2021年1月28日更新

ヤクザ映画おすすめランキングベスト37【極道・任侠】

北野武『アウトレイジ最終章』
©2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会

日本映画において、ヤクザを主人公にした映画は重要な位置を占めています。戦後から今日に至るまで、様々なタイプのヤクザ映画が製作され人気を博してきましたが、その中からおすすめの37作品を選び、ランキング形式で紹介します。

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目次

日本映画を語るなら外せない!ヤクザ映画の名作たち

世界的にも高い評価を得てきた日本映画とその歴史を語る上で、絶対に外せない大きな柱のひとつがヤクザ映画です。極道もの・任侠ものなど様々に呼ばれてきましたが、邦画の王道としてこれまで数々の名作を生んできました。 一言でヤクザ映画と言っても、人気シリーズ化して多くのファンに愛された作品、娯楽エンターテインメントに留まらず批評家からも高い評価を得た傑作、国民的大スターを生んだ作品など、その内容はいろいろです。 ここでは広くヤクザ映画と呼ばれるものの中からおすすめの37作品を選りすぐり、ランキング形式でご紹介します!誰もが知るあの名作はどこにランクインしているでしょうか? この記事は邦画のヤクザ映画限定なので、洋画のマフィア映画を知りたい人は以下の記事をチェックしてください。

37位:『県警対組織暴力』(1975年)

『仁義なき戦い』の大ヒットに続く東映実録ヤクザ映画路線の1本

『仁義なき戦い』の記録的大ヒットを受け、東映が量産した実録ヤクザ路線のうちの1本。深作欣二監督と菅原文太主演の最強コンビでありながら、本作では菅原がヤクザではなく刑事側を演じているということで人気の高い作品です。 広島を想定した西日本のある都市を舞台に、1人の悪徳刑事とヤクザの関係から両組織の癒着と警察権力の腐敗を描きました。 主人公となる倉島警察署の刑事・久能を菅原文太が、大原組の若衆頭・広谷を松方弘樹が演じています。菅原と同じく刑事役の山城新伍が、ヤクザ役の川谷拓三を暴力的に取り調べするシーンが有名です。

36位:『日本統一』(2013年)

超人気ヤクザ映画シリーズの記念すべき第1作

「日本統一」は、2021年1月の時点で40作以上もリリースされているヤクザ映画の超人気シリーズです。その記念すべき第1作として、2013年にオリジナルセルビデオとして発売されたのが本作でした。 横浜の不良青年の氷室蓮司(本宮泰風)と田村悠人(山口祥行)は地元ヤクザとトラブルを起こして神戸に流れ着きます。ここで日本最大の任侠組織「侠和会」の川谷(小沢仁志)から目をかけられるようになった2人は、自分たちの組織「龍征会」を立ち上げることに。 やがて氷室たちは、数々の抗争を経て極道界日本統一に乗り出していくのでした。 「日本統一」シリーズは、ストーリーの展開が目まぐるしく、登場人物や組織もバラエティに富んでいるため、1度ハマると中毒になるので要注意。シリーズ未完結なので、今後の展開も気になります。

35位:『地獄でなぜ悪い』(2013年)

園田温監督によるブラック・コメディなヤクザ抗争映画

『愛のむきだし』(2009年)などで知られる園子温監督の手になるブラック・コメディ映画。映画監督になることを夢見る青年・平田(長谷川博己)が、ホンモノのヤクザ抗争を舞台にした、スタッフ・キャスト命がけの映画撮影に乗り出す物語です。 ヤクザの組長・武藤は獄中にいる妻の夢を叶えるために、娘・ミツコ(二階堂ふみ)を主演にした映画製作を進めています。このヤクザばかりのスタッフから監督として迎えられたのが、下手の横好きで高校生のときから映画製作に没頭する青年・平田でした。 早速撮影の段取りを始めた平田ですが、武藤と敵対するヤクザの組長・池上に協力を求めたことから、映画は地獄のクランクインを迎えることに……。 園子監督らしい、奇想天外な発想と映画愛に溢れた本作。本格的すぎるヤクザ映画は苦手な人にもおすすめです。

34位: 『新・仁義の墓場』(2002年)

