2023年4月18日更新

【2023年最新】ヤクザ映画のおすすめランキング40!面白い裏社会の任侠名作を厳選

このページにはプロモーションが含まれています
孤狼の血
©2018「孤狼の血」製作委員会

血で血を洗う抗争、暴力の連鎖と仁義なき戦いが繰り広げられるヤクザの世界。その裏に見え隠れするアツい任侠と人情の人間模様も魅力の任侠・極道映画を厳選して紹介します。 日本のおすすめヤクザ映画に加え、海外の名作ギャング映画、NetflixとAmazonプライム・ビデオで視聴できる作品もチョイスしました!裏社会のアングラな世界へどっぷり浸かってみませんか? >Netflixで観られるヤクザ映画をチェック >Amazonプライム・ビデオで観られるヤクザ映画をチェック

AD

ヤクザ映画おすすめランキング

ランキングは映画に詳しいciatr編集部員たちが、協議を重ねて決めました。 登場人物が格好良いか、感動できるか、刺激的か、アクションや映像のクオリティが高いかの4観点を選考基準としています。気になる作品タイトルをクリックしてみてください!

総合ランキング一覧

  • 孤狼の血
    孤狼の血 2018年
    • 主演:役所広司 , 松坂桃李
    • ジャンル:バイオレンス , 警察
    • 上映時間:126分
  • 仁義なき戦い
    • 主演:菅原文太 , 小林旭
    • ジャンル:アクション , バイオレンス , 実録 , 人情もの
    • 上映時間:99分
  • ソナチネ
    ソナチネ 1993年
    • 主演:北野武 , 国舞亜矢 , 渡辺哲
    • ジャンル:アクション , バイオレンス
    • 上映時間:94分
  • アウトレイジ
    • 主演:北野武 , 椎名桔平 , 加瀬亮
    • ジャンル:アクション , バイオレンス
    • 上映時間:109分
  • ゴッドファーザーPARTⅡ
    • 主演:アル・パチーノ , ロバート・デ・ニーロ
    • ジャンル:マフィア , バイオレンス , ヒューマンドラマ
    • 上映時間:202分(完全版)
  • 仁義の墓場
    仁義の墓場 1975年
    • 主演:渡哲也 , 梅宮辰夫
    • ジャンル:アクション , サスペンス 実録
    • 上映時間:131分
  • 人生劇場 飛車角と吉良常
    • 主演:鶴田浩二 , 若山富三郎 , 富司純子(藤純子)
    • ジャンル:アクション , 人情もの
    • 上映時間:109分
  • 新しき世界
    新しき世界 2013年
    • 主演:イ・ジョンジェ , チェ・ミンシク
    • ジャンル:マフィア , 警察 , サスペンス
    • 上映時間:134分
  • 修羅の群れ
    修羅の群れ 1984年
    • 主演:松方弘樹 , 鶴田浩二 , 菅原文太
    • ジャンル:アクション , 実録 , 人情もの
    • 上映時間:123分
  • ブラック・レイン
    • 主演:マイケル・ダグラス , 高倉健 , 松田優作
    • ジャンル:アクション , サスペンス , 警察
    • 上映時間:125分
  • 仁義なき戦い 広島死闘篇
    • 主演:菅原文太 , 梶芽衣子 , 千葉真一
    • ジャンル:アクション , バイオレンス , 実録 , 人情もの
    • 上映時間:100分
  • ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
    • 主演:ロバート・デ・ニーロ , ジェームズ・ウッズ
    • ジャンル:マフィア , ヒューマンドラマ
    • 上映時間:229分(完全版)
  • 県警対組織暴力
    • 主演:菅原文太 , 梅宮辰夫 , 松方弘樹
    • ジャンル:人情もの , サスペンス , 警察
    • 上映時間:101分
  • 悪名
    悪名 1961年
    • 主演:勝新太郎 , 田宮二郎 , 中村玉緒
    • ジャンル:アクション
    • 上映時間:94分
  • 荒ぶる魂たち
    • 主演:加藤雅也 , 竹中直人 , 松方弘樹
    • ジャンル:バイオレンス , 人情もの
    • 上映時間:150分
  • グッドフェローズ
    • 主演:レイ・リオッタ , ロバート・デ・ニーロ
    • ジャンル:マフィア , ヒューマンドラマ , 実録
    • 上映時間:145分
  • 鬼龍院花子の生涯
    • 主演:仲代達矢 , 岩下志麻 , 夏目雅子
    • ジャンル:アクション , 人情もの , 濡れ場
    • 上映時間:146分
  • すばらしき世界
    • 主演:役所広司 , 仲野太賀
    • ジャンル:ヒューマンドラマ
    • 上映時間:126分
  • 悪人伝
    悪人伝 2020年
    • 主演:マ・ドンソク , キム・ムヨル , キム・ソンギュ
    • ジャンル:アクション , バイオレンス , 警察
    • 上映時間:110分
  • 緋牡丹博徒 お竜参上
    • 主演:富司純子 , 菅原文太
    • ジャンル:アクション , 人情もの , 女極道
    • 上映時間:100分

ヤクザもの・任侠映画とは?

ヤクザもの・任侠映画とはヤクザを主人公とした映画作品で、古くは『瞼の母』(1931年)など戦前から制作されていました。一大ブームとなったのは、1960年代から1970年代にかけて東映が任侠路線のシリーズものを量産し始めてから。特に鶴田浩二主演の「博徒」シリーズと高倉健主演の「日本侠客伝」シリーズが二大路線でした。 1973年に実話のヤクザ抗争をモデルにした『仁義なき戦い』が大ヒットし、現実的なヤクザ社会を描く「実録」シリーズも誕生。1980年代以降はレンタルビデオの出現により、Vシネマと呼ばれるビデオ販売のみの作品も制作されるようになりました。

日本の名作おすすめヤクザ映画

1位『孤狼の血』(2018年) ※R15+

孤狼の血
©2018「孤狼の血」製作委員会

ヤクザ抗争の裏で動く犯罪スレスレの警察

ジャンルアクション , バイオレンス , 人情もの
キャスト役所広司 , 松坂桃李 , 真木よう子

柚月裕子の人気警察小説を実写映像化した本作は、昭和末期のヤクザと警察の凄まじい攻防を描いた物語です。

昭和63年、広島県の架空の街・呉原では地元ヤクザ・尾谷組と全国組織傘下の加古村組との抗争の火種がくすぶっていました。そんなある日、加古村組とつながりのある金融会社員が行方不明に。

この事件の捜査に加わることになった新人刑事・日岡秀一(松坂桃李)は、暴力犯捜査係主任・大上(役所公司)と暴力団との癒着を疑うようになりました。やがて警察の捜査と暴力団同士の対立は、思いも寄らない方向へと向かいます。

ここがおすすめ!

