットをフランスの女優ステファーヌ・オードランが演じています。 牧師の父と寒村で清貧に暮らし、若い頃にプロポーズも断って年老いた美人姉妹のマーチーネとフィリパは、ある日フランスから亡命してきた女性バベットを家政婦として招き入れました。亡き父の生誕100年を村人と祝おうと、姉妹は晩餐会を催すことを思いつきますが、バベットがその晩餐会で自分にフランス料理を作らせてほしいと願い出ます。 実はパリの人気レストランの女性シェフだったバベット。ウミガメやウズラを使った異国の料理に驚き初めは味わうことを避けていた村人たちも、晩餐会が進むにつれて思わず舌鼓を打つほど魅了されていきます。バベットが恩義を感じ心を込めて作る極上料理に、心が温かる作品です。 晩餐会の準備をする終盤の調理シーンは、まさに圧巻の一言!100年以上前の家庭の台所で豪華なフランス料理が作られていく様は静ひつな雰囲気があり、彼女の真心と閑散とした北欧の風景との対比が、作品に宿る温度を際立たせるのです。
8.『幸せのレシピ』(2007年)
仕事熱心だが感情表現に乏しい女性シェフが、愛情やコミュニケーションの大切さに気付いていく姿を描いたハートウォーミング・コメディ
2002年公開のドイツ映画『マーサの幸せレシピ』を、スコット・ヒックス監督、キャサリン・ゼタ=ジョーンズの主演でリメイクしたハリウッド映画です。ストーリー展開はほぼそのまま、ドイツの港町ハンブルグからニューヨークへと舞台を移し、アメリカナイズして描かれました。 恋人も友人も作らず、マンハッタンのレストランで料理長を務めるケイトは、料理の腕は一流でも人付き合いは苦手な頑固者。姉の忘れ形見の姪ゾーイを引き取り、食事をとらない彼女に悩む一方、職場では陽気なニックが副料理長として加入することに。新たな人間関係を良い方向に築こうと努力する中で、ケイトの心が解れていくのです。 特に印象的なのが、アーロン・エッカート演じるニックが作った「スパゲッティ・ポモドーロ」を、何も食べなかったゾーイがあっという間に平らげるシーン。トマトソースとバジルのシンプルなパスタですが、食べる人を思って作ったからこそ、傷ついた心を癒したのでしょう。 ニックがケイト特製「サフランソース」のレシピを学ぶシーンは、目隠しテイスティングする姿がとても官能的で、関係の変化にも注目してください。
9.『恋とスフレと娘とわたし』(2007年)
3人の娘を育て上げた母親が、男運のない末娘の身を案じて結婚相手探しに奔走するロマンチック・コメディ
2007年公開のアメリカ映画で、ダイアン・キートン主演のロマンティック・ラブコメディです。監督はマイケル・レーマン、主人公のダフネをキートンが演じるほか、ダフネの末娘ミリーには歌手としても活動しているマンディ・ムーアがキャスティングされました。 舞台はロサンゼルス、スウィーツショップのオーナーパティシエであるダフネは、女手一つで娘3人を育ててきた苦労人。しかしまだ末娘ミリーの結婚相手が見つからずやきもきする毎日で、ついにミリーには知らせずに花婿探しを始めてしまいます。 トッカやジョヴァンニなどの人気ブランドファッションも華やかで、スイーツも見栄え良くとても美味しそう!娘に過干渉気味な母が、花婿候補の父と恋に落ちてしまう展開にはビックリです。 ダフネが作り出すのは、ポップな色合いに仕上げたウェディングケーキ、トレードマークの水玉模様をモチーフにした巨大ケーキなど、彼女のように賑やかでパワフルなスイーツ!女性の心をくすぐるクリームの花をあしらった可愛いケーキも登場し、見るだけでワクワクします。
10.『トスカーナの休日』(2004年)
イタリアの風土と食に癒される!人生に疲れたアメリカ人作家を優しく包み込むトスカーナでの暮らしと再生を描く
2003年公開の米伊合作映画で、ダイアン・レイン主演のロマンス・コメディ作品です。監督はオードリー・ウェルズ、主人公の作家フランシスをレインが演じ、親友のパティにサンドラ・オー、フランシスと一夜を過ごすイタリア人マルチェロにラウル・ボヴァがキャスティングされています。 夫の浮気から離婚騒動に巻き込まれ疲れ果てた作家のフランシスは、親友のパティからトスカーナ10日間の旅を譲り受けます。旅で偶然見つけた「ブラマソーレ」という築300年の館が気になり、勢いで全財産を使って購入、修復しながら移り住むことになります。 ギスギスしたアメリカでの日常を忘れ、イタリアの穏やかな太陽の元で温かい人々と風土、美味しいイタリア料理に癒されていくフランシスに共感と羨望を覚えます。スローライフ・スローフードという言葉がイタリア発なのも、ごく自然に思える秀作です。 特に印象的なのは、料理上手なフランシスが自宅の修繕を請け負う職人たちに料理を振る舞い、新しい生活に馴染み始めるシーン。前菜の「ブルスケッタ」は、イタリア風ガーリックトーストに玉ねぎのバルサミコ酢炒めなどの具材を乗せて食べるもので、壮大な自然の中でシンプルな味を楽しむ“豊かさ”を感じられる料理かもしれません。
11.『南極料理人』(2009年)
原作は南極へ料理担当隊員として赴任した西村淳の実体験エッセイ。南極観測隊員のために毎日作る美味しいご飯は必見!