三池崇史監督による傑作ヤクザ映画のリメイク

藤田五郎の小説を原作に、深作欣二監督が圧巻の迫力で映画化に成功した傑作『仁義の墓場』のリメイクです。新たに監督をまかされたのは、多くの話題作を手掛け続けている三池崇史。 戦後に実在したヤクザ・石川力夫の壮絶過ぎる半生を描いた実録映画であり、石川をモデルとした主人公・石松陸夫を岸谷五朗が熱演しました。また石松が世話になる沢田一家の沢田忍には山城新伍、妻の智恵子には有森也実が扮しています。 1975年の深作版とは異なる新しい着想が取り入れられ、三池監督らしい容赦ない冷徹さが本作の大きな見どころです。

33位:『シャブ極道』(1996年)

物議を巻き起こした、シャブ中毒のヤクザを主人公にした異色作

シャブ極道

山口組顧問弁護士だった山之内幸夫の著作を原作に、覚せい剤の虜になってしまった1人のヤクザの破天荒な生きざまを描いた異色作です。あまりに反社会的な内容を危惧した映倫から成人指定を受けたばかりか、「シャブ」のタイトルが物議を巻き起こしました。 主人公は覚醒剤にはまってしまった大阪の極道・真壁五味です。弱小だった巌竜組の若頭ながら巨大な増田組幹部の女に一目ぼれして結婚し、やがて組長となったあとは覚醒剤も絡む組同士の抗争に巻き込まれていきます。 真壁を役所広司、妻の鈴子を早乙女愛が演じました。過激で奇抜な内容にも関わらず、日本映画プロフェッショナル大賞では特別賞を受賞します。

32位:『英二』(1999年)

長渕剛が主演した人気ドラマのその後を描いた劇場版

1988年に放送され大ヒットしたテレビドラマ『とんぼ』および1997年の『英二ふたたび』のその後を描いた劇場版です。長渕剛扮する一匹狼のヤクザ・小川英二が繰り広げる騒動と愛の絡んだ人情物語が展開します。 刑務所から8年ぶりに出所してきた英二が、行方不明の妹あずさを探すため熊本にやってきます。そこで出会った中国人の梅花、さらにあずさのため、背後にいる村川組に単独で闘いを挑む姿が描かれました。 俳優として高い評価を得ていた長渕にとっては、『オルゴール』(1989年)『ウォータームーン』(1989年)に続く3作目の主演映画にあたり、前作でタッグを組んだ黒土三男監督が本作のメガホンもとっています。

31位:『日本で一番悪い奴ら』(2016年)

ノルマに追われる刑事が裏社会に取り込まれていく

本作は稲葉圭昭の小説『恥さらし北海道警悪徳刑事の告白』を映像化した作品。北海道警察の現役警部が、覚せい剤取締法と銃刀法の違反で逮捕された、実際の事件にもとづくフィクションです。 主人公である諸星要一(綾野剛)は、正義を信じて地道に仕事に取り組む北海道警察の刑事でした。真面目な性格ゆえに成果が上がらない諸星に、ある日先輩刑事が「点数を稼ぐには裏社会に飛び込め」とアドバイス。これを真に受けた諸星は、暴力団と密接な関係を持つようになり……。 実際に起きた事件にもとづいている本作は、覚せい剤取引や拳銃の売買などの犯罪現場がリアルに描かれているのが特長。はぐれものの刑事が、ノルマに追われるうちに裏社会に取り込まれて転落していく姿を、『新宿スワン』(2015年)などで知られる綾野剛が熱演しています。

30位:『新仁義なき戦い』(1974年)

大ヒットシリーズ5部作に続く、番外編となる新シリーズ第1弾

広島を主な舞台に壮絶なヤクザ抗争を描いて大ヒットした「仁義なき戦い」オリジナルシリーズ5部作ののち、深作欣二監督と菅原文太主演により再スタートした、新シリーズ第1弾です。 再び時代をさかのぼった昭和25年の広島が舞台。主人公となる山守組若衆の三好万亀夫が対立組織の組長を暗殺したところから物語は始まり、その服役中から出所後に起こる、山守組の内部抗争が描かれています。 三好を菅原文太が演じるほか、若山富三郎、松方弘樹、田中邦衛ら豪華キャストが引き続き出演していますが、一部をのぞいて主要キャストの多くは5部作とは異なる役柄で登場。そのため番外編という位置づけになっています。

29位:『夜叉』 (1985年)