本作の最大の見どころは、主役級の俳優をふんだんに使った豪華キャスト!役所公司や松坂桃李が演じる刑事と、竹野内豊や江口洋介が扮するヤクザたちが繰り広げる対立抗争は、鬼気迫るものがあります。続編「LEVEL2」(2020年)はオリジナルストーリーとなっており、新たに加わった鈴木亮平の怪演も見ものです。

吹き出し アイコン

最初の方はちょっと描写がえぐすぎて引いてしまったけど、後半に進むにつれてどんどん引き込まれた。脇役に至るまで役者が全員めちゃくちゃ上手いし、人の見え方が最初と最後で変わるのも面白い。時代の移り変わりが残酷に描かれてて、最後の展開まですごくリアルに感じられた。

(20代女性)

AD

2位『仁義なき戦い』(1973年) ※R15+

日本映画史に燦然と輝くヤクザ映画の金字塔

ジャンルアクション , バイオレンス , 実録 , 人情もの
キャスト菅原文太 , 小林旭 , 渡瀬恒彦

戦後の広島で勃発した壮絶な暴力団抗争の中心にいた美能組組長・美能幸三の手記をもとに、作家・飯干晃一が執筆したノンフィクション小説が原作です。記録的な大ヒット作となり、その後5部作のシリーズとなったほか、新シリーズや別の監督による作品など、複数の関連作が製作されることになりました。

復員兵だった広能昌三が山守組の一員になったのち、組織の拡大が進むにつれ、否応なく敵対勢力との激しい抗争に巻き込まれていく過程が描かれます。主人公の広能を菅原文太、そのほか松方弘樹や渡瀬恒彦らが組員若衆を演じました。

ここがおすすめ!

深作欣二監督の斬新で妥協のない映像によって生み出された実録スタイルは、興行成績のみならず批評家からも非常に高い評価を得ています。キネマ旬報年間ベストテンの第2位に輝いたばかりか、同誌によって日本映画史上ベストテンの5位に選ばれました。

吹き出し アイコン

この映画はザ・ヤクザ映画である。この映画は色んな人に見られてみんなが思うヤクザ像ができたのではないだろうか。登場人物全員に良さがある。たまらない。バイオレンスシーンに流れるあの有名な音楽は最高。

(40代男性)

3位『ソナチネ』(1993年)

世界に北野武の名を知らしめた記念碑的作品

ジャンルアクション , バイオレンス
キャスト北野武(ビートたけし) , 国舞亜矢 , 渡辺哲

北野武の4本目の監督作品です。妥協のない暴力描写と独特の映像感覚が冴えわたり、世界にその名を知らしめる契機になった作品として有名。キネマ旬報年間ベストテン4位に輝いたほか、英BBCの「21世紀に残したい映画100本」にも選ばれました。

敵対する組同士の抗争を収めるため、沖縄に送り込まれた北嶋組幹部の村川。ところが抗争は沈静するどころかさらに激化し、思いも寄らぬ展開を見せるのでした。

ここがおすすめ!

ヤクザに嫌気が差し始めていた村川役を北野武自身が演じ、共演陣には勝村政信、寺島進、大杉漣ら北野作品の常連俳優たちが名を連ねています。

吹き出し アイコン

理屈抜きで好き。笑えるくらいのバイオレンス描写と美しい沖縄の自然、北野武のユーモアが調和している。「人生は死ぬまでの暇つぶしだ」というシニカルな言葉があるが、まさにそれを体現しているような雰囲気の映画。

(30代女性)

AD

4位『アウトレイジ』(2010年) ※R15+

全員が悪党!「世界のキタノ」が描く極悪非道の生き残り闘争

ジャンルアクション , バイオレンス
キャスト北野武(ビートたけし) , 椎名桔平 , 加瀬亮

敵対し合う組のヤクザだけでなく、警察から政治家に至るまで登場する全員が悪党という異色の作品です。彼らが自らの生き残りをかけ、陰謀や裏切りが渦巻く壮絶な抗争を繰り広げます。

関東を牛耳る広域暴力団・山王会。傘下の組織を締めつける少し面倒な仕事を、配下の大友組組長・大友に命じたことから、血を血で洗う壮絶な抗争が幕を開けることに。

ここがおすすめ!

ビートたけしが大友、山王会組長を北村総一朗、若頭を三浦友和、その他にも國村隼や加瀬亮ら豪華なキャストがそれぞれ個性的なヤクザを演じています。カンヌ国際映画祭では最高賞のパルムドールにノミネートされました。後には続編と完結編が製作されて3部作を構成しています。

吹き出し アイコン

椎名桔平がめちゃくちゃカッコいい。基本的に裏切りが連鎖してくから結局誰が生き残るんだろって思いながら見てた。

(20代男性)

5位『仁義の墓場』(1975年)

実在のヤクザの破滅的な半生を綴った傑作

ジャンルアクション , サスペンス , 実録
キャスト渡哲也 , 梅宮辰夫 , 郷えい治

深作欣二監督が「仁義なき戦い」シリーズを経て到達した実録ヤクザ映画の傑作です。終戦後の混乱した日本で、類を見ない凶暴さと組織の掟にも従わない反逆性からその名をとどろかせた、実在のヤクザ・石川力夫の壮絶な半生を描きます。

昭和21年の新宿でテキ屋として縄張りを争う河田組組員の石川は、敵対する池袋の山東会を壊滅させ、残虐な正体を露に。しかしやがて刑務所生活や麻薬中毒など、自ら破滅の道へと突き進んでいくのでした。

ここがおすすめ!

主人公の石川を、東映映画初主演となった渡哲也が圧巻の迫力で演じています。また悲運の妻・地恵子には多岐川裕美が演じました。公開時は大きなヒットに繋がらなかったものの、後々うなぎのぼりに評価が高まり、今やヤクザ映画を代表する名作として知られています。

吹き出し アイコン

シャブ絡みの話なのもあって他の実録ものよりかなり陰鬱な印象。ドスを振り回して仁義の道を踏み外しまくる狂犬・渡哲也。そのあまりのクレイジーっぷりについに警察とヤクザが共闘、まさかの投石作戦に出るところはわらった。他にも、ちょっとしか出てないけど芹明香のやさぐれっぷりや田中邦衛の異様な雰囲気(登場シーンが強烈)が印象的。飛び降りシーンのショッキングな演出もすごすぎ!

(30代男性)

AD

6位『人生劇場 飛車角と吉良常』(1968年)

ヤクザ映画として初めてキネ旬年間ベストテン入り!

ジャンルアクション , 人情もの
キャスト鶴田浩二 , 若山富三郎(城健三朗) , 富司純子(藤純子)

尾崎士郎の自伝的小説『人生劇場』を原作にした数多くの映画化作品の中でも、最高傑作との呼び声高いのが鶴田浩二主演の作品です。実際に同年のキネマ旬報年間ランキング第9位に選ばれるという、ヤクザ映画として初めての快挙を達成しました。

大正14年、任侠に生きる飛車角は恋人おとよをめぐり人を斬ってしまいます。吉良常のすすめで自首し、4年の刑期を終えて出所すると、おとよは宮川という男と恋仲になっていることを知るのでした。

ここがおすすめ!

