グザヴィエ・ドランの感動のスピーチ、プロフィール、新作映画情報まとめ

2017年7月6日更新

グザヴィエ・ドランは2009年に『マイ・マザー』で映画監督・脚本家としてデビューして以降、『わたしはロランス』『MOMMY』など良質な映画作品を生み出す天才として人気急上昇中の監督です。今回はそんな彼のプロフィールや監督・出演作品、そして世界に感動を与えたスピーチをご紹介します。

映画監督・俳優として活躍するグザヴィエ・ドラン

今や次世代の映画界を背負って立つ若きカリスマ映画監督であるグザヴィエ・ドランは、カナダのモントリオール出身で、幼少期より子役として映画やテレビ番組に出演していました。2009年、グザヴィエが19歳の時に『マイ・マザー』で監督・脚本家としてデビュー、同作はカンヌ国際映画祭監督週間部門で3部受賞しています。

2作目3作目にあたる『胸騒ぎの恋人』(2010年)と『わたしはロランス』(2012年)は、カンヌ国際映画祭のある視点部門で上映され、後者でクィア・パルムを受賞。そして、2014年の『Mommy/マミー』でカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞し、「21世紀の新星現る」と話題になりました。

また、『エレファント・ソング』等の自らの監督映画意外にも出演し、俳優としての活動もこなすマルチプレイヤーなのです。また、自らがゲイであることを公表して活動しています。

グザヴィエ・ドラン監督作品

若き青年の母との複雑な関係性をリアルに描く『マイ・マザー』

気鋭監督グザヴィエ・ドランの伝説は、ここから始まりました。弱冠19歳で監督・主演を務めた本作『マイ・マザー』は、彼のリアルな心情を映像や台詞に落とし込んだ作品であり、その後の自身の作品にも影響を与えている、まさに鬼才グザヴィエ・ドランが誕生したことの証たる映画と言えます。

親の心子知らず、子の心親知らず。不安定な思春期の心情を描きながら、愛と表裏一体の憎しみをこれまでかと表現しています。特に、母を持つ全ての男性に響くメッセージ性のある味わい深い作品です。

原題の『J'ai tué ma mère』とは「僕は母を殺した」という意味で、その意味を映画の中から探ってみるとより楽しめるはず。

ちょっと変わった三角関係を描いた『胸騒ぎの恋人』

恋愛映画で王道の設定である三角関係でも、本作ではちょっとその様相が異なっています。親友同士のゲイのフランシス(グザヴィエ・ドラン)とストレートのマリーが同じニコラという男性を好きになってしまうという、ゲイとストレートの入り混じった恋愛模様をカラフルに描いています。果たしてニコラは“どちら”なのか…?そんなミステリー要素も見どころの一つです。

自らがゲイであることを認めそれを誇りに思い、自身の映画の中でもそれを惜しみなく表現するグザヴィエ・ドラン。彼にとっての映画は、内面を表現するツールの一つなのかもしれません。『マイ・マザー』同様カンヌ映画祭へ出品され、映画祭ディレクターから絶賛された作品でもあります。

カラフルなポスターが印象的な『わたしはロランス』

30歳の誕生日にロランス(グザヴィエ・ドラン)が恋人フレッドに打ち明けたある秘密が2人の関係を一変させてしまうこととなり…。ドラン自身はもちろん、『マイ・マザー』にも出演していた主演女優のスザンヌ・クレマンの圧倒的な演技に注目。

グザヴィエ・ドラン3作目の監督作品にして、カラフルな映像と光や音の使い方の独特さはそのままに、大人の恋愛を描いた今までとは少し違ったテイストの映画です。

カラフルで楽しげなポスターながら、映画で描かれる現実は非常にシビアで甘くない。「性」という人間の差別の永遠のテーマを描き、当時22歳にしてその真理を見抜いていたドランの鋭い視点と抜きんでる作家性を体現したような映画です。

ドラン初の原作物『トム・アット・ザ・ファーム』

グザヴィエ・ドラン4作目の監督作であり、初めて原作のある映画に挑戦した、彼にとっての一つの節目となる作品。主人公トム(グザヴィエ・ドラン)が恋人の死を悼んで訪れた彼の家で、恋人の兄であるフランシスの暴力と不寛容に服していく、ストックホルム症候群を題材としたサスペンス映画です。