2009年公開の日本映画で、監督は沖田修一、主演を堺雅人が務めた南極観測隊の実体験物語です。原作は西村淳のエッセイ『面白南極料理人』で、南極観測隊の調理担当として赴任した経験を綴っています。 生瀬勝久やきたろうなど個性的な面々が隊員役を務めました。 南極のドームふじ観測拠点で越冬する観測隊の食事を作る任務を受けた海上保安官の西村淳は、妻と二人の子どもを日本に残して南極単身赴任に赴きます。ウイルスも存在しない氷点下54度の世界で極限に達した隊員たちに、ごく限られた環境の中でも美味しい料理を作ろうと奔走する様子を描いています。 西村は限られた食材と調理法を駆使し、誕生日の人がいればケーキを作り、刺身の盛り合わせ、ブリの照焼きなど故郷を思い出させる様々な和食を提供。食べるという当たり前の行為が、どれだけ人生を豊かにしてくれているか、そんな大切なことに気付かされるでしょう。
12.『レミーのおいしいレストラン』(2007年)
グルメのねずみがパリ一番のシェフに!?一流料理人に憧れるねずみのレミーが見習いシェフと協力して作り出す絶品フランス料理の数々
2007年公開のピクサー作品で、ねずみを主人公にしフランス料理をテーマにした斬新な長編アニメーション映画です。原題の『Ratatouille』はフランス南部の家庭料理「ラタトゥイユ」とRat=ねずみをかけた洒落たタイトルとなっています。 家族と離ればなれになってパリに流れ着いたレミーは、フランス料理のシェフに憧れるねずみで、類まれな味覚を持っていました。ひょんなことからレストラン「グストー」の見習いシェフのリングイニと協力して料理を作ることになってしまいます。 料理下手なリングイニが、実はレミーが敬愛する天才シェフ・グストーの息子だとわかり、グストーの店を乗っ取ろうとする料理長スキナーに様々な妨害を受け――。 本作の推し料理は、やはり原題の由来でもあるラタトゥイユ!もとは野菜の煮込み料理ですが、レミーたちのレシピは盛り付けが斬新で、彩り豊かな野菜が食欲を刺激します。グルメ映画ファンにも人気が高く、有志による再現レシピも多数ネットに存在するので、ぜひ試してみてください。
13.『恋人たちの食卓』(1995年)
料理人の父と3人の娘が織りなす“食欲と愛”のホームドラマ。ホテル総料理長の父が娘たちのために作り出す台湾家庭料理が食卓を彩る!
