【日本国内編】観ておきたい戦争映画15本を紹介!泣ける名作アニメからリアルな衝撃作まで
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- 1度は観ておきたい!日本の戦争の歴史を後世に伝える映画15本を紹介
- 『この世界の片隅に』(2019年)
- 『野火』(2015年)
- 『小さいおうち』(2014年)
- 『永遠の0』(2013年)
- 『風立ちぬ』(2013年)
- 『聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実』(2011年)
- 『キャタピラー』(2010年)
- 『真夏のオリオン』(2009年)
- 『私は貝になりたい』(2008年)
- 『出口のない海』(2006年)
- 『硫黄島からの手紙』(2006年)
- 『男たちの大和/YAMATO』(2005年)
- 『火垂るの墓』(1988年)
- 『ビルマの竪琴』(1985年)
- 『日本のいちばん長い日』(1967年)
- 戦争を2度と繰り返さないために、私たちが映画を通して学ぶべきこと
1度は観ておきたい!日本の戦争の歴史を後世に伝える映画15本を紹介
2020年で広島と長崎への原爆投下、そして終戦から75周年を迎えました。 日本でも戦争を経験していない世代が増え、当時の記憶が風化することを心配する声も少なくありません。そんな戦争の歴史を後世に伝えるため、戦争映画は世界中で制作されてきました。 この記事では数ある戦争映画のなかから、日本の視点で戦争を描いた映画を15本紹介します。
『この世界の片隅に』(2019年)
こうの史代の同名漫画を、『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督がアニメ映画化。第2次世界大戦下の広島・呉に嫁いだすずと、周囲の人々の日常を描いた作品です。 昭和19年、広島市内の港町から軍港都市・呉へと嫁いだ18歳の少女すず。彼女は家族のためにさまざまな工夫をこらし、日々を少しでも豊かにしようとしていました。しかし戦局は悪化するばかりで、海軍の拠点である呉は空襲の標的となり、広島市にも原爆が投下されてしまいます。 大切な人を失っても、前向きに生きようとする“すずさん”をのん(能年玲奈)が演じ、その自然な演技に高評価が集まりました。否応なしに戦争に巻き込まれながらも、地道に生きる一般市民の姿に、当たり前の日常の尊さを考えさせられるでしょう。
『野火』(2015年)
1959年にも映画化された大岡昇平の同名小説を、塚本晋也が監督・脚本・製作・主演を務め、構想に20年を費やして再映画化しました。 本作の舞台となるのは、第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島。主人公の田村一等兵は結核を理由に除隊させられ、野戦病院にも受け入れてもらえませんでした。たった1人で熱帯の山中をさまよい、極限状態におかれた人間の孤独と飢え、生への執着が描かれました。 兵士たちが狂人と化していく描写が生々しく、同胞殺しやカニバリズムといった、耐えきれず目を逸らしたくなるようなシーンの連発です。レイテ島の自然と戦場の凄惨さのギャップも凄まじく、生きること、そして人間の尊厳をめぐる問いを投げかけてきます。
『小さいおうち』(2014年)
中島京子の第143回直木賞受賞作を原作とした、山田洋次監督初のラブストーリーです。赤い三角屋根の小さな家で働いた家政婦が、長年抱え続けていた秘密を描きました。 大学生の健史は親類のタキが生前に綴った自叙伝を託され、彼女の過去を知ることになります。昭和11年、東京郊外にあるモダンな屋敷で、平井家に仕えていたタキ。彼女は穏やかな一家の暮らしを見守りますが、主人の部下の青年が訪ねてきた時から、奥さまの心が揺れ動き始めました。 戦争映画の視点で注目したいのは、昭和初期の日本人の生活の様子や、戦争をあまりに楽観視しすぎている一家の能天気さでしょう。タキが隠した秘密と同じように、当時は政府が戦争の真実を国民に伝えず、報道される内容もほとんどが嘘だったのです。
『永遠の0』(2013年)
百田尚樹の同名ベストセラーを、山崎貴監督がVFXを駆使した迫力のビジュアルで映画化。第38回日本アカデミー賞では、作品賞や主演男優賞など8冠を達成しました。 佐伯健太郎とその姉・慶子は、自分たちの本当の祖父が宮部久蔵という人物だと知り、零戦のパイロットだった彼の過去を調べ始めます。60年前、祖父とともに戦った戦友を訪ね歩くうちに、2人は“海軍一の臆病者”と呼ばれた祖父の真の姿を知るのでした。 臆病者と揶揄されても、家族のもとへ帰るため生きることを諦めなかった宮部。そんな彼が特攻を選んだ理由から、極限状態での命の重さについて考えさせられるでしょう。主演を岡田准一が務め、祖父の過去を知る姉弟を三浦春馬と吹石一恵が演じました。
