2025年8月13日更新

『国宝』花井二次郎の死因は息子・花井半弥と同じ糖尿病?芸に生きた役者の最後とは

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『国宝』 渡辺謙
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

大ヒットを記録した『国宝』(2025年)のなかでも、キーパーソンの1人となっている二代目花井半二郎。喜久雄を歌舞伎界に迎え入れ、息子の俊介とともに歌舞伎役者として成長していくのを見守った彼は、いったいどんな人物だったのでしょうか。 この記事では、渡辺謙が演じた半二郎について死因や息子・俊介との関係など詳しく紹介します。 映画『国宝』の重要なネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

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『国宝』花井半次郎の死因は糖尿病だった?

二代目花井半二郎は糖尿病を患っており、映画中盤では目が見えなくなっていました。そんななか、花井白虎の襲名を急いだ彼は、襲名披露の舞台で血を吐いてそのまま帰らぬ人となってしまいます。 しかし糖尿病が原因で吐血することは非常に稀だと言われています。そのため、彼が吐血したのは糖尿病と他の病気を併発していたためと思われます。 原作小説では、膵臓がんも半二郎の死因と書かれています。膵臓がんは進行が早く、症状が出にくいため発見が遅れがちな病気として知られています。 そのため半二郎の死因は「糖尿病と膵臓がんの併発」によるものと考えるのが妥当と言えるでしょう。

花井半二郎と息子・俊介は同じ死因だった?

『国宝』 吉沢亮 横浜流星
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

半二郎の息子である俊介も糖尿病を患っており、左脚を切断することになります。また体の壊死はさらに進行し、映画終盤では右脚も壊死し始めていることがわかります。 糖尿病は必ずしも遺伝するわけではありません。しかし片親が2型糖尿病だった場合、子どもが2型糖尿病を発症する可能性は30%と、遺伝する可能性が遺伝リスクはある病気です。 先述の通り半二郎は膵臓がんを併発していた可能性がありますが、俊介の直接の死因については描写されていないので、死因が同じとは言えないと思います。

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芸に命を捧げた花井二次郎の最後とは

任侠の世界に生まれ、抗争によって天涯孤独の身となった喜久雄を引き取り、歌舞伎界に招き入れた半二郎。彼は上方歌舞伎の名門、花井家の当主で看板役者でした。半二郎は喜久雄と自身の息子である俊介に厳しい稽古をつけ、歌舞伎役者としての成長を見守ってきました。 しかしその晩年は糖尿病に冒され、目が見えなくなり、喜久雄の助けなしには歩くことすら困難になっていました。それでも半二郎は死ぬ前にと、名跡である花井白虎の襲名を急ぎます。しかしその襲名披露の舞台で血を吐いて倒れてしまった半二郎は、苦しみのなか「俊防……、俊防……」と息子を呼びながら、その生涯を終えました。 芸に身を捧げた半二郎が舞台の上で命を落とすというのは、非常に象徴的です。彼の背中を見て育ってきた喜久雄や俊介が、やはり芸に身を捧げる人生を送ることになったのも納得ではないでしょうか。

父・花井半二郎のように芸に身を捧げた俊介

『国宝』 横浜流星
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

喜久雄の圧倒的な才能に気圧され、一時は歌舞伎の世界から離れた俊介は半二郎の葬式にも顔を出しませんでしたが、ある日突然、妻となった春江と息子を連れて帰ってきます。そして万菊の引き立てもあり、歌舞伎界のプリンスとして華々しい復活を遂げるのでした。 しかし彼は父と同じく糖尿病に冒されており、左脚を切断することになります。片脚を失ってもなお歌舞伎への情熱を失わなかった俊介は、かつて半二郎が喜久雄を代役に指名した『曽根崎心中』をやりたいと言い、舞台に立ちます。 父と同じく俊介もまた芸に身を捧げたのでした。

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花井半二郎は死ぬ間際に「俊介」と言った理由は?

『国宝』
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

半二郎は死に際に息子の名をくり返し呼んでいました。それは、彼の後悔から来たものだったのではないでしょうか。 かつて事故で舞台に立てなくなった半二郎は、『曽根崎心中』の自分の代役に、息子の俊介でなく喜久雄を指名しました。そしてほかでもないその演目を見て、俊介は姿を消してしまったのです。 若き日の俊介は歌舞伎界の御曹司として驕った部分があり、酒に酔ったまま舞台に立つなど、真摯に芸に向き合っているとは言えない状態でした。半二郎は獅子が子を崖から落とすように、息子に試練を与えるつもりだったのでしょう。 劇中では俊介が幼い頃、半二郎とともに『連獅子』を披露しているシーンもあることから、このシーンにつながってきています。 しかし彼が与えた試練が原因で、俊介は姿を消してしまいました。半二郎はそのことを悔いていたのでしょう。

『国宝』花井半二郎と息子・俊介は糖尿病と戦い芸に命を捧げた親子

二代目花井半二郎は、息子である俊介と、その才能を見込んで引き取った喜久雄に芸に生きるとはどういうことかという背中を見せてきました。病に冒されても舞台に立つことを辞めなかった彼は、まさに歌舞伎に命を捧げたと言っていいでしょう。 彼の生き様が俊介と喜久雄に大きな影響を与えたのです。