1995年公開の台湾映画で、アン・リー監督の台湾を舞台とした「父親三部作」の3作目に当たります。主人公となるホテル料理長の朱氏を、父親役を演じてきたラン・シャンが続投。 台北にあるホテルの総調理長を務める朱氏は、毎週日曜日に3人の娘を集めて晩餐を催し、娘たちはそれぞれの悩みをその場で打ち明けていました。しかし娘たちとの会話にすれ違いを感じ、自分の老いを自覚していくようになります。 この作品で特に注目度が高いのは、冒頭の朱氏の芸術的ともいえる調理シーン。そして次々と食卓に運ばれていく家庭料理にしては豪勢な台湾料理!週に一度の晩餐会に父親が娘たちのため腕を振るっている様が愛情深く、気持ちがすれ違っていた次女との料理を通じての和解も心温まります。 朱氏は芸術的な包丁さばきと技を繰り出して、家庭では真似の出来ないアヒルの丸焼き、魚の姿揚げといった台湾料理で食卓を埋め尽くしました。100種類以上にも及ぶ豪華料理が登場しますが、ラストで父娘に和解と奇跡をもたらす、次女の“おかあさんの味”の「生姜スープ」のシーンは必見!
14.『かもめ食堂』(2005年)
フィンランドの日本食堂に集う国境を超えた人間関係を温かく見つめたヒューマンドラマ。インテリアや料理でのフィンランドと日本のコラボがオシャレ!
2006年公開の日本映画で、主演は小林聡美、片桐はいり、もたいまさこの3人。原作は群ようこの同名小説で、監督は『めがね』でも注目を集めた荻上直子です。フィンランドでオールロケが行われ、実在する現地の食堂「Kahvila SUOMI」が「かもめ食堂」として撮影に使用されました。 サチエが営む日本食レストラン「かもめ食堂」はフィンランドのヘルシンキにあり、なかなかフィンランド人には馴染まずにいました。そんな中で、偶然出会ったミドリやマサコもかもめ食堂に集うようになり、3人で食堂を切り盛りしていくことになります。 お客様第一を考え、コーヒーは永遠にタダという太っ腹!お客第一号のヒルトネン青年のように、ゆったりのんびり過ごしたくなる食堂ですね。またフィンランド政府観光局の撮影協力により、作中にはマリメッコやイッタラなどの小道具が登場し、素朴な日本食と北欧食器のコラボにも注目が集まりました。 サチエこだわりの日本人のソウルフード「おにぎり」に加え、「シナモンロール」などヘルシンキ名物の提供を始めると、客足が少しずつ伸びていきます。まさに異色のコラボですが、日常に馴染みすぎているからこそ気づかない家庭料理の良さ、美味しさを再認識できます。
15.『ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜』(2017年)
70年の時を経て、失われた味の再現に挑む天才料理人!天皇の料理番が考案した幻のフルコース・メニューとは?
2017年公開の日本映画で、監督は『おくりびと』の滝田洋二郎、嵐の二宮和也が主人公の天才料理人・佐々木充を演じています。原作は伝説の料理番組「料理の鉄人」の演出を手がけた田中経一のデビュー小説『麒麟の舌を持つ男』で、映画を彩る料理を映像化するに当たって服部幸應が全面協力しています。 味を記憶し完璧に再現できる絶対味覚の“麒麟の舌”を持つ天才料理人・佐々木充は、伝説のフルコース「大日本帝国食菜全席」を再現するという依頼を受けます。それは、1930年代の満州国で天皇の料理番・山形直太朗が考案した幻のレシピでした。 山形の「料理を持って輪を成せる」という考えから生み出されたレシピは、当時日本の傀儡国といわれた満州に住んでいた多民族の融和を願ったものでした。山形と佐々木、“麒麟の舌”を持つ2人の天才料理人が時代を超えて作り出す料理とは、一体どのようなものなのでしょうか。 1930年代パートの絢爛豪華なフルコースから、「ロールキャベツの雑煮風」など“日本と他国の料理を融合した”もの、現代でも馴染み深い「オムライス」まで。時代ごとに様々な料理が登場するので、細かく注目してみると面白いかもしれません。 また、本作を観終わった後は、「ビーフカツサンド」が食べたくなること間違いなし!直太朗の「ビーフカツレツ」がなぜ形を変えて現代に受け継がれたのか、ぜひ確かめてみてください。
ciatrおすすめ!家でも真似できる料理が登場する映画7選
ここからはちょっと違った趣向でおすすめグルメ映画を紹介。家でも真似できそうな料理が登場する映画に限ってお送りします。観たらつい試してみたくなるかも?
