2025年11月25日更新

映画『平場の月』あらすじ&原作ネタバレ紹介!大人の青春が眩しくて切ない⋯⋯

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映画「平場の月」
©2025映画「平場の月」製作委員会

朝倉かすみによるベストセラー小説を原作に、堺雅人が主演を務める映画『平場の月』この記事では、『平場の月』のあらすじから原作ネタバレ、注目のキャストやスタッフについて解説していきます。

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映画『平場の月』作品概要・あらすじ

タイトル 『平場の月』
公開日 2025年11月14日
上映時間 117分
監督 土井裕泰
脚本 向井康介
原作 朝倉かすみ『平場の月』(光文社文庫)

映画『平場の月』は、朝倉かすみによるベストセラー小説を原作としています。 中学時代の初恋の相手同士が再会し、惹かれ合う姿を描いた物語です。さまざまな人生経験を積んだ2人が心を通わせていく展開は、「これまでにない大人の恋愛小説」として話題を呼びました。 発売当初から映像化の要望が多数寄せられていた本作は、30社以上からのオファーを経て、今回満を持しての映画化が実現したのです。 主演を務めるのは、幅広い映画やドラマで活躍している堺雅人。『花束みたいな恋をした』(2021年)などの土井裕泰がメガホンをとり、『ある男』(2022年)などで知られる向井康介が脚本を手掛ける注目作です。

映画『平場の月』あらすじ

映画「平場の月」
©2025映画「平場の月」製作委員会

妻と別れ、地元に戻って印刷会社に再就職した青砥健将(堺雅人)。慎ましく、平穏な日々を送っていた彼は、あるとき中学時代に思いを寄せていた須藤葉子(井川遥)と再会しました。 夫と死別し、今はパートで生計を立てているという葉子。お互いに独り身となり、さまざまな人生経験を積んだ2人は意気投合し、中学生以来、離れていた時を埋めていきます。 再び自然と惹かれ合うようになった2人。やがて未来のことを話すようになりますが……。

【ネタバレ】映画『平場の月』を最後まで解説

本作の原作である朝倉かすみによる『平場の月』は、第32回山本周五郎賞を受賞し、2018年の刊行以来、発行部数20万部を突破したベストセラー小説です。 作者の朝倉かすみは、『田村はまだか』(2008年/光文社)で第30回吉川英治文学新人賞を受賞するなど、多くの作品で数々の賞に輝いています。 『平場の月』は、離婚して地元に戻ってきた青砥と、彼の初恋の相手で夫と死別後ひとりで強く生きてきた須藤が再会し、再び惹かれ合っていく物語。もう若くない普通の男女の、静かでリアルな恋愛が描かれています。

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2人の関係の結末は?ネタバレで解説

映画「平場の月」
©2025映画「平場の月」製作委員会

製本会社で働く青砥健将は、施設で暮らす母の面倒を見ながら、実家でひとり暮らしをしていました。ある日、体調不良で病院へ行った彼は、中学時代の同級生・須藤葉子と再会します。その夜呑みに行った2人は、近況を報告しあい、それから呑み友達に。 徐々に距離を縮めていく2人。そんななか須藤は体に異変を感じ、精密検査を受けたところ大腸がんが見つかりました。須藤が手術のために入院する前日、2人は結ばれました。 手術後、青砥と一緒に暮らしはじめた須藤。抗がん剤の副作用に苦しみながらも2月には体調も安定し、須藤は4月に自分のアパートに戻りました。 その後、青砥は須藤にプロポーズします。しかし自分がもう長くないと知っていた須藤はこれを断ります。すると青砥は「1年はお前の言う通り会わないが、1年後に温泉旅行に行こう」と提案しました。 まもなく自分に死が訪れることを知っていて青砥に頼るのは卑怯だと思った須藤は、青砥と連絡を絶ちます。 なにも知らない青砥は、1年後の復縁を信じて時を過ごします。1年が経過した6月のある日、青砥は須藤が5月3日にすでに亡くなっていたことを元同級生から知らされるのでした。

【キャスト】映画『平場の月』堺雅人と井川遥含む魅力的俳優陣

映画「平場の月」
©2025映画「平場の月」製作委員会
青砥健将役 堺雅人
須藤葉子役 井川遥
前田道子役 中村ゆり
八十島庄助役 でんでん
上村みづき役 吉瀬美智子
森仁志役 宇野祥平
後藤役 吉岡睦雄
青砥健将役(中学時代) 坂本愛登
須藤葉子役(中学時代) 一色香澄
江口剛役 大森南朋

青砥健将役/堺雅人

映画「平場の月」
©2025映画「平場の月」製作委員会

妻と別れ、地元に戻って印刷会社に再就職した青砥健将。平穏な生活を贈る、50代の平凡な男性です。さまざまな人生経験を積んできた彼は、初恋の人と再会し、再び心惹かれるようになっていきます。 演じるのは、ドラマ「半沢直樹」シリーズや『VIVANT』(2023年)などで知られる堺雅人です。

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須藤葉子役/井川遥

井川遥

須藤葉子は、芯の強さと同時にどこか儚く、切なさを感じる女性です。幼少期の両親の不仲、夫との死別など、つらい過去を抱えながら、パートで生計を立てています。 葉子を演じる井川遥は、ドラマ『流星ワゴン』(2015年)や映画『さかなのこ』(2022年)などにも出演しています。