鶴田浩二が飛車角を演じた1963年公開の『人生劇場 飛車角』に続く4作目にあたり、『飢餓海峡』(1965年)の名匠・内田吐夢が監督を務めます。吉良常には辰巳柳太郎、おとよを藤純子、宮川を高倉健が演じました。

吹き出し アイコン

飛車角の殴り込みのクライマックス。突然粒子の粗いモノクロフィルムに変わり、動きまくる手持ちカメラが鶴田浩二の死闘の荒々しさと、呼吸の昂りの激しさを徹底したリアリズムで活写する。画で見せる鮮やかさ。内田吐夢監督唯一の仁俠映画、様式美とケレン味にリアリズムを加えた快作だった。

(50代男性)

7位『修羅の群れ』(1984年)

1人の青年が、巨大ヤクザ組織を築き上げるまでを描いた実録映画

ジャンルアクション , 人情もの
キャスト松方弘樹 , 鶴田浩二 , 菅原文太

稲川会の稲川角二をモデルにした大下英治による同名小説の映画化です。昭和8年、ヤクザの世界に足を踏み入れた1人の青年が、次第に頭角を現し、やがて戦後には関東を代表する一大暴力団組織を築き上げていく様を描きます。

その後「修羅」という言葉が任侠映画で多用されるきっかけになった作品です。また2002年には主人公の青年時代を俊藤光利、壮年以降をやはり松方弘樹が演じたリメイクも公開されました。

ここがおすすめ!

父の仇をとろうと極道に身を置く稲原龍二を松方弘樹、兄貴分の横山を鶴田浩二が演じました。そのほか、菅原文太、若山富三郎や北島三郎ら、さながらオールスターキャストで、男たちの非情な人間模様が綴られています。

吹き出し アイコン

実話ベースとは聞きましたが、まさか稲川組の親分の一代記だとは。もっとも、ヤクザ映画にしては非常に見やすい。なぜなら人があまりしなないから。そう、びっくりするほど死なない。つまり実際のヤクザはそんなに滅多に死なないということですね。それにしても、張本勲、小林繁のキャスティングが意外過ぎる。とりわけ張本の韓国人ヤクザの役はハマり過ぎで、セリフもわりと上手い。

(40代男性)

AD

8位『仁義なき戦い 広島死闘篇』(1973年)

恋愛と青春を盛り込んだことで人気の高い、シリーズ5部作の2作目

ジャンルアクション , バイオレンス , 実録 , 人情もの
キャスト菅原文太 , 梶芽衣子 , 千葉真一

昭和27年に広島県呉市を主な舞台として激化した、二大暴力団組織「村岡組」と「大友連合会」の抗争。俗にいう「第一次広島抗争」が描かれるのが、「仁義なき戦い」5部作の第2弾です。1作目の撮影中にはすでに本作の公開が決まっていたという逸話があります。

昭和27年、村岡組が広島競輪場を独占支配したことで、大友連合会と再び抗争が勃発。工員の山中正治は博奕がもとでヤクザを傷つけ、傷害罪で逮捕されて刑務所に入っていました。仮出所した山中は食堂で無銭飲食した際に、大友連合会の実子・大友勝利たち愚連隊に袋叩きに遭います。

深い傷を負った山中を、自分のアパートで手当てする食堂の主・靖子。実は靖子は村岡組組長の姪であり、その縁で山中は村岡組の若衆として盃を交わすことになります。

ここがおすすめ!

本作では実在のヤクザをモデルにした山中正治と大友勝利の動きが中心になっており、菅原文太演じるシリーズ全体の主人公・広能昌三は傍観者の立ち位置。山中には北大路欣也、大友には千葉真一が扮し、山中の女となる靖子を梶芽衣子が演じました。激しい闘争と陰謀の中で命を散らしていく若いヤクザたちの青春や恋愛も盛り込まれました。

AD

9位『県警対組織暴力』(1975年)

『仁義なき戦い』の大ヒットに続く東映実録ヤクザ映画路線の1本

ジャンル人情もの , サスペンス , 警察
キャスト菅原文太 , 梅宮辰夫 , 松方弘樹

『仁義なき戦い』の記録的大ヒットを受け、東映が量産した実録ヤクザ路線のうちの1本。深作欣二監督と菅原文太主演の最強コンビでありながら、本作では菅原がヤクザではなく刑事側を演じているということで人気の高い作品です。

広島を想定した西日本のある都市を舞台に、1人の悪徳刑事とヤクザの関係から、両組織の癒着と警察権力の腐敗を描きました。

倉島署捜査二課のベテラン刑事・久能と大原組の若衆頭・広谷は、6年前の抗争での広谷の犯行を久能が見逃して以来、固い絆で結ばれていました。

久能と広谷は共謀し、対立する川手組がヤクザ出身の市会議員・友安と手を組んで縄張りを拡張するのを阻止。そんな中、久能の班に県警本部出身のエリート警部補・海田が配属されて取締が強化されることに。久能はヤクザとの関係を問題視され、第一線から遠ざけられてしまいます。

ここがおすすめ!

主人公となる倉島警察署の刑事・久能を菅原文太が、大原組の若衆頭・広谷を松方弘樹が演じています。菅原と同じく刑事役の山城新伍が、ヤクザ役の川谷拓三を暴力的に取り調べするシーンが有名です。

10位『悪名』(1961年)

ヤクザ映画の原点との呼び声高い大ヒットシリーズ

ジャンルアクション
キャスト勝新太郎 , 田宮二郎 , 中村玉緒

今東光の同名小説を原作に、依田義賢が脚本、田中徳三が監督を手掛けた任侠映画です。本作の大ヒットを受けてシリーズ化され、増村保造ら複数の名だたる監督のもと、1974年まで計16作品が製作されました。

河内に生まれた型破りなヤクザ・朝吉と、子分のチンピラ・貞が、あちらこちらを放浪しては理不尽な権力に歯向かい、騒動を巻き起こします。

ここがおすすめ!

主人公の朝吉を勝新太郎、貞を田宮二郎が演じ、名コンビとして人気を博しました。2001年には的場浩司と東幹久のコンビで再映画化されたり、舞台や音楽劇になったりするなどその人気は今も衰えていません。

AD

11位『荒ぶる魂たち』(2002年) ※R15+

日本ヤクザ映画の本流を継いだ三池崇史監督初期の傑作

ジャンルバイオレンス , 人情もの
キャスト加藤雅也 , 竹中直人 , 松方弘樹

いまや「世界のミイケ」と呼ばれる三池崇史監督の初期の傑作。この記事でこれまで取り上げた「仁義なき戦い」や「アウトレイジ」シリーズに比肩する、骨太で入り組んだプロットに唸らされます。

巨大暴力団・天成会の幹事長・海藤(松方弘樹)は、4代目選挙のために知略の限りをつくした集票工作を進めていました。その計画に気づいた樋口組の行動隊長・剣崎(加藤雅也)は、海藤の悪事を暴くことで、幼い頃からの兄弟分・樋口(竹中直人)を天成会トップに押し上げようと画策します。

しかし肝心の樋口は殺し屋に殺されるはめに。怒りが頂点に達した剣崎は、残された数人の舎弟とともに復讐に乗り出すのでした。

ここがおすすめ!

