2025年11月4日更新

【ネタバレ】映画『愚か者の身分』結末までのあらすじや原作小説との違いを解説!

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映画『愚か者の身分』作品概要・あらすじ【ネタバレなし】

公開日 2025年10月24日
メインキャスト 北村匠海 , 林裕太 , 山下美月 , 矢本悠馬 , 木南晴夏 , 綾野剛
上映時間 130分
監督 永田琴
原作 西尾潤『愚か者の身分』
脚本 向井康介

劣悪な境遇から闇の世界に足を踏み入れたタクヤ(北村匠海)とマモル(林裕太)。2人はSNSを使い、身寄りのない男性から戸籍情報を騙し取っていました。そして、タクヤを闇の世界に誘ったのが兄貴分の梶谷(綾野剛)です。タクヤは梶谷とともに、この危険な世界から抜け出そうと動き始めます。 貧困から抜け出せず闇ビジネスに染まった3人の若者たちの運命と、彼らが紡ぐ「愚か者」の絆が描かれた、現代社会の問題とリンクする一作です。

【ネタバレ】映画『愚か者の身分』結末まで解説!若者たちの最後は?

半グレ組織で他人の戸籍売買をして稼いでいる青年タクヤとマモル。タクヤはマモルをこの世界に引き入れた張本人であり、マモルは面倒見のいいタクヤを兄のように慕っていましたが、それと同時にタクヤの言うことは絶対で逆らうことはありませんでした。 ある日2人の上司である佐藤から「明日はタクヤと連絡を絶て」と言われたマモル。不安に思いながらも気になってタクヤの後を付けますが、闇ビジネスから抜けようとしていることに気付き、気まずいまま別れました。

柿崎マモル編(林裕太)

マモルはもともとは八王子に住んでいましたが、家族から虐待を受けていました。そのため1人で都心に出てきて施設に入ることになり、ベッドが隣だったタクヤと知り合います。施設では生活保護を受けるように勧められますが、その金をピンハネされているのを見かけたタクヤから闇ビジネスに誘われたのでした。 戸籍売買のビジネスをタクヤから教わってきたマモルでしたが、佐藤の言動からするとタクヤは何かトラブルに巻き込まれてしまったよう。佐藤に監禁暴行を受け、指示通りタクヤのマンションに「掃除」しに行ったマモルが見たのは、荒らされた部屋と大量の血だまりでした。

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松本タクヤ編(北村匠海)

タクヤが巻き込まれたのは、半グレ組織のボスであるジョージから佐藤が大金を盗んだ件。それに加担してしまったタクヤがミスを犯し、慌てた佐藤が全ての罪をタクヤに被せようとしたのです。しかも顧客が依頼していた眼球と臓器売買をもタクヤに担わせ、マンションの自室で眼球をくり抜かれていました。 マモルが見たのはその血だまりであり、すでにタクヤの姿はなくなっていました。その間に、戸籍売買ビジネスを手伝っていた希沙良が「後を付けられている」と不安になってタクヤのマンションへ来て、眼球を抜かれたタクヤの姿を目撃します。

【結末】梶谷剣士編(綾野剛)

タクヤを部屋から運び出したのは裏社会の運び屋・梶谷でした。梶谷はタクヤを闇ビジネスに誘った人物であり、タクヤにとってはこの世界の兄貴分。しかし梶谷も雇われの身分で、指示通りに臓器移植する病院にタクヤを運ばなければなりません。 実はタクヤは眼球をくり抜かれただけで、臓器移植するために生かされていました。車で病院に向かう道中、弟分として情を断ち切れない梶谷がついにタクヤを連れて逃走する決意を固めます。途中で車に付けられたGPSでジョージに追いつかれますが、2人は必死に食らいついて逃亡を図り、梶谷の恋人・由衣夏のはからいで神戸に身を隠す場所を得たのでした。

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【映画ラスト】3人が歩むこれからの人生をネタバレ考察

自分の身が危ないと悟っていたタクヤは、マモル宛てに冷凍魚の中に彼の新しい身分証と、佐藤から奪った大金を隠した倉庫の鍵を入れていました。それを受け取ったマモルが別の街の川を眺めている姿で、物語は終わっています。 一方タクヤと梶谷は隠れ家で一緒に魚の煮つけを食べていました。半グレ組織のジョージと佐藤は逮捕されましたが、刑事はそれ以降も梶谷とタクヤを見張っています。マモルは手に入れた金で再起を図るのか、タクヤと梶谷も逮捕されてしまうのか、3人のその後の人生が気になるラストでした。

【相関図】映画『愚か者の身分』キャスト・登場人物紹介!マモルを演じた俳優は誰?

