2021年5月21日更新

実写版『アラジン』のあらすじ・魅力を解説!アニメからの進化が凄い……【ネタバレ注意】

このページにはプロモーションが含まれています
アラジン,実写
©Supplied by LMK/zetaimage

AD

実写版『アラジン』(2019年)のあらすじや進化を解説!

ディズニーの名作長編アニメーションを実写化した2019年の映画『アラジン』。ウィル・スミス演じるジーニーや、数々の名曲の復活も話題になりました。しかしなんといっても本作の魅力は、現代に合ったキャラクターや実写版ならではのストーリーです。 今回はそんな実写版『アラジン』のあらすじやキャスト、アニメ版から現代的に変更された点やその魅力を紹介していきましょう。

読みたい見出しをクリック

\この記事でわかること/

①実写版『アラジン』のあらすじ

アニメからの変更点は?

②アニメからの進化ポイント5つ

服装の進化や新キャラ、新曲の登場も!

③キャストの再現度チェック

ウィル・スミスの青いジーニーがかわいい!

④名監督ガイ・リッチー

“無法者”を描く天才監督の魅力

実写版『アラジン』あらすじ

『アラジン』(2019)メナ・マスード
© WALT DISNEY PICTURES/All Star Picture Library/Zeta Image

砂漠の国アグラバーに住む、貧しくも清らかな心を持った青年アラジン。彼は“ドブネズミ”と呼ばれ、底辺の暮らしをしながらも明るくたくましく生き、いつか自分の力で身を立てる夢を持っていました。 ある日彼は、街で王女の侍女ダリアと名乗る女性と出会います。彼女に会うために王宮に忍び込んだ彼は、国務大臣のジャファーに捕まり、実は街で出会った女性が王女のジャスミンだったことを知りました。 そしてアラジンは、ジャファーに洞窟からランプを取ってくれば人生を変えることができるとそそのかされてしまいます。 ジャファーに裏切られながらもランプを手に入れたアラジンは、「3つの願いを叶える」と言うランプの魔人ジーニーと出会いました。アラジンは3つ目の願いで彼を自由にすると約束して、行動をともにすることに。

ジーニーの魔法で王子に変身したアラジンは、ジャスミンに求婚しに行きます。1度は緊張から失態をおかし、彼女に嫌われてしまいましたがその後、以前街で出会っていたことを彼女に見抜かれ、心を通わせるようになりました。 しかしジャファーがランプを盗み、ジーニーの新たな主人となったことで一同は大ピンチに。ジャファーはジーニーの魔法で国王に、そして世界1力のある魔術師になります。 力を欲する彼の心理を見抜いたアラジンは、ジャファーに「お前はジーニーを超えられない」と挑発。ジーニーに自分を最強のランプの魔人にするように命令したジャファーは、ランプに吸い込まれてしまいました。 アラジンは約束どおり、3つ目の願いでジーニーを自由にして宮殿をあとにします。ジャファーの魔術から解放された国王は、次に国を治めるのはジャスミンだと宣言し、彼女はアラジンを追いかけました。そして2人は結婚したのです。 一方で人間になったジーニーはダリアと結婚し、2人の子供たちとともに自由な船旅に出たのでした。

AD

アニメ版とのストーリーの違いは?

アラジン
©︎WALT DISNEY PICTURES

アニメ版と実写版では、ストーリーに細かい違いがあります。 まずアラジンがジャスミンを王宮の侍女だと勘違いする展開や彼がジャファーにそそのかされ、洞窟にランプを取りに行くまでの経緯などが、アニメ版とは微妙に違っています。またジャスミンの侍女ダリアとジーニーのロマンスという、アニメ版にはまったくなかった要素も追加されました。 さらにジャスミンはアニメ版以上に自立心の強い性格で、フェミニズム的な要素が意識的に組み込まれていると考えて間違いないでしょう。そのため物語の結末自体も変更されています。

名作アニメに現代要素をプラス!実写版『アラジン』の進化ポイント5選

実写版『アラジン』はアニメ版の世界観を忠実に再現しながらも、現代的かつ現実のアラビアの雰囲気を映し出すように進化しています。 ここでは、実写版の5つの見どころを紹介しましょう。

【進化①】2人の服装がよりリアルに!