1.「リトル・フォレスト」シリーズ
2014年~2015年公開の日本映画で、監督は映画『重力ピエロ』などの森淳一、主演の橋本愛が主人公のいち子を演じています。原作は五十嵐大介の実体験をもとにした同名漫画で、『夏』『秋』『冬』『春』の4部作として制作され、「夏・秋編」「冬・春編」に分けて公開されました。 都会に居場所を見つけられず、故郷でもある東北の小さな集落・小森に帰ってきたいち子が自給自足の生活をしつつ、生きる力を充電するストーリー。田植えや畑仕事をし、季節の食材から食事を作って、近くの友人と自家製「米サワー」を分け合う、そんな毎日が描かれます。 いち子は母を見習って何でも手作りし、畑で採れたトマトを使ったパスタ、山で採った栗の渋皮煮……ウスターソースすらもお手の物!生きて、食べて、そのために作る。そんないち子の姿とゆっくりと流れる時間に心癒される、疲れた時におすすめの作品です。 人間に四季の恵みを与える一方で、時に牙をむく大自然と向き合う中で自分を見つめ、成長していく様に胸を打たれるでしょう。
2.『今日も嫌がらせ弁当』(2018年)
2019年公開の日本映画で、監督・脚本は塚本連平、主演を篠原涼子が務めた母娘の実話です。原作はKaori(ttkk)によるAmebaブログの投稿を書籍化し、累計20万部を突破した同名エッセイ。オリジナル要素を加えつつ、ユーモアと感動溢れる物語が展開されます。 主人公の持丸かおりは、自然と人情溢れる八丈島で、次女・双葉と暮らすシングルマザー。幼い頃は素直だった娘も反抗期に突入し、生意気な態度をとり、会話すらしようとしません。困ったかおりは、卒業を迎えるまでの3年間、双葉が嫌がる「キャラ弁」を作って逆襲を始め……。 そんな“嫌がらせ弁当”は、ボンド木工用、貞子にダンディ坂野などオリジナリティに溢れており、真似して作ってみたくなります。「ウザい」とぼやきながらも、一口も残さずに食べ続け、母の形にならないメッセージを受け取っていく双葉。お弁当は親と子にとって、コミュニケーションツールの一つだと教えてくれる作品です。
3.『めがね』(2007年)
2007年公開の日本映画で、荻上直子監督や主演の小林聡美ほか、『かもめ食堂』のキャスト・スタッフが再集結して贈るスローライフ・ムービー。“めがね”に特別な意味はなく、登場人物全員が眼鏡をかけているのも、タイトル決定後に追加した演出なのだとか。 観光客がほとんど訪れない、南の島の浜辺にある宿「ハマダ」。主人公のタエコは何かから逃れるようにこの地を訪れ、ハマダに泊まることに。彼女は揃いも揃って風変わりな人びとに戸惑いながらも、島ののんびりとしたペースに馴染み、尖った気持ちが癒やされるのでした。 ハマダの朝食はご飯に味噌汁、焼き鮭など素朴なものばかりですが、宿の主人が「ゆで野菜の温サラダ」を出すシーンがあります。タエコはその美味しさに目を見張るものの、感想を口に出すほど打ち解けていない、町の人との距離感を感じさせるのです。 伊勢エビやサクラが振る舞うかき氷など、周囲の人たちと食事と共にしながらタエコの時間はゆるやかに流れ、観る者の心も解けていくでしょう。
4.『ゴッドファーザー』(1972年)
1972年公開のアメリカ映画で、フランシス・フォード・コッポラ監督の代表作にして、今なお語り継がれる70年代屈指の名作です。原作はマリオ・プーゾによる同名小説で、三代に渡るシチリア系マフィア・ファミリーの宿命を描き、3部作として制作されました。 主人公の一人は、アル・パチーノ演じるコルレオーネ一家の三男マイケル。表で生きるはずの彼が、敵対ファミリーにドンが狙撃され、裏社会へ身を投じる所からストーリーが始まります。 マフィアのイメージが強く、「グルメ映画なの?」と思う人もいるかもしれません。しかし、イタリア料理をはじめ多数の料理が登場するのです。特にコルレオーネ・ファミリーの古参幹部・クレメンザが、抗争で忙しい中、様々な工夫を駆使して作るまかないが美味しそう! 彼がマイケルに伝授した、トマト缶を使った「ミートボールパスタ」はファンにも人気のメニューで、見るだけで食欲をそそります。赤ワインや砂糖などの繊細な隠し味に、ソーセージも豪快に加えたとても肉肉しい料理で、まさにマフィア飯と言えますね。
