2025年12月26日更新

【映画化】湊かなえ『未来』あらすじネタバレを相関図付きで最後まで解説!章子と亜里沙のその後やフロッピーの意味も考察

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『未来』サムネ
© ciatr

『告白』(2010年)や『母性』(2022年)などが映画化され、どれもヒットを飛ばしている湊かなえの『未来』が映画化されます。豪華キャストを迎え、瀬々敬久が監督を務める本作。 この記事では、『未来』原作小説の結末までのネタバレを紹介し、章子と亜里沙のその後やフロッピーの意味を考察します。

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【概要】湊かなえの集大成『未来』が映画化

タイトル 『未来』
公開時期 2026年5月
原作 湊かなえ『未来』
監督 瀬々敬久
主要キャスト 黒島結菜 , 山﨑七海 , 北川景子 , 松坂桃李

『未来』は湊かなえのデビュー10周年を記念した、集大成的な作品です。 「イヤミスの女王」と呼ばれる彼女ですが、『未来』は過酷な日々を過ごしながら、いつか来るはずの明るい未来を信じて強く行きる少女たちを描いた物語。 大人たちも過去の過ちを抱えながら、少女たちを助けようと手を差し伸べます。 主演を務めるのは、黒島結菜。そのほか北川景子、松坂桃李に加え、山﨑七海や坂東龍汰など、若い才能が集結しました。これまでも多くの感動作を手掛けてきた瀬々敬久がメガホンをとります。

【相関図】湊かなえ『未来』の登場人物

『未来』相関図
© ciatr

複雑な環境で育ちながら、教師になる夢を叶えた篠宮真唯子。彼女はかつての自分と同じく、家庭に問題を抱える教え子の佐伯章子を気にかけていました。そんななか、章子に「20年後の自分」から手紙が届きます。 半信半疑のまま返事を書くことでつらい日々を耐えていた章子でしたが、次第に追い詰められ、唯一の友人である亜里沙とともに「親を殺す」という禁断の計画を企てます。

【ネタバレ】原作『未来』あらすじをラストまで解説

【ネタバレなし】原作『未来』序章

中学3年生の佐伯章子は、友人の須山亜里沙とともに、人気テーマパーク・ドリームランドに向かう深夜バスに乗り込みます。 亜里沙が眠ると、章子は小学4年生のときに届いた「未来の自分」からの手紙を取り出します。 未来の章子に励まされ、それ以来、章子は未来の自分に向けて手紙を書きつづけていたのでした。

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【エピソードⅠのネタバレ】佐伯章子にふりかかる悲劇の連続

小学校4年生のとき父・良太を亡くし、生きる気力を失ってしまった母・文乃を支えながら生活していた章子。あるとき良太の遺品を整理していた章子は1枚のフロッピーディスクを発見します。 6年生になると、絶縁状態になっていた良太の母親が現れ、息子の死を知らせなかった文乃を糾弾します。そして章子に一緒に暮らさないかと提案するのでした。祖母の家に行った章子は、そこで文乃が自分の父親と兄が家で寝ているのを承知で放火した人殺しだと聞かされます。 その後、文乃と事実婚関係にあった早坂が、自分のレストランで章子の同級生・実里の家族に失礼な態度を取ったことから、章子はいじめられるようになり、不登校になってしまいました。 一方、早坂は章子の同級生の父親・須山と結託して、文乃に売春をさせていました。その事実を知った章子は早坂を殺す決意をします。

【エピソードⅡのネタバレ】須山亜里沙「未来からきた」手紙は本物?

小学校低学年で母を亡くした須山亜里沙は、父親から暴力を振るわれていました。亜里沙もまた、「未来の自分」からの手紙を受け取っていました。 亜里沙は2つ年上の智恵理と仲良くしていましたが、二重人格だった彼女は自宅に火を放ち、両親に重傷を負わせます。 それ以降、父が暴力を振るわなくなり、亜里沙は弟の健斗とドリームランドに行く約束をします。しかしその後、父親に売春させられていた健斗は飛び降り自殺をしてしまいました。 「未来の自分」からの手紙には、20年後も亜里沙と健斗は仲良くしていると書かれていたため、亜里沙は手紙は偽物だと悟ります。

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【エピソードⅢのネタバレ】篠宮真唯子の優しくて酷な嘘

章子たちが小学4年生だったときの担任・篠宮真唯子。祖母と二人暮らしをしていた彼女は、祖母を安心させるために、教師になろうと東京の大学へ進学します。そして同じアパートに住む原田と交際することに。 その後、章子たちの担任をしていたとき、実里の母の告発により、かつていかがわしいビデオに出演していたことが発覚し、真唯子は学校を去ることに。彼女は章子のことを気にかけ、入院中の良太に会いに行きます。そこで彼は真唯子に自分の死後、章子に未来からの手紙を書いてほしいと頼みました。 原田は仕事でミスをしてしまい、20年後に30周年を迎えるドリームマウンテンの栞を作ってしまいます。真唯子はこれを使って「未来からの手紙」に信憑性を持たせられないかと考えました。