ヤクザから足を洗った男が再び古巣に舞い戻るとき

かつて大阪のミナミで「人斬り夜叉」として恐れられた伝説のヤクザ・修治も、今は背中の刺青を隠し、小さな港町で漁師をしながら妻子と穏やかに暮らす身。ところが町にやってきた螢子と、そのヒモ・矢島と関わったことで、再びミナミに足を向けざるを得なくなってしまいます。 暗い過去を背負う修治を高倉健、互いに惹かれあうことになるヒロインの螢子を田中裕子、矢島を北野武が演じました。他にもいしだあゆみ、大滝秀治、小林稔侍ら豪華キャストが脇を飾っています。 監督を務めたのは、高倉健とコンビを組んで数々の作品を手掛けてきた降旗康男です。

28位: 『仁義なき戦い 頂上決戦』(1974年)

第二次広島抗争の終焉を描く、シリーズ5部作の4作目

大ヒットした「仁義なき戦い」オリジナルシリーズの第4作目にあたる作品です。3作目のストーリーから引き続き、昭和38年から翌年にかけて激烈を極めた暴力団抗争、第二次広島抗争を描きます。 明石組と神和会という敵対する2つの巨大暴力団。それぞれの傘下にある組同士の闘いが激しさを増す中、警察は暴力団の撲滅を狙い「頂上作戦」を企てるのでした。当時の社会情勢を背景に、盛り上がる反暴力の動きと、それに対応した警察の動きが本作の主軸になっています。 監督の深作欣二、主役の菅原文太はそのままに、他の「仁義なき闘い」シリーズより多くの人物が複雑に絡んで熾烈な闘いを繰り広げました。

27位:『龍三と七人の子分たち』(2014年)

北野武監督が手掛けたコメディータッチの異色ヤクザ映画

シリアスなバイオレンスをテーマにしたヤクザものを数多く手掛けてきた北野武監督が、これまでの作風とは異なるコメディーの要素を主軸に取り入れて発表した異色作です。 かつては「鬼の龍三」と恐れられたものの、老いて引退した元組長の高橋龍三が主人公。居場所がなく肩身の狭い思いをしていた上に、ある日まんまとオレオレ詐欺に引っ掛かってしまいます。そんな龍三が元ヤクザの老いぼれジジイ7人と組んで、再び奮起する姿が描かれました。 主人公を藤竜也が演じたほか、近藤正臣、中尾彬、矢島健一、萬田久子らユニークなキャストが個性的な人物を演じています。もちろん派手なアクションシーンも見ごたえ十分です。

26位:『関東無宿』(1963年)

ヤクザの虚しさを哀感いっぱいに描いた鈴木清順監督作

『ツィゴイネルワイゼン』(1980年)の鈴木清順監督が、平林たい子の小説を原作に、独特の世界観で描いた仁侠アクションです。東京の下町を舞台に、ヤクザの掟に反逆を試みる男たちの悲哀と葛藤をドラマチックに描きました。 敵対する吉田組に対し、伊豆組の立て直しを図る幹部である主人公の鶴田を小林旭が演じています。「渡り鳥」シリーズで日活を代表する人気スターとなっていた小林が、『関東遊侠伝』に続いて主演した任侠ものです。 また松原智恵子や中原早苗ら日活の人気女優たちが、アウトローに生きる男たちの熱い物語を華やかに彩っています。

25位:『博徒一家』(1970年)

東映の初期任侠路線を代表する人気シリーズの第7作目

「人生劇場 飛車角」シリーズで人気俳優となった鶴田浩二が、新たに取り組んだ同じ任侠ものが「博徒」シリーズです。同時進行で製作された両シリーズにより、鶴田は任侠スターとしての地位を不動のものとしました。 特に人気の高い第7作目は、高倉健、若山富三郎、藤純子、鶴田浩二ら東映のオールスターが総出演した大作として知られています。明治41年の賭博禁止令をきっかけに、荒政一家の親分が引退したことで巻き起こった抗争が題材とされました。 岡田茂と俊藤浩滋という任侠映画の一時代を築き上げた2人のプロデューサーが、初めて黄金コンビを組んだのが本シリーズです。1971年まで全10作が公開されましたが、舞台設定やエピソードは毎回異なり、どれも続編的な繋がりはありません。

24位:『冬の華』(1978年)

倉本聰が高倉健のために書き上げた人間ドラマ

テレビドラマ『北の国から』で知られる倉本聰が高倉健のために執筆した脚本が、降旗康男監督の手により映画化されました。 組を裏切った兄貴分の松岡を殺し、15年間を刑務所で過ごした東竜会幹部の加納秀次。服役中は松岡の1人娘・洋子に身分を偽って養育費を送り続け、出所後には堅気になるつもりだった加納を、残酷な現実が待ち受けていました。 不器用な生き方しかできない孤独な加納を高倉健、松岡を池部良、洋子を池上季実子が演じています。その他にも北大路欣也、田中邦衛、小林稔侍ら豪華なキャストが脇を支える哀切な人間ドラマです。