彼の今までの作品とは一線を画し、ポップでお洒落な演出は陰をひそめています。その分、サスペンスとしての重苦しい緊張感や異常性に満ち溢れる世界観を描き出し、ただのお洒落監督ではないということを証明した一作です。

敢えて再び「母」を描く『MOMMY』

2009年のデビュー作『マイ・マザー』以降、再び同じ「母」を題材とした映画がこの『MOMMY』です。それでいて、『マイ・マザー』とは全く違うテイストの作品となっているのが非常に面白いです。

架空のカナダを舞台として、愛し合っているのに上手くいかない母と発達障がい児の子を描いた親子の愛の物語です。ドランは再び母を題材とした映画を製作したことについて、「女性とゲイ男性は似ている」としながらこう綴っています。

「女性たちは今も、社会に馴染もうと戦っているんだと思います。これこそ私が(映画の)女性キャラクターに共感する理由なんです。女性キャラクターを通してこそ、私は効果的かつ充分に私の想いを表現できます。」

「小さいころから私は、『自分が何者であるか』ということを巡って戦う女性の姿をずっと見てきました。ですから、私が女性および母親について(脚本を)たくさん書くのは自然なことなんです」

また、本作は映画としても新しい試みをしており、横長の画面の中に映し出される1:1のアスペクト比の正方形の画面の中で物語が展開されます。何故彼はあえて視点を狭めたのか、鑑賞して確かめてください。

2016年公開、グザヴィエ・ドラン新作『Juste la fin du monde』

既に撮影が始まっているドランの新作映画『Juste la fin du monde(まさに世界の終わり)』は、フランスの劇作家ジャン=リュック・ラガルスの同名戯曲「まさに世界の終わり」をベースにした物語であり、『トム・アット・ザ・ファーム』以来の原作を持つ映画です。

本作には、マリオン・コティヤール(『サンドラの週末』)、レア・セドゥ(『007 スペクター』『アデル、ブルーは熱い色』)、ヴァンサン・カッセル、ナタリー・バイ、ギャスパー・ウリエルの出演が決定しており、豪華キャストにも注目の集まる作品となっています。

カンヌ授賞式での感動のスピーチ

2014年に『Mommy/マミー』でカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞したグザヴィエ・ドランが感動のスピーチを披露しています。まず母国語であるフランス語で感想を述べた後、審査員長を務めたジェーン・カンピオンと他の候補者に敬意を表して、英語で話しています。

敬愛するジェーン・カンピオンへ

ジェーン、『ピアノ・レッスン』(ジェーンの作品)は僕が見た最初の映画です。僕は継母にどの映画を見ればいいか聞いた時に、彼女は"ピアノ・レッスン"と答えました。この映画はたくさんある映画の中で僕が最初に見た作品であり、自分のあり方や愛し方を明確にし、僕の人生を変えました。今日あなたと一緒に舞台に立てることは大変素晴らしいことです。あなたの『ピアノ・レッスン』は、魂や意志の強さを持った美しい女性を描きたいと思わせてくれた作品です。

同世代の若者たちへ

このクレイジーなビジネスでの経験から言えることですが、みな平等に自由があるにも関わらず、嫉妬や偏見という理由であなたのやろうとすることを邪魔する人も出てきます。しかし、夢を諦めなければ世界は変えられるのです。人を感動させたり笑顔にさせることで、その人の心を変えることができます。意識が変わると生き方も変わる、これで世界を変えることができるのです。政治家や科学者だけでなく、私たちアーティストも変えることができます。

そして彼はフランス語で「夢を諦めずに一生懸命な人には必ず可能性があると信じています」と述べました。映画監督を目指している人なら特に、この言葉に感銘を受けたことでしょう。

オリジナリティ溢れる作品のみならず、彼の心からのスピーチによって彼の受賞を喜んだ観客は多かったはずです。ぜひ一度グザヴィエ・ドランの作品を鑑賞してはいかがでしょうか。新作映画『Juste la fin du monde』を含めた、鬼才グザヴィエ・ドランの今後の活躍に期待しましょう。