三池監督の演出だけでなく、加藤雅也をはじめとする実力派俳優たちの暴力シーンや名ゼリフの数々まで、見どころ満載の作品です。

12位『鬼龍院花子の生涯』(1982年)

故・夏目雅子のすさまじい演技が光る!五社英雄監督渾身の傑作

ジャンルアクション , 人情もの , 濡れ場
キャスト仲代達矢 , 岩下志麻 , 夏目雅子

宮尾登美子の小説を原作にした五社英雄監督の数ある作品の中でも、『櫂』(1985年)、『陽暉楼』(1983年)とあわせ「高知3部作」と呼ばれる代表作の1つです。

戦前の土佐を舞台に、「鬼政」と呼ばれて恐れられる侠客・鬼龍院政五郎の生きざまを、養女である松恵の視点を通して描いた任侠映画。鬼政には仲代達矢、松恵には夏目雅子、そして鬼政の妻には岩下志麻がキャスティングされました。

大正10年、土佐の侠客・鬼龍院政五郎は正妻・歌の他にも3人の愛人を囲っていましたが、まだ子宝に恵まれず、12歳の松恵を養女に迎えます。やがて愛人つるが初めての子・花子を生み、政五郎は花子を溺愛するように。

政五郎の身の回りの世話をしたり、花子の子守をしながら成長した松恵。学業優秀で学費を工面しながら女学校へ通い、小学校教師となって自立するようになりますが、鬼龍院家には様々な波乱が待ち受けていました。

ここがおすすめ!

この後1985年に急逝する夏目がすさまじいまでの名演技を見せ、「なめたらいかんぜよ」というセリフが流行語になるほど大ヒットを記録しました。情念みなぎる濃密な人間ドラマで、五社監督らしいダイナミックな演出が圧巻の迫力を生んだ傑作です。

AD

13位『緋牡丹博徒 お竜参上』(1970年)

女任侠スターとして頂点を極めた藤純子の代表作

ジャンルアクション , 人情もの , 女極道
キャスト富司純子(藤純子) , 菅原文太 , 若山富三郎(城健三朗)

「緋牡丹博徒」シリーズは、藤純子(現・富司純子)を主演に迎え、東映が製作した女任侠映画。全8作ある本シリーズの大ヒットにより、藤純子は高倉健や鶴田浩二らと並び称される任侠スターとしての地位を不動のものにしました。

「緋牡丹のお竜」と呼ばれる矢野竜子が賭場で父の仇を打ち、その後も義理を踏みにじる本物の悪党と対決していく姿を描きます。数年前に死に追いやった偽のお竜の娘・お君を探しながら旅を続けていたお竜。その途中、浅草にてお竜は鮫洲政一家が鉄砲久の持つ一座の興行権を狙っていることを知ります。

そして、鮫洲政一家の勘八を狙ったスリのおキイがお君であることもわかり、おキイは鉄砲久に養女として預けられることに。その一方で、鉄砲久の娘婿・鈴村は鮫洲政一家の博奕に手を出して借金を背負い、一座の利権を渡すよう迫られていました。

ここがおすすめ!

1968年公開の第1作はまだ22歳の藤純子のきりりとした魅力が楽しる作品ですが、中でも傑作に位置付けられているのが第6作目『緋牡丹博徒 お竜参上』。菅原文太と共演し、2人が雪降る今戸橋に佇む場面は、ヤクザ映画史に残る名シーンとして知られています。

AD

14位『BROTHER』(2001年)

アメリカに渡った日本ヤクザの末路

ジャンルアクション , バイオレンス , マフィア
キャスト北野武(ビートたけし) , オマー・エップス , 真木蔵人

北野武が監督と主演を務めてアメリカで製作したヤクザ映画。日本を追われ、アメリカに逃亡した武闘派ヤクザ・山本(ビートたけし)とその一味の興亡が描かれます。

ヤクザ同士の抗争で所属する組織が解散に追い込まれて居場所が無くなった山本は、腹違いの弟がいるアメリカに渡りました。カリスマ性のある彼は、アメリカの裏社会でもアフリカ系アメリカ人やメキシコ人を味方につけてのし上がっていきます。

しかし傘下に収めた日本人街のボスたちが、山本の警告を無視して巨大イタリア・マフィアを相手に凄惨な抗争を始めてしまいました。やがてマフィアの手は山本の仲間にまで及び……。

ここがおすすめ!

北野監督が得意とするバイオレンスに、久石譲の美しい音楽や山本耀司のクールなファッションが絶妙にマッチしている、ハイセンスな作品です。

15位『その男、凶暴につき』(1989年)

北野武の原点!衝撃の監督デビュー作

ジャンルアクション , バイオレンス , 警察
キャスト北野武(ビートたけし) , 白竜

人気お笑い芸人のビートたけしではなく、北野武として初映画監督に挑戦したデビュー作。当初は主演のみで、深作欣二が監督を務める予定だったことは広く知られています。

暴力や無謀な捜査すら厭わないアウトロー刑事の我妻諒介が、麻薬に絡む暴力団や殺し屋と対決する姿を、すさまじいバイオレンス描写で描いた本作。殺し屋の清弘には白竜が扮しました。

その凶暴さ故に、署内からも異端視されていた一匹狼の刑事・我妻諒介。殴る蹴るの暴行で無理矢理に自白させるなど、暴力には暴力で対抗するのが我妻のやり方でした。

我妻は麻薬売人の惨殺事件を追ううちに、青年実業家の仁藤と殺し屋の清弘の存在にたどり着きます。しかし実は麻薬を横流ししていたのは、我妻の親友で防犯課係長の岩城だったのです。

ここがおすすめ!

キネマ旬報年間ベストテンの8位に選ばれた他、ヨコハマ映画祭では監督賞を受賞するなど、デビュー作にもかかわらず非常に高い評価を受けました。過激な暴力描写を多用する北野映画の原点として位置づけられる重要な作品です。

AD

16位『網走番外地』(1965年)

高倉健の人気を決定づけた石井輝男監督の大ヒットシリーズ1作目

ジャンルアクション
キャスト高倉健 , 南原宏治 , 丹波哲郎

高倉健主演、石井輝男監督による大ヒットアクション映画。北海道の網走刑務所に収監された男が、様々な葛藤を経た末、手錠で繋がれた仲間とともに脱獄する姿が描かれます。

初めは鶴田浩二主演映画の併映作品として製作されたものの、大きな評判を呼んだことで急遽シリーズ化が決定したことで有名。本作の後、石井監督で10作品、さらに別の監督によって8作品が製作されました。

北海道の極寒の地、網走刑務所に傷害罪で収監され、前科5犯の権田権三と1つの手錠でつながれた任侠ヤクザの橘真一。雑居房では古参の依田と権田が脱獄計画を企てていましたが、仮釈放を控える橘は乗り気になれずにいました。

しかしそんな橘の気持ちをよそに、脱獄計画は本当に実行されることに。橘は権田と手錠でつながれたまま脱獄する羽目になります。

ここがおすすめ!