『アラジン』(2019)ナオミ・スコット、メナ・マスード
© WALT DISNEY PICTURES/DANIEL SMITH/All Star Picture Library/Zeta Image

実写『アラジン』のビジュアルでまずアニメ版と違うと感じるのは、アラジンやジャスミンの服装です。2人とも実写版では、より現実的な服装になっています。 アラジンはアニメでは上半身はベストだけ、という服装でしたが、実写版ではその下にシャツを着ています。ジャスミンもアニメでは肌の露出が多い服装でしたが、実写版では腕とデコルテ以外の露出が少なくなりました。 これはアラジンの舞台のモデルとなった「アーグラ」というインドの都市では、紫外線が強すぎて肌をさらせないことから、現地の服装をより忠実に再現した結果でしょう。

AD

【進化②】映画ならではの新キャラも登場!

『アラジン』(2019)ナシム・ペドラド、ウィル・スミス
© WALT DISNEY PICTURES/DANIEL SMITH/All Star Picture Library/Zeta Image

実写映画では、アニメ版でおなじみのキャラクターのほかにオリジナルキャラクターが何人か追加されました。ジャスミンに求婚に来るアンダース王子や、国王の忠実な家臣ハキームなど、それぞれに大きな役割をになっています。 なかでも特に重要なのが、ジャスミンの侍女であるダリア。王女と姉妹のように仲がいい彼女にも、ロマンスの相手が現れることになります。それが実写映画だけのラストの重要な展開につながっているのです。

【進化③】ミュージカルシーンの壮大さがケタ違い!

アニメ版でも名曲ぞろいだった『アラジン』。実写版でももちろんそれらの楽曲が登場しますが、その映像の迫力はケタ違いです。 もっとも有名な楽曲「フレンド・ライク・ミー」は、アニメ版の映像を踏襲しつつ実写オリジナルのダンスなどを追加し、さらに陽気なシーンになっています。またアラジンが王子としてアグラバーの街を行進する「アリ王子のお通り」も、壮大なミュージカルシーンにグレードアップしました。 もちろん「ホール・ニュー・ワールド」で、アラジンとジャスミンが魔法のじゅうたんに乗って空を自由に飛び回るシーンも、アニメ版以上に美しい映像に仕上がっています。

【進化④】映画ならではの新曲「スピーチレス」

実写版『アラジン』では、アニメ版にはなかったジャスミンのソロ曲「スピーチレス〜心の声」が追加されました。ランプを手に入れ国王になったジャファーの命令で、兵士に捕らえられてしまったジャスミン。そのとき彼女が歌い上げるのがこの曲です。 この曲は、『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』(ともに2017年)などへの楽曲提供で知られるパセク&ポールが作詞を担当。ディズニーのレジェンド、アラン・メンケンが作曲を手がけています。 劇中の重要な場面でジャスミン王女を演じたナオミ・スコットがこの曲を力強く歌い上げており、実写版ならではの名シーンとなりました。

AD

助けを待ってる姫じゃない!葛藤の末立ち上がる「自立する女性」が描かれる

自らが国を率いていくべきだと考えているジャスミンでしたが、それを口には出さず行動で示そうとしていました。しかし絶体絶命のピンチに陥ったとき、彼女はついに声を上げるのです。 「スピーチレス〜心の声」で、“私は黙らない”と自分の考えや価値を主張するジャスミンは、社会の不平等と戦う現代の女性たちの象徴といえるでしょう。

【進化⑤】似合いすぎるウィル・スミスのジーニー

『アラジン』(2019)ウィル・スミス
© WALT DISNEY PICTURES/DANIEL SMITH/All Star Picture Library/Zeta Image

実写版『アラジン』で1番再現度が気になるのは、なんといってもジーニーかもしれません。 予告編やポスターなどのウィル・スミスのジーニーに対しては“青すぎるウィル・スミス”といった感想もありましたが、実際に画面を動き回るジーニーを見ると、アニメ版に負けず劣らず強烈な個性を発揮していたように思います。 青いジーニーは100%CGだとインタビューで語っていたウィル・スミス。言われなければ上半身だけ普通に彼が演じているようにも見えるから驚きです!ファンキーなウィル・スミスのキャラも全開でした。 特にジーニー最大の見せ場である「フレンド・ライク・ミー」を歌う場面では、アニメ版をしっかり踏襲しつつ、キレのあるダンスも取り入れるなど実写版オリジナルのシーンに作り変えていました。

アニメに引き続き吹き替えた山寺宏一の演じ分けにも注目!