23位:『アウトレイジ 最終章』(2017年)

北野武が贈る究極のバイオレンスエンターテイメント

大森南朋、北野武『アウトレイジ最終章』
©2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会

北野武が描く暴力団同士の抗争シリーズ「アウトレイジ」の3作目にしてシリーズ完結編にあたる作品です。 前作『アウトレイジ ビヨンド』(2012年)では関西の花菱会と関東の山王会との抗争が描かれていました。これに続く本作は、花菱会の花田(ピエール瀧)が、日韓を股にかける巨大勢力との抗争を引き起こす物語です。さらに前作のあと韓国に渡っていた大友(ビートたけし)も日本に戻ってきます。 本作に関して、監督と「ビートたけし」名義で主演を務めた北野は「ヴァイオレンスエンターテイメントの世界を表現したい」と述べていました。 その言葉通り実力派俳優を揃えた緊迫感のあるバイオレンスの合間に、西田敏行などのコミカルな要素が加わった、エンターテイメント色の強い作品に仕上がっています。

22位:『実録・私設銀座警察』(1973年)

ヤクザから俳優へと転身した安藤昇の主演作

1950年代にカリスマ的リーダーシップで名をなした安藤組組長の立場から、刑務所出所を契機に映画俳優へと転身し、さらに小説家の顔も併せ持った安藤昇の主演作品です。安藤と組んで数々の作品を手掛けた佐藤純彌が本作の監督も務めています。 戦後すぐの混沌した銀座を舞台に、元特攻隊や元陸軍兵、根っからの博徒らが自然と集まり、凶悪な暴力団へと発展いく様子が実録タッチで描かれました。梅宮辰夫や渡瀬恒彦らが共演しています。 「私設銀座警察」とは当時のマスコミがこの集団に名づけた名称であり、その過激さと暴力性で恐れられました。

21位: 『乾いた花』(1964年)

石原慎太郎の原作をセンセーショナルに映像化

石原慎太郎の同名小説が、主人公のヤクザに池部良、ヒロインに加賀まりこを迎えて映画化された映画『乾いた花』。篠田正浩監督がメガホンをとった本作は、当時の社会にセンセーショナルな衝撃を与えました。 3年の刑期を終えて出所した村木が、賭場で謎めいた女・冴子と出会います。ギャンブルを通して心を通わせるようになった2人が、ある日、賭場で葉という名の男と出会ったことで、それぞれが予想もしなかった悲劇に巻き込まれていくのでした。 配給会社の判断でしばらくお蔵入りになった末、ようやく公開に至ったときも成人映画扱いになった問題作です。メジャー作品とはならなかったものの、一部熱狂的なファンを生み出しました。『アイリッシュマン』(2019年)を手がけた名匠マーティン・スコセッシもその1人です。

20位: 『昭和残俠伝 破れ傘』(1972年)

昔ながらの任侠に生きる男を描く、人気シリーズ最終作

昔かたぎの任侠の世界で生きる孤独な流れ者の生きざまを描く「昭和残侠伝」シリーズの第9作目にしてラストを飾った作品です。1作目は1965年に公開され、高倉健主演の人気任侠シリーズのうちの一つとなりました。 シリーズ各作品に設定上の繋がりはありませんが、孤独で不器用ながら義理と人情に生きるため、余計な争いに巻き込まれていく男の姿が描かれる点は共通しています。本作の主人公・花田秀次郎をもちろん高倉健、さらに池部良、鶴田浩二、星由里子らが共演しました。 本作の翌年には『仁義なき戦い』が公開され、ヤクザ映画が実録路線へと変化していく中で、昔ながらの任侠を描いた最後の作品として位置づけられています。

19位:『竜二』(1983年)

本作公開直後に急逝した金子正次脚本・主演による伝説の秀作

実際にヤクザだった過去のある金子正次が、自身の体験をもとに執筆した脚本を川島透監督が映画化した本作。金子は映画初主演も果たすも、公開直後にガンによりこの世を去り、伝説の遺作として知られています。 三東会幹部だった花城竜二は、3年間会っていなかった妻子とともに暮らすため堅気に戻ることを決意。しかしすんなり落ち着くはずもなく、新しい人生を歩もうと葛藤する男の悲哀がリアルなタッチで描かれました。 異色のヤクザ映画として高い評価を受け、萩原健一の歌った主題歌「ララバイ」と共にヒットを記録。妻を永島暎子、娘役を金子の実の娘・金子桃が演じています。