これまでの昔かたぎの任侠とは違う、新しいヤクザのイメージを打ち出すことに成功し、高倉健は人気スターとしての地位を不動のものとしました。

17位『竜二』(1983年)

本作公開直後に急逝した金子正次脚本・主演による伝説の秀作

ジャンル人情もの , 実録
キャスト金子正次 , 永島暎子 , 北公次

実際にヤクザだった過去のある金子正次が、自身の体験をもとに執筆した脚本を川島透監督が映画化した本作。金子は映画初主演も果たすも、公開直後にガンによりこの世を去り、伝説の遺作として知られています。

三東会幹部だった花城竜二は、3年間会っていなかった妻子とともに暮らすため堅気に戻ることを決意。しかしすんなり落ち着くはずもなく、新しい人生を歩もうと葛藤する男の悲哀がリアルなタッチで描かれました。

ここがおすすめ!

異色のヤクザ映画として高い評価を受け、萩原健一の歌った主題歌「ララバイ」と共にヒットを記録。妻を永島暎子、娘役を金子の実の娘・金子桃が演じています。

AD

18位『昭和残俠伝 破れ傘』(1972年)

昔ながらの任侠に生きる男を描く、人気シリーズ最終作

ジャンル人情もの
キャスト高倉健 , 鶴田浩二 , 安藤昇

昔かたぎの任侠の世界で生きる孤独な流れ者の生きざまを描く「昭和残侠伝」シリーズの第9作目にしてラストを飾った作品です。1作目は1965年に公開され、高倉健主演の人気任侠シリーズのうちの1つとなりました。

シリーズ各作品に設定上の繋がりはありませんが、孤独で不器用ながら義理と人情に生きるため、余計な争いに巻き込まれていく男の姿が描かれる点は共通しています。主人公・花田秀次郎はもちろん高倉健、さらに池部良、鶴田浩二、星由里子らが共演しました。

3年振りに出所した花田秀次郎は、郡山の兄弟分・寺津力松を尋ねます。そこでちょうど、寺津組と天神浜との間に抗争が起こり、秀次郎は寺津組の助立ちとして天神浜一家へ。天神浜一家は後退し、親分の政太郎も深手を負って倒れました。

その後、再び寺津一家に身を落ち着けた秀次郎。寺津は会津若松の親分・鬼首鉄五郎の妹おしまを妻にしていましたが、鬼首は寺津を利用して東北全体の制圧を狙っていました。

ここがおすすめ!

本作の翌年には『仁義なき戦い』が公開され、ヤクザ映画が実録路線へと変化していく中で、昔ながらの任侠を描いた最後の作品として位置づけられています。

19位『乾いた花』(1964年)

石原慎太郎の原作をセンセーショナルに映像化

ジャンル人情もの
キャスト池部良 , 加賀まりこ , 藤木孝

石原慎太郎の同名小説が、主人公のヤクザに池部良、ヒロインに加賀まりこを迎えて映画化された映画『乾いた花』。篠田正浩監督がメガホンをとった本作は、当時の社会にセンセーショナルな衝撃を与えました。

3年の刑期を終えて出所した村木が、賭場で謎めいた女・冴子と出会います。ギャンブルを通して心を通わせるようになった2人が、ある日、賭場で葉という名の男と出会ったことで、それぞれが予想もしなかった悲劇に巻き込まれていくのでした。

ここがおすすめ!

配給会社の判断でしばらくお蔵入りになった末、ようやく公開に至ったときも成人映画扱いになった問題作です。メジャー作品とはならなかったものの、熱狂的なコアなファンを生み出しました。

20位『明治侠客伝 三代目襲名』(1965年)

明治時代のヤクザと娼妓の恋

ジャンル人情もの
キャスト鶴田浩二 , 富司純子(藤純子) , 津川雅彦

「緋牡丹博徒」シリーズの加藤泰監督が初めて手がけた本格任侠映画。主演は鶴田浩二と藤純子で、明治時代を舞台にしたヤクザと娼妓の恋模様が描かれています。

明治40年の大阪。土木工事の建材調達で名を成す木屋辰一家から事業を横取りしようと企む星野建材の社長・軍次郎は、喧嘩祭りに乗じて木屋辰の二代目を襲撃させます。一方、木屋辰一家の若衆・菊池浅次郎は無理やり身請けされそうになっていた娼妓の初栄を助け、初枝は浅次郎に恋心を抱きますが……。

ここがおすすめ!

物語のメインは木屋辰と星野建材との抗争ですが、そこに浅次郎と初枝の淡い恋が挿し込まれ、ドラマを濃いものにしています。また木屋辰の三代目となる浅次郎と二代目の息子・春夫との仁義の場面も見どころです。

21位『実録・私設銀座警察』(1973年)

ヤクザから俳優へと転身した安藤昇の主演作

ジャンルアクション , 人情もの , 実録
キャスト安藤昇 , 渡瀬恒彦 , 梅宮辰夫

1950年代にカリスマ的リーダーシップで名をなした安藤組組長の立場から、刑務所出所を契機に映画俳優へと転身し、さらに小説家の顔も併せ持った安藤昇の主演作品です。安藤と組んで数々の作品を手掛けた佐藤純彌が本作の監督も務めています。

昭和21年、焼け野原の銀座。酒場で元陸軍の岩下敏之と博徒の宇佐美義一が、博奕の諍いからケンカに。その場に居合わせた元特攻隊員の池谷三郎と予科練帰りの樋口勝も入り大乱闘になりますが、いつの間にか4人は意気投合していました。

やがて4人は銀座を手に入れようと、銀座最大の勢力を誇る愚連隊と本格的な抗争に突入。その頃、米兵を殺害して逃走していた元学徒兵の渡会菊夫を宇佐美が隠まい、宇佐美は渡会を使ってボスの山根を殺害することに成功します。

ここがおすすめ!

戦後すぐの混沌した銀座を舞台に、元特攻隊や元陸軍兵、根っからの博徒らが自然と集まり、凶悪な暴力団へと発展いく様子が実録タッチで描かれました。梅宮辰夫や渡瀬恒彦らが共演しています。「私設銀座警察」とは当時のマスコミがこの集団に名づけた名称であり、その過激さと暴力性で恐れられました。

22位『冬の華』(1978年)

倉本聰が高倉健のために書き上げた人間ドラマ

ジャンル人情もの
キャスト高倉健 , 池上季実子 , 北大路欣也

テレビドラマ『北の国から』で知られる倉本聰が高倉健のために執筆した脚本が、降旗康男監督の手により映画化されました。

組を裏切った兄貴分の松岡を殺し、15年間を刑務所で過ごした東竜会幹部の加納秀次。服役中は松岡の1人娘・洋子に身分を偽って養育費を送り続け、出所後には堅気になるつもりだった加納を、残酷な現実が待ち受けていました。

ここがおすすめ!