ジーニーについてもう1点どうしても触れておきたいのが、27年ぶりに再び同役の声優を担当した山寺宏一。 アニメ版ではロビン・ウィリアムズに合わせて高めでコミカルに、実写版ではウィル・スミスに合わせて低めでファンキーに演じ分けている点が、さすがの一言です!

AD

その他キャラクターの再現度もチェック

キャラ名 キャスト 日本語吹替声優
アラジン メナ・マスード 中村倫也
ジャスミン ナオミ・スコット 木下晴香
ジーニー ウィル・スミス 山寺宏一
ジャファー マーワン・ケンザリ 北村一輝
イアーゴ アラン・デュディック(声) 多田野曜平
サルタン ナヴィド・ネガーバン
ダリア ナシム・ペドラド 沢城みゆき
アンダース王子 ビリー・マグヌッセン 平川大輔
ハキム ヌーマン・アチャル
ラズール ロビー・ハインズ

アラジン役/メナ・マスード

アラジン
©Supplied by LMK

貧しくも心優しい純粋な青年、アラジン。ジャスミン王女と恋に落ちた彼は、ジーニーの力を借りてなんとか彼女との距離を縮めようとします。 主人公のアラジンを演じたメナ・マスードは、顔はアニメ版アラジンの“トム・クルーズ似”よりも、まさに中東系の美男子ですが、動きがアニメ版さながらの非常にアクティブなキャラクターに仕上がっていました。 そのアクションが1番際立っていたのが、冒頭の街での逃走劇とランプを取りに行く洞窟でのシーン。特に崩れゆく洞窟で逃げ惑う様はアニメ版に忠実に描かれ、息をのむ仕上がりとなっています。

メナ・マスード
©Admedia, Inc/Birdie Thompson/AdMedia/Sipa USA/Newscom/Zeta Image

アラジンを演じるのは、カナダ国籍でエジプト出身のメナ・マスードです。ヒゲのせいか、アニメ版よりほんの少し大人っぽく見える気もしますね。しかし筋肉のつきすぎていないほっそりした体型やジャスミンとの身長差など、アニメ版からの再現度はなかなかな高いのではないでしょうか。 2011年よりテレビ界を中心にキャリアを重ねてきたマスードは、これまでに『Open Heart(原題)』(2015年)や『ジャック・ライアン』(2018年)などのテレビドラマに出演。イギリスや中東、インドで行われたオーディションを突破し、アラジン役を射止めました。

AD

ジャスミン役/ナオミ・スコット

アラジン ジャスミン ナオミ・スコット
©WALT DISNEY PICTURES

アグラバーのジャスミン王女は、父である王が勝手に進めている結婚話にうんざりしています。また、なかなか城の外に出ることもできない生活に退屈しており、城を抜け出してこっそり街に行くことも。 アラジンが恋する王女ジャスミンはアニメ版でのエキゾチックな顔立ちが印象的でした。ナオミ・スコット演じる実写版ジャスミンはまさに現実世界に現れたプリンセス!その美しさは息を呑むほどです。 またジャファーにもきっぱりと物申す勝気な性格やアリ王子の中身を見抜く鋭い観察眼も、しっかりと再現しています。エキゾチックな面持ちもあり、王女の風格もあり、申し分のないプリンセスだったのではないでしょうか。

ナオミ・スコット
©Sthanlee Mirador/Sipa USA/Newscom/Zeta Image

ジャスミンを演じるナオミ・スコットは、イギリス・ロンドンでインド系の母とイギリス人の父のもとに出生。 幼少のころから音楽活動をスタートし、2008年に母国のディズニー・チャンネルのテレビドラマ『Life Bites(原題)』でデビュー。その後ディズニーのミュージカル映画『レモネード・マウス』(2011年)や、『パワーレンジャー』(2017年)への出演で頭角を現しました。 美しい王女ジャスミンの再現度はきらびやかな衣装も含めてほとんど完璧ではないでしょうか。また実写版『アラジン』にはアニメ版では存在しなかったジャスミン王女のソロ・ナンバーがあると発表されています。楽曲自体にも期待が寄せられますが、スコットの歌声にも注目です。