18位: 『アウトレイジ ビヨンド』(2012年)

北野武監督作品の中で唯一のシリーズ化!3部作の第2弾

「全員悪人」の名のもと、壮絶を極めるヤクザ抗争を描いた2010年公開の映画『アウトレイジ』の続編です。北野作品としては初の続編製作となり、1作目をしのぐヒットを記録しました。 前作から5年が過ぎ、政界に力を伸ばし始めていた山王会に対し、警察は関西を仕切る花菱会を利用します。刑務所で死んだと思われていた大友の生還とともに、新たな抗争が火ぶたを落とすのでした。 大友を演じるビートたけし、三浦友和ら前作のキャストに加え、新たに西田敏行、松重豊、高橋克典らが参戦して血みどろの闘いを繰り広げます。3部作を完結させる『アウトレイジ 最終章』も2017年に公開されました。

17位:『網走番外地』(1965年)

高倉健の人気を決定づけた石井輝男監督の大ヒットシリーズ1作目

高倉健主演、石井輝男監督による大ヒットアクション映画です。これまでの昔かたぎの任侠とは違う、新しいヤクザのイメージを打ち出すことに成功し、高倉健は人気スターとしての地位を不動のものとしました。 北海道の網走刑務所に収監された男が、様々な葛藤を経た末、手錠で繋がれた仲間とともに脱獄する姿が描かれます。 初めは鶴田浩二主演映画の併映作品として製作されたものの、大きな評判を呼んだことで急遽シリーズ化が決定したことで有名。本作の後、石井監督で10作品、さらに別の監督によって8作品と、合計18作にも及ぶ大ヒットシリーズとなりました。

16位:『仁義なき戦い 代理戦争』(1973年)

西日本全体を巻き込む大抗争へと発展する、シリーズ5部作の3作目

「仁義なき戦い」シリーズ3作目の舞台は昭和35年の広島です。最大の勢力を誇っていた村岡組幹部が暗殺されたことで勃発した跡目争いが、より広域の暴力団を巻き込んだ代理戦争へと発展していくのでした。 第2部が若いヤクザたちの青春を盛り込んだやや番外編的内容になっていたのに対し、本作は第1部の実質的な続編に当たります。そのため1部同様に群像的な構成となっており、その中で展開する陰謀や裏切り、復讐劇が中心です。 本作では新キャストとして日活の大スター、小林旭が登場しました。1973年のキネマ旬報ベストテンでは第8位にランクインしています。

15位:『その男、凶暴につき』(1989年)

北野武の原点!衝撃の監督デビュー作

人気お笑い芸人のビートたけしではなく、北野武として初映画監督に挑戦したデビュー作です。当初は主演のみで、深作欣二が監督を務める予定だったことは広く知られています。 暴力や無謀な捜査すら厭わないアウトロー刑事の我妻諒介が、麻薬に絡む暴力団や殺し屋と対決する姿を、すさまじいバイオレンス描写で描いた本作。殺し屋の清弘には白竜が扮しました。 キネマ旬報年間ベストテンの8位に選ばれたほか、ヨコハマ映画祭では監督賞を受賞するなど、デビュー作にもかかわらず非常に高い評価を受けます。過激な暴力描写を多用する北野映画の原点として位置づけられる重要な作品です。

14位:『BROTHER』(2001年)

アメリカに渡った日本ヤクザの末路

北野武が監督と主演を務めてアメリカで製作したヤクザ映画。日本を追われ、アメリカに逃亡した武闘派ヤクザ・山本(ビートたけし)とその一味の興亡が描かれます。 ヤクザ同士の抗争で所属する組織が解散に追い込まれて居場所が無くなった山本は、腹違いの弟がいるアメリカに渡りました。カリスマ性のある彼は、アメリカの裏社会でもアフリカ系アメリカ人やメキシコ人を味方につけてのし上がっていきます。 しかし傘下に収めた日本人街のボスたちが、山本の警告を無視して巨大イタリア・マフィアを相手に凄惨な抗争を始めてしまいました。やがてマフィアの手は山本の仲間にまで及び……。 北野監督が得意とするバイオレンスに、久石譲の美しい音楽や山本耀司のクールなファッションが絶妙にマッチしている、ハイセンスな作品です。

13位:『極道の妻たち』(1986年)

これまでなかった女性視点で描いたヤクザ映画として大ヒット!