不器用な生き方しかできない孤独な加納を高倉健、松岡を池部良、洋子を池上季実子が演じています。その他にも北大路欣也、田中邦衛、小林稔侍ら豪華なキャストが脇を支える哀切な人間ドラマです。

23位『シャブ極道』(1996年) ※R18+

シャブ極道

物議を巻き起こした、シャブ中毒のヤクザを主人公にした異色作

ジャンル人情もの
キャスト役所広司 , 早乙女愛 , 菅田俊

山口組顧問弁護士だった山之内幸夫の著作を原作に、覚せい剤の虜になってしまった1人のヤクザの破天荒な生きざまを描いた異色作です。あまりに反社会的な内容を危惧した映倫から成人指定を受けたばかりか、「シャブ」のタイトルが物議を巻き起こしました。

覚醒剤にはまってしまった大阪の極道・真壁五味。弱小だった巌竜組の若頭ながら巨大な増田組幹部の女に一目ぼれして結婚し、やがて組長となったあとは覚醒剤も絡む組同士の抗争に巻き込まれていきます。

ここがおすすめ!

真壁を役所広司、妻の鈴子を早乙女愛が演じました。過激で奇抜な内容にも関わらず、日本映画プロフェッショナル大賞では特別賞を受賞します。

24位『新仁義なき戦い』(1974年)

大ヒットシリーズ5部作に続く、番外編となる新シリーズ第1弾

ジャンルアクション , 人情もの
キャスト菅原文太 , 金子信雄 , 中谷一郎

広島を主な舞台に壮絶なヤクザ抗争を描いて大ヒットした「仁義なき戦い」オリジナルシリーズ5部作ののち、深作欣二監督と菅原文太主演により再スタートした、新シリーズ第1弾です。

再び時代をさかのぼった昭和25年の広島が舞台。主人公となる山守組若衆の三好万亀夫が対立組織の組長を暗殺したところから物語は始まり、その服役中から出所後に起こる、山守組の内部抗争が描かれています。

ここがおすすめ!

三好を菅原文太が演じるほか、若山富三郎、松方弘樹、田中邦衛ら豪華キャストが引き続き出演していますが、一部をのぞいて主要キャストの多くは5部作とは異なる役柄で登場。そのため番外編という位置づけになっています。

25位『博徒一家』(1970年)

東映の初期任侠路線を代表する人気シリーズの第7作目

ジャンルアクション , 人情もの
キャスト鶴田浩二 , 若山富三郎(城健三朗) , 富司純子(藤純子)

「人生劇場 飛車角」シリーズで人気俳優となった鶴田浩二が、新たに取り組んだ同じ任侠ものが「博徒」シリーズ。同時進行で製作された両シリーズにより、鶴田は任侠スターとしての地位を不動のものとしました。

岡田茂と俊藤浩滋という任侠映画の一時代を築き上げた2人のプロデューサーが、初めて黄金コンビを組んだのが本シリーズです。1971年まで全10作が公開されましたが、舞台設定やエピソードは毎回異なり、どれも続編的な繋がりはありません。

明治40年、政府は博徒弾圧に乗り出し、全国的な規模を誇る荒政一家の初代総長・荒木政五郎は、総長の座を国枝に譲ります。しかし国枝と関根は、一家のために服役中の桜井を最後まで推していました。

政五郎は桜井と関根にそれぞれ縄張りを与え、分家させて事を収めました。その1年後、国枝はつまらぬ義理から対立していた田沼一家に桜井の縄張りを譲ってしまいます。

ここがおすすめ!

特に人気の高い第7作目は、高倉健、若山富三郎、藤純子、鶴田浩二ら東映のオールスターが総出演した大作として知られています。明治41年の賭博禁止令をきっかけに、荒政一家の親分が引退したことで巻き起こった抗争が題材とされました。

26位『関東無宿』(1963年)

ヤクザの虚しさを哀感いっぱいに描いた鈴木清順監督作

ジャンルアクション , 人情もの
キャスト小林旭 , 松原智恵子 , 平田大三郎

『ツィゴイネルワイゼン』(1980年)の鈴木清順監督が、平林たい子の小説を原作に、独特の世界観で描いた仁侠アクションです。

敵対する吉田組に対し、伊豆組の立て直しを図る幹部である主人公の鶴田を小林旭が演じています。「渡り鳥」シリーズで日活を代表する人気スターとなっていた小林が、『関東遊侠伝』に続いて主演した任侠ものです。

吉田組と伊豆組は折り合いが悪く、土建の請負仕事の権利をめぐって一触即発の状態でした。吉田組の幹部・ダイヤモンドの冬は、ある時花子という女子学生に遇い、その日から花子が忘れられなくなっていました。

しかし花子は伊豆組の幹部である鉄に売り飛ばされてしまい、狂ったように花子を探す冬を見た伊豆は吉田組の報復を恐れて、幹部の鶴田に鉄と花子を探し出すように命じます。

ここがおすすめ!

東京の下町を舞台に、ヤクザの掟に反逆を試みる男たちの悲哀と葛藤をドラマチックに描きました。松原智恵子や中原早苗ら日活の人気女優たちが、アウトローに生きる男たちの熱い物語を華やかに彩っています。

27位『博奕打ち 総長賭博』(1968年)

鶴田浩二主演の「博奕打ち」シリーズ4作目

ジャンルアクション , 人情もの
キャスト鶴田浩二 , 若山富三郎 , 富司純子

『極道の妻たち 最後の戦い』(1990年)の山下耕作が監督を務めた「博奕打ち」シリーズ4作目。「仁義なき戦い」シリーズの脚本で知られる笠原和男が本作の脚本を担当しています。

昭和9年、天竜一家総長の荒川が倒れ、跡目相続問題が勃発。六人衆の中井組組長・信次郎は二代目を辞退し、兄弟分の松田を推します。松田が服役中のため、荒川の舎弟である仙波組長は荒川の娘婿・石戸を指名し、二代目を継ぐことに。しかし二代目披露の1カ月前、松田が出所し……。

ここがおすすめ!

主人公の信次郎を鶴田浩二、一本気な松田を若山富三郎、松田の妻・弘江を富司純子が演じました。幾重にも重なった人間ドラマが重厚で、信次郎と松田の仁義を重んじるこその悲劇には悲哀が詰め込まれています。

海外のおすすめギャング映画

1位『ゴッドファーザーPART II』(1975年)

説明不要のマフィア映画の金字塔

ジャンルマフィア , バイオレンス , ヒューマンドラマ
キャストアル・パチーノ , ロバート・デ・ニーロ , ダイアン・キートン

マフィア映画の金字塔「ゴッドファーザー」シリーズのなかでも、名作と名高い2作目。前作『ゴッドファーザー』(1972年)からつづくマイケル・コルレオーネの物語と、彼の父ヴィトー・コルレオーネの在りし日の物語、2つが同時進行で語られます。

本拠地を、ニューヨークからラスベガス近くのタホ―湖畔へ移したコルレオーネ・ファミリー。縄張りを狙っていたハイマン・ロスの手下に襲撃されたマイケルは、偉大な父に思いを馳せます。

ここがおすすめ!