AD

ジーニー役/ウィル・スミス

アラジン ジーニー ウィル・スミス
©WALT DISNEY PICTURES

ランプの魔人ジーニーは、陽気で楽しいことが大好きなキャラクター。ついふざけてしまったり、やりすぎてしまうこともあります。 しかし実はランプに閉じ込められた人生を窮屈に感じており、これまでの“主人”が、願いを叶えてしまえば自分に興味を示さなくなることを嘆いていました。

ウィル・スミス
WENN.com

人気キャラクター、ジーニーを演じるのはハリウッドスターのウィル・スミス。ジーニーの衣装や髪型などは完璧に再現されていましたが、ポスターや予告編ではその見た目について「ただの青いウィル・スミス」という意見もありました。 しかし演じるスミス本人が「アニメ版とは違った解釈のヒップホップなイメージになる」と語っていた通り、アニメ版とはまた違った魅力的ジーニーが映画に登場しています。映画公開後には好評を博し、新たなジーニー像を作り上げました。

ジャファー役/マーワン・ケンザリ

アラジン,ジャファー
©Supplied by LMK

アグラバー王国の国務大臣にして、王位の略奪やアラジンの暗殺を目論むジェファー。一時はジャスミンと結婚しようとさえする、金と権力を手に入れるためには手段を選ばない男です。 アラジンを利用し陥れるジャファーは、アニメ版と比べるとかなり別物。見た目も声も、アニメ版の嫌味な感じよりはかなり“イケメン”なヴィランです。しかしそれが、実写版オリジナルの要素としては優っていたように感じました。 いかにもアニメのヴィランらしい挿入歌「アバヨ、王子様」が割愛されており、より実写らしいリアルな演出でジャファーのまがまがしさを表現しています。

マーワン・ケンザリ
©JIM RUYMEN/UPI/Newscom/Zeta Image

そんなジャファーを演じるのは、オランダ出身のチュニジア系俳優マーワン・ケンザリ。2008年に母国で俳優デビューを飾ったケンザリは、2013年に『Wolf(原題)』に主演し、翌年ベルリン国際映画祭のシューティング・スター賞を獲得。 アラビア語を含む4ヶ国語に堪能という語学力も活かし『アウトバーン』(2016年)や『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』、『セブン・シスターズ』(ともに2017年)といったオランダ国内外の作品で活躍しています。 実写版ではジャファーの衣装は再現されつつ、更に豪華なものにアップデート。また演じるケンザリはアニメ版よりも若くイケメンだということも話題になりました。

AD

監督はガイ・リッチー、スタイリッシュなアクションシーンも見どころに!

ガイ・リッチー
©Media/Newscom/Zeta Image

実写版『アラジン』の監督を務めたのは、アクション映画を得意とするガイ・リッチー。これまでに「シャーロック・ホームズ」シリーズなど、多くの作品でそのスタイリッシュな演出とアクションで高い評価を受けています。 常識に縛られない人物たちを描くことが得意なリッチーは、最初から本作の監督を希望していたそうです。本人によれば「私が作る物語はストリートの無法者たちの話です。どう描けばいいかわかっているんです。アラジンもそういった古典的なキャラクターですから」とのこと。 アクションに関してはさすがリッチー作品らしくスタイリッシュ!アラジンが颯爽とパルクールを用いてアクロバティックに追手を振り切るシーンが冒頭の見どころです。 また他にも、アラジンが洞窟にランプを取りに行くシーンやクライマックスの魔法の絨毯に乗ってのランプ争奪戦など、従来のディズニー・ミュージカル映画とは一線を画した、ドキドキするようなアクションが充実した作品となっています。

実写映画『アラジン』は現代版に進化した“自立したプリンセス”の物語

アニメ版と同じく、アラジンとジーニーの冒険譚である実写映画『アラジン』は、同時に自立したプリンセスであるジャスミンの物語でもあります。そこには現代の観客の心にも響くメッセージが込められているのです。 世界中で行われたオーディションで選ばれたキャスト、ディズニーの伝説的作曲家と新鋭の作曲家チームによる楽曲、そして実績ある監督らが総力を結集し作り上げた本作は、新たなディズニーの実写映画の名作といえるでしょう。