家田荘子のノンフィクションを原作に、女性の視点から極道の世界を描いた映画として社会現象と呼ぶほどの大ヒットを記録。記念すべき第1作では、主演を岩下志麻、監督を五社英雄が務め、その後は監督や女優をかえて長く続く人気シリーズとなりました。 本作で岩下が演じたのは粟津組組長の妻・環。夫と組織のために忠誠を尽くす環は、杉田組組長と結婚した妹・真琴とも敵対する宿命を背負います。かたせ梨乃、世良公則らが共演しました。 岩下志麻の凛とした迫力ある佇まいは強烈な印象を残し、多くの女性ファンをも熱狂させた本作。岩下主演シリーズは、1998年の10作目『極道の妻たち 決着』で完結しています。

12位: 『緋牡丹博徒 お竜参上』(1970年)

女任侠スターとして頂点を極めた藤純子の代表作

「緋牡丹博徒」シリーズは、藤純子(現・富司純子)を主演に迎え、東映が製作した女任侠映画です。全8作ある本シリーズの大ヒットにより、藤純子は高倉健や鶴田浩二らと並び称される任侠スターとしての地位を不動のものにしました。 「緋牡丹のお竜」と呼ばれる矢野竜子が、賭場で父の仇を打ち、その後あちらこちらで義理を踏みにじる本物の悪党と対決していく姿を描きます。1968年公開の第1作では、まだ22歳の藤純子のきりりとした魅力が楽しる作品です。 中でも傑作に位置付けられているのが第6作目『緋牡丹博徒 お竜参上』。菅原文太と共演し、2人が雪降る今戸橋に佇む場面は、ヤクザ映画史に残る名シーンとして知られています。

11位:『孤狼の血』(2018年)

ヤクザ抗争の裏で動く犯罪スレスレの警察

孤狼の血
©2018「孤狼の血」製作委員会

柚月裕子の人気警察小説を実写映像化した本作は、昭和末期のヤクザと警察の凄まじい攻防を描いた物語です。 昭和63年、広島県の架空の街・呉原では地元ヤクザ・尾谷組と全国組織傘下の加古村組との抗争の火種がくすぶっていました。そんなある日、加古村組とつながりのある金融会社員が行方不明に。 この事件の捜査に加わることになった新人刑事・日岡秀一(松坂桃李)は、暴力犯捜査係主任・大上(役所公司)と暴力団との癒着を疑うようになりました。やがて警察の捜査と暴力団同士の対立は、思いも寄らない方向へと向かいます。 本作の最大の見どころは、主役級の俳優をふんだんに使った豪華キャスト!役所公司や松坂桃李が演じる刑事と、竹野内豊や江口洋介が扮するヤクザたちが繰り広げる対立抗争は、鬼気迫るものがあります。

10位: 『仁義なき戦い 広島死闘篇』(1973年)

恋愛と青春を盛り込んだことで人気の高い、シリーズ5部作の2作目

昭和27年に広島県呉市を主な舞台として激化した、二大暴力団組織「村岡組」と「大友連合会」の抗争が描かれている本作。激しい闘争と陰謀の中で命を散らしていく若いヤクザたちの青春や恋愛も盛り込まれました。 俗に言う第一次広島抗争が描かれるのが、「仁義なき戦い」5部作の第2弾です。 本作では実在のヤクザをモデルにした山中正治と大友勝利の動きが中心になっており、菅原文太演じるシリーズ全体の主人公・広能昌三は傍観者的立ち位置にいます。 山中には北大路欣也、大友には千葉真一が扮し、山中の女となる靖子を梶芽衣子が演じました。1作目の撮影中にはすでに本作の公開が決まっていたという逸話があります。

9位:『アウトレイジ』(2010年)