相関図

タクヤ役/北村匠海

北村匠海

タクヤはSNSで戸籍を奪い取る半グレ組織の一員です。一方で被害者を気にかける繊細な一面も持ち合わせています。小説ではタクヤの失踪からストーリーが展開しますが、タクヤがメインとなる映画ではどのように描かれるのでしょうか。 拓哉を演じるのは北村匠海。「東京リベンジャーズ」や『明け方の若者たち』(2021)、『悪い夏』(2025)など、毎年話題作の主演を務める人気俳優です。

梶谷役/綾野剛

綾野剛

梶谷は裏社会で運び屋として働いており、タクヤに戸籍売買の手口を教えた人物です。組織に辟易としながらも、タクヤを気遣う優しさを見せる兄貴分としての一面も持ち合わせています。 演じたのは綾野剛。これまで「新宿スワン」や『ヤクザと家族 The Family』(2021)、『カラオケ行こ!』(2024)など、多種多様なジャンルで闇の世界を演じてきました。

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マモル役/林裕太

林裕太

マモルは、タクヤとともに犯罪に手を染める若者です。梶谷からタクヤ、タクヤからマモルへと引き継がれていきました。ある日、兄のような存在であるタクヤが姿を消します。マモルがタクヤの居場所を尋ねると「余計なことは知らんほうがええ」と釘を差されてしまいーー。 マモルを演じるのは林裕太。2025年には『晩餐ブルース』、『御上先生』、そして『なんで私が神説教』と立て続けにドラマ出演を果たしており、今大注目の若手俳優です。

希沙良役/山下美月

山下美月

希沙良は、タクヤ達の戸籍売買を手伝う女性です。SNSで引っかかった男性と実際に面会する、「オトシ」役を担っていました。 演じるのは、元乃木坂46の山下美月。本作と同じ2025年10月には『火喰鳥を、喰う』の出演も決まっています。

江川春翔(谷口ゆうと)役/矢本悠馬

矢本悠馬

江川春翔は、タクヤに戸籍を売ってしまった青年です。名前が2つあるのは戸籍を売り、別人として生きているため。家族と離れてしまい貧困に陥った結果、戸籍を売らざるを得ない状況に追い込まれてしまいました。 演じるのは矢本悠馬。どの役でも存在感抜群の演技力を披露するまさに演技派俳優。『賭ケグルイ』(2019)や「今日から俺は」、「ゴールデンカムイ」などに出演しています。

由衣夏役/木南晴夏

木南晴夏
©ホリプロ

由衣夏は、梶谷の恋人です。梶谷から深い愛情を注がれており、由衣夏もすべてを理解したうえで梶谷を支えています。 演じるのは木南晴夏。アイドルユニットを経て、女優デビュー。恋人役の綾野剛とは『闇金ウシジマくん Part2』(2014)でも共演しています。

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原作小説『愚か者の身分』はどんな内容?あらすじを紹介

原作小説は群像劇として「①柿崎護②江川春翔③槙原希沙良④仲道博史⑤梶谷剣士」と、5人それぞれの視点から描かれます。 1章ではマモルが、闇の世界から抜け出そうとしたタクヤとの接触を禁じられてしまいます。そしてのちにタクヤの部屋で目にした凄惨な光景から「タクヤはもういない」と悟り、自分にも危険が迫っていると痛感しました。 一方、タクヤはこうなる未来を案じており、マモルにあるメッセージを残します。マモルは組織の金を手にし、逃亡生活を開始。途中で過去にタクヤが戸籍を買い取った江川春翔という男と接触しました。 2章では、戸籍を売った春翔の波乱の人生が描かれます。そして、マモルはタクヤの言葉通り春翔にお金を渡しました。3章では、タクヤを手伝っていた希紗良が見知らぬ女性から襲われ、逆に殺してしまったという思い込みから逃走劇を繰り広げます。 4章は探偵の仲道博史が登場し、ある人物の依頼で春翔の捜索を行います。最終5章の主人公は、タクヤの兄貴分で運び屋の梶谷。組織からの依頼で受け取った「ブツ」を運びます。しかしその中身を知った梶谷は、究極の2択を迫られることとなりました。

【原作ネタバレ】映画では描かれなかった!江川春翔編や希紗良編

第二章【希紗良(山下美月)編】闇ビジネスに加担するキャバ嬢

小説の第2章は、タクヤとマモルの戸籍売買ビジネスに加担しているキャバ嬢・槇原希沙良が主人公。希沙良の本業はヘアメイクですが、タクヤたちが女性のフリをしてSNSで目星を付けたターゲットと実際に会って個人情報を確認する役割を担っています。 タクヤのマンションに行って報酬を受け取った後、希沙良は突然ある女に襲われます。格闘する中でその女を殺してしまったと思い、夜の公園に放置してしまった希沙良。しかし女はその翌日また希沙良の前に現れ、彼女を拘束して無理やりタクヤのマンションへ。 そこで2人が見たのは眼球をくり抜かれたタクヤの姿でした。慌てて逃げ出した2人でしたが、途中で女は負傷していたせいか意識を失います。その女は春翔の幼馴染で、彼の行方を捜していたのです。

