映画『杉原千畝スギハラチウネ』
第二次世界タイ大戦の中、6000人にものぼるユダヤ難民にビザを発行した日本人杉原千畝。それは、当時の日本政府に背く行為でした。インテリジェンス・オフィサー(謀報外交官)として行動した彼の真実の物語が2015年12月5日に公開されます。
杉原千畝とはどんな人物なのか知っていますか?
杉原千畝(1900~1986)
第二次世界大戦中に、日本の外交官として、堪能な語学と豊富な知識を駆使し、世界各国で諜報活動に携わり、リトアニア赴任時には一大諜報網を構築しました。
混乱の極みにあった世界情勢を分析し、身の危険を顧みず、日本に情報を発信し続けていた人物です。そのリトアニアで、ナチスの迫害から逃れてきたユダヤ難民に対して、日本政府の命令に背いて日本通過ビザを発給しました。そして約6000人もの命を救ったと言われています。
自分の信念を貫き、ユダヤ難民を救ってきたヒューマニストとして有名な杉原千畝ですが、インテリジェンス・オフィサー(諜報外交官)であったことは、あまり語られていないのです。
彼の感動の実話がポーランドで撮影され、話題になっています。
杉原千畝を演じたのは、実力派俳優の唐沢敏明
唐沢敏明は、『白い巨塔』『ルーズヴェルトゲーム』などに出演され、数多くの映画やドラマで存在感を魅せる、日本を代表する俳優です。
千畝について
杉原千畝は外務省からの了承のない中でユダヤ人にビザを出し続けた方ですが、映画では加えて今まで知られていなかった事実も描かれている「正義の人」で、まさに僕がやるべき役じゃないでしょうか(笑)
とユーモアを交えてコメントしています。
妻・幸子を演じたのは小雪
『ラストサムライ』『ALWAYS 三丁目の夕日』などの映画や、数多くのドラマやCMで活躍されている女優です。
激動の戦火の時代だからこそ、幸子がダンスや茶道を行ったりと、多くのことに興味を持って生きられている姿。千畝さんが信念をもって仕事に取り組まれているの中で、家では花のように、ほっとできるような存在でいられるようにということを根底に据えながら演じられたそうです。
そして、妻幸子は、『杉原千畝物語 命のビザをありがとう』という著書を出版しています。
千畝との出会いから、最期の時まで時代を追ったノンフィクション。大変な状況の中で行動していく夫の千畝を一番身近で支えた妻幸子や家族についても、この映画で描かれています。
真実の物語の撮影でメガホンをとったチェリン・グラッグ監督
チェリン・グラッグ監督は、日米共同制作の映画『トランスフォーマー』や、『ブラックレイン』の助監督に携わり、『20世紀少年シリーズ』の海外ユニット演出をされています。
千畝の右腕ペシュを演じたボリス・シッツ(写真右側)
ポーランド本国で絶大な人気を誇り、モントリオール世界映画祭で最優秀男優賞受賞。集中した撮影の時にもおしゃべりなど、撮影現場で雰囲気を作っていたそうです。
千畝に密かな思いを寄せる女性イリーナ役は、アグニェシュカ・グロホフスカ
アグニェシュカ・グロホフスカは、『ワレサ 連帯の男』『ソハの地下水』」などの作品に出演しています。
撮影期間中、みなさんと家族であるかのような気持ちで臨むことができ、セットが自分にとっては"ホーム"のような居心地の良いものであったそうです。
ユダヤ難民のリーダー的存在のニシェリ役にはミハウ・ジュラフスキ
ワルシャワ蜂起を描きポーランドで大ヒットした『リベリオン ワルシャワ大攻防戦』などに出演し、ポーランドでは映画、ドラマと活躍するミハウ・ジュラフスキ。
領事館にヴィザ発給を交渉するユダヤ難民を演じます。
在カウナス日本領事館職員のドイツ系リトアニア人、グッジェ役にはツェザリ・ウカシェヴィチ
『ワレサ 連帯の男』に出演するほか日本未公開のポーランド映画『ROZDROŻE CAFE』『KOMORNIK』、『Jasminum』、『LOS NUMEROS』などに出演しています。
千畝と対立する駐ドイツ日本大使、大島浩役には小日向文世
本作のチェリン・グラック監督による『サイドウェイズ』(2009)に主演した小日向文世がドイツとの同盟を信じる日本大使を演じます。
関東軍将校の南川欽吾役には塚本高史
『バトル・ロワイアル』で注目を集め、ドラマ「木更津キャッツアイ」でブレークした塚本高史。「男子たるもの戦わねば」という考えを持ち、目的のためには手段を選ばない日本軍人を演じます。
ユダヤ難民への対応に困惑するJTB社員、大迫辰雄役には濱田岳
『アヒルと鴨のコインロッカー』で主演を務め、他にも『ゴールデンスランバー』、『ロボジー』、『ポテチ』、『はじまりのみち』、『謝罪の王様』、『永遠の0』、『神様のカルテ2』、『予告犯』、『HERO』など多くの映画に出演し、その高い個性的な演技に定評のある濱田岳が出演します。
その他にも
二階堂智
滝藤賢一
石橋 凌
という、日本、ハリウッド、ポーランドの豪華俳優陣が出演しています。
『杉原千畝スギハラチウネ』見どころ
作品について、主演の唐沢敏明は、『めまぐるしく変わる、激動の時代を、夫婦で生き抜いた姿。映画の中には、その中で生き抜くかっこよさやある種の感動、愛などの様々な要素が詰まっているそうです。
戦後70年を迎える今、私たちが戦争についてもう一度考えさせられる映画になるのではないでしょうか。