全員が悪党!「世界のキタノ」が描く極悪非道の生き残り闘争

敵対し合う組のヤクザだけでなく、警察から政治家に至るまで登場する全員が悪党という異色のバイオレンス映画です。彼らが自らの生き残りをかけ、陰謀や裏切りが渦巻く壮絶な抗争を繰り広げます。 関東を牛耳る広域暴力団・山王会。傘下の組織を締めつける少し面倒な仕事を、配下の大友組組長・大友に命じたことから、血を血で洗う壮絶な抗争が幕を開けることに。 ビートたけしが大友、山王会組長を北村総一朗、若頭を三浦友和、その他にも國村隼や加瀬亮ら豪華なキャストがそれぞれ個性的なヤクザを演じています。 カンヌ国際映画祭では最高賞のパルムドールにノミネートされました。後には続編と完結編が製作されて3部作を構成しています。

8位:『鬼龍院花子の生涯』(1982年)

故夏目雅子のすさまじい演技が光る!五社英雄監督渾身の傑作

宮尾登美子の小説を原作にした五社英雄監督の数ある作品の中でも、『櫂』(1985年)、『陽暉楼』(1983年)とあわせ「高知3部作」と呼ばれる代表作の一つです。様々なトラブルからどん底を味わっていた五社が、再起をかけて手掛けた作品としても知られています。 戦前の土佐を舞台に、「鬼政」と呼ばれて恐れられる侠客・鬼龍院政五郎の生きざまを、養女である松恵の視点を通して描いた任侠映画であり、情念みなぎる濃密な人間ドラマが描かれていました。鬼政には仲代達矢、松恵には夏目雅子、そして鬼政の妻には岩下志麻がキャスティング。 この後1985年に急逝する夏目がすさまじいまでの名演技を見せ、「なめたらいかんぜよ」というセリフが流行語になるほど大ヒットを記録しました。五社らしいダイナミックな演出が圧巻の迫力を生んだ傑作です。

7位:『荒ぶる魂たち』(2002年)

日本ヤクザ映画の本流を継いだ三池崇史監督初期の傑作

いまや「世界のミイケ」と呼ばれる三池崇史監督の初期の傑作。この記事でこれまで取り上げた「仁義なき戦い」や「アウトレイジ」シリーズに比肩する、骨太で入り組んだプロットに唸らされます。 巨大暴力団・天成会の幹事長・海藤(松方弘樹)は、4代目選挙のために知略の限りをつくした集票工作を進めていました。その計画に気づいた樋口組の行動隊長・剣崎(加藤雅也)は、海藤の悪事を暴くことで、幼い頃からの兄弟分・樋口(竹中直人)を天成会トップに押し上げようと画策します。 しかし肝心の樋口は殺し屋に殺されるはめに。怒りが頂点に達した剣崎は、残された数人の舎弟とともに復讐に乗り出すのでした。 三池監督の演出だけでなく、加藤雅也をはじめとする実力派俳優たちの暴力シーンや名ゼリフの数々まで、見どころ満載の作品です。

6位:『悪名』(1961年)

ヤクザ映画の原点との呼び声高い大ヒットシリーズ

今東光の同名小説を原作に、依田義賢が脚本、田中徳三が監督を手掛けた任侠映画です。本作の大ヒットを受けてシリーズ化され、増村保造ら複数の名だたる監督のもと、1974年まで計16作品が製作されました。 河内に生まれた型破りなヤクザ・朝吉と、子分のチンピラ・貞が、あちらこちらを放浪しては理不尽な権力に歯向かい、騒動を巻き起こします。主人公の朝吉を勝新太郎、貞を田宮二郎が演じ、名コンビとして人気を博しました。 2001年には的場浩司と東幹久のコンビで再映画化されたり、舞台や音楽劇になったりするなどその人気は今も衰えていません。

5位:『修羅の群れ』(1984年)

1人の青年が、巨大ヤクザ組織を築き上げるまでを描いた実録映画

稲川会の稲川角二をモデルにした大下英治による同名小説の映画化です。昭和8年、ヤクザの世界に足を踏み入れた1人の青年が、次第に頭角を現し、やがて戦後には関東を代表する一大暴力団組織を築き上げていく様を描きます。 父の仇をとろうと極道に身を置く稲原龍二を松方弘樹、兄貴分の横山を鶴田浩二が演じていました。そのほか、菅原文太、若山富三郎や北島三郎ら、さながらオールスターキャストで、男たちの非情な人間模様が綴られています。 その後「修羅」という言葉が任侠映画で多用されるきっかけになった作品です。また2002年には主人公の青年時代を俊藤光利、壮年以降をやはり松方弘樹が演じたリメイクも公開されました。

4位:『ソナチネ』(1993年)