『風立ちぬ』(2013年)
零戦の設計者・堀越二郎と、文学者・堀辰雄の人生をモデルにした宮崎駿の同名漫画を、宮崎自身がアニメ映画化したジブリ映画です。 戦争や関東大震災、世界恐慌に見舞われ、閉塞感に満ちる1930年代の日本。青年技師の堀越二郎は“美しい飛行機”の設計に情熱を捧げ、艦上戦闘機「零戦」を生み出します。しかし零戦の完成と比例するように、最愛の女性・菜穂子の病は悪化していき、彼女は二郎のもとを去るのでした。 戦争に夢や日常を捻じ曲げられても夢を追った青年を描き出すことで、戦争の愚かさや悲惨さを浮き彫りにしました。宮崎監督が実在の人物をモデルにしたのは本作が初めてで、二郎の飛行機の憧れ、仕事への姿勢などは監督自身とも重なるかもしれません。
『聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実』(2011年)
大日本帝国海軍の第26・27代の聯合艦隊司令長官である山本五十六の実像に迫った人間ドラマです。主演を役所広司が務め、柄本明や柳葉敏郎など実力派が共演しました。 1939年の夏、海軍の山本五十六らは日独伊三国同盟に反対しますが、陸軍やマスコミに煽られた国民に押され同盟は締結されます。第2次世界大戦が勃発し、真珠湾攻撃で敵空母を1隻も落とせなかった日本は、海軍戦力をミッドウェーに集結させるのでした。 敗戦を察し戦争に反対しながらも、自ら開戦の指揮を執らなければならなかった葛藤、司令官としての山本の苦悩が描かれました。山本五十六を扱った作品は多いですが、本作は好物に関するエピソードなどを追加し、山本の人間味を強調しています。
『キャタピラー』(2010年)
巨匠・若松孝二監督が、『ジョニーは戦場へ行った』と江戸川乱歩の短編『芋虫』をモチーフに、戦争の愚かさや悲劇を描いた作品です。 日中戦争の最中、シゲ子の夫・久蔵は激化する戦地へと向かい、4年後に帰還しました。四肢を失い、頭部は焼けただれ、声帯や聴覚の機能も失った「芋虫」同然の久蔵。彼は村人から「軍神」として崇められ、シゲ子も“軍神の妻として”献身的に支えますが……。 久蔵はもともと欲深く暴力的な男で、戦地でも少女を強姦し虐殺していました。その時の記憶に苛まれ性的不能になった夫にシゲ子は怒りを爆発させ、夫婦の立場は逆転。夫への屈折した感情を見事に表現した寺島しのぶの演技、強烈な描写で綴られる若松監督の反戦への思いが胸に迫ります。
『真夏のオリオン』(2009年)
池上司の小説『雷撃深度一九・五』をベースに、『亡国のイージス』などの福井晴敏が大胆な脚色を加え、世代を超えた物語に再構成しました。 潜水艦長を祖父に持つ倉本いずみのもとに、アメリカから届いた1通の手紙。その中に同封されていた楽譜が、彼女を64年前の夏、第2次世界大戦末期の真実に導きます。日本海軍の潜水艦イ-77艦長・倉本孝行が米国海軍駆逐艦パーシバルと繰り広げた激闘と、戦いの結末が描かれました。 国のために死ぬことを喜びとした時代に、生きるために戦おうとした艦長と彼を慕う乗組員の人間ドラマや、海外ロケによる戦闘シーンも見どころ。玉木宏が主演を務め、倉本の親友でイ-81の艦長・有沢役でCHEMISTORYの堂珍嘉邦が映画初出演しました。
『私は貝になりたい』(2008年)
橋本忍が監督・脚本を務め、1959年に放送された同名名作ドラマを、中居正広主演でリメイク。共演には妻役で仲間由紀恵、伊武雅刀や上川隆也らが名を連ねました。 第2次世界大戦中、高知で理髪店を営む清水豊松に赤紙が届き、本土防衛の部隊に配属されます。彼は部隊の上官から撃墜された敵兵を殺せという、過酷な命令を受けることに。終戦後、家族との暮らしを取り戻した豊松は捕虜を殺害したBC級戦犯として逮捕され、裁判で死刑になりました。 実際には敵兵を殺しておらず、怪我を負わせるだけに留めていた豊松。彼は執行の日を待ちながら、「生まれ変わるなら、貝になりたい」と書き残します。映画で新たに追加された夫婦愛のエピソードなどによって、戦争が生んだ悲劇や理不尽がより強調されました。
『出口のない海』(2006年)
横山秀夫の同名小説を、『半落ち』でも横山とタッグを組んだ佐々部清監督が映画化した作品。本作は日本軍初の特攻兵器、人間魚雷「回天」を題材とした戦争映画です。 太平洋戦争末期、海軍が開発した回天は敵艦に特攻し、命と引き換えに戦果を得る特攻兵器でした。その搭載潜水艦に乗るのは、大切な人を守るため究極の選択をした若者たち。出撃命令を待つ並木浩二は、野球漬けの日々や学徒出陣を決意した日を思い出していました。 回天への搭乗を自ら志願したとは言え、迷い悲しみながら死に向かう若者たちと、周囲との人間ドラマがメインになっています。戦闘シーンは多くありませんが、回天の構造や操作の困難さ、成功率の低さといった細かい描写は、ほかにはない特徴といえるでしょう。
