【ネタバレ】『アンフェア the end』を解説 もっともアンフェアな黒幕はこいつだ
映画『アンフェア the end』はついに黒幕が判明するシリーズ最終章
【本記事はネタバレ情報を含みます】
シリーズ完結編となる『アンフェア the end』は2015年9月に公開されました。 本作のキャッチコピーである「本当の愛を知ったとき、真実が明かされる-」は何とも印象的なフレーズです。作品全体のテーマともいえるかも知れません。 本作でついに黒幕が明かされ、全ての真実が文字通り明らかとなりましたが、複雑な人間関係が交錯する物語であるため、その全貌を把握するのはなかなか難しい作品であることも事実。 そこで今回は、本作のモヤモヤポイントや複雑な人間関係を図を用いて解説します。 この記事が作品を楽しむ手助けとなりますように!
映画『アンフェア the end』のあらすじ
10年という年月を経て、今回ついに最終章
元・警察官である父を亡くした敏腕刑事の雪平夏見は、元刑事の父の死に隠された真実に迫る中で、警察という組織にはびこる闇に気付きます。 捜査の末、ついに機密データを掴んだ雪平はそのデータを肌身離さず持ち歩き保護しながら、データを事件解決のためにどのように利用するべきか悩んでいました。 そんな中、『アンフェア the answer』の黒幕であった検察官・村上克明親子の不審な転落死体が発見されます。そして現場に残された1枚のしおりには「アンフェアなのは誰か?」とのメッセージが……。 本件の容疑者として逮捕されたのは、システムエンジニアの津島直紀(永山絢斗)。尋問を行う刑事に対して、彼は「雪平でないと話さない」と口を開きません。 津島と面会した雪平は、彼から「雪平がある組織から目をつけられている」ことを伝えられます。そして、津島がその闇の組織の全貌を告発しようとしていることを知った雪平は、上層部から揉み消されることを予想して国外へと逃亡することを決意。 海外のジャーナリストを通じて、この事件を明るみにすることを画策します。
『アンフェア the end』の最後【ネタバレ注意】
警察から成る闇の組織を告発したいと訴える津島とそれに賛同した雪平は命を狙われ、日本の警察の治外法権となる海外へ亡命を企てます。 検事の武部に追い詰められ、重傷を負いながら辿り着いた大使館でしたが、突然津島が雪平に銃を向けます。津島は、雪平が持つUSBメモリが手に入れば、濡れ衣の罪で死んだ父親の再審を行ってもいいと武部から持ちかけられていたのでした。 しかし雪平の後を追っていた一条が津島と撃ち合い、二人は絶命します。雪平の父親殺害の実行役でありながら、それから何十年も監視し続けたことで愛情が芽生えた一条は、最後まで雪平を守り通したのでした。 その後、亡命した雪平によって海外メディアを通して日本警察の暗部が告発されます。復讐を果たした雪平は微かな笑みを浮かべ、10年に渡る「アンフェア」シリーズは幕を閉じました。
スッキリできなかったシーンを解説
『アンフェア the end』では様々な伏線が回収されましたが、まだまだ謎が残るのも事実。そこで、鑑賞者がスッキリできなかったシーンを解説していきます。
三上薫は雪平の味方だった?黒幕に見せかけて命がけで彼女を救った真意とは
『アンフェア the answer』で警察組織側に所属していることがわかった三上薫。武部が雪平を拘束する際、その側で彼女に手錠をかけたのは薫で、一時は完全に敵かと思うシーンも。 しかし、彼が警察組織に所属していたその真意は、雪平を守るために内部から情報を得るためでした。 薫は、雪平が津島の潜伏先を言わなかったため、その報復として一条に殺害されてしまいます。 命がけで雪平を守り続けた薫ですが、長く彼を観続けたファンとして、彼の死は苦しいものがありました。
黒幕かと囁かれていた小久保、本当の彼の姿とは……。
出世を第一に考えている雪平の上司で警視庁刑事部捜査一課長の小久保祐二は、ドラマ版では事件に対する姿勢や考え方が違う雪平と度々衝突し、彼女を敵視していた人物。そんな彼は、組織に所属しない一般的な警察官でした。 そんな彼が、最後に敵対していた雪平を助けに向かった理由は、彼が出世欲と同じくらい「正義感」を強く持っていた人物であったためです。 映画終盤で同僚の山路が雪平の人質となり、組織の人間に発砲されたものの、ライターによって助けられ、一命を取り留めたことを本人から聞いた小久保は、警察組織に対して抱いていた正義感が揺らぎます。 そのため、組織の指示に従うのではなく、自分の部下である雪平を助けることを選んだと考えられます。
冒頭のシャワーシーンとエンディングの関係性
映画は、胸から血を流す雪平のシャワーシーンから始まります。彼女の血が、次の事件である村上親子殺害へと移り変わっていくのですが、このシャワーシーンはエンディングのシャワーシーンと同じものです。 雪平の胸に流れる血は、津島に肩を撃たれたためのもの。また、周りの情景から、彼女が大使館から無事に出国し、亡命に成功したことがわかります。
村上親子の殺害理由は?そして真犯人は?
村上親子の殺害の理由は、雪平に機密データが渡ってしまったための制裁だと考えられています。 また、犯人同様に身長が185cmであったことや、彼らの死亡で恩恵を受けているのが克明から東京地検特捜部検事の職務を引き継いだ武部であるため、彼が村上親子を殺害した真犯人であると推測できます。
では「アンフェア」な黒幕は一体誰だったのか
重要キャラクターの相関図と共に整理
本作の黒幕を振り返る前に、本作の複雑な人間関係をおさらいするため、相関図にしてまとめました。 赤:雪平サイド、青:警察組織、灰色:死亡した人
まず確認したいのは、雪平に協力を持ちかけた津島直紀について。彼は、亡命先のエルドニア共和国大使館で雪平から機密データを奪うため、彼女を殺害しようとします。そして、彼に雪平から機密データを奪うように持ちかけたのは武部でした。 津島には留置所にいる父がおり、雪平の持つ機密データを手に入れた場合、父の再審をすることを武部から約束されていたのです。このことや、村上親子殺害の件も含めて、武部は黒幕の1人であるといえるでしょう。 しかし、武部はあくまで特捜部長の部下です。今までの行動の全てが特捜部長からの指示であるとも考えられることや、津島を村上親子殺害の犯人に仕立て上げたことから、特捜部長もまた黒幕の1人であると考えられます。
雪平の父殺しの黒幕と実行犯
雪平夏見が追っていた、父を殺した犯人とその背後に存在する黒幕。 父殺しの犯人は、雪平が一時は愛した一条道考であることが、彼女が入手した音声データから明らかになりました。また、一条は彼女の父のみならず、夫である佐藤、仲間の薫をも殺しています。 そんな彼に、雪平の父を殺すように命じた黒幕は、村上成明。一条は、村上のことを尊敬しており、彼に忠誠を誓っていました。雪平の父を殺したあと、娘である夏見の監視を命じられた一条は、皮肉なことに彼女のことを愛してしまうことになるのですが……。
『アンフェア the end』それぞれの立場から観直すと、もっと楽しめる
敵だと思っていた人物が実は味方だったり、味方だと思っていた人物が敵だったり。 そんなどんでん返しや予想のつかない展開が続いた本作ですが、ほとんどの人物が誰かのことを思って動いていることが印象的でした。 だからこそ、それぞれの立場を改めて振り返った上で鑑賞することで、また違った楽しみ方ができることも本作の魅力。 次回鑑賞の時は、ぜひこの記事の人物相関図を思い出してください!