世界に北野武の名を知らしめた記念碑的作品

北野武の4本目の監督作品です。妥協のない暴力描写と独特の映像感覚が冴えわたり、世界にその名を知らしめる契機になった作品として有名。キネマ旬報年間ベストテン4位に輝いたほか、英BBCの「21世紀に残したい映画100本」にも選ばれました。 敵対する組同士の抗争を収めるため、沖縄に送り込まれた北嶋組幹部の村川が主人公です。ところが抗争は沈静するどころかさらに激化し、思いも寄らぬ展開を見せるのでした。 ヤクザに嫌気が差し始めていた村川役を北野武自身が演じ、共演陣には勝村政信、寺島進、大杉漣ら北野作品の常連俳優たちが名を連ねています。

3位:『人生劇場 飛車角と吉良常』(1968年)

ヤクザ映画として初めてキネ旬年間ベストテン入り!

尾崎士郎の自伝的小説『人生劇場』を原作にした数多くの映画化作品の中でも、最高傑作との呼び声高いのが鶴田浩二主演の本作です。実際に同年のキネマ旬報年間ランキング第9位に選ばれるという、ヤクザ映画として初めての快挙を達成しました。 大正14年、任侠に生きる飛車角は恋人おとよをめぐり人を斬ってしまいます。吉良常のすすめで自首し、4年の刑期を終えて出所すると、おとよは宮川という男と恋仲になっていることを知るのでした。 鶴田浩二が飛車角を演じた1963年公開の『人生劇場 飛車角』に続く4作目にあたり、『飢餓海峡』(1965年)の名匠・内田吐夢が監督を務めます。吉良常には辰巳柳太郎、おとよを藤純子、宮川を高倉健が演じました。

2位:『仁義の墓場』(1975年)

実在のヤクザの破滅的な半生を綴った傑作

深作欣二監督が「仁義なき戦い」シリーズを経て到達した実録ヤクザ映画の傑作です。終戦後の混乱した日本で、類を見ない凶暴さと組織の掟にも従わない反逆性からその名をとどろかせた、実在のヤクザ・石川力夫の壮絶な半生を描きます。 昭和21年の新宿でテキ屋として縄張りを争う河田組組員の石川は、敵対する池袋の山東会を壊滅させ、残虐な正体を露に。しかしやがて刑務所生活や麻薬中毒など、自ら破滅の道へと突き進んでいくのでした。 主人公の石川を、東映映画初主演となった渡哲也が圧巻の迫力で演じています。また悲運の妻・地恵子には多岐川裕美が演じました。公開時は大きなヒットに繋がらなかったものの、後々うなぎのぼりに評価が高まり、今やヤクザ映画を代表する名作として知られています。

1位:『仁義なき戦い』(1973年)

日本映画史に燦然と輝くヤクザ映画の金字塔

戦後の広島で勃発した壮絶な暴力団抗争の中心にいた美能組組長・美能幸三の手記をもとに、作家・飯干晃一が執筆したノンフィクション小説が原作です。記録的な大ヒット作となり、その後5部作のシリーズとなったほか、新シリーズや別の監督による作品など、複数の関連作が製作されることになりました。 復員兵だった広能昌三が山守組の一員になったのち、組織の拡大が進むにつれ、否応なく敵対勢力との激しい抗争に巻き込まれていく過程が描かれます。主人公の広能を菅原文太、そのほか松方弘樹や渡瀬恒彦らが組員若衆を演じました。 深作欣二監督の斬新で妥協のない映像によって生み出された実録スタイルは、興行成績のみならず批評家からも非常に高い評価を得ています。キネマ旬報年間ベストテンの第2位に輝いたばかりか、同誌によって日本映画史上ベストテンの5位に選ばれました。

ヤクザ映画で描かれてきたのは、濃密なまでの人間ドラマ!

戦後から60年代は、明治・大正を主な舞台にした一匹狼的主人公の人情映画が中心でしたが、『仁義なき戦い』が発表された1973年を境に、実録ものと呼ばれるヤクザ抗争映画へと人気が移ります。 さらには北野武監督に代表されるバイオレンスそのものに焦点を当てたものも生まれ、その内容は多岐に渡っていきました。 紹介した37作品はごく一部ですので、中にはあの作品が見当たらないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。 しかしヤクザ映画の1番の魅力は、反社会的とはいえ過激に振り切った、人間のリアルな姿であり、そこから生まれる濃密な人間ドラマであることに変わりはありません。これからもその時勢を反映した新しいヤクザ映画が製作されていくことに期待しましょう。