『硫黄島からの手紙』(2006年)
太平洋戦争最大の激戦「硫黄島の戦い」を日本側の視点から描く、“硫黄島プロジェクト”の第2弾。第1弾の『父親たちの星条旗』同様に、クリント・イーストウッドが監督を務めました。 太平洋戦争末期、本土防衛最後の砦として硫黄島に着任した栗原中将は従来の水際防衛戦を否定し、内地持久戦による徹底抗戦を採用しました。理不尽な体罰を禁じる栗原に兵士たちは驚き、硫黄島での日々に絶望していた西郷陸軍一等兵は、彼の姿に希望を見出すのです。 日本の平和な1日のため、30日以上に及ぶ激戦を繰り広げた硫黄島守備隊。彼らが硫黄島に遺した数百通もの手紙をもとに、壮絶な戦いと兵士たちの思いを描きます。ハリウッド映画ながら渡辺謙、二宮和也ら日本人俳優が多く起用され話題となりました。
『男たちの大和/YAMATO』(2005年)
辺見じゅんの『決定版 男たちの大和』を、巨匠・佐藤純彌監督が映画化した超大作です。主演を反町隆史が務め、終戦60周年記念作品として公開されました。 日本海軍の連合艦隊において、もっとも有名な戦艦「大和」。太平洋戦争末期、連合国軍の沖縄進攻を阻止する特攻攻撃(菊水作戦)に挑んだ兵士たちがいました。当時大和の乗組員だった神尾は、60年の時を経て上官の娘と出会い、かつての壮絶な記憶と戦友の姿を思い出すのです。 大和の一部分を原寸大で再現したセットによる映像とともに、大義のもとに戦場で散った者、生き残った者や遺族たちの葛藤が描かれました。中村獅童や渡哲也、松山ケンイチらの熱演、長渕剛が歌う主題歌がいっそう悲劇性を生みます。
『火垂るの墓』(1988年)
野坂昭如の自伝的小説であり、第58回直木賞受賞作を原作としたアニメ映画です。スタジオジブリがアニメ化し、監督と脚本を高畑勲が務めました。 太平洋戦争末期、米軍のB-29による空襲が襲う神戸の街。戦争孤児となった清太と妹の節子は叔母の家で肩身の狭い思いをし、2人だけで生きていこうとします。その結果、誰も頼れなくなってしまい、兄妹は悲惨な運命をたどるのです。 兄妹に冷たく当たる親戚、大人の手を振り払う清太の姿など、極限化における人間社会のリアルを高畑監督ならではの視点で捉えました。監督自身も岡山大空襲を経験しており、『火垂るの墓』の空襲のシーンや人々の生活の様子には、かつての記憶が活かされているようです。
『ビルマの竪琴』(1985年)
竹山道雄の同名児童文学を、市川崑監督が1956年、1985年と2度にわたり映画化。1985年版は1956年版の脚本をもとにしつつ、詳細な描写やコミカルな演出が加えられました。 1945年の夏、ビルマ(現在のミャンマー)戦線で戦う井上小隊の水島上等兵は、竪琴を奏でて隊の団結や暗号の役を担っていました。小隊が中立国のタイを目指して撤退する途中で、日本は敗戦。水島は抵抗を続ける友軍に降伏を勧めようと、1人で隊を離れるのですが……。 一命を取り留めた水島は、仲間のもとへ戻る道中で無数の日本兵の死体を目撃します。彼らの魂を慰めるためビルマの地で僧となり、巡礼の旅を続けることを決意するのでした。水島の姿は、当時戦友たちを戦地に残し国へと戻った人々の後悔や良心を象徴しているのかもしれません。
『日本のいちばん長い日』(1967年)
半藤一利によるノンフィクション小説を、岡本喜八監督が映画化した群像歴史ドラマ。1945年8月14日の御前会議から、翌日の「ポツダム宣言」受諾までの1日を描きます。 昭和天皇と内閣の閣僚たちは御前会議を開き、無条件降伏を前提とするポツダム宣言の受諾を決定しますが、これに陸軍は猛反発。クーデター未遂事件「宮城事件」が発生し、それぞれが国を思うがゆえに狂気じみていく中で、終戦へと向かう日本の姿を追います。 岡本喜八と言えば、庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』に写真で登場したことも有名です。本作のアップテンポのカット割り、登場人物の肩書きと名前をテロップで示す手法などは、同作の会議の演出に多大な影響を与えました。
戦争を2度と繰り返さないために、私たちが映画を通して学ぶべきこと
この記事では日本が関わった戦争と、戦時下で戦い、生き抜いた人々を描く映画を紹介しました。時代ごとの戦争の捉え方、描き方にも注目してみると、また違うものが見えるでしょう。 戦争のない日本に生きる私たちは、戦争を繰り返さないため何ができるのか……。それは戦争の歴史を多角的に学び、自ら考え、先人のように次の世代に伝えていくことなのかもしれません。