【ネタバレ】樋口良太が必死で守った真珠

醜い容姿から、いつもひとりぼっちだった良太。男子校に通っていた良太は、森本誠一郎と仲良くなります。誠一郎はあるとき自宅に良太を招き、妹の真珠と関係をもたせました。真珠は体を売っており、彼女を助けたいと思った良太は、何度も彼女に会います。次第に真珠に人間らしい感情が戻り、誠一郎も喜んでいるようでした。 しかし真珠は県議会議員の父親から性的虐待を受けていたのです。そんななか誠一郎一家はドリームランドに行きますが、滞在先のホテルで母親は自殺。 誠一郎は母の命日に父を毒殺し、家を放火する計画を立てます。誠一郎が父を殺害し、真珠がドリームランドに行っている間、良太が放火する手筈でした。しかし良太が火を放つと、真珠が駆けつけます。誠一郎は自分も死ぬつもりで家に残り、その計画を良太に隠していたのです。 翌日、性的虐待が理由で真珠が父と兄を殺して家を放火したとニュースになりました。それから5年後、良太は真珠に再会し、今度こそ彼女を守ろうと名前を変えて結婚します。

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【ネタバレ】未来に希望の光が差し込む最後

深夜バスに乗り込む前、早坂と文乃が家に帰ると、章子は嘘をついて文乃を買い物に行かせ、早坂に毒入りのウイスキーを飲ませて殺害します。 そして章子は家に火をつけますが、そこに文乃が帰ってきて、早く行かないとドリームランド行きのバスに間に合わないと優しく告げるのでした。 母の優しさに触れ、章子はドリームランドから帰ったら自首しようと決めました。やがてドリームランドに到着し、章子と亜里沙はそこで初めて2人とも「未来からの手紙」とドリームマウンテン30周年の栞を持っていることを知ります。 亜里沙は家に火をつけられなかったことを告白。父は生きており、帰れば地獄が待っていると恐れていました。 章子はこのままドリームランドに行っても心から楽しめないのではないかと考えます。そして「ドリームランドに行くのは今日じゃない」と亜里沙の手を取り、助けを求めようと提案するのでした。

【考察】解釈の余地があるラストシーン!その後章子と亜里沙はどうなる?

物語は章子と亜里沙が、周囲に助けを求める決意をするところで幕を閉じています。これまで2人はもちろん、真珠も、どんなにつらい目にあっても、周囲に助けを求めることができませんでした。 しかし「未来からの手紙」の存在によって、章子と亜里沙はどこかに自分たちを気にかけてくれている大人がいることを知ったのです。 深刻な状況に置かれた2人ですが、正しい相手に助けを求めることができれば、彼女たちは救われるでしょう。

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【考察】矛盾する良太のフロッピーの意味

良太は物語を書くのが趣味で、章子が発見したフロッピーには彼の3作目の作品が入っていました。それは誠一郎一家に起きた事件の一部始終を詳細に記したものだったのです。 その中身は「墓まで持っていく」ような実際に起きた事件の衝撃的な真相にも関わらず、ラベルには「俺たちの子どもへ」と書かれていました。そんな重大な秘密を、良太は自分の子どもに打ち明けたいと思っていたのでしょうか。

【キャスト】映画『未来』主演は黒島結菜、松坂桃李&北川景子が出演

映画『未来』には、豪華キャストが集結しています。映画では、原作の登場人物のうち、篠宮真唯子が主人公になる様子。 原作からどのような改変があるかわかりませんが、実力派キャストの共演に注目したいですね。

篠宮真唯子役/黒島結菜

黒島結菜

映画版の主人公となるのは、章子たちの担任の教師である篠宮真唯子です。彼女は複雑な家庭環境で育ち、自分を育ててくれた祖母を安心させるため、教師になる夢を叶えます。 演じるのはドラマ『時をかける少女』(2016年)や2022年の朝ドラ『ちむどんどん』などで知られる黒島結菜です。

佐伯章子役/山﨑七海

父を亡くし、情緒不安定な母を支えながら生活している佐伯章子。しかし彼女は母の恋人が原因でいじめられるようになり、彼から暴力も受けるようになってしまいます。 章子を演じる山﨑七海は、4歳から子役としてのキャリアをスタート。2021年には『なぎさ』で映画初主演を果たし、『宙わたる教室』(2024年)などへの出演でも知られています。

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佐伯良太役/松坂桃李

松坂桃李

佐伯良太は章子の亡き父です。娘が小学4年生のときに、この世を去ってしまいました。母の絹代とは結婚を機に連絡を絶っており、のちに絹代は章子を引き取ろうとします。 良太を演じるのは松坂桃李。『娼年』や『孤狼の血』(ともに2018年)や『流浪の月』(2022年)、『フロントライン』(2025年)など、数多くの映画やドラマに出演しています。

佐伯文乃役/北川景子

北川景子

夫の良太を亡くして以来、精神的に不安定になってしまった章子の母・文乃。その後彼女は早坂と交際しますが、彼から酷い仕打ちを受けており、章子も早坂から暴力を振るわれるようになってしまいました。 人の愛し方も愛され方も知らない文乃を演じるのは、ドラマ「家売るオンナ」シリーズや『あなたを奪ったその日から』(2025年)、映画『ナイトフラワー』(2025年)などで知られる北川景子です。

【監督】『ラーゲリより愛を込めて』『護られなかった者たちへ』などの瀬々敬久

『未来』の監督を務めるのは、瀬々敬久です。 『アントキノイノチ』(2011年)や『64‐ロクヨン‐ 前編/後編』(2016年)、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2018年)をはじめ『糸』(2020年)、『護られなかった者たちへ』(2021年)、『ラーゲリより愛を込めて』(2022年)など、数多くの幅広いジャンルの作品で活躍しています

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湊かなえ『未来』公開は2026年5月

豪華キャストで映画化される湊かなえ原作の『未来』。「イヤミスの女王」として知られる彼女ですが、本作は一筋の光が差し込むような結末が印象的です。 映画『未来』は2026年5月公開予定です。