若き日のヴィトーがマフィアのドンに登りつめていく様子と、孤独になっていく現代のマイケルの対比に注目。3部作すべてに通じる、リアルなバイオレンス描写も見どころです。

吹き出し アイコン

三部作の中で1番好きです。3時間超えに今まで手が出なかったけどパートワン見てからすぐ見たくてチャレンジ!ファミリーの起源が分かって、余計感情移入できました。アルパチーノもデニーロもイケメンだなぁ……。

(20代男性)

2位『新しき世界』(2013年)

韓国版『インファナル・アフェア』

ジャンルマフィア , 警察 , サスペンス
キャストイ・ジョンジェ , チェ・ミンシク , ファン・ジョンミン

韓国最大の犯罪組織に潜入し、8年になるジャソン。上司のカン課長に逆らえない彼は、自分と同じ中国系韓国人である組織のNo.2、チョン・チョンの信頼を裏切っていることに葛藤していました。

そんなある日、組織のリーダーが急死し、跡目争いが勃発。カン課長はジャソンをトップに据える「新世界」作戦を始動させるよう彼に指示しますが……。

ここがおすすめ!

『イカゲーム』で一躍世界的に有名になったイ・ジョンジェ主演作。“韓国版『インファナル・アフェア』”ともいえるスリリングな展開と、熱い人間模様に注目です。

吹き出し アイコン

ノワールだと思って観てたらロマンス映画だったという衝撃。病室のシーンでは涙腺が緩んでしまった。チョンチョンー!チョンチョンのセンスの悪さとか愛嬌とか悲しい顔とかもう最高。ラストシーンの平和な感じ(全然平和じゃないけど)チョンチョンを好きにならざるをえない。しかしヤクザと警察、どっちが反社かわからないし、女性の扱いが酷すぎて…少し辛かったです。

(40代女性)

3位『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984年)

ユダヤ系ギャングたちの栄枯盛衰

ジャンルマフィア , ヒューマンドラマ
キャストロバート・デ・ニーロ , ジェームズ・ウッズ , エリザベス・マクガヴァン

1920年代初頭のニューヨーク。ユダヤ系移民の少年ヌードルズは同年代のマックスと出会い、いつしか仲間たちとともに、禁酒法を利用して荒稼ぎするようになります。しかしヌードルズは殺人を犯して刑務所へ。

出所した彼はマックスと再会し、再び裏社会に足を踏み入れますが……。

ここがおすすめ!

ハリー・グレイの自伝的小説を原作に、ニューヨークのユダヤ系ギャングたちの栄光と破滅を描いた傑作ドラマ。時系列が複雑に入り組んでいますが、引き込まれる人間ドラマが展開されます。エンリオ・モリコーネの音楽も必聴。

4位『グッドフェローズ』(1990年)

実話をもとにしたマフィアたちの友情と裏切りの物語

ジャンルマフィア , ヒューマンドラマ , 実録
キャストレイ・リオッタ , ロバート・デ・ニーロ , ジョー・ペシ

ニューヨークの下町ブルックリンで生まれ、幼いころからマフィアにあこがれて育ったヘンリー。地元を牛耳るポーリーのもとで働き始めた彼は、兄貴分のジミーや好奇心旺盛なトミーとともに犯罪を重ね、組織での地位を高めていきます。

1979年、彼らはケネディ国際空港を襲撃し、600万ドルの強奪に成功。FBIの捜査が迫るなか、ジミーたちは口封じのために関係者を次々と殺害していき……。

ここがおすすめ!

マーティン・スコセッシが、ニコラス・ピレッジのノンフィクション『グッドフェローズ』を原作に、 1955年から1980年にかけてのニューヨーク・マフィア界で生きた、ヘンリー・ヒルという実在の男を題材とした作品。トニー役のジョー・ペシは、本作でアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。

Netflixで観られるおすすめヤクザ映画

1位『ヤクザと家族 the family』(2021年)

『ヤクザと家族 The Family』
©2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会

「家族」をテーマにヤクザの悲哀を3つの時代で描いたクロニクル

ジャンル人情もの
キャスト綾野剛 , 舘ひろし , 尾野真千子

『新聞記者』(2019年)の藤井道人監督が手がけたオリジナルのヒューマンドラマ。昭和から平成、そして令和へと3つの時代に生きるヤクザたちを「家族」をテーマに描いた作品です。

1999年、覚せい剤中毒で父親を亡くし、自暴自棄になっていた山本賢治は、偶然救った柴咲組組長の柴崎に手を差し伸べられて父子の契りを結びます。2005年、ヤクザの世界でのし上がった賢治は自分の「家族」を守るため、ある決断をしますが……。

ここがおすすめ!

平成4年に施行された「暴力団対策法」によって、隆盛を極めていたヤクザたちは「反社」と呼ばれ社会から排除される対象に。これまでのヤクザ映画とまったく異なるアプローチで、ヤクザの悲哀を3つの時代のクロニクルとして描いた傑作です。

2位『アイリッシュマン』(2019年)

1人の殺し屋が見つめた裏社会の男たちの生きざま

ジャンルマフィア , 実録
キャストロバート・デ・ニーロ , アル・パチーノ

全米トラック運転手組合「チームスター」のリーダー、ジミー・ホッファの不審な失踪の後、殺人事件が発生。その容疑は彼の右腕で、凄腕のヒットマンであるフランク・”アイリッシュマン”・シーランにかけられました。

第二次世界大戦後の混沌としたアメリカ裏社会で、1人の殺し屋が見た無法者たちの壮絶な生きざまが語られます。

ここがおすすめ!

ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノがW主演を務め、マーティン・スコセッシがメガホンをとった力作。チャールズ・ブラントが2004年に発表した同名のノンフィクション作品が原作です。デ・ニーロとパチーノがVFXで若返り、50年に渡る主人公たちの半生を演じたことでも話題になりました。

3位『極道の妻たち』(1986年)

これまでなかった女性視点で描いたヤクザ映画として大ヒット!

ジャンルアクション , 人情もの , 女極道
キャスト岩下志麻 , 佐藤慶 , 世良公則

家田荘子のノンフィクションを原作に、女性の視点から極道の世界を描いた映画として社会現象と呼ぶほどの大ヒットを記録。記念すべき第1作では、主演を岩下志麻、監督を五社英雄が務め、その後は監督や女優を替えて長く続く人気シリーズとなりました。

堂本組若頭補佐で粟津組組長の妻・粟津環は、服役中の夫に代わって組を守っていました。そんな中、堂本組総長が急死し、堂本組の跡目相続人は故人の遺言によって若頭の柿沼に決定。

舎弟頭の蔵川はこれに不満を示し、補佐の小磯たちを引き連れて新たに朋竜会を結成します。その中でも環はあくまでも堂本に忠誠を尽して小磯の誘いを拒みますが、小磯は密かに傘下の杉田組組長に柿沼暗殺の指揮を命じていました。

ここがおすすめ!