子役の一色香澄・坂元愛登にも注目

主人公の青砥と須藤の中学時代を演じているのは、それぞれ坂元愛登と一色香澄です。中学時代の2人のエピソードは原作から膨らませており、子役の演技も光っています。 坂元愛登は2022年の映画『ある男』でオーディションで選ばれて俳優デビューを飾り、2024年にはドラマ『不適切にもほどがある!』では吉田羊演じる向坂サカエの息子役を演じています。 一色香澄は2025年4月期のドラマ『あなたを奪ったその日から』で、北川景子演じる主人公が誘拐して育てた娘・美海という難しい役どころを務めました。

【ロケ地】映画『平場の月』は原作の舞台で撮影された

『平場の月』は映画化に当たって、原作小説の舞台である埼玉県朝霞市でロケが行われました。主な舞台は朝霞で、市内10カ所以上で撮影が敢行されたそう!原作の地理的なリアリティを大切にしています。 小説のマップが朝霞市立図書館によって作成されており、朝霞台駅周辺に舞台が集中していることがわかります。映画でも特に印象的なのは、青砥と須藤が何度か訪れ、物語の始まりの場所となる「ひこうき公園」こと南割公園。ロケ地巡りで訪れる人たちの姿もあるようです。

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【見どころ】映画『平場の月』の注目ポイントを解説!原作との違いも

映画「平場の月」
©2025映画「平場の月」製作委員会

映画版では「須藤が死んだ」という事実が最初に明かされない

原作小説では「須藤が死んだ」ということを、青砥は初めに聞かされて物語が始まりますが、映画ではそのことは伏せられたまま進んでいきます。そして須藤の病も物語が進むとともに進行していき、終盤で最期の時が描かれることなく、最後に青砥がその訃報を知ることに。 観客が先に逝った須藤の気持ちに想いを馳せ、悲しみに暮れる青砥を見守る側として余韻に浸れる演出となっているようです。

映画オリジナルの中学時代の2人にも注目

青砥と須藤の中学時代は原作小説よりも描写が加筆されており、子役2人の初々しくフレッシュな演技が印象に残ります。 特に、青砥が須藤に告白した後に突然頬を寄せるシーンは何か言っているのか気になる人が続出!これが後に、2人が大人になって再会して同じように頬を寄せる場面に重なり、35年越しの恋が成就するエモーショナルなシーンとなっています。

現代ラブストーリー初主演の堺雅人

映画「平場の月」
©2025映画「平場の月」製作委員会

近年強烈なキャラクターを演じることの多かった堺雅人ですが、本作では等身大の50代男性を演じます。実は堺は映画主演は『DESTINY 鎌倉ものがたり』(2017年)以来8年ぶり。さらに現代もののラブストーリーは初挑戦となります。 また、須藤役の井川遥とは『半沢直樹』(2020年)以来の共演。「役としての井川さんに出会って、須藤の横にずっといたいという気持ちが強くなりました」とコメントしています。

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映像ならではのリアリティを感じる病気の描写

映画「平場の月」
©2025映画「平場の月」製作委員会

須藤が患っている病は大腸がんで、映画では治療していくうちに目に見える身体の変化や、闘病しながら働く、それでもがんとともに自分らしく生きていくといった状況がリアルに描かれています。近くで彼女を支える青砥や周りの人々の様子にもフォーカスしていました。 そのためか、厚生労働省が本作とのタイアップを行っており、普及啓発ポスターを作成したり、特設ページを開設しています。

『花束みたいな恋をした』土井裕泰×『ある男』向井康介による豪華タッグが実現

『花束みたいな恋をした』
©︎2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

土井裕泰

『平場の月』の監督を務めるのは、『罪の声』(2020年)や『花束みたいな恋をした』(2021年)など、近年ヒット作を連発している土井裕泰です。 ラブストーリーからミステリまで、幅広い作品を手掛けており、2025年には『片思い世界』も公開されました。

脚本:向井康介

脚本を手がかるのは、『愚行録』(2017年)や『ある男』、『マイ・ブロークン・マリコ』(ともに2022年)などで知られる向井康介です。 『ある男』では、第46回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞しました。

【評価】映画『平場の月』が「つまらない」と感じる人がいる?

映画「平場の月」
©2025映画「平場の月」製作委員会

中学時代の初恋を35年越しに実らせるという、“純粋な”大人のラブストーリーである本作。青砥と須藤の日常をメインにやや平坦に物語が進むためか、つまらないと感じる人もいるよう。 しかし50歳という中年の等身大な姿を丁寧に描き、大人同士の心の機微や距離感がリアルに描かれており、平穏な日々の中での淡々とした人間ドラマに共感できなくとも、その「日常」を描くことこそが本作の魅力であるといえるでしょう。

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『平場の月』は「つまらない」からこそ面白い大人の青春映画

ベストセラー小説を原作に、これまでにない大人の恋愛を描く『平場の月』。 堺雅人をはじめとする人気・実力ともにトップクラスのキャストを迎え、ヒットメーカーとして知られるスタッフが集結した映画『平場の月』は、2025年11月14日公開です。