5.『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』(1987年)
1987年公開のフランス映画で、監督は『ディーバ』の名匠ジャン=ジャック・ベネックス、ベティを演じたベアトリス・ダルの衝撃的デビュー作です。フィリップ・ジャンのベストセラー小説を彼自ら脚色し、当時「ポルノ」とまで呼ばれたセックスシーンの数々、コケティッシュな魅力のベディは伝説となり、カルト的人気を得ました。 奔放な少女・ベティと、海辺のコテージで暮らす作家志望の青年ゾルグの危うい愛欲の日々、愛のてん末を綴った名作ラブストーリーです。ベティは感情の起伏が激しく、とある悲劇によって精神を病み奇行に走るようになっても、ゾルグは彼女を愛し続けますが……。 冒頭の出会いのシーンで、2人はしばらくゾルグのコテージでセックスに耽って過ごしますが、この時ゾルグが作った「チリビーンズ」がとても印象的。チリペッパーを利かせ、トマトや肉、豆などの具材をコトコト煮込んで作る、ベティへの愛情がこもったこだわりの一品です。
6.『ディナーラッシュ』(2000年)
ニューヨークの四つ星イタリアレストランで起こった殺人事件と、その裏にある人間模様を描く群像劇。主演はダニー・アイエロ、監督を務めたボブ・ジラルディは、舞台となったレストランの実際のオーナーだそうです。 ニューヨークにある「ジジーノ」は、伝統的な家庭料理店だった店をオーナー、ルイスの息子で料理長のウードがお洒落に変貌させてしまい、経営権で揉めていました。平日のある夜、店内すべてが慌ただしくなる“ディナーラッシュ”の時間に、ルイスの親友を暗殺したマフィア2人組が来店し、とある事件が起きてしまうのでした。 恋あり、トラブルあり、マフィアの殺人ありと、戦場と化したスタッフたちを他所に、続々と押しかける客たちはワインと料理を堪能します。 ウードの恋人で料理評論家のジェニファーに提供された、「ロブスターとエビのシャンパンソースバニラ風味」など、豪華な料理が続々と出されるシーンは圧巻!呪文のような料理ばかりですが、ルイス専用のまかない飯「ソーセージの炒め物」などは再現できるかもしれません。
7.『eatrip(イートリップ)』(2009年)
2009年公開の日本映画で、フードクリエイト・チーム「eatrip」を主宰を務め、多岐に渡り活躍するフードディレクター・野村友里の初監督作品。年齢も職業も違う様々な人びとにインタビューしながら、人と食の関係に迫っていく、ドキュメンタリー映画です。 沖縄で自給自足の生活を営む主婦をはじめ、歌手のUA、武者小路千家15代家元後嗣の千宗屋、浅野忠信や内田也哉子らが出演しました。 忙しなく複雑な現代で、シンプルに生きる人たちは“食べる”という行為にどう向き合い、日々を生き生きと過ごしているのか。現代人の食生活や文化を浮き彫りにし、生きていく上での自然との繋がりなどを、食の専門家の目線で見つめた作品です。 「イチゴとサヨリのマリネ」をはじめ、素材を生かすオーガニック料理が数多く登場しますが、鶏を初めて締めて食べた人のエピソードは衝撃。食べることは命をいただくことなのだと、食の大切さを改めて考えさせられます。
真似して作って名作グルメ映画の世界に浸ってみよう!
今回は、料理シーンやご飯が美味しそうなグルメ映画を厳選して紹介してきました。高級食材を使った豪華な料理も、家庭的で素朴な料理も、それぞれの良さがあります。 料理によって本能を刺激されたり、傷ついた心が癒やされ、元気づけられたりする登場人物を観ていると、実際に食べてみたくなりますね!“食べること”は、ただ命を繋ぐだけの行為ではなく、向き合い方次第で人生をより豊かにしてくれるのかもしれません。 記事後半の7作以外の料理も、ネット上に再現レシピが多数存在しているので、家で真似してお気に入りの作品に思いを馳せてみてください!