本作で岩下が演じたのは粟津組組長の妻・環。夫と組織のために忠誠を尽くす環は、杉田組組長と結婚した妹・真琴とも敵対する宿命を背負います。かたせ梨乃、世良公則らが共演しました。岩下志麻の凛とした迫力ある佇まいは強烈な印象を残し、多くの女性ファンをも熱狂させた本作。岩下主演シリーズは、1998年の10作目『極道の妻たち 決着』で完結しています。

4位『仁義なき戦い 代理戦争』(1973年)

西日本全体を巻き込む大抗争へと発展する、シリーズ5部作の3作目

ジャンルアクション , バイオレンス , 人情もの
キャスト菅原文太 , 小林旭 , 渡瀬恒彦

「仁義なき戦い」シリーズ3作目の舞台は昭和35年の広島です。最大の勢力を誇っていた村岡組幹部が暗殺されたことで勃発した跡目争いが、より広域の暴力団を巻き込んだ代理戦争へと発展していくのでした。

第2作が若いヤクザたちの青春を盛り込んだやや番外編的内容になっていたのに対し、本作は第1作の実質的な続編に当たります。そのため1作同様に群像的な構成となっており、その中で展開する陰謀や裏切り、復讐劇が中心です。

ここがおすすめ!

本作では新キャストとして日活の大スター、小林旭が登場しました。1973年のキネマ旬報ベストテンでは第8位にランクインしています。

5位『仁義なき戦い 頂上決戦』(1974年)

第二次広島抗争の終焉を描く、シリーズ5部作の4作目

ジャンルアクション , 人情もの
キャスト菅原文太 , 梅宮辰夫 , 黒沢年雄(黒沢年男)

大ヒットした「仁義なき戦い」オリジナルシリーズの第4作目にあたる作品です。3作目のストーリーから引き続き、昭和38年から翌年にかけて激烈を極めた暴力団抗争、第二次広島抗争を描きます。

明石組と神和会という敵対する2つの巨大暴力団。それぞれの傘下にある組同士の闘いが激しさを増す中、警察は暴力団の撲滅を狙い「頂上作戦」を企てるのでした。当時の社会情勢を背景に、盛り上がる反暴力の動きと、それに対応した警察の動きが本作の主軸になっています。

ここがおすすめ!

監督の深作欣二、主役の菅原文太はそのままに、他の「仁義なき闘い」シリーズより多くの人物が複雑に絡んで熾烈な闘いを繰り広げました。

Amazonプライムビデオで観られるおすすめヤクザ映画

1位『すばらしき世界』(2021年)

『すばらしき世界』
©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会

役所広司主演×西川美和監督!元ヤクザの出所後の人生を追う

ジャンル人情もの
キャスト役所広司 , 仲野太賀 , 六角精児

『永い言い訳』(2016年)の西川美和監督が、役所広司を主演に迎えたヒューマンドラマ。実在の元ヤクザをモデルにした佐木隆三の小説『身分帳』を原案に、主人公が体験するこの世界の寛容と不寛容を描いた社会派作品です。

殺人罪での13年の刑期を終え、シャバへ出た三上。一変した世界の中で取り残され、日々の生活や仕事探しにも窮する「元ヤクザ」という肩書に、社会の厳しさを感じます。そんな三上にテレビ局の吉澤と津乃田が、三上のドキュメンタリー番組を作りたいと申し出ますが……。

ここがおすすめ!

人生の大半を裏社会と刑務所で生きてきた、現代の遺物のような三上を演じた役所広司の存在感は圧巻。反社といわれ、社会に拒絶され続ける存在に寄り添いつつも、突き放したような演出が心に残ります。

2位『悪人伝』(2020年)

悪人伝
©2019 KIWI MEDIA GROUP & B.A. ENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED.

組長マ・ドンソクが連続殺人犯を追う!

ジャンルアクション , バイオレンス , 警察
キャストマ・ドンソク , キム・ムヨル , キム・ソンギュ

凶悪なヤクザの組長チャン・ドンスがある夜、何者かによってめった刺しにされます。奇跡的に一命をとりとめた彼は、敵対する組織の犯行を疑い、犯人探しを開始。一方、暴力的な手段も辞さない問題刑事として知られていたチョン刑事は、これが世間にまだ知られていない連続殺人事件の一部であると確信し、手がかりを求めてドンスにつきまといます。

当初は対立していたドンスと刑事でしたが、犯人を捕まえるためにはお互いの情報が必要と悟り、共闘して犯人を追いつめていきます。

ここがおすすめ!

日本の任侠を重んじるヤクザと違い、単純に暴力で食うか食われるかの世界に身を置くドンスの迫力にシビれます。マ・ドンソクがヤクザの親分という、あまりにも定番な配役ですが、それだけに安心感と安定感があります。アクションシーンも見応え充分。

3位『ブラック・レイン』(1989年)

松田優作の遺作としても知られる日米合作ヤクザ映画

ジャンルアクション , サスペンス , 警察
キャストマイケル・ダグラス , 高倉健 , 松田優作

ヤクザの佐藤を逮捕したニューヨーク市警のニックとチャーリーは、彼を護送するため日本へやって来ます。しかし目的地に到着するなり、佐藤は仲間の協力で逃亡。言葉の通じない国で困惑しながら彼を追う2人を監視するのは、ベテランの松本警部補です。

しかしやがてチャーリーが佐藤に惨殺されるという事態に。復讐に燃えるニックは、松本とともに佐藤を追います。

ここがおすすめ!

リドリー・スコット監督による名作サスペンスアクション。日米の刑事の友情や彼らの激闘に目を奪われます。本作が遺作となった松田優作も、強烈な印象を残します。

吹き出し アイコン

チャーリーアホすぎだろ!っていうのはあるんだけど、高倉健がカッコいいーー。アメリカと日本がなかなか混合していて、しかもストーリーもまとまっていて結構見応えありました。私的には、キリンプラザが写っていて沸きました。大阪って綺麗だったね。

(30代女性)

4位『夜叉』 (1985年)

ヤクザから足を洗った男が再び古巣に舞い戻るとき

ジャンル人情もの
キャスト高倉健 , いしだあゆみ , 乙羽信子

かつて大阪のミナミで「人斬り夜叉」として恐れられた伝説のヤクザ・修治も、今は背中の刺青を隠し、小さな港町で漁師をしながら妻子と穏やかに暮らす身。ところが町にやってきた螢子と、そのヒモ・矢島と関わったことで、再びミナミに足を向けざるを得なくなってしまいます。

監督を務めたのは、高倉健とコンビを組んで数々の作品を手掛けてきた降旗康男です。

ここがおすすめ!

暗い過去を背負う修治を高倉健、互いに惹かれあうことになるヒロインの螢子を田中裕子、矢島を北野武が演じました。他にもいしだあゆみ、大滝秀治、小林稔侍ら豪華キャストが脇を飾っています。

面白いおすすめヤクザ映画を観て極道たちの裏社会を知ろう

戦後から60年代は、明治・大正を主な舞台にした一匹狼的主人公の人情映画が中心でしたが、『仁義なき戦い』が発表された1973年を境に、実録ものと呼ばれるヤクザ抗争映画へと人気が移ります。 さらには北野武監督に代表されるバイオレンスそのものに焦点を当てたものも生まれ、その内容は多岐に渡っていきました。 ヤクザ映画の1番の魅力は、反社会的とはいえ過激に振り切った、人間のリアルな姿であり、そこから生まれる濃密な人間ドラマであることに変わりはありません。これからも、時勢を反映した新しいヤクザ映画が製作されていくことに期待しましょう。