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第三章【江川春翔(矢本悠馬)編】戸籍を売った男の人生

第3章は、戸籍を売った男・江川春翔の物語。戸籍を売った後は「谷口ゆうと」という名前でネットカフェで働いていました。妻の育児放棄で子どもを亡くし、妻とも離婚して自暴自棄になり、ギャンブルで作った借金を返すために戸籍を売ったのです。 タクヤを通じて佐藤に戸籍を売った春翔でしたが、タクヤは親身になってその後の世話をしてくれました。そしてタクヤから「自分からの連絡が途絶えたら指定のメールアドレスに送信してほしい」という依頼を受けます。 タクヤからの連絡がついに途絶え、指示通りにメールを送ると、マモルと名乗る青年が彼を訪ねて来ました。そして受け取ったのは2千万円という大金。それはタクヤの罪滅ぼしだったようでした。ところが、店で起きた客同士のトラブルの最中、同僚がその金を盗んでしまいます。

【原作ネタバレ】映画では登場しない私立探偵・仲道博史編

第4章は映画では登場しない探偵の仲道博史が主人公になっており、同じく原作のみの登場人物である春翔の幼馴染・真貴の物語が語られています。真貴は希沙良を襲った、あの女性です。真貴にとって春翔は幼少期からの親友であり、離れてからもどこか繋がっているような大切な存在でした。 真貴は突然姿を消した春翔の行方を捜すため、探偵の仲道に依頼を持ちかけます。仲道は春翔が戸籍を売ったことを突き止めてタクヤのマンションまでたどり着きますが、焦った真貴が1人で向かい、希沙良を思わず襲ってしまったのです。 仲道はタクヤのマンションから出てきたマモルを追い、彼が貸し倉庫から何かを持ち出し、ネットカフェの春翔にそれを渡したことを把握します。そうしてついに春翔の居場所がわかり、真貴は春翔との再会を果たしたのでした。

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【続編】小説『愚か者の疾走』西尾潤の2作目あらすじ

『愚か者の身分』のマモル・タクヤ・梶谷の3人のその後を描いた続編小説『愚か者の疾走』が、2025年11月11日に刊行されます。

あらすじ

「この金で生まれ変われ」とタクヤが残した大金を手にしたマモル。それから3年、マモルは真鶴で静かに暮らしていました。しかしある日、突然タクヤから1通のメールが届きます。 「俺はもう限界かもしれない」という意味深な内容は、タクヤの生死を知らないマモルにとっては追手が仕かけてきた罠のように思え……。

映画『愚か者の身分』監督・脚本家を解説

監督:永田 琴

永田琴

岩井俊二の助監督を長きに渡り務め、名監督の技を学んできた永田琴。 これまで『東野圭吾「片想い」』(2017)や『ライオンのおやつ』(2021)などを手掛けてきました。本作は永田監督自身初の「男たちの物語」です。

脚本:向井康介

脚本を担当したのは向井康介です。 代表作には『リンダリンダリンダ』(2005)や『ピース オブ ケイク』(2015)、『聖の青春』(2016)などがあります。そして『ある男』(2022)では、ついに日本アカデミー賞・最優秀脚本賞を受賞しました。

映画の見どころは?日本の今が詰まった”逃亡劇”

本作は、向井康介の脚本と北村匠海の主演という『悪い夏』(2025)のタッグが再び実現したことで、早くも期待を集めています。『悪い夏』では、底なしの地獄絵図を描き切り映画ファンから高い評価を受けました。本作『愚か者の身分』でも、違った切り口で社会の深い闇をえぐってくれるのではないでしょうか。 また、闇ビジネスに巻き込まれた若者たちの「今」を、ありのままに映し出しているのも大きなポイント。きれいごとでは済まされない現実、そこから抜け出そうと必死にもがく彼らの姿は、あなたの胸を強く打つこと間違いなしです。

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映画『愚か者の身分』結末までネタバレ!日本の裏社会と人間ドラマ

映画『愚か者の身分』は、2025年10月24日より劇場公開されています。11月11日刊行の続編小説『愚か者の疾走』も気になるところ! 私たちが生きる社会の裏側でうごめく闇を、犯罪者、被害者、そして第三者ーーそれぞれの視点から鮮烈に描き出す本作。あなたが知らない日本の深い闇に、ぜひ